【探偵が早すぎる】1話「史上最速の探偵、登場」

©井上真偽・講談社/読売テレビ【ドラマ:探偵が早すぎる】より引用

【VS.元製薬会社社員】犯人とトリックが分かった状態で事件が進む『倒叙』形式のミステリーに分類されます。この作品の面白い所は『殺人事件が起こる前に事件を解決する点』にあります。倒叙形式の作品の代表作では「刑事コロンボ」「古畑任三郎」が挙げられますが、いずれも事件が発生してから捜査が開始されます。

この作品は、殺害しようとする前にトリックを見破り、殺害計画を防いでしまうという非常に優れたストーリーだと感じます。そのため、重要になるのが「いつから犯人だと思っていたのか?」です。視聴者側は、すでに犯人が分かった状態で事件が進みます。しかし、探偵は犯人が伏せられた状態で事件を未然に防ぐのです。どこで犯人はミスをしたのかを、一緒に推理できる楽しさもありますね。

スポンサーリンク

データ

データ:詳しく見る
原作:井上真偽

脚本:学田学

監督:湯浅弘章

チーフプロデューサー :前西和成

制作:読売テレビ

音楽:イケガミキヨシ

本編時間:42分

初回放送日:2018年7月19日

あらすじ+人物相関図

製薬会社社員の若竹友成(わかたけ ともなり)は、会社からリストラされてしまい、コンビニアルバイトをすることになってしまった。社会的地位の損失により、若いアルバイトからは陰でバカにされ、娘も大学進学をあきらめるなど、もはや父親としての威厳もなかった。

そのストレスを発散するため、キャバクラで散財してしまう。いざ会計になると、その飲食費を払えない額にまで達してしまっていた。その場を逃げ出そうと店員と揉み合いになっている所を助けたのが、大蛇羅壬流古(だいだら みるこ)であった。

壬流古は、若竹がキャバクラ嬢相手に話をしていた「誰にも気づかれずに毒殺できる」という話に興味を持ち、とある人物を報酬2000万円で殺害してほしいと話した。その相手とは、女子大生である十川一華(そがわ いちか)だ。失業し、自分を罵った娘のために一念発起した若竹は、その依頼を受けたのだった。

彼の考えた計画とは、毒蜘蛛「ピンクアラーニャ」を使った毒殺であった。同じコンビニでアルバイトをしている男の部屋から毒蜘蛛を盗み出すと、部屋を荒らして野良猫を放った。これで、不運にも蜘蛛は外に逃げ出したように偽装できる。

また、一華はコンビニクジを引くことが日課になっていた。コンビニ店員という立場を活かし、クジ箱の中に毒蜘蛛を入れるだけである。彼女が手を入れて、クジを選びために中をかき混ぜると、雲が反撃のために噛みつき毒が回れば数十分の内に死に絶えるのだ。

人物紹介

©井上真偽・講談社/読売テレビ【ドラマ:探偵が早すぎる】より引用

今回の犯人:若竹友成(わかたけ ともなり)

キャスト:マギー

職業:コンビニアルバイト

殺害方法:毒殺

動機:報酬金を入手するため

概要:詳しく見る
概要:元製薬会社社員の男性。一流大学の薬学部を卒業していたのだが、会社からリストラにあってしまう。年齢は明言されていないが、高校生の娘である知菜(ちなつ)がいることから、40代あたりと考えられる。

この年でコンビニバイトをすることになり、同じ職場にいるバイトからは馬鹿にされている。また、リストラに伴い娘からの評価も著しく低下してしまう。娘は受験勉強に励み、本来なら大学進学を希望していたのだが、金銭面の関係であきらめてしまったようだ。

社会的地位の損失、父としての威厳を失ってしまったストレスを発散するため、キャバクラで酒を飲んでいた。ホステス嬢には、「会社の部長も社長も殺したい」「誰にも気づかれずに毒殺できる」と豪語して聞かせた。キャバクラの会計は計9万8千円であり、持ち合わせがなかったために、ふらつきながらも店から逃げ出そうとしていた。

その際、飲食費を肩代わりしてくれたのが、十川一華の命を狙う、大蛇羅壬流古(だいだらみるこ)である。彼から十川一華の殺害を依頼され報酬は2000万円であった。相手が若い女性でもあり、自問自答をしていたが、彼女が「とんでもない金持ち」という情報を壬流古から言われ、また自身のリストラの件も触れられる。現在の生活状況を打破するために殺害を決意した。

