古畑任三郎 42話『ラスト・ダンス』シリーズ最終回

古畑任三郎 42話 ラスト・ダンス

【VS.脚本家】「これまで、何人の殺人犯を逮捕したことでしょうか。中には女性の犯人もいました。その誰もが美しく、そして誰もが哀しみを秘めていました。最後の犯人は、その中でも特に美しく、そして、特に、哀しい女性」

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データ

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脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:河野圭太

音楽:本間勇輔

本編時間:100分24秒

公開日:2006年1月5日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 ラスト・ダンス 人物相関図脚本家・加賀美京子は、双子の姉・もみじ、妹・かえでの共同ペンネームであり、このことは業界でも知られていた。かえでは社交的な性格で、ストーリーを考える他にマネジメントや交渉を行い、もみじはプロットを完成させる裏方に徹していた。

そんな折、もみじは脚本の方向性の違いからコンビ解消を申し入れる。冷ややかに応援する妹であったが、双子であることを利用した入れ替わりトリックでアリバイを作ると、拳銃での自殺を装い殺害したのだった。

人物紹介(キャスト)

古畑任三郎 ラスト・ダンス 大野もみじ

氏名:大野もみじ

役者:松嶋菜々子

職業:脚本家

概要:詳しく見る

脚本家の女性。双子の姉妹の姉で、共同ペンネーム”加賀美京子”の名でドラマの脚本を執筆している。妹・かえでが考えたプロットに、セリフや行間を付け加えてドラマとして完成させる作業を担っている。

自分でもストーリーを手掛けることができ、RTVで放送されている『ポタージュ』というドラマの原案を担当している。妹が考える脚本の方向性の違いから、独立して個人でドラマ脚本を執筆したいと告げていた。

引っ込み思案で人間嫌いだそうで、執筆作業以外はアパートの仕事部屋から外出することはない。勤めて2年半になる家政婦・杉浦によると、最近は化粧をして買い物に出かけるぐらいには成長したようだ。引きこもりのような生活を送り、デスクワーク中心であったためか? 3年前に心臓病で入院したことがあるらしい。


古畑任三郎 ラスト・ダンス 大野かえで氏名:大野かえで

役者:松嶋菜々子

職業:脚本家

概要:詳しく見る

脚本家の女性。双子の姉妹で妹で、共同ペンネーム”加賀美京子”の名でドラマの脚本を執筆している。大まかなストーリーを考え、姉はセリフや行間を付け加えて脚本として完成させる作業と分担している。独立したいという姉の思いを、どうせ無理であろうと冷ややかに応援している。

初めて挑戦したという刑事ドラマ『鬼警部ブルガリ三四郎』は、全11回の放送であり、視聴率19.5%という高い評価を受けた。次回作は『ラブ・ポリス』という恋愛ドラマを作りたいと、古畑任三郎をダンスへ誘い骨抜きにすると、警察署を案内してもらう段取りをしてもらっている。「まぁ私が本気をだせばこんなもんね」と男の扱い方を熟知している。

人と会うのが大好きな社交的な性格のため、マネジメントや交渉も行っている。容姿端麗で自信のある態度と決断力。ドラマのヒットメーカーでもあるためにテレビ局側も頭が挙がらないようだ。本業の傍らに、他映画の試写会で舞台挨拶をするなど幅広い活躍をしている。

役者そっちのけでインタビューを受けており、ドラマを音楽で例えると、「椎名林檎さんの過激さと平井堅さんの優しさをブレンドしたみたいな感じ」。主演女優にどんなアドバイスをしたのかと問われると、ハリウッド・スターの名前を挙げるなど表現の幅も広い。

愛煙家であり好きな銘柄は、『バージニア・スリム』である。拳銃は何年か前、暴力団幹部の一家を描いたドラマを考えた際、取材で実際に幹部の人に会って話をしている内に気に入られ貰ったそうだ。ドラマは過激すぎてお蔵入りになったようである。

犯行計画/トリック

『自殺に偽装』

①妹・もみじは、13時にカフェ『ラ・ボエム』で古畑任三郎と待ち合わせする。その後、姉・かえでのアパートに向かうと、秘書・杉浦にタバコを買いに向かわせた間に射殺する。遺書をデスクに置くと、化粧品や洋服を袋に詰め回収する。裏口の戸に本を挟んでおき半開きにさせておいた。

➁秘書のデスクから合鍵を盗み出し作業部屋に鍵を掛ける。秘書が帰ってくると、姉が執筆に集中したいから電話を繋がないようにあったと伝える。アパートから出ると、非常口を登り裏口から再び室内に戻り、ロウソクと爆竹で時間が来ると音が鳴る仕掛けを置いておいた。

