今回紹介する作品は、ビデオ邦題『謎の完全殺人』です。脚本家は刑事コロンボの原作者『R・レヴィンソン&W・リンク』で、「ミステリドラマ3部作」の1作目にあたる記念すべき作品でもあるんですね。VHSを探し購入するまでに3年かかりました。(メル〇リは偉大)
サスペンスな作品であり、さりげない台詞や動作から、流れるように繋がるストーリー展開が非常に美しいです。R・レヴィンソン&W・リンクのミステリドラマ3部作の中でどれが一番好きかと聞かれたならば、「こうしたらどうだ。私の心を読むのさ」
データ
あらすじ
読心術師アーサー・シンクレアは、相手の心を読む超能力者『奇跡を演出する男』と人気を集め、今やテレビや講演会に引っ張りだこな人物である。莫大な資産に目が眩んだ若い妻・アリスンは、不倫相手の俳優・ギル・ウェストンをそそのかし、心臓に持病があるアーサーを自然死に見せかける殺人計画を実行するのであった
人物紹介(キャスト)
名前:アーサー・シンクレア
役者:ハル・ホルブルック
職業:読心術師
名前:アリスン・シンクレア
役者:キャサリン・ロス
職業:アーサーの妻
名前:ギル・ウェストン
役者:バリー・ボストウィック
職業:俳優
補足
〇原題『MURDER BY NATURAL CAUSES』訳:自然な原因による殺人。
心臓に異常があるアーサーを突然死に見せかけ殺害する計画であるためだろう。
〇R・レヴィンソン&W・リンクのミステリドラマ3部作の1作目である。2作目『殺しのリハーサル』3作目『ギルティ・コンサイエンス』がDVD化されているのに対し、今作品だけはDVDでの発売がなく、VHS(ビデオ)を入手して視聴するしか方法がない。(内緒だけど原題で探すとYo〇〇ubeで観ることができるようでした)
〇アリスンが自宅での不倫中、ギルにお酒を頼むシーンがある。酒には氷を入れており、彼女から「氷はいらないのよ」と言われている。酒の好みを把握しておらず、まだ彼女のことを詳しく知らない(それ程親密な関係ではない)という伏線だったのかも?
〇その他キャスト(一部のみ)
弁護士:ジョージ・ブルーベイカー
俳優:リチャード・アンダーソン
探偵:エディ
俳優:フィル・リーズ
〇ビデオ『謎の完全殺人』を探すにあたり、『キラー・スキャナーズ 謎の完全殺人』という似たタイトルの映画が何度も検索に表示され、こっちも気になっているぞ! ジャケットから怖そうでまだ手が出せずにいます。そのうち視聴してみたい……。
まとめ
脚本の巧みさと無駄のなさを見ていきます。最初の数分:オープニング(5W1H)の時点で主人公は心臓に持病があることが分かります。これから番組収録があるため、緊張による心臓への負担がないかを知りたかったのです。
いつ | 収録前 |
どこで | 楽屋 |
誰が | 主人公(アーサー・シンクレア) |
何を | 心拍数に異常がないかメーカーに測定依頼 |
なぜ | 緊張から心臓に異常がないか不安だから |
どのように | 神妙な面持ちで |
そして、次のシーンでは妻との遠距離電話の場面になります。彼女は夫の心臓を気遣って見せますが、不倫相手と一緒に寝ていたのです。そして、心臓に持病がある夫を拳銃の空砲を使い驚かせて殺害する計画を企てていることが分かるのです。
この冒頭からの流れで、何をメインに据えるのか? 以下がこの作品の柱(テーマ)であることが伺えます。
➀読心術師
➁秘密裏に謀殺
さて、アーサーが出演する番組では、見事に読心術を使い相手の心の内を見事に的中させます。本物の超能力者かと思いきや、後日自宅シーンで、やっぱりインチキ霊能力者であることが視聴者に提示されます。ここが面白さのポイントでもありましょう。
何でもお見通しのはずの読心術師が妻の殺人計画にまったく気が付いていない。気が付かずに残していた不倫相手の痕跡(タバコ)を咎められると、辻褄の合いそうな妻の嘘ですぐに納得してしまうアーサー。
視聴者は『馬鹿だねこの男は。読心術師なのに まったく心の内を見透かせてないじゃないの』というギャップともどかしさでストーリーに引き込まれていきます。さらに、拍車をかけていくかのように、アーサーが有能に見せかけて実に大したことのないように見えていく展開が続きます。
新聞記者を装い殺しに訪れてきた不倫相手・ギルから、インチキ霊能力者ではないかと追いつめられていく。果たして妻の殺人計画は成功するのか?
ここから先の展開はストーリーにツイストが掛かっていくのですが、中盤以降のお話になりネタバレのため記載はしません。ビデオのあらすじ紹介にはガッツリと書かれていますが止めておきます。
最後はゾッとする展開とだけ。重大な局面において選択肢が提示されます。私のなかで作品の柱をもう一度確認すると、『➀読心術師』『➁秘密裏に謀殺』だと考えました。そう思うと、最後の選択肢の答えは……。
以上、【テレビ映画『殺しの演出者』(ビデオ邦題:謎の完全殺人)あらすじと感想】でした。