用意周到に下調べをし、殺害計画を組み立てていった。殺害方法は毒蜘蛛「ピンクアラーニャ」を用いた毒殺である。蜘蛛を盗み出す際には、アパートの写真を撮る。また、十川一華の行動を探るべく、大学内にある食堂を利用したり、病院にまで後をつけていた。ただ、ジャンパーにバケットハットなど、比較的周りの人よりかは目立ちやすいようにも思える。

元製薬会社の繋がりがあるのか?どういった入手経路かは不明ではあるが、ピンクアラーニャに対する解毒剤を入手していた。ちなみに娘は、JKクラブでおじさんをたぶらかした金で、夜な夜な遊びまわるようになってしまっている。


©井上真偽・講談社/読売テレビ【ドラマ:探偵が早すぎる】より引用

目標人物:十川一華(そがわ いちか)

役者:広瀬アリス(ひろせ ありす)

職業:大学生

概要:詳しく見る
概要:幼いころに母を亡くしており、孤児院にいた彼女を引き取った橋田政子と貧乏ながらも慎ましい生活を送っている。橋田との関係は親子というよりは、家政婦(ドS)と姫様見習いのような主従関係である。本人は非常に前向きな性格であり、そこまで気にしてはいない。

テーブルマナーや言葉遣いなどを厳しく指導されており、その反動か?おてんば気味でもある。しかし、時折テーブルマナーで指導された癖がでてパンケーキを丁寧に食べることもある。

大学からの帰り道に何者か(大蛇羅麻百合)から突き飛ばされて、路上に投げ出される。そのまま車にはねられて右手足を骨折する重傷を負ってしまった。入院生活を送ることになるのだが、その際にも橋田からスプーンではなく、箸で食べるようにと注意を受けている。

©井上真偽・講談社/読売テレビ【ドラマ:探偵が早すぎる】より引用

コンビニで缶バッチのクジを引くことが日課になっている。1回300円であり、コンビニアルバイトで同じ大学に通う『城之内』に会うのも目的の1つである。金銭はアルバイトをして稼いでいるようだが、何のアルバイトをしているかはまだ明言されていない。

(※余談ではあるが、缶バッチのイラストは『星宝転生ジュエルセイバー』という、GREEが配信していたカードゲームアプリのキャラクターである。現在は配信停止されており、フリー素材として利用することが可能になっている)

物語の終わりに、大企業を束ねる大蛇羅グループに自身が関わりが深いことを知る。母と婚約したのが、大蛇羅瑛(だいだら あきら)であり、数週間前にビジネスジェット機の墜落事故で死去していた。遺書に従い、遺産(5兆円)は全て一華の手に渡ることになった。

一華にとっては初耳ばかりのことで、瑛が一度も彼女に会いに来なかったのは、一族から結婚を反対されていたためだ。彼女に会いに行くことで危険にさらしたくないという思いがあったのである。5兆円という遺産を手に入れるべく、大蛇羅一族から命を狙われることになっていくのであった。

犯行計画

【逃げ出したとされる毒蜘蛛に噛ませ毒殺】

①同じコンビニ勤務のアルバイトが毒蜘蛛「ピンクアラーニャ」を飼っていることが耳に入っていた。勤務先のロッカールームを開けて、彼の運転免許証から住所を調べた。何度か下見に行き、昼間はアパートにいないことを確認する

②日中、人目に付かないように茂みの中からアパートの庭に侵入。割れた窓ガラスを塞いでいた段ボールを剥がし、窓の鍵を開ける。そして、毒蜘蛛をプラスチック容器に詰め込んだ。その後、室内を荒らして、リュックに入れていた野良猫を放った。これで、猫が部屋を荒らして、毒蜘蛛が外へ逃げ出したように偽装することができた。

③殺害対象はコンビニで、300円クジを引くことが日課になっている。クジ箱の中に、毒蜘蛛を放っておく。箱の中に手を入れて中を探っていると、攻撃されたと思った毒蜘蛛が反撃のために手を噛む。これで、毒によって死に至らせることができる。

ピンクアラーニャとは?

