刑事コロンボ 37話『さらば提督』視聴者への挑戦状

刑事コロンボ 37話 さらば提督
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視聴者へのミスリードを誘う、倒叙から本格ミステリーになっています。完璧に犯人が伏せられている今回は、通常の倒叙形式と離れております。そのため、コロンボファンの方のなかには不満があるという人も多い、賛否両論のあるエピソードになってます。

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データ

脚本:ジャクスン・ギリス
監督:パトリック・マクグーハン
制作:エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽:バーナード・セイガル

本編時間:96分
公開日:アメリカ/1976年5月2日 日本/1977年10月8日

あらすじ

造船会社オーナーのオーティス・スワンソンは、”提督”と呼ばれるほどの大の船好きであった。娘婿のチャーリー・クレイが社長に就任すると多角経営を乗り出す。売り上げは伸びたものの、客層は地位の象徴の為に船を買うため船好きなどはいなかった。

創立記念パーティーの日、オーティスの不満が爆発する。一族は金儲けのことしか考えておらず不信感が耐え切れなかったのだ。チャーリーは、提督がこのまま会社を身売りするのではないかと考えていた。

その晩、チャーリーは提督の自宅で彼を撲殺したロープ止めの指紋を拭き取っていた。届け物を渡しに来た造船所所長ウェイン・テイラーに、チャーリーは提督が生きているように嘘のやり取りを演じると、彼と一緒に屋敷を後にした。提督の自宅を出るには、警備員がいるゲートを通らなければならず、そこで時刻を聞きアリバイを作る。

その後、潜水具に着替えると泳いで提督の自宅に向かった。提督の恰好をして船を操縦することで、沿岸警備隊に目撃させ、その時間は提督が生きているように見せかけた。提督の遺体を海に投げ込むと再び泳いで戻る。翌朝、無人の船が見つかり、事件は行方不明として捜査が開始された。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:チャーリー・クレイマー
役者:ロバート・ヴォーン

吹き替え声優:西沢利明

概要:造船所社長の男性。造船所オーナーのオーティス・スワンソンの娘ジョアンナ・クレイと婚約したことで、造船所の社長になった。経営の腕はたしかであり、今年になってから多角経営にも乗り出し、会社の売り上げを倍にしたようだ。今エピソードでは創立記念日で、マスコミやお得意様を呼んでパーティーを開いた。

タバコは体に悪いと喫煙はしないそうである。喫煙者(今回は禁煙中だったものの)であるコロンボがやたらと密着してくることが多く、嫌そうな顔をしていることが多くみられている。


 

今回の被害者:オーティス・スワンソン
役者:ジョン・デナー

吹き替え声優:小林修

概要:造船所オーナーの男性。帆船関係では『提督』と呼ばれるほどの海好きである。昔は船好きが帆船を買っていたが、今は地位の象徴として買われていることに嫌気がさしている。チャーリーが利益のために多角経営をして帆船を売り出していることにも不満があった。

創立記念日になると社員のためにパーティーを開いていたが、本人は元々パーティーは嫌いなようである。怒ってばかりの姿が目立つが、社員思いの優しい社長だったようである。帆船のことならばプロフェッショナルで、「エリザベス2世号」などの超重量級の船も1人で動かすことができる。そのうえ船の設計も行えるらしい。

イライラとした時には2~3時間ほど海に出れば、気持ちが落ち着くそうだ。愛船は単独で世界1周することも可能な出来栄えである。泳ぎも得意であり、船から落ちたら泳いで戻ってくるだろうと皆が語る。

5年前には、結婚記念に娘夫婦に豪華な帆船を送っているが、今の親子関係は険悪だ。娘のジョアンナは、懐中時計を叔父が使っていた金のケースにはめ込んでプレゼントした。金のチェーンで、いつも肌身離さずもっていた。

