刑事コロンボ 第37話「さらば提督」視聴者への挑戦状

【VS.???】視聴者へのミスリードを誘う、倒叙から本格ミステリーになっています。完璧に犯人が伏せられている今回は、通常の倒叙形式と離れております。そのため、コロンボファンの方のなかには不満があるという人も多い、賛否両論のあるエピソードになってます。

ちなみに、今エピソードの脚本家ジャクソン・ギリスは、55話「マリブビーチ殺人事件」の脚本も手がけました。そちらもミステリー形式になっており、今回の舞台となった屋敷が使われております。スタッフの遊び心を感じます。

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ココが見どころ‼

クレイマーとセオドア・アルビンスキー(通称マック)

〇第29話「歌声の消えた海」の犯人、ロバート・ヴォーンが犯人として登場!?

〇コロンボ。お馴染みのクレイマー刑事。新米刑事マックの3人体制で送る解決劇。

〇ヨットの名称に詳しくなるエピソード。

〇倒叙という決まりきったパターンを崩した超本格ミステリー!

データ

データ:詳しく見る
脚本:ジャクスン・ギリス

監督:パトリック・マクグーハン

制作:エヴァレット・チェンバース

ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル

音楽:バーナード・セイガル

本編時間:96分

公開日:アメリカ/1976年5月2日 日本/1977年10月8日

あらすじ+人物相関図

造船会社オーナーであるオーティス・スワンソンは、”提督”と呼ばれるほどの大の船好きであった。しかし、娘婿でありチャーリー・クレイが社長になってからは、多角経営を推進している。たしかに売り上げは伸びたものの、客層は地位の象徴の為に船を買うために、船好きなどはいなかった。

創立記念パーティーの日、オーティスの不満が爆発する。オーティスの一族は金儲けのことしか考えておらず彼の不信感が耐え切れなかったのだ。チャーリーは、提督がこのまま会社を身売りするのではないかと考える。このままでは社長という地位がなくなってしまう。

その晩、チャーリーは提督の自宅で彼を撲殺したロープ止めの指紋を拭き取っていた。届け物をしにきた造船所所長ウェイン・テイラーがやって来る。チャーリーは提督が生きているように嘘のやり取りを演じると、一緒に屋敷を後にした。

提督の自宅を出るには警備員がいるゲートを通らなければならない、そこで時刻を聞きアリバイを作った。その後、潜水具に着替えると再び提督の自宅に向かう。提督の恰好をして船を操縦することで、沿岸警備隊に目撃させ、その時間は生きているように見せかけた。遺体を海に投げ込むと再び泳いで戻る。翌朝、無人の提督の船が見つかり、事件は行方不明として捜査が開始されるのだが……

人物紹介

今回の被害者:チャーリー・クレイマーロバート・ヴォーン

吹き替え声優:西沢利明(にしざわ としあき)

職業:造船所社長

概要:詳しく見る
概要:造船所オーナーのオーティス・スワンソンの娘ジョアンナ・クレイと婚約したことで、造船所の社長になった男。経営の腕はたしかであり、今年になってから多角経営にも乗り出し、会社の売り上げを倍にしたようだ。今エピソードの日は創立記念日で、マスコミやお得意様を呼んでパーティーを開いていた。

密着してくるコロンボ

タバコは体に悪いと喫煙はしないそうである。喫煙者(今回は禁煙中だったものの)であるコロンボがやたらと密着してくることが多く、嫌そうな顔をしていることが多くみられている。


今回の被害者:オーティス・スワンソン(ジョン・デナー)

吹き替え声優:小林修(こばやし おさむ)

職業:造船所オーナー

概要:詳しく見る
概要:帆船関係じゃ”提督”と呼ばれるほどの海好きの男。昔は船好きが帆船を買っていたが、今は地位の象徴として買われていることに嫌気がさしている。また、チャーリーが利益のために多角経営をして帆船を売り出していることにも不満がある。

本来ならば創立記念日は社員のためにパーティーを開いていた。しかし、本人は元々パーティーは嫌いなようである。怒ってばかりの姿が映されているが、社員思いの優しい社長だったようだ。帆船のことならばプロフェッショナルであり、「エリザベス2世号」などの超重量級の船も1人で動かせる。船の設計も行える。

また、イライラとした時には2~3時間ほど海に出れば、気持ちが落ち着くそうだ。愛船は単独で世界1周することも可能な出来栄えである。泳ぎも得意であり、船から落ちたら泳いで戻ってくるだろうと皆が語る。

5年前は、結婚記念にと娘夫婦に豪華な帆船を送っている。今の親子関係は険悪であるが、5年前は関係は良好だったようだ。娘のジョアンナは父に、懐中時計を叔父が使っていた金のケースにはめ込んでおく送っていたようだ。金のチェーンでいつも肌身離さずもっていた。

