刑事コロンボ 40話『殺しの序曲』天才VS天才

刑事コロンボ 40話 殺しの序曲
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【VS.会計事務所経営者】このエピソードを偏愛する人が続出している名エピソードです。犯行現場となるのは、上位2%の頭脳をもつ人間しか入会することのできない「シグマ協会」。犯人であるオリバー・ブラントはその頭脳を活かしたトリックを用い完全犯罪を企てます。ピタゴ〇スイッチ…⁉

問題:金貨の入った袋が数袋あります(袋の数は何個でも可能)。しかし、1袋だけ偽装された金貨が入っており重量が違います。本物=100g 偽造=110gとしたとき、一度だけ秤を使用して、偽造された金貨が入った袋を見つけてください。

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データ

脚本:ロバート・マルコム・ヤング
監督:サム・ワナメイカー
制作:リチャード・アラン・シモンズ
音楽:ボブ・プリンス

本編時間:73分
公開日:アメリカ/1977年5月22日 日本/1978年5月20日

あらすじ

オリバー・ブラントとバーディ・ヘイスティングは会計事務所の共同経営者であり、2人は知能数が上位2%の人間しか入会できない「シグマ協会」の会員でもあった。協会の集会の日、バーディは話したいことがあるとオリバーを2階の図書室に呼び出した。オリバーが顧客の金を横領した事実を掴んでおり、それを告発すると言うのだ。不正が明るみになる前に、その場で彼を射殺した。

図書室のレコードプレーヤーに前もって用意した仕掛けを作動させると下の階に戻り、レコードの再生時間が終わると、爆竹が破裂して発砲音が鳴り響いたように聞こえさえた。倒れた音と同時に2発目の発砲音が聞こえると、シグマ協会のメンバーが急いで図書室へ駆けつける。入り口のドアを開けると、窓を開けていた気圧の影響で図書室の裏のドアが閉まった。たった今、強盗が協会に押し入り、バーディを殺害し逃走していったかのように偽装したのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:オリバー・ブラント
役者:セオドア・ビケル

吹き替え声優:田中明夫(たなか あきお)

概要:「ブラント&ヘイスティング」という会計事務所を経営している男性。共同経営者のバーディ・ヘイスティングから、顧客の金を不正に引き出していたことを見咎められると、口封じのために射殺。機械仕掛けのトリックを完成させると、自身のアリバイを作りつつ、あたかも強盗により殺害されたように見せかけた。

コロンボ警部によると、1流の会計事務所なようだ。事務所の方針としては、年功序列よりも、その貢献度と能力を評価する姿勢を大切にしている。大学院卒の会計士を雇い、秘書をしながら仕事を覚えさせて独立させていくというスタンスである。

シグマ協会のメンバーでもあり、会員たちにはフレンドリーに接している一方で、内心では見下している。バーディに対しては理解者としての心情あり、殺害後には「本当に好きだったんだよ」と遺体に声を掛けていた。

犯行に利用した、シグマ協会の図書室にあるレコードプレーヤーは彼の贈与品である。自宅にも同じタイプのプレーヤーがあり、客にレコード会社の社員がいるらしい。クラシック音楽が好きなようで、犯行の際にかけた楽曲は、チャイコフスキー幻想序曲「ロミオとジェリオットである。

妻がいるが大変な浪費家である。妻のために金を稼ぐ必要があり、株に手を出したが失敗して金が必要になった。原則として会計は共同で行うのだが、秘書のジョージによると、特定の客だけはオリバーが会計をするとのこと。その客とは古い付き合いで、大金持ちの未亡人ばかりである。利口なやり方で資金を横領していたと語る。

昼休憩の時には、ビルの南側にある公園で散歩することが多いようだ。


今回の被害者:バーディ・ヘイスティング
役者:ソレル・ブーク

吹き替え声優:高木均(たかぎ ひとし)

概要:オリバー・ブラントと共同で会計事務所を経営している男性。オリバーとのつきありは高校からのようで、その後も大学、今の会社と関係は続いている。オリバーからはいじられキャラのように扱われており、本人には不満感がある。

会計事務所では、秘書のアルビン・ダシュラーとジョージ・キャンパネラがいる。バーディはアルビンに対し不正の調査を依頼して会計不正の事実を掴んだ。ジョージはオリバーが不正していたという事実を隠したことで、バーティ亡き後にはオリバーの秘書になっている。アルビンによると、「良い人だった」と証言し、音楽は何でも好きだったと語る。

シグマ協会ではプログラム委員長を担当している。事件日にはコンピューターの技術者を呼んでの講話を予定していたが、仕事が忙しくゲストは呼べなかった。本人は仕事といっているが、オリバーが不正していた事実を掴み手が回らなかったのであろう。

