刑事コロンボ 26話『自縛の紐』理詰めの決め手

スポンサーリンク

【VS.健康クラブオーナー】コロンボ警部を怒らせた犯人の登場です。コロンボ警部を怒らせたエピソードと言えば、早く解決をしなければ被害者が増えてしまう『溶ける糸』がありました。この犯人もまた、夫人が精神的に追い詰められ死にそうになる。

「他者の命がかかっているから」からこそ、再び激怒する場面が印象に残ります。犯人と刑事の1対1の対決が感じられるエピソードでもあります。

スポンサーリンク

データ

データ:詳しく見る
脚本:ピーター・S・フィッシャー

原案:ラリー・コーエン

監督:バーナード・コワルスキー

制作:エドワード・K・ドッズ

制作総指揮:ローランド・キビ―&ディーン・ハーグローヴ

音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:98分

公開日:アメリカ/1974年9月15日 日本/1975年12月27日

あらすじ+人物相関図

自縛の紐 人物相関図

健康クラブのオーナーのマイロ・ジェナスは、詐欺師バディ・キャッスルを部下に詐欺まがいの方法で多額の利益を上げていた。密かにスポーツ用具やサプリメントを製造する会社も経営しており、傘下の健康クラブに不当な高値で買い取らせていたのだ。

クラブの支店長で元国防相監査役ジーン・スタッフォードは、違法な金の動きに気づき不正の証拠を掴むと、詐欺にあった人々を集めて大々的にマイロを告訴するという。発覚を恐れたマイロはジーンを鉄パイプで絞殺する。遺体をトレーニングウェアに着替えさせて首にバーベルを落とした。

自宅での映画鑑賞会では、電話の録音機を使いジーンが生きているように見せかけて、犯行時刻は自宅にいたというアリバイを作った。翌日遺体が発見されると、ジーンはトレーニング中に誤ってバーベルを首に落として事故死として捜査が開始された。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

マイロ・ジャナス

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「自縛の紐」より引用】

今回の犯人:マイロ・ジャナスロバート・コンラッド

吹き替え声優:日下武史(くさか たかし)

職業:健康クラブオーナー

殺害方法:窒息死(鉄の棒で首を絞める)

動機:不正を知られたため

概要:詳しく見る
『マイロ・ジャナス健康クラブ』の創業者である男性。詐欺師のバディ・キャッスルを部下に、詐欺まがいな手段で多額の利益を出していたが、健康クラブ支店長で国防省監査役であったジーン・スタッフォードに見抜かれる。告発する準備を進めていたため、運動中に起きた事故を装って殺害した。

ロサンゼルスを拠点に、各地へ健康クラブのチェーン店を展開している。スポーツ用品店やサプリメント会社も経営しており、実態はチェーン店に自社の製品を不当な高値(通常の6倍など)で買い取らせて莫大な利益を得ていた。

「MJ:サプリメント製造」「グリーン・イーグル:運動具製造」「センチュリー事務用品」「ポーリン・ブルック旅行者:収益金を海外へ運び出すトンネル会社」と、分かる範囲で4つの会社を経営している。

あと8ヶ月したら、イタリアに国外逃亡するつもりだったようだ。アドリア海の別荘で、200万スイスフランを抱いて寝る構想をたてていた。(1スイスフラン=99円 200万スイスフラン=1憶9800万円)

53歳という年齢であるが日々の鍛練は怠らない。華麗なる肉体美で、バーベル上げの限界は240ポンド=108㎏だと語る。煙草とコーヒーは寿命を縮めると豪語しているが、ワインを少しは嗜むようだ。

日々のトレーニングは朝から始まる。海での水泳20分間→腕立て伏せ10回→浜辺から自宅まで走り込み→自宅プールで汗を飛ばし→パンチングマシン→なわとび30回→シャドーボクシング→朝食が一連の流れである。

朝食はサプリメント3粒と無添加ニンジンジュースである。ニンジンジュースに関してはオフィスの冷蔵庫にも常備しており、いつでも飲めるようにしていた。

著書として『若さと健康を保つ方法』を出版しており、単なる詐欺師とは違いしっかりとした理論をもっている。CMでの宣伝も行っており、『30日若返り法』というクラブのコースが存在し、コロンボ警部も会話作りのために参加していた。

元レスリング選手だったのか? オフィスにはレスリングのトロフィーが飾られている。ジーン・スタッフォードを殺害しようとするときに、間を詰めるために繰り出す鮮やかなタックルは必見である。


ジーン・スタッフォード

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「自縛の紐」より引用】

今回の被害者:ジーン・スタッフォード(フィリップ・ブランズ)

吹き替え声優:雨森雅司(あめのもり まさし)

職業:健康クラブ支店長

概要:詳しく見る
チャットワース健康クラブの支店長をしている男性。18年間国防省の監査役を勤めた経験がり、その目は節穴ではなく、マイロ・ジャナスが行っている不正について見抜く。詐欺まがいの行為に引っかかった人々を集め、大々的にマイロを告発する準備を進めていた。