犯行計画

オーティス・スワンソン(提督)殺し

①オーティス・スワンソンが、離島にある自宅で殺害。チャーリー・クレイは現場を綺麗にする。

②修理用品を頼まれたウェイン・テイラーがやって提督の自宅へ来る。チャーリーは玄関で彼の対応をする。中には提督が生きているような嘘のやりとりを行った。

③2人は提督の自宅前で別れる。チャーリーはゲートにいる警備員に時刻を確認させる。12:46のアリバイを作った。

④ヨットクラブに到着したチャーリーは潜水具に着替える。海を潜り提督の自宅に向かう。

⑤提督の帆船に遺体を移動させる。チャーリーは提督の衣装に着替え帆船を操縦。沿岸警備隊から遠目から確認された。01:23の記録が残る。この時間、提督が生きていることになる。

⑥遺体を海に投げ入れ、潜水具で再び海を潜り戻った。

⑦後日、帆船だけが海に漂い、提督が乗っていない。捜査していくと、ミズン・ブームに血痕があった。そしてセルフ・ステアリングのナットが固定されていなかった。

→提督は帆船を自動操縦にするためウィンド・ベーンを取り付けよう、セルフ・ステアリングのナットを外そうとした。その時、ジャイブしたミズン・ブームに頭部が当たり、海に放り出された事故死という筋書きが完成した。

ミズン・ブーム:風向きを捉える背丈ほどのシート。船首近くのメインマスト脇についている。風の影響を受けやすい設計になっており、風の影響で動くことを”ジャイブ”という

セルフ・ステアリング:風向きを捉える部位。

ウィンド・ベーン:自動操舵装置。セルフ・ステアリングに取り付けることで風向きを自操的に反応して帆船が進んでくれるようになる。

コロンボの疑問点

ネタバレ注意!
〇チャーリー・クレイは最新式の良い時計を持っていた。しかし、被害者の家からゲートをくぐる際、警備員に時刻を確認させていた。12:46分のアリバイができた。

〇提督が行方不明になる前、最後に寄った場所は造船所であった。彼は、でかい型紙数枚と、船用の黒いペンキ、潤滑油、予備のロープを持っていった。型紙は「S、A、I、L、S」の5文字と「.」ピリオドの1文字があった。「SAILS(セールス)」と特売用の広告を作っていたのではないか?となると、ピリオドは余りなのか?

〇被害者の遺体が海から発見された。しかし、肺に水が入っていなかったことから、殺されてから海に投げ込まれたようだ。

〇本土の港から提督の島まで、1.5㎞ある。潜水具を装着し泳いで渡ると、誰からも見つからずに移動することができた。

〇被害者の自宅に、壊れた懐中時計が見つかった。また部屋にあったロープ止め1本だけ埃が拭き取られており、凶器として使われた可能性がある。

〇被害者は造船会社を売却するつもりだった。現在会社を経営しているチャーリーは、それを阻止ししたいはず。造船会社オーナーである被害者を殺害する動機もある。

〇犯人だと確信していたチャーリーが殺害されていた。提督の殺害現場で発見された懐中時計は12時42分をさして壊れて止まっていた。チャーリーが提督の自宅にあるゲートから出た時刻は、12時46分である。4分間の間に、提督を殺害してゲートをくぐるのは、何度車で行き来しても不可能でった。となると、チャーリーは犯人ではない。

〇提督の娘であるジョアナに望遠鏡をつかって帆船を覗かせてみた。操舵している男に提督だと見間違えた。操舵している男は提督の衣装に着替えており、娘でも見間違うのだから、沿岸警備隊が事件日に見た提督も替え玉だったと考えられる。

三幕構成

まとめ

第5シーズンの最終回となりました。終わり方も、コロンボがボートに乗り徐々に遠ざかっていく。また、シーズン1の最終作「パイルD-3の壁」のようにコロンボが禁煙宣言をするなど、シリーズの終わりを意識したようなエンディングとなっています。

最後には「まだまだ。まだやめられませんよ。もうちょい、やらせてもらうよ」とコロンボが葉巻を吸います。まだまだコロンボは終わりません。

さて、タイトルのつけ方ですが、「さらば提督」となっています。これは、作中の被害者である、チャーリー・クレイのあだ名が提督ですので、これにちなんでつけたタイトルのように見えます。

しかし、第5話「ホリスター将軍のコレクション」で、犯人であるホリスターが、「君(コロンボ)はコロンブスの子孫だろ」と、船酔いしているコロンボを茶化す台詞があります。コロンブス=提督の異名があります。これをスタッフは意識したのではないでしょうか?コロンボの最終回をイメージして、「さらば提督(コロンボ)」と洒落を利かせたタイトルだとは考えられませんか?

以上、第37話「さらば提督」でした。