【古畑任三郎】第3シリーズ5話が再放送されない理由【徹底解説】

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ゲストスターに津川雅彦を迎えた古畑任三郎 第3シリーズ5話『再会(古い友人に会う)』は、1995年5月11日にフジテレビ系列で放送されたエピソードです。脚本は、同シリーズを担当する三谷幸喜が書きあげており、このエピソードで異例とも言えるのが、お馴染みの暗転シーンで古畑任三郎が「本当は最終回にもってきたかった」と打ち明ける場面です。

2019年5月4日に刊行された「週刊現代」では、三谷幸喜・大倉崇裕・町田暁雄による鼎談記事『刑事コロンボを語ろう』(4P)が掲載されていたのですが、参加者の町田氏はX(旧:Twitter)において、ページの都合上カットされてしまったものの、三谷氏がコロンボの後継作品として工夫を凝らした、特徴的な展開で進むこのエピソードを示すような回答をしていたと裏話を語っていました。

これらのことから『再会(古い友人に会う)』は、三谷にとって思い入れが強いエピソードであることがわかります。しかしながら、2023年5月頃より再放送されない状況が続き、フジテレビの公式配信サイト「FOD」からも削除されているのです。

本記事では、何が原因により再放送を困難としているのかを解説していきます。(他に再放送されない第2シリーズ4話と9話の解説はこちらから

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S3-5話「再会(古い友人に会う)」あらすじ

古畑任三郎 32話 古い友人に会う 再会古畑任三郎(田村正和)は、旧友で小説家の安斎亨(津川雅彦)から山荘にある別荘に招待を受けるのだが、安斎は招待状を送った覚えはないと話し、古畑も彼から呼ばれるほど親しい間柄ではないと疑問に思う。そんな中、離れにある小屋で古畑と安斎が談笑していると、安斎の妻・香織(三浦理恵子)と担当編集者・斎藤秀樹(細川茂樹)の不倫現場を目撃する。「今に始まったことではない」と言う安斎だが、その裏では彼の計画が進んでいるのだった。(エピソード内容についてはこちら

再放送されない理由(各放送会社の回答)

そもそも何が理由により再放送がされないでしょう?
各放送会社のサイト上で閲覧することができる内容は以下の通りです。

画像1「フジテレビ(FOD)」

1「フジテレビ(FOD)」HPより引用(2024年2月17日閲覧)

画像2「CS(日本映画専門チャンネル)」

「日本映画専門チャンネルHP」より引用(2024年2月17日閲覧)

2「日本映画専門チャンネルHP」より引用(2024年2月17日閲覧)

FOD(フジテレビオンデマンド) ※権利上の都合
CS(スカパー):日本映画専門チャンネル ※権利元の都合

いずれも詳細については明記されておらず、「権利上」と「権利元」にとどまっていることが分かります。朝日放送の回答になりますが、権利の都合(権利規約)に該当し、ドラマの再放送を困難にする要素をまとめていたので紹介します。

『朝日放送 よくある質問』より引用(2024年2月17日閲覧)

これらがエピソード内にもあることから、再放送が困難な状況になっているものと思われます。では実際に、ドラマ内で問題のある箇所がどこであるのかを確認していきましょう。

具体的には、⑴出演者 ⑵台詞 ⑶音楽が可能性として考えられます。

出演者「細川茂樹」氏に関連して

はじめに、X(旧:Twitter)や、Yahoo!知恵袋では、出演者「細川茂樹」の騒動が原因ではないかと噂されています。この騒動に起因して、不祥事を起こした俳優がいるため再放送ができないとされているのですが、この憶測はまったくのデタラメであると考えます

簡潔に騒動をまとめると、2017年頃、細川氏が当時所属していた事務所がパワハラを理由に一方的に契約解除を告げる。このことが連日ニュースで取り上げられるのですが、パワハラは事実無根であると主張する細川氏が訴訟を起こしたのであります。

さて、原因とされるパワハラ騒動については、2022年11月16日の最高裁の判決で細川氏が完全勝訴したことが、オフィシャルブログの記事『最高裁のご報告【前編】』(2023年12月2日公開)において報告されております。

そもそも、事務所とパワハラ騒動で揉めたのは2017年頃です。一方、古畑任三郎『再会(古い友人に会う)』が再放送されなくなったのが2023年5月頃であるため、この件とはまったく関係がないことは明らかです。

CS番組情報『ハンチョウ』より引用(2024年2月17日閲覧)

さらに、CSにおいては、細川氏が出演した『ハンチョウシリーズ(1~4)』が、いずれも欠番がなく再放送がされています。もし、彼の騒動に起因して古畑任三郎の再放送がNGとなっているのならば、同じくハンチョウシリーズも再放送ができないはずです。

その他のキャスト(故・津川雅彦氏、三浦理恵子氏)についても、出演ドラマはCSなどにおいて問題なく再放送がされていることから、「出演者」が原因ではないことが明白でしょう。

