刑事コロンボ 50話『殺意のキャンパス』殺人と悪夢

新・刑事コロンボ 50話 殺意のキャンパス
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【VS.画家】3人もの女性に囲まれて暮らす、高名な画家マックス・バーシー二。前妻が別れを告げるといい家を出ていくという、それを必死に止めたいマックス。それは、妻がおぼろげながらも過去の秘密を握っていたからだったのです。

前妻が残した、悪夢の内容を吹き込んだテープ。海で溺死したように偽装された殺人事件。どうにも悪夢の内容が殺人に関わりがあるようで、2つの謎にコロンボ警部が挑みます。

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データ

脚本:ロバート・シャーマン
監督:ジェームス・フローリー
制作:スタンリー・カリス
制作総指揮:リチャード・アラン・シモンズ
製作総指揮スーパーバイザー:ウィリアム・リンク
共同制作総指揮:ピーター・フォーク
ストーリー監修:ジャクスン・ギリス
音楽:パトリック・ウィリアムズ

本編時間:92分
公開日:アメリカ/1989年11月25日 日本/1994年11月4日

あらすじ

画家マックス・バーシー二は、3人の女性と共同生活していた。ある晩、前妻ルイーズが、かかりつけ医と結婚するため家を出ていくと話す。マックスはそれを許すことはできなかった。彼女がおぼろげながらも自身の過去の秘密を握っていたからだった。何かの拍子に思いだし、秘密を打ち明けてしまうかもしれない。そうなってしまう前に殺害を決意する。

マックスは、売れない貧乏画家時代にお世話になっていたバーで、お礼に店の風景画を描くという。そして描いている最中は、誰も2階にある部屋に入れないように促した。キャンパスを広げると、前もって描いた店の風景画がそこにはあった。

バーの2階から抜け出すと、ルイーズがいつも泳ぎにくる海辺に向かう。タオルに絵の具クリーナーを染み込ませると、それで彼女の口を押えつけ気絶させ海で溺死させた。再びバーに戻ると、犯行時刻は風景画を描いていたというアリバイを主張したのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:マックス・バーシー二
役者:パトリック・ボーショー

吹き替え声優:森山周一郎

概要:世界的にも名の知れた画家の男性。過去にとある秘密を隠しており、前妻ルイーズは、それをおぼろげながらも記憶している。前妻から別れを告げられたことにより、何かの拍子に秘密を交際相手に話してしまうことを恐れ、殺害を決意した。

現在は海辺の家にアトリエを構え、前妻ルイーズ、現妻ヴァネッサ、デッサンモデルのジュニーとの4人で暮らしている。それぞれに役割があり、①心優しい母親(ルイーズ)②官能的な伴侶(ジュニー)③人生のマネージャー(ヴァネッサ)である。これらを兼ね備えた女性はおらず、女性は3人必要であると語った。

ヴァネッサも元々、デッサンモデルであったが、ビジネス面の上手さから現妻になった。ジュニーは新しく来たデッサンモデルであり、肉体関係にもある。ヴァネッサによると数か月もすればモデルに飽きてしまい、新しい女性を連れてくるようだ。

ルイーズに関しては、数ヵ月間姿を消していたのに気にも留めていなかったかと思えば、殺害後にはルイーズの大切さを知り思いを馳せるなど、口封じの為とはいえ、必要不可欠であった存在。そんな彼女への複雑な心境を見せた。画家としての繊細な心の一面なのであろうか?

彼の絵の特徴としては独特の「赤色」である、通称「バーシー二・レッド」とも称される色だ。特別な材料を使い、自分で調合して作る様子。裸体画には決して使わないこだわりがある。また、制作過程では強いタッチを多用している。イーゼルの下に絵の具だまりが出来るほど、絵の具を飛び散らせ描いている。人物画を描く際には繊細なタッチと使い分けている。絵は完全に仕上がるまでは誰にも見せない主義らしい。

美しい女性の自然の姿としての考えは、鼻はある程度、平均的な形を持ち、両目の間の寸法も平均的。鼻の先から顎のくぼみまでの距離もまた、平均的に完璧であること。もし、それぞれのパートが、どの角度から見ても絶妙に平均であれば美女と呼んでいるとのこと。

