【VS.舞台俳優の夫婦】初の海外撮影!舞台はイギリスのロンドンです。コロンボ警部はロンドン市警の視察ということでイギリスに訪れることになりました。コロンボ警部のカメラ片手にはしゃぐ姿はとってもチャーミングです。
さて、犯人は夫婦の舞台俳優です。名誉ある『マクベス』の主演を務めることになったのですが、それにはちょっとしたワケがあり……。 真相に気づいた大物プロデューサーともみ合いになり、その最中に過失致死で殺害してしまうのです。
4話『指輪の爪あと』69話『殺意のナイトクラブ』そして、『ロンドンの傘』という数少ない過失致死から進むエピソード。コロンボと犯人が”証拠物品”をめぐり、壮大な争奪戦が開幕です。
データ
あらすじ
落ち目の俳優夫婦ニコラス・フレイムとリリアン・スタンホープは、名誉あるロイヤル・コート・シアターで公演する『マクベス』のリハーサルを行っていた。大物演劇プロデューサーであるサー・ロジャー・ハビシャムを、リリアンは色仕掛けで口説き落とし、彼をスポンサーに上演することができたのだ。
しかし、公演前夜にロジャーが楽屋に怒鳴り込んできた。2人が共謀して、自分を利用していたことを知り、舞台の中止を宣言したのだ。ニコラスは楽屋から出ていく彼を止めようと揉み合いになると、リリアンが思わず投げた化粧クリームの瓶が、ロジャーの後頭部に当たり殺してしまった。
ここで事件が発覚してしまえば、明日のマクベスは公演中止となってしまう。せっかく掴んだチャンスをここで手放してしまうわけにはいかない。ロジャーの遺体を彼の屋敷まで車で運びだすと、階段からの転落死に偽装したのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ニコラス・フレイム(リチャード・ベイスハート)
吹き替え声優:高橋昌也(たかはし まさや)
追加吹き替え声優:稲葉実(いなば みのる)
職業:舞台俳優
殺害方法:絞殺(ロープ:執事タナー)
動機:殺人の罪を擦り付けるため
今回の犯人:リリアン・スタンホープ(オナー・ブラックマン)
吹き替え声優:岸田今日子(きしだ きょうこ)
追加吹き替え声優:滝沢久美子(たきざわ くみこ)
職業:舞台俳優
殺害方法:撲殺(化粧瓶:サー・ロジャー・ハビシャム)
動機:過失致死
今回の被害者:サー・ロジャー・ハビシャム(ジョン・ウィリアムズ)
吹き替え声優:辻本真人(つじむら まひと)
職業:演劇プロデューサー
今回の被害者:タナー(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)
吹き替え声優:松村彦次郎(まつむら ひこじろう)
職業:執事
小ネタ・補足
〇マクベスを上演する『ロイヤル・コート・シアター』は、イギリスのロンドンにある劇場である。1888年に開業した由緒ある歴史があり、演劇のメッカとされている。
〇コロンボ役のピーター・フォークが気に入らないエピソードの1つとのこと。テレビのインタビューで嫌悪感を語ったようである。
「コロンボがイギリスに出張するなどいかにもテレビ局の考えそうなことだ」
「テレビ局は日本でも撮影したがっていた。わたしには到底理解できない」
『レインコートの中のすべて』P.142より引用
〇ノベライズ版刑事コロンボ『消える女(だまされたコロンボ)』の、P.52~に、犯人夫妻がその後どうなったのかが記載されている。ロンドンの傘から15年後、コロンボはダーク部長と再会する。夫婦は3年前に出所し、リリアンだけは小さな劇団をつくり演劇を続けているとのことであった。
〇犯人ニコラス・フレイムが逮捕を確信した瞬間。精神錯乱して喋り出したセリフは、『マクベス:第5幕第5場』で、マクベスが妻の死を知る山場ともいえるシーンである。マクベスは夫婦の愛がテーマであり、同様にこの夫婦も最後までお互いを裏切らなかった。最後まで言い終えると、再び冒頭に戻り台詞をくり返した。ちなみに、台詞は後3行程残されている。
「明日が来、あすが去り、そしてまたあすが、こうして一日一日と小きざみに、時の階(きざはし)を滑り落ちて行く、この世の終わりに辿り着くまで。いつも、きのうという日が、愚か者の塵にまみれて死ぬ道筋を照らしてきたのだ。
消えろ、消えろ、つかの間の燈し火! 人の生涯は動き回る陰にすぎぬ。あわれな役者だ、ほんの自分の出番のときだけ、舞台の上で、みえを切ったり、喚いたり、そしてとどのつまりは消えてなくなる」新潮文庫『マクベス』P.125より引用
まとめ
刑事コロンボの初海外ロケなんですね。イギリスを象徴するビッグベンで、コロンボ警部とダーク刑事部長が会話するシーンがあるんですが、コロンボはビッグベンと自分の腕時計を見ながら、「古いのに1分しか遅れてない。たいしたもんだ」と呟くシーンがあるのです。
最初は何とも思わなかったのですが、後半のエピソードを見ていると、まぁーコロンボの時計が狂ったり遅れていること。実際にはビッグベンの時刻が正確で、この時もコロンボ警部の時計が狂っていたのではないかと今にして考えてしまいます。
でも、同行しているダークさんは何にも言わなかったからコロンボ警部の方が正しいのかも知れません。コロンボ警部の顔を立てたのでしょうか?
ミステリーとしては、転落死を疑うきっかけが丁寧に描かれております。コロンボが疑いを掛ける手数も多いです。それにしても、わざわざ被害者の屋敷での転落死に偽装するのではなく、川とかにでも遺体を遺棄すれば逮捕されなかったのかも知れませんね。
以上、刑事コロンボ13話「ロンドンの傘」でした。
はじめまして!楽しくブログを見させてもらってます。
小説版だと、リリアンのその後がわかるんですね。あと、ニコラスの最後のセリフがよく聞こえなかったんですが、マクベスのセリフだったんですね!画像の「ここまで、ここを過ぎず」は笑いましたwww
警部さん≫
コメントありがとうございます。ブログの閲覧ありがとうございました!
小説版は原作には描かれなかった部分や、犯人の心理描写が見ることができて一味違った面白さがあります。「ここまで、ここを過ぎず」は大好きなセリフです(笑)
劇が大反響だったのは過失とは言え「マクベス」と同じくサー・ロジャーを謀殺したことから、
犯人夫婦の演技にリアリティーというか迫真なものが生まれたからと解釈してます。
古畑任三郎の「殺した後にお茶漬けを食べる気持ちを知りたい」に近いものがあったのでしょう。
>>劇が大反響
>>犯人夫婦の演技にリアリティーというか迫真なものが生まれた
役になりきることができたため演技に魅力が増したんですね。
>>古畑任三郎の「殺した後にお茶漬けを食べる気持ちを知りたい」に近いもの
なるほど!