➂古畑任三郎のいるカフェへ移動。姉の携帯に電話をかけ嘘のやりとりを演じる。アパートに戻り秘書と会話、しばらくして爆竹が作動する。室内に入ると姉が拳銃で自殺したように見せかけた。

視聴者への挑戦状

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「えー今回の事件はわたしにとって非常につらい結果に終わりそうです。この事件の犯人は自分の実の姉妹を殺して自殺に見せかけました。彼女は殺人を犯した後、いったん外へ出てまたここへ戻ってきました。そして被害者がまだ生きているかのように見せかけた。

問題はそれをどうやって10分でやったのか。今泉君は20分かかったというのに。その方法が分かったとき、わたしは事件の真相にたどりつきました。ヒントはこの水槽。そして彼女はなぜ車に乗らなかったのか。そしてグラスの口紅。古畑任三郎でした」

小ネタ・補足・元ネタ

〇冒頭のドラマ『鬼警部ブルガリ三四郎』は、俳優・誉陽一(小日向文世)が演じる刑事ドラマである。鶴田というどこか抜けている刑事と、トメ子という女性が登場し事件を解決していくらしい。全11作のようで、視聴率は19.5%と高視聴率である。

大野かえでは刑事ドラマは初挑戦だったらしく、監修の古畑任三郎がアドバイスを受けたそうである。そのためか、キャラのイメージは古畑や今泉に寄せている。古畑がアドバイザーとなった理由は、番組プロデューサーから警察の広報課に問い合わせがあり抜擢されたらしい。そのため違法ではない。

〇アリバイ作りに利用され目撃者となったマネージャー・杉浦を演じた「松金よね子」氏は、16話『ゲームの達人』で家政婦・亀山を演じている。ゲームの達人でも、爆竹を利用したトリックで、たった今銃で自殺したように思いこまされる目撃者を演じていた。

〇作中に登場したRTVの『ポタージュ』というドラマのプロデューサー・海老沢は、19話『VSクイズ王』で登場していた。バラエティー番組からドラマ部門の方に異動になったようである。ちなみに毎週水曜日9時からオンエアされるそうだ。

〇18分~古畑任三郎が扱った事件について語るシーンがある。会話の内容から、20話『動機の鑑定』である。

〇『銃声とピエロの人形』のアイディアは、刑事コロンボ『ビデオテープの証言』を参考にしている。『双子の殺人』というモチーフとしては、『二つの顔』をイメージしている。

まとめ

田村正和氏が全編を通じて登場する、「古畑任三郎」の最終回になります。後は番外編「古畑中学生」の冒頭でちょっとだけ登場するだけなんですね。DVD特典インタビュー前編での三谷幸喜氏によると、今まで描かれることが少なかった『古畑の内面』を強調した作品になっているようです。

これまでの作品を観てきた方はお分かりだと思いますが、古畑さんは生粋のフェミニストであり、女性への気遣いが素晴らしいんですね。1話『死者からの伝言』の犯人・小石川ちなみの名前も挙がり、悲しい結末に陥った女性犯人に対し、古畑はどう寄り添っていくのかを最終話にも持ってきてみせました。

また、双子という設定であり、入れ替わりが行われたのではないかという視聴者にミスリードを孕ませます。一体どちらが殺したのか? 本当に入れ替わったのか? とひねくれて考えることもできるため、犯人視点で進む倒叙形式でありながら犯人当てもすることができる構成なんですね。

三谷幸喜×河野圭一 対談(2006年)撮影を終えた田村正和さんはこう述べていたようです。

三谷「本当せいせいしたみたいな感じでおっしゃってましたからね。凄い楽しげでしたもんね。やっと終わった、もうセリフ覚えなくていい。こんな嬉しいことはない。あんな明るい田村さん久々に見た。本当に嬉しそうでした(笑)」

河野「いやぁ……。本当気持ちいいって帰って行きましたからね(笑)」

この後の三谷さんの締めが実に素敵でした。

「でも田村さんこうおっしゃってまして。眠狂四郎は自分以外の役者さんが演じているバージョンもあるけれど、古畑に関しては俺しかやってないんだ。そういう自負、こだわりがありましたね」

2021年4月3日に逝去された田村正和さん。10年以上にわたり、みんなが愛した名刑事・古畑任三郎を演じてくださり本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

以上、『ラスト・ダンス』でした。