古畑任三郎 第3シリーズ3話(#30)『古畑、風邪をひく(灰色の村)』感想とあらすじ

古畑任三郎 30話 古畑、風邪をひく 灰色の村

村ぐるみでの事件の隠蔽です。ただ1人の被害者と接触した『今泉慎太郎』ですが、村人全員がそんな人物(被害者)は知らないと口を揃えて証言します。

果たして被害者である女性は存在したのか。もしかしたら存在しなかったのでは……。それでは自分が会った女性とは一体何者だったのか? そんな恐怖も感じてしまうお話。

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データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:河野圭太
音楽:本間勇輔

本編時間:46分39秒
公開日:1999年4月27日

あらすじ

雛美村の村長・荒木嘉右衛門(松村達雄)たちは、村一丸となり酒蔵した「雛の誉」を、大手デパートでも取り扱ってもらえるようデパートの営業部長だと話す日下部薫子(あめくみちこ)に金銭を渡すが、買い付け詐欺であることが明らかになった。彼女は悪びれることなく居直ったため、荒木は憤慨し日本刀で斬殺する。その場に居合わせた村役場助役・鵜飼(岡八郎)たち村人は、荒木を庇うために村ぐるみで殺人を隠蔽し、日下部薫子という女性はいないと口裏を合わせるが、直前に今泉慎太郎だけは彼女と接触をしており消えてしまったと話す。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:荒木嘉右衛門(あらき かえもん)
役者:松村達雄

概要:雛美村の村長である男性。村民一丸となり地酒『雛乃誉(ひなのほまれ)』を酒造し。大手デパートでも取り扱ってくれるように日下部薫子に金銭を渡すが、それが詐欺であると判明する。日下部薫子に頼む金を作るべく田んぼを売った村民もいた。かつ自身が人生を捧げてきた村を馬鹿にする発言に憤慨し日本刀で斬殺してしまう。

村人からは、『お館様』の愛称で呼ばれている。過去に堤防を作って川の決壊を防いでいたり、村を潰しダムを造る計画にも1人で抗議を行っている。それがなければ、村はダムの底に沈んでいた。他にも村に尽力を注ぎ、村民から神様のような存在であると評価されている。


今回の被害者:日下部薫子(くさかべ かおるこ)
役者:あめくみちこ

概要:村越デパートの経理部に勤務する女性。万年ヒラ社員であり、長年の使い込みがバレて来月クビになる予定であった。そんな折、雛美村から自酒を取り扱ってほしいと相談が入る。自らを営業部長と偽り1400万円をだまし取った。

村民のキャスト一覧

概要役者
鵜飼(村役場助役)岡 八郎
田治見(旅館『雛形』経営者)夏木ゆたか
一柳(バーテンダー)松澤一之
鬼頭(杜氏)金井 大
久野(医師)奥村 公延
清水(巡査)郷田 ほづみ
記念館係員問田 憲輔

小ネタ・補足・元ネタ

『雛乃誉(ひなのほまれ)』は、幻の酒米と呼ばれる『とと錦』だけを使い醸造させた日本酒である。雛美村の特産品を作ろうと、村長・荒木嘉右衛門が端を発していた。酒の味を出すために10年かかったそうである。架空の銘酒である。

○『雛美村』の観光客は、郷土資料館の来訪者名簿を見ると、25日、30日、26日、2日、10日に名前が綴られており、1週間に1人ぐらいは来るようである。

○『雛美村』は長野県にあるとされるが、実際は『群馬県中乃条町』がロケ地である。旅館は『四万温泉積善館』。酒造場は、『野崎酒造株式会社』がロケ地となっている。

○荒木嘉右衛門の屋敷で、日下部薫子をもてなした際、村役場助役・鵜飼(岡八郎)がアカペラで歌っていた曲は、細川たかし『浪花節だよ人生は』である。

刑事コロンボからのオマージュ

(1)犯人が犯行を認めると、自分なき後の村の行く末を案心配する。古畑と最後にお酒で乾杯をする。

刑事コロンボ19話『別れのワイン
犯人が犯行を認めると、自分なき後のワイン工場の行く末を心配する。コロンボと最後にワインで乾杯をする。

まとめ

自分のことを周囲の誰も覚えてくれていないという恐怖。それは自分の死後も何事もなかったように世界が続いていくことへの畏怖の念でもあるだろう。自分が愛し、親しくしている人々が、実は単に自分の幻想だけの存在なのではないかという恐怖。結局これらは、人間の実在の不確かさ、生きることの意味への不安にも繋がっているのだろう。

エンターテイメント日誌:「バニー・レークは行方不明」とパリ万博・消えた貴婦人の謎

そんな恐怖を感じる『村ぐるみでの殺人隠蔽』、事件があったことさえ発覚するはずがなかったのですが、大体は巡査・清水が引くに引けなくなった結果、墓穴を掘る形になってしまったことで失敗に終わります。最初は今泉が被害者と関わっていたとは思わず、純粋にお地蔵様へのイタズラ書きの件で問いつめていっただけなんですけどね。

それにしても、村人たちから慕われているという村長・荒木嘉右衛門ですが、詐欺だと分かると日下部を日本刀で一刀両断してしまいました。普段は温厚だけど怒ると手が付けられない血気盛んな御方だったと思われます。

さて、「雛美村」と「ダムの建設工事」で思い出すのが『ひぐらしのなく頃に』という同人作品です。「雛見沢村」という田舎が舞台なのですが、ここでもダムの建設工事を巡る一幕があります。村では「オヤシロさま」と呼ばれる絶対的な信仰対象がおり、それに関連する猟奇的事件が発生するのです。

古畑任三郎の今回の犯人・荒木嘉右衛門も『お館様(オヤカタさま)』と呼ばれ、村人からは神様のような存在であると称されていましたね。「雛み」とつく村はダムの底に沈められる運命にあるようです。

以上、『古畑、風邪をひく(灰色の村)』でした。

  1. この話面白くて好きなのですが、疑問点があります。岡八郎などの隠蔽に関わった村人たちも捕まるのでしょうか?

  2. achan様
    疑問点ありがとうございます。

    ≫岡八郎などの隠蔽に関わった村人たちも捕まるのでしょうか?
    ラストシーンで古畑任三郎と荒木嘉右衛門が酒を酌み交わすシーンがあります。「ワシ一人がやった。村人はなーんにも関わっていない。よろしいかな?」という台詞があったと思います。そこで古畑警部補は、笑顔でうなづいて返しておりました。荒木の人柄や村に対する思いをくみ取り、村人たちを殺人隠蔽で立件/逮捕しない選択をとりました。

  3. 返信ありがとうございます。最後そのようなセリフを言っていたことを忘れていました。最近日本映画専門チャンネルで録画したのでまた見てみます。また何かあればコメントします。

  4. ≫日本映画専門チャンネルで録画したのでまた見てみます
     ぜひぜひ楽しんでください! また何かありましたらどうぞ

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