小ネタ・補足

〇『オーティス・スワンソン』を演じた『ジョン・デナー』氏は、24話『白鳥の歌』で、コロンボと共に事件に臨んだ航空局事故調査員「ローランド・パングボーン」を演じていた。

〇今エピソードの脚本家ジャクソン・ギリスは、55話「マリブビーチ殺人事件」の脚本も手がけた。そちらもミステリー形式になっており、今回の舞台となった屋敷が使われるなど、スタッフの遊び心を感じさせる。

〇専門用語について

  • ミズン・ブーム:風向きを捉える背丈ほどのシート。船首近くのメインマスト脇についている。風の影響を受けやすい設計になっており、風の影響で動くことを”ジャイブ”という
  • セルフ・ステアリング:風向きを捉える部位
  • ウィンド・ベーン:自動操舵装置。セルフ・ステアリングに取り付けることで風向きを自操的に反応して帆船が進んでくれるようになる

まとめ

倒叙形式から一転、本格ミステリーになるという、シリーズを見てきた視聴者を逆手にとった演出は面白いですね。第5シーズンの最終回となりました。終わり方も、コロンボがボートに乗り徐々に遠ざかっていく。

シーズン1の最終作「パイルD-3の壁」のようにコロンボが禁煙宣言をするなど、シリーズの終わりを意識したようなエンディングとなっています。最後には「まだまだ。まだやめられませんよ。もうちょい、やらせてもらうよ」とコロンボが葉巻を吸います。まだまだコロンボは終わりません。

さて、タイトルのつけ方ですが、「さらば提督」となっています。これは、作中の被害者である、オーティス・スワンソンのあだ名が提督ですので、これにちなんでつけたタイトルのように見えます。

しかし、第5話「ホリスター将軍のコレクション」で、犯人であるホリスターが、「君(コロンボ)はコロンブスの子孫だろ」と、船酔いしているコロンボを茶化す台詞があります。コロンブス=提督の異名があります。これをスタッフは意識したのではないでしょうか

コロンボの最終回をイメージして、「さらば提督(コロンボ)」と、なんとも洒落を利かせたタイトルだとは勝手に思ったりしました。

以上、第37話「さらば提督」でした。

  1. こんにちは。さらば提督への質問です。
    どうやって車もないのに提督の帆船に遺体を移動させられたのですか?
    よかったら教えてください。

  2. わからない・・さん
    返信が遅くなり申し訳ございません。

    ≫どうやって車もないのに提督の帆船に遺体を移動させられたのですか?
    「本土」⇔「橋」⇔「提督の家」と別れており、チャーリーは提督の家から本土に車で戻ります。その後、本土からウエットスーツを着て泳いで提督の家に戻りました。ここからですが、ドラマでは描写がなく、すでに遺体は提督の帆船に移動させられていましたね。

    ノベライズ版『さらば提督』P.50によると、ウエットスーツを着たまま、遺体の肩を掴み引きずる形で帆船まで移動させたようです。引きずった際にできた床の血は、用意したタオルを使い拭き取ったと描写されておりました。ルミノール反応など当時はまだ無かったのでしょうかね?引きづった跡とかも多少は残りそうな気もします。

    ちなみに家から帆船までの移動は数分掛かったそうです。また何かご不明な点がありましたら、できる範囲で調べさせてください。疑問点ありがとうございました。

  3. せぷてい様、お返事ありがとうございました。ちょっと無茶・・だけど納得しました。
    わざわざ調べて下さって嬉しかったです。又、お邪魔させてくださいね。

  4. さて、タイトルのつけ方ですが、「さらば提督」となっています。これは、作中の被害者である、チャーリー・クレイのあだ名が提督ですので、これにちなんでつけたタイトルのように見えます。

    チャーリークレイのあだ名は提督ではないですよね。

  5. >>チャーリー・クレイのあだ名が提督

    ご指摘ありがとうございます。正しくは『オーティス・スワンソン』です。修正させていただきました。

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