台詞「SMAP」に関連して

次に考えられるのが、SMAPに関連した台詞に放送規制があるのではないかという説です。作中では、06分25秒に古畑「SMAP逮捕したの私なんですよ」という台詞がありますが、これが原因ではないかとされているのです。

SMAPメンバー・木村拓哉が犯人を演じた第2シリーズ4話『赤か、青か』も再放送できない回になっているだけではなく、デアゴスティーニでDVDコレクションが販売された際は『古畑任三郎 vs SMAP』だけが欠番になるなど厳格な規制体制が取られております。

ですが、SMAPに関連した台詞だけでは規制対象とはならないと思います。なぜなら、他の第3シリーズののエピソードでもSMAPに関連する台詞があるからです。

タイトル 時間 台詞
S3-1話『若旦那の犯罪』 21分58秒 「確かSMAPのコンサートで」
S3-4話『アリバイの死角』 06分26秒 「SMAP逮捕したの私なんですよ」
S3-10話『最も危険なゲーム・前編』 31分53秒 「SMAPの事件解決したの私なんですよ」
37分25秒 「確かSMAPの事件解決されたのあなたじゃないですか?」

【フジテレビ『古畑任三郎 Blu-rayBOX』をもとに筆者が作成】

このように、古畑任三郎はSMAPの事件を解決したことを自慢しまくっているのですが、これらのエピソードは問題なくFODやCSでの再放送がされています。そのため、「台詞(SMAP)」に起因して再放送が困難になっているとは考えられません。

音楽「カラオケシーン」に関連して(有力説)

有力説として考えられるのが「カラオケシーン」です。

  • 08分00秒~09分11秒 安斎香織(三浦理恵子):アン・ルイス「六本木心中」
  • 11分05秒~11分21秒 西園寺守(石井正則):斉藤由貴「卒業」

ここで歌詞・カラオケ音源が使用されているため著作権関係で楽曲部分が使用できないと考えられます。音楽の利用に関して、実際にBGMの差し替えが行われたエピソードがあり、第1シーズン7話『殺人リハーサル』、第1シーズン11話『さよなら、DJ』など、放送や配信、DVDで流れる音楽が違うのであります。

さて、安斎亨の妻・香織が歌う「六本木心中」の部分ですが、みごとに古畑任三郎のセリフと被っているのです。古畑が『なぜ親しくもない彼に招かれたのかを疑問に思っている』と、西園寺くんに打ち明ける場面であり、ストーリーの展開上において、安斎と古畑の交友関係を示唆する大切な役割をしています。

また、西園寺くんが歌うカラオケシーンも、安斎が離れにある小屋に向かう直前での場面となっており、どちらも僅かな区間であるものの、カットすると不自然になってしまうため、カラオケ部分が影響して再放送が困難になっていると推測します。

最後にカラオケ音源の使用方法についてまとめます。まず、前段階として曲や歌詞を書いた人が持つ「著作権」の許可を得る必要があります。次に、カラオケ音源を作成した人や会社が持つ「著作隣接権」の許可という二段構えの構成になっているのです。

原曲ではなくカラオケ音源という特性上、複数の個人や会社から権利上の許可を得る必要があり、楽曲使用料金も別途で支払う必要があるため、再放送に掛かる金額と採算が釣り合わないため欠番としたのではないでしょうか?

実際に、「カラオケシーンカット」は古畑任三郎以外のネット配信でも見られます。検索サイトで調べると、バラエティ番組『乃木坂工事中』、ドラマ『上流社会』、映画『シャン・チー』、『コンエアー』など、様々な映像媒体でカラオケシーンがカット・無音編集になっていたとの情報が閲覧することができました。

視聴する方法

現時点で配信は行われておらず、DVD・Blu-rayBOXの購入やレンタルしかありません。

まとめ

なぜ再放送できないのか? それは、古畑任三郎の第3シリーズ5話『再会(古い友人に会う)』には、カラオケシーン(楽曲の著作権)が関連して再放送ができない状況にあるためです。

冒頭でも記載したように、『再会(古い友人に会う)』は、作中で古畑任三郎が「最終回にもってこようとしたエピソード」だと語り、脚本家・三谷幸喜もコロンボの後継作品としての工夫を凝らした作品であると述べています。

正直な所、第3シリーズはトリックが破綻しているものが多いのですが、人間ドラマとしての魅力が詰まった作品も多くなっています。とりわけ『再会』は、犯人視点から進むという物語の特徴を逆手にとったストーリー構成であり、最後に明かされる真相と展開には驚かされました。

なによりも安斎の友人として古畑が語る人生観の台詞には感動せずにはいられません。これは中年を迎えた、田村正和と津川雅彦が演じていなければ成り立たないものです。台詞も良いのですが、名優たちの表情だけで分かるやりとりは何とも魅力的であります。それだけに、このエピソードが再放送できなくなっていることは残念でなりません。

以上、古畑任三郎 『第3シリーズ5話|再会(古い友人に会う)が再放送されない理由について』でした。

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