自身で不正調査を進め、トライコン工業の監査役時代の知り合い、会社法専門ルイス・レイシーにも協力依頼をしていた。ルイスには良く面倒を掛けていたようで、会社をクビになった彼に仕事を回してあげるなど面倒見が良い性格であった。

会社法専門であるルイスは、不審な金銭の動きを突き詰めるも、マイロの会社は合法スレスレの経営で詐欺としては立証できなかった。不透明な金の動きをしている、トンネル会社を探し出すことで詐欺として立証できると嘆く。

だがジーンは、イギリスにある『ポーリンブルック旅行社』がトンネル会社であることを突きとめたのだった。彼に言わせると、「見つけたのはほんの偶然だが臭いでわかる」と語った。

健康クラブの店長ではあるものの、自身はそれほど健康には気を遣っていないようだ。コーヒーをがぶ飲みして中華料理を爆食いしていた。出前で頼んだ中華料理は、「かに玉、春巻き、豚の唐揚げ、五目チャーハン」と食べ、マイロの不正を発見したことで、健康よりも不正を暴くエネルギー確保に移ったのかも知れない。

一応クラブのロッカーには、自身のスポーツウェアと靴を入れていた。クラブの指導員によると、床が汚れないように靴は必ず専用の物に履き替えているらしい。

息子ロビーを無事に大学まで出してから、妻ルースと9月から別居している。そんな折、マイロ・ジャナスとは2~3ヶ月前に知り合い、スポーツクラブ支店長して働くようになったようだ。バーベル上げの限界は160ポンド= 約72㎏とのこと。

犯行計画/トリック

【トレーニング中の事故死に偽装】

①秘書ジェシカ・コンロイや部下バディ・キャッスルを、今晩開かれる自宅での映画鑑賞会に誘う。オフィスでは、ジーン・スタッフォードとジェシカとの電話のやり取りを録音したテープを切り取り、自宅の再生機に繋ぎ合わせてジーンの声を再生できるようにしておく。

②マイロ・ジャナスは、健康クラブにマスターキーで侵入すると、ジーンを揉み合いの末、鉄の棒を使い首を絞めて窒息死させた。遺体をスポーツウェアに着替えさせて、首の上にバーベルを乗せる。

③マイロは帰宅すると、仲間たちと映画鑑賞会を始める。マイロは書斎の子機から、リビングにある電話に連絡をかける。リビングの電話には秘書が応答した。再生機でジーンの声を呼び出すと、秘書はマイロに電話を代わった。

④マイロは電話で嘘のやりとりをして、ジーンが仕事の後にトレーニングするようだとでっちあげ、この時間は彼が生きていたように見せかけた。次の日の朝、クラブ職員が遺体を発見する。トレーニング中、バーベルを首の上に落とした事故死という筋書きを完成させた。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!
○トレーニング室の床にこげ茶色の靴の跡があり、被害者だけがこげ茶色の靴を履いていた。その靴の跡は、走っている最中に急に立ちどまるか、揉み合うとか取っ組みあうかしないとつかない跡であった。

○被害者は出前の中華料理を食べていた。トレーニング直前に腹一杯食べるのは変である。

○マイロの自宅に初めて秘書ジェシカ・コンロイは行った。そこに被害者からの電話がかかってきたが、いつもと変わらない調子であった。被害者はなぜ、初めているはずのジェシカが電話で応答したのに驚かなかったのか。

○被害者が持ち上げたとされるバーベルは240ポンド。だが、彼は160ポンドまであげられない。マイロは250ポンドまであげられる。

○被害者のロッカーにあった革靴の紐が結んだままだった。なぜ結んだまま脱いだのか。

○コロンボ警部がマイロの自宅に訪れた時、電話のランプが切れていた。だが、事件当日はランプはついていたとジェシカは証言する。

○マイロのオフィスには電話の録音機があり、電話の内容を再生することが出来る。調べてみると、不自然にテープが切った跡が見つかった。

○マイロは、事件当日にパサデナに行ったが店は閉まっていたという。しかし店は閉まっていなかった。

三幕構成

自縛の紐 三幕構成

まとめ

やや地味な印象が残る最後の決め手なんですね。いつものような派手な決め手やら、逆トリックがなく、静かに終わるのが印象的です。細かい矛盾点から、徐々にほころびが生まれる。犯人が行ったアリバイ工作で、自らの首を絞めることになってしまうのです。

倫理的な落とし方で、犯人の会話の矛盾がオチになっているんですね。犯人しか知りえない情報を口に出していたのです。非常に言語的な決め手になるので、最初に観ただけでは、なぜ犯人が逮捕を認めたのかが理解に苦しむ方が多いエピソードでもあります。

推理面では絵面が地味な印象ですが、演出的には面白い場面が多いエピソードです。コロンボ警部が犯人の運動に付き合ったり、砂浜を走った後に、コロンボがバレないように靴の中の砂を背中越しに庭に撒いたりと。コロンボ警部が激怒する場面も見どころになっています。

自縛の紐……、犯人は自らを紐で縛ってしまったんですね。

以上、26話「自縛の紐」でした。