刑事コロンボ 45話『策謀の結末』一旦ここで最終話

【VS.詩人】旧コロンボの最終話になります。壮大なスケールで描かれる今エピソードは、殺人事件にプラスして、テロリストの武器輸送も阻止するというものになっています。どうやってコロンボは犯人を逮捕し、そのうえで武器輸送のトリックを見抜くのか?

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データ

データ:詳しく見る
脚本:ハワード・バーク

原案:パット・ロビソン

監督:レオ・ペン

制作:リチャード・アラン・シモンズ

音楽:パトリック・ウィリアムズ

本編時間:97分

公開日:アメリカ/1978年5月13日 日本/1979年1月3日

あらすじ+人物相関図

策謀の結末 人物相関図詩人ジョー・デヴリンは、少年時代にテロリストであった過去を公表し、紛争の救済活動を行う反過激派の平和路線に転身していた。だが裏では、現在も過激派と繋がりがあった。

イギリスで大規模なクーデターを起こすため、オコンネル工業の同志と共に、紛争救済のはずの支援金で武器の大量密輸を計画していたのだ。

武器仲買人のヴィンセント・ポーリーとの交渉が進んでいたが、彼はその金を持ち逃げするつもりだったのだ。この事実を掴んだジョーは、裏切り者であるポーリーを「処刑」と称し射殺した。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

ジョー・デヴリン

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「策謀の結末」より引用】

今回の犯人:ジョー・デヴリンクライヴ・レヴィル

吹き替え声優:納谷悟朗(なや ごろう)

職業:詩人

殺害方法:銃殺(サイレンサー銃)

動機:報復

概要:詳しく見る

詩人の男性。テロリストだった過去があるが、現在『北アイルランド援護協会』理事を務め、紛争の救済活動にあたっている。だが、裏ではいまだ過激派と連携をとっており、援護協会の募金をテロ活動の資金に利用していた。テロ活動のため、武器の大量密輸を仲買人ヴィンセント・ポーリーに依頼するが、銃の購入資金をそのまま持ち逃げしようとしたため、裏切り行為とみなして「処刑」した。

アイルランドの「ベルファースト」の町出身である。14歳の頃にテロリストをしており、ダイナマイトの運び屋をしていた。イギリス王室を爆発させる目的だったようだが逮捕されてしまう。その後、監獄に入れられたが脱走。アメリカに移り住むことになる。

脱獄を考えさせてくれたのは、独房の壁に書かれていた言葉。「すべてに正義を。自由に正義を」「人にはふさわしき贈り物を。我が望みはただそれのみ」である。この言葉は、アイルランドのテロリストである『マイクル・ドーラン』が掘り残したもので、後に絞首刑となったようだ。ジョーは深く感銘を受けたようで、現在に至るまでもその言葉を崇拝している。

アメリカで暮らした当初は生活に困窮していたようで、「生きるために何でもやった。多少悪いこともね」とのこと。大切なのは機転と逃げ足、寒さに強いことと語っている。逮捕歴があり、テロリストであった過去は公表しており、現在はイギリス製のセーターを愛用しているほどである。

楽器演奏の腕があり、マンダリンを使用して歌を歌ったり。ピアノでは「ラグ・タイム」を得意としている。話術も上手く、自身の過去をスタンダップ・ジョーク風に茶化して披露して見せた。本業は詩人であるが、エンターテイナーと言える。

ラグタイム:1897年~1918年のジャズが主流になる前に流行ったジャンル。アップテンポな曲調で、ノリが良いメロディーと、固定的な左手のリズムが心地良い。

詩人として出版するきっかけになったエピソードは、キャロル・ヘミングウェイのラジオ番組でこう語っている。「barで飲んでいたら出版社の人と激論して、社長の鼻をぶん殴ってから…」とのこと。詩集だけではなく最近では「Meet the Authon」という、自伝を出版した。ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスのチャンドラー書店でサイン会を開いてきた。

かなりの酒好きで、行く先々の店にマイボトルが存在する。店員からも顔を覚えられている一方で、自身も店員の名前を憶えている。酒の銘柄は『アイリッシュ・デュー』を、男の飲み物と称して愛飲している。ビールは水とも称した。

飲みすぎないように「ここまで。ここを過ぎず」と、ダイヤの指輪でボトルに表面に擦り傷をつけて、飲む量を決めてからグラスに注ぐことが習慣になっている。残念ながらデブリンが好んでいるアイリッシュ・デューは架空の酒である。

仲買人ヴィンセントを殺害した際には、遺体に添えるようにアイリッシュ・デューのボトルを転がした。ラベルに書いてある言葉は、『人にはふさわしき贈り物を』である。お前には死がふさわしい……。そんな皮肉なジョークを込めたのだ。

もし武器が購入できたならば、イギリスのサザンプトンに運ばれた。「m11」という連射性能のある銃を使い、近距離から奇襲をかけて逃げる作戦だったようだ。なお、運ぶ予定は15日であった。


ヴィンセント・ポーリー

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「策謀の結末」より引用】

今回の被害者:ヴィンセント・ポーリーアルバート・ポールセン

吹き替え声優:灰地順(はいち じゅん)

