刑事コロンボ 39話『黄金のバックル』かくも哀しき歴史

刑事コロンボ 39話 黄金のバックル
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【VS.美術館館長】美術館に人生を注いできた女性が、その美術館を売却されそうになってしまいます。犯人であるルース・リットンはそれを阻止するために殺害を決意します。美術館という独特な舞台設定が、犯人の過去と物語にスパイスを加えられて良いアクセントにもなっています。

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データ

脚本:ピーター・S・フィーブルマン
原案:ローレンス・ヴァイル
監督:ロバート・ダグラス
制作:エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修:ビル・ドリスキル
音楽:ディック・デ・べネディクティス

本編時間:76分
公開日:アメリカ/1976年11月28日 日本/1977年12月24日

あらすじ

名門リットン家が運営する「リットン美術館」は赤字経営であった。そのため、美術館理事であるエドワード・リットンは美術館を売却する為の目録整理を始めていた。美術館館長であるルース・リットンにとっては、人生を捧げてきた大切な美術館であり、売却は断固阻止したかった。そのため、警備員ミルトン・シャイファーを利用して、エドワードと共に葬り去る殺害計画を実行する。

ルースは金を出し、ミルトンに美術館の展示品を盗むように指示をする。展示品には多額の保険金が掛けられており、保険金を手に入れるためだと説明し、兄に電話を掛けるように言いつける。その晩、ミルトンは兄に留守番電話を掛けて発砲音を聞かせる。これで、電話を掛けた時刻に死亡したように見せかけることができる。

その後、美術館内に侵入して展示品を鞄に詰めているとルースが現れる。ミルトンの名前を呼び振り向かせたところで射殺した。その後、目録整理をしていたエドワードが物音に気が付きやってきたところ、彼も射殺する。

2人の拳銃を持ち変えさせることで、お互いに相討ちになったように偽装したのだった。翌日、ミルトンの兄の通報で彼が事件に巻き込まれたことが発覚する。ルースは姪のジェニーと共に美術館に出勤する。ジェニーに2人の遺体を発見させたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:ルース・リットン
役者:ジョイス・ヴァン・パタン

吹き替え声優:加藤道子

概要:リットン美術館館長の女性。リットン家が美術館を管理運営していたが赤字経営が続いていた。美術館理事のエドワード・リットンは、美術館を売ろうとしていたため、役に立たない警備員ミルトン・シェイファーをそそのかし、美術館に盗みに入らせると殺害。そのうえでエドワードも殺害すると、同士討ちで死亡したように偽装した。

若い時から美術館の責任を任されていたようで、恋愛にはうつつを抜かさなかったと語る。館内の展示品は、中世(476年~1453年)ルネッサンス(1300年~1600年)の美術品が多い様子。冒頭では見物客に、11世紀ウィリアム王の斧の説明をしていた。

館内にはイヤホン付きのテープを貸し出しており、詳しい説明を聞くことができるようだ。美術館は赤字経営であり、常日頃から電気を消灯するなど倹約に努めている。

古風な礼儀作法を大切にしている。そのためなのか? 新しい薬は嫌いで、風邪をひいたさいにはカミツレ茶を飲んで対処しているとのこと。読書家でもあり、詩人「ビクトル・ユーゴー」や「オスカー・ワイルド」の名言を心境に合わせて話した。

美術館内の一室にお気に入りの部屋があり、自身の肖像画が飾られている。辛いことがあると、よく1人になりに来るそうである。肖像画はピーター・ブランドと結婚した時の絵であるが、姉が結婚相手と駆け落ちするという、コロンボ警部も思わずお茶を吹き出してしまう衝撃の過去がある。


今回の被害者:エドワード・リットン
役者:ティム・オコーナー

吹き替え声優:加藤和夫

概要:リットン美術館理事である男性。ルースの弟で、赤字経営の美術館を売ってしまう計画を立てていた。そのため、2日間泊りがけで目録整理と決算報告をまとめている。美術館を手放すことで、500~600万ドルは手に入るようだ。(1976年11月1ドル=295円 500万~600万ドル=14億7500万円~17億7000万円)

