古畑任三郎 第1シーズン1話『死者からの伝言』招かれざる客

古畑任三郎 1話 死者のメッセージ
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記念すべき第1作目にあたる作品です。作中にBGMはほぼなく、ラストシーンに少し流れる程度になっています。音は「雨」と「雷」だけで、さらに洋館という舞台だけで繰り広げられる会話劇は、舞台劇作家・三谷幸喜氏の脚本が冴えるエピソードと言えるでしょう。

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データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:星護
音楽:本間勇輔

本編時間:46分07秒
公開日:1994年4月13日

あらすじ

少女コミック作家・小早川ちなみ(中森明菜)は、編集者・畑野茂(池田成志)と交際していたと思っていたが、遊ばれていただけであったことを知る。復讐のため別荘にある金庫室を利用して窒息死させると、彼女は再び別荘に訪れ金庫室で死体を発見したと警察に通報をした。

金庫の扉が閉まり出られなくなった不慮の事故で片付けられるはずだったが、大雨で土砂崩れが起こり警察はすぐに駆けつけられないという。その時、突然玄関のチャイムが鳴った。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:小石川ちなみ
役者:中森明菜

概要:少女コミック作家の女性(28歳)。仕事で付き合いのある編集者・畑野茂と交際関係にあったが、弄ばれていたことに気がつくと、彼を別荘にある金庫室に閉じ込め窒息死させる。コミック作家という肩書にこだわりがあり、古畑から「漫画家」と言われると、「コミックです」と度々修正している。


今回の被害者:畑野茂
役者:池田成志

概要:編集者の男性。小石川ちなみとは、仕事上の付き合いから交際に発展した様子。プレイボーイであり、多数の女性と交際関係にあるため彼女との関係は遊びであった。殺害現場となってしまった別荘にもよく訪れていたようで、合鍵も所有している。彼自身は運転免許を持っておらず、女性から連れてきてもらいホテル代わりに使用していたのだろう。

小ネタ・補足

〇作中に登場した漫画『カリマンタンの城』『アゼルバイジャンの夜は更けて』は架空の漫画である。原画を担当したのは漫画家なんばくに氏である。

〇『カリマンタンの城』は、ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』55話「星影の人」(6巻)のp.49に小ネタとして名前が登場している。

刑事コロンボからのオマージュ

〇殺害方法は、41話『死者のメッセージ』からの引用でありタイトルも寄せている。

まとめ

1994年4月13日に刑事ドラマ『古畑任三郎』が放送されました。犯人視点から犯行が描かれる『倒叙形式』を軸に事件が展開していく、日本版『刑事コロンボ』の誕生であります。

本ドラマのプロデューサー・関口静夫氏は、フジテレビに刑事ドラマの代表作がなかったため、日本では成功例がないコロンボスタイルのドラマを成功させたいという思いから企画が始まった⁽¹⁾と述べております。※(1)『シナリオ 1997年2月号』シナリオ作家協会、1997年 p.48-49より

脚本を担当した三谷幸喜氏はコロンボマニアでもあり、古畑任三郎の前には『やっぱり猫が好き殺人事件』という倒叙形式の特別ドラマを手掛けており、この作品でもコロンボを意識した台詞を確認することができます。

今作品『死者からの伝言』の殺害方法も、刑事コロンボファンの方ならばご存じのエピソードから引用していることが伝わったと思います。これから日本版コロンボを始めるという告知であると同時に、同じトリックを用いることで自分なりのコロンボ像を確立したい狙いがあったのでしょう。

さて、雨の降る洋館で起きる殺人事件に突然訪れる刑事というサスペンスな展開になのですが、謎解きの側面も多く、少女コミック作家・小石川ちなみの哀しきドラマも堪能することができます。彼女の『心情の変化』が実に素敵であり、徐々に警戒をしていた古畑任三郎に心を許していくのであります(ちょろい)。

このエピソードの面白い点は『被害者が握っていた白紙』『被害者の頭部の傷』という、犯人も一体なぜそのような状況になっていたのかが分からないことであります。推理小説などでいうダイイングメッセージであり、この決まり手が非常に鮮やかかつシンプルな回答で見事でした。被害者はお覚悟決まってんな!!

以上、古畑任三郎 シーズン1-1話「死者からの伝言」でした。

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