今でこそ高名な画家だが、昔はまったく無名の貧乏画家である。「ヴィトのバー」の主人であるヴィトに手を尽くしてもらい、酒場の2階でルイーズと共に生活させてもらっていた。最初に絵の取引をした相手は、フランス訛りでキザったらしく、モノクルを付けた「ハリー・チャドナウ」という画商であった。

著書としては、今エピソード内で「バーシー二の裸体画」という画集が出版されていたことが伺える。コロンボ警部も画集を読んでおり、絵の解説なども載っている様子。好きな食べ物はパン。嫌いな食べ物はブルーベリーとのこと。


今回の被害者:ルイーズ
役者:フィオヌラ・フラナガン

吹き替え声優:沢田敏子

概要:画家マックス・バーシーニが、売れない貧乏時代から献身的に支えてきた女性。現在は離婚して前妻という立場ではあるが、マックスと同棲して料理をするなどし暮らしている。ヴァネッサとジュニーはお互いを嫌悪しているが、2人はルイーズのことが好きである。

ヴァネッサからは、「落ち着いた女性。全部胸に収めて口に出さないタイプだった
ジュニーからは、「親切だし、賢いし、理想の母親
と称された。仲介役として上手く取りまとめる能力に長けており、マックスではなく彼女がいたからこそ、女性たちは成り立っていたのだ。

ただ、その性格からマックスに従順に仕えてきた面もある。このことは、「自分の意思をもたずに自分の弱さが恥だった」と語っている。心理学者シドニー・ハマーには患者として通っていた時期があり、その目的も「(マックスに)対抗する力」を身に着けるためであった。その努力もあり呪縛が解けたと、マックスを前にしても手が震えなくなったようだ。

そんな、シドニーと再会したのが2~3ヶ月前である。今回は職務上の関係がなくなった後であり、お互いが好意をもっていた。数日以内に婚約を結ぶ予定であった。シドニーによると、診察に来た際の相談は「悪夢」に関してだった。彼はレコーダーをベッド脇に置き、悪夢を見たら吹き込むように促した。以下が悪夢の内容である。

悪夢① 「午前2時15分。誰かのノックではじまる。ヴィトは自宅に帰っている。マックスは自宅にいるが2階で作業をしている。扉を開けるとフランス語でしゃべる男が入ってくる。初めてみたのだが一目で私の叔父だとわかった。叔父はひどく興奮して怒鳴りつけてきた、恐ろしくなったが、マックスが2階から笑顔で降りてくるのを見て安心した。しかし、マックスは手に斧のような肉切り包丁を持っており、何度も叔父を切りつけた。返り血で自分のナイトガウンが血で染まるのを見ると、悲鳴をあげて目を覚ました」

悪夢② 「ノックではじまる。それはマックスであり、キーを無くして怒っておりひどく空腹だった。マックスは冷蔵庫の中から肉を取り出すが、食べたくないとシンクに肉を投げ捨てた。再び冷蔵庫を開けると、ストロベリーとブルーベリーを取り出し食べた。シンクに投げた肉を見てみると、それは人間の手で動いていた」

悪夢③ 「ドアをノックしているのは私だった。中に入り、2階に上がる。するとマックスがテーブルにつき懐中時計をティーカップにかざしている。「仕事にまずいところがあるんだよ」と、バーシーニはいう。そして、時計をカップの中に落とした。しかし、カップの中は空だった。私は取り乱したが、時計がどうなったのか彼は知っているようで、自分に説明してくれるという。階段へのドアを開けると、地下室の階段に通じていた。地下では誰かが穴を掘っていて、その中に死体が埋められていた。マックスが遺体を仰向けにすると、時計はその片目にはめられていた。悲鳴を上げる自分をよそに、マックスはつるはしを手にして死体に振り下ろした。悲鳴をあげて割れたレンズを見て、さらに叫んだ」

毎日海辺でだいだいの時間を過ごしており、ライフセーバーの資格に合格するほど泳ぎも達者である。また、コンタクトレンズを装着している。

まとめ

ある程度予測ができてしまうストーリー展開となっております。コロンボ警部の気づきの部分も、分かりやすくなっており、トリックを楽しむ過程よりもストーリーを楽しむエピソードです。マックスを取り巻く女性の心境の変化。インパクトのある悪夢など、犯人との対決よりはそちらに方がメインになっているように思えます。

以上、「殺意のキャンパス」でした。

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