©井上真偽・講談社/読売テレビ【ドラマ:探偵が早すぎる】より引用

【ピンクアラーニャ】オーストラリア原産で特定外来種法により輸入禁止になっている。飼い主である学生が、どうやって入手したのかは不明である。世界最強の毒蜘蛛とも称されており、致死率95%の強酸性の毒をもっている。毒はすぐに全身に流れ、心臓にショックをあたえ数十分で死に至らせる。非常に狂暴な性格で夜行性のようだ。なお、架空の蜘蛛である。

推理と対決(※ネタバレ注意)

推理と捜査
〇アパートの窓の向きは南側である。毒蜘蛛が逃げたとされる23日の天気は晴れ。すると、窓には光が射し込んでいたことになる。夜行性のピンクアラーニャは、日の射すところには行かず、日陰に隠れるはずである。

〇レモンの木が窓の先に生えていた。柑橘系の匂いを嫌う蜘蛛が窓の外に出るはずがない。そうなると、何者かが蜘蛛を盗んだに違いない。

〇十川一華の行く、病院や大学のカフェに若竹友成の姿があった。彼が殺害するに違いない。

いかにして決着をつけたのか?
〇黒川一華が、計画通りクジ箱の中に手を入れた。しかし、なぜか彼女は毒蜘蛛に噛まれなかった。意気消沈し帰宅する若竹。ふと、机の上に梱包された箱があることに気が付いた。その中に「お父さんへ」というメモ紙と革靴が入っていた。これは、娘からのプレゼントだと理解する。

これを見て、若竹は心機一転を誓った。「驚いたよ。父さんこの靴を履いて新しい一歩を踏み出すよ。本当にありがとう!」そうメールを送り、革靴に手を伸ばすと、ふいに指先に痛みが走った。なんと中には、毒蜘蛛「ピンクアラーニャ」が入っていたのだった。

慌てふためき、もしものために用意していた解毒剤を探すが見つからない。気が付くと、探偵千曲川光が椅子に腰掛けていた。彼から、自身の計画をミスを指摘され。そして計画を「逆トリック」で返されてしまったのだ。プレゼントは娘が用意したのではなく、千曲川が仕掛けた罠だったのである。

娘からメールに返信が帰ってくる。「はぁ?馬鹿じゃない。そんなことするわけないじゃん」千曲川は語る「感謝が足りないなぁ感謝が……」若竹のスマホを操作すると、その場を後にした。しばらくして、若竹が目を覚ますと病室にいることに気が付いた。ふと横を見ると、娘が寄り添うように眠っていた。

千曲川は、「助けてくれ」というメールを、娘に送ってくれたのである。これを見てただ事ではないことを感じた彼女は急いで自宅に戻り、父を助けたのである。口では嫌っていた彼女であったが、父の事は大好きだったのである。若竹は目に涙を浮かべ微笑むのであった。

三幕構成

まとめ

【過程から結論づける推理】

探偵の千曲川光は、状況から犯人とトリックを予測して事件を未然に防ぎました。まず、毒蜘蛛「ピンクアラーニャ」が逃げ出したという新聞記事を読みます。この記事の内容から、夜行性である蜘蛛が日中帯に逃げ出す可能性はないと仮定を立てました。

次に、千曲川は蜘蛛が飼われてアパートに行きます。蜘蛛が逃げ出したとされる窓の先には、レモンが生えており、柑橘系の匂いが嫌いな蜘蛛は外には行けないと結論づけます。また、犯人の若竹友成は、病院や大学カフェでも姿を確認していました。ここでも、千曲川は彼が犯人ではないかという憶測を立てたに違いありません。

そして、彼の行動を探るうちに、コンビニ店員であることを知りました。ここで、彼が毒蜘蛛を盗んだ人物だと仮定をします。十川一華はコンビニで300円クジで缶バッチを買うことが日課になっていました。つまり、夜行性の毒蜘蛛を使い殺害となれば、それはクジ箱の中に手を入れる瞬間。それができるのは、コンビニ店員の若竹友成だけだと、過程から確信へと変わったのです。

小説の書き方の技法の1つに『帰納法』があります。オチから最初に作り、そのオチに合わせたストーリーを組み立てるという技法です。これと似たように、最初に1つの憶測をたてます。これに合うような殺害計画を組み立てたことで、犯人を特定できるに至ったのでしょう。

以上、「1話【探偵が早すぎる】史上最速の探偵、登場」でした。