扉をノックせず部屋に入り、ルースから注意された際には、「古風な礼儀作法にはこだわらないんだよ」と話している。美術館の管理はしっかりとしており、展示品3点が盗まれていることをルースに注意する。美術品を買い込むことよりも盗難に注意するようにと、言葉を返した。


今回の被害者:ミルトン・シェイファー
役者:ピーター・S・フェーブルマン

吹き替え声優:樋浦勉

概要:リットン美術館警備員の男性。ルースの姪ジェイ二ーが人事担当をしており、交際相手の兄弟ということで、安月給ではあるが警備員の仕事を請け負った。展示品を3点盗んでいたり、館内に火のついたタバコを捨てるなどおおよそ警備員としては素質に欠けている。

子供の時から事件を起こしては、医者である兄に後始末をしてもらうなど素行が悪い。ギャンブル中毒でもあり借金もある。2人組の借金取りに追われていたりしていたとのこと。過去に軍隊にいたようで銃が扱えるようだ。

ルースの提案による美術品盗難に見せかける計画は、10万ドルで了承している。犯行日には前金の3000ドルで、美容院で散髪し、爪にマニキュアを塗ってもらう。腕時計と新しい靴と服まで買った。周囲にはカリブ海に行くと言いふらしているなど、とてもこれから泥棒しに行くとは思えない行動力である。(1976年11月:1ドル=295円 10万ドル=2億9500万円)

一応、靴の上にゴム底を履いておくなどの配慮はしていた。展示品はすべてルースに渡す計画だったのだが、宝石があしらわれたペンダントをくすねようとした。

小ネタ・補足

〇犯人演じる「ジェイス・ヴァン・パタン」は、27話「逆転の構図」の救済施設に登場したシスター役を演じていた。

〇コロンボ警部が美容院で散髪している。計25ドル=7375円である。

◯警備員の被害者「ミルトン・シェイファー」を演じたのは、今作品の脚本家「ピーター・S・フェーブルマン」氏である。

まとめ

舞台設定が好きなエピソードです。美術館という暗いムードが犯人の過去を引き立ててくれます。『小説家になろう』でコロンボナビと銘打ってエピソードの感想を書かれている方がおられるのですが、非常に勉強になりました。

明かりを消してしまったのはうっかりとはいえ、電話によるアリバイ作りといい、「黄金のバックル」を使って姪を犯人に仕立てる方法といい、むしろ捕まりたがっているとしか思えない。いや、捕まりたがっていると考えるのが最も妥当なのだ。つまりこうだ。過去の経緯をコロンボに漏らしたうえで、姪に罪を被せるひと芝居を打ち、最後のやり取りを演出したのだ。コロンボナビ『黄金のバックル』より引用

長年守ってきた美術館を守るための犯行だと思っておりましたが、コロンボナビでは美術館という牢獄から抜け出したかったのだと綴られております。コロンボ警部にエスコートされて犯人が退場する場面は印象に残っていますが、そうなるとラストの場面もまた違った印象に見えますね。

以上、39話「黄金のバックル」でした。

  1. カリスマ美容師のダリルの店って聞いています。
    実在するんですか?
    実在しているんだったらダリルの店に行って髪を切ってもらおうと思っています。

  2. キョンチャン様
    ≫カリスマ美容師のダリルの店
    ≫実在しているんだったらダリルの店に行って髪を切ってもらおうと思っています。

    オカマ口調が印象に残る癖の強い美容師のダリルさん。コロンボ警部のボサボサ髪も綺麗に散髪してセットしてくれました。有名な美容師らしく時計店の店員さんもダリルさんの名前を知っていましたね。実在しておりましたら素敵な髪形にしてくれそうです。

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