職業:武器仲買人

概要:詳しく見る
武器仲買人の男性。酒や雑談は苦手と語っており取引は常に本題から入っていた。だが、酒は糖尿病で飲めなかったのであり、糖尿の規定値を超えると鳴るアラーム付のブレスレットを装着していた。今回ジョー・デヴリンは、過激派の仲間から彼を紹介してもらったようだ。

ジョーの作戦である近距離から奇襲をかけると聞いて選んできた銃は、「m11」「m10」「拳銃」などである。m10の方が強力であるが、持ち運びなどの面からm11をおススメしていた。合計500丁で1丁=300ドルで販売を予定していた。(1978年5月1ドル=226円 300ドル=67800円)

15日までの納期に、販売相手を急がせることができないと嘘を言い、30日納期になるとした。15日までに納期したいのならと、さらに5万ドルを上乗せすれば口利きをするという。合計20万ドルの金銭を要求した。(20万ドル=4520万円)

ホテルでの取引時、20万ドルを手に入れたならば高跳びして逃亡する予定であったが、ジョーに見抜かれてしまい、裏切者は「処刑」されてしまった。だが、前の実績はあったとジョーは語っており、今回ばかりは魔がさしてしまったようである。

ちなみに、殺害される前までの行動は、金ボタン付きの洒落たブレザーを着て、昼食は素晴らしいインドカレーを食べて、その後航空会社に訪れリスボン行のチケットを予約。取引から2時間30分後には逃亡する計画であったようだ。

犯行計画/トリック

【ジョー・デヴリンの犯行】

①ホテルでヴィンセント・ポーリーを射殺する。彼が所有する書類を全て回収した。

②武器をどうやって見つからずに船へ積み込み、密輸するのか?

以上、2項目が今回の計画になります。非常にシンプルであります。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!
○被害者のコートのポケットに、ジョー・デヴリンが書いた本が入っていた。その本の見返しに被害者の自筆で、「我らのみ(Ourselves Alone)」と書かれており、被せる形でデヴリンはサインを書き込んでいた。ジョーは少年時代、アイルランド過激派のテロリストであったことを公表している。アイルランド過激派の合言葉は、「我らのみ」である。それなのに、サインを書いた相手のことを知らないと話した。

○被害者の遺体のそばに、『アイリッシュ・デュー』のボトルがあった。机の下のには染みができていて、元々は机の上にボトルはあったようだ。

○被害者の持ち物に書類がなかった。また、金やクレジットカードは盗られていなかったことから、犯人は物盗りではない。銃器が入った専用鞄を持っており、銃の取引を行っていたようだ。

○被害者は糖尿病のため酒は飲まなかった。それなのに、ホテルには置いてなかった「アイリッシュ・デュー」をわざわざ酒屋に買わせに行かせた。ジョーの行きつけのbarでは、彼のマイボトルである「アイリッシュ・デュー」が出てきた。

○被害者が残したメモは「LAP213」は、埠頭(ふとう:船が出入りする場所)の住所(Los Angeles Pier 213)であり、ジョーはそこで船長と会話していた。そこからでる船の積荷はイギリスのベルファストへ運ばれる。

○ジョーの自由解放のルーツは、マイクル・ドーランという死刑囚がのこした「正義の詩」であった。彼はアイルランドのテロリストであり、ジョーは少年の頃はアイルランドでダイナマイトの運び屋であった。

三幕構成

小ネタ・補足

〇ラジオ番組のメイン・パーソナリティー「キャロル・ヘミングウェイ」はご本人である。

〇NHKで再放送する時、「石田太郎」氏の吹き替え版で放送されていた。これは、旧シリーズ45作品でコロンボ警部の吹き替え声優を勤めた『小池朝雄』氏の音源が長年行方不明となっていたことから。その後、家庭用ビデオでの録画テープが視聴者から寄せられ、NHKでは放送可能な音質と判断。配給元ユニバーサルなどの了解を得て小池版を復刻、2010年に放送した経緯がある。(※一部石田太郎氏の吹き替えあり)

まとめ

実に大規模な犯罪がひしめいているエピソードなんですね。個人的な動機を通り越してテロ活動に加担していた犯人が登場しました。犯行計画とは実にシンプルなものでして、シンプルが故にわずかな証拠から犯人を導き出していく展開は魅力的です。

犯人は詩人でありテロリストという、陽気な一面と残忍な一面を兼ね備えた人物です。コロンボ警部とは、ピンボールやダーツ、ベッドで横になりながら連想。コロンボと酒の酌み交わして即興ジョークと仲良くやっているように見えますが、お互い内心は食ってかかって圧を感じました。

印象に残っているシーンが、コロンボ警部の車を空撮で撮影されているシーンです。コロンボ警部は船を追いかけようと車を走らせるんですが、その船には銃器を隠して大量に密輸しているかも知れないと思って必死に追いかけるんですね。そこに、ケルト音楽のようなBGMが重なり実に見事な緊迫感を与えてくれます。

以上、45話「策謀の結末」でした。