シグマ教会で会談があると、オリバーと文字当てのゲームをするようだ。辞書のページ数を互いに言い、番号も宣言する。その番号の文字が奇数・偶数どちらのページに載っているかを当てるゲームだ。負けると協会のメンバーに酒をおごるという罰ゲームがあるが、いつもオリバーが負けているとのこと。

オリバーによると、家族はいないらしい。くすぐりに弱いようで、オリバーから脇腹をくすぐられると、笑い声をあげるほど身を反らしている。

小ネタ・補足

〇シグマ協会の壁には、第3話『構想の死角』で登場した「メルヴィル婦人」の肖像画が飾られている。

〇犯人が犯行計画時に流していたレコード曲は、チャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジェリオット』である。エピソード中に利用された部分は、収録CDにもよるが15分20秒辺りからである。

〇金貨問題に関して

問題:金貨の入った袋が数袋あります(袋の数は何個でも可能)。しかし、1袋だけ偽装された金貨が入っており重量が違います。本物=100g 偽造=110gとしたとき、一度だけ秤を使用して、偽造された金貨が入った袋を見つけてください。

貨の入った袋は3つとする。本物は100g、偽物は110g。1つの袋からは金貨を1枚。2つ目の袋からは金貨を2枚。3つ目の袋からは金貨を3枚取り出す。全て秤に載せ測定すると、計6枚の金貨が載っていることになる。610gなら1の袋に偽造金貨が。620gなら2の袋に偽造金貨。630gなら3の袋に偽造金貨が入っている。

まとめ

非常に綺麗な三幕構成で、「序盤:犯人の後悔」「中盤:犯人の飛躍と転落」「終盤:人生の理解者(コロンボ)の登場」と分けることができます。犯人は他者に対し内心見下した態度を取ると同時に、酷く劣等感を感じている人間でした。

コロンボに対しては、自分を逮捕する立場でありながらも良き理解者となっています。それが、最後の第3幕「最後の戦い」に集約されており、コロンボの台詞と犯人の台詞が重なり合うと同時に、レコードプレーヤーから流れるBGMにも拍車がかかります。

犯人は、「君にそんなたわごとを信じさせた奴は救いようのないバカだ!」と語っているように、コロンボのことを心底評価していたのです。それなのに、見下しているシグマ協会員の人間を評価しているように思わせるコロンボのリードが見事なんですね。

犯人が自白を認めてからのコロンボ警部との会話が印象にも残ります。最後の終わり方も、落語のような切れ味の良いオチで後味が良いですね。

以上、40話「殺しの序曲」でした。

  1. はじめまして。スッキリしない点が一つあります。それは通話時間とプレーヤートリックの4分間の事です。終盤のコロンボの言い方がまるで通話時間に合わせて4分間にしたかのように聞こえてしまいます。実際は電話が有ったからこそセットした犯人はオリバーでしかあり得ないとなるはずです。

  2. 原田様
    実習等と重なり返信が遅くて申し訳ございません!
    ≫終盤のコロンボの言い方がまるで通話時間に合わせて4分間にしたかのように聞こえてしまいます。
    通話時間に合わせて狙ったわけではなく、偶然レコードの再生と、電話のタイミングと合致しただけなんですよね。

    ≫実際は電話が有ったからこそセットした犯人はオリバーでしかあり得ないとなるはず
     コロンボ警部がオリバー宅で、奥さんからレコードの説明を受ける場面があります。「つまり犯人がレコードをかけるわきゃないし、あなた(オリバー)もおかけにならなかったとすれば、バーティさんがかけたわけですが」

     ドラマだと簡略化されていますが、ノベライズ版では「レコードはあなたがおかけになったんで?」「いや、私ではない」「するとバーティさんが?」「そうだよ。バーティがかけた。彼しかいない」と、バーティがレコードをかけたと断言する流れになっています。
     
    ・プレーヤーがセットされていた時間は残り4分間のところだった。
    ・オリバーが2階の図書館から1階に降りてきてから、ちょうど4分後に銃声が聞こえた。
    上記2点は電話のおかげで確認できました。

    でも、一緒に図書館にいたバーティがレコードをセットしたとシラを切られてしまいます。途中からセットしていたのも、その部分が好きだったとか適当に誤魔化されちゃいます。

     『犯人はオリバーでしかあり得ないとなるはず』と言いたいところですが、怪しいが確たる証拠にならない、そのため『なぜレコードを途中からかける必要があったのか』という謎からトリックを暴き、自白に転じさせる方法を選択したのだと思います。

    ……ご質問の意図とズレていましたら申し訳ございません。

     

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