古畑任三郎 31話『アリバイの死角』古畑、歯医者へ行く

古畑任三郎 31話 アリバイの死角 古畑、歯医者へ行く

【VS.歯科医】「歯周病の原因は細菌と言われています。例えば歯周病を引き起こす細菌として考えられるのは、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンスがあります。ずいぶん長い名前ですね。一応覚えておきましょう。アクチノバシラスアクチノミセテムコミタンスです。はい、ご一緒に。アクチノ…」

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データ

データ:詳しく見る

脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:佐藤祐市

音楽:本間勇輔

本編時間:46分08秒

公開日:1999年5月4日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 31話 アリバイの死角 古畑、歯医者へ行く 人物相関図

歯科クリニック院長・金森晴子は、自分を捨てた恋人の営業職・山村淳一への復讐を計画する。麻酔をして山村の歯の治療を終えると、鎮痛剤を処方した。同じく歯の治療をしに来た古畑任三郎の顔にガーゼを被せると、飛び込みの患者と偽り助手・瀬川エリに治療を行わせた。

その間、金森はクリニックを抜け出すと、近くのコーヒーショップで男装。山村のいるオフィスのトイレに身を潜めた。会議をしていた山村は、麻酔の効き目がなくなり、痛みを抑える鎮痛剤を飲むためにトイレに駆け込んできたところを射殺した。

再びコーヒーショップで着替え、クリニックに戻り瀬川から治療を引き継ぐと、犯行時刻は古畑の治療をしていたというアリバイを完成させたのだった。

人物紹介(キャスト)

主犯

今回の犯人:金森晴子(かなもり はるこ)

役者:大地真央

職業:歯科医師

殺害方法:射殺(0.25口径)

動機:復讐

概要:詳しく見る
金森歯科クリニック院長の女性。交際相手の山村淳一から別れを告げられ、経営するクリニックの助手・瀬川エリとの婚約を知ると復讐のために殺害を計画する。治療に訪れた古畑任三郎をアリバイに利用すると、男装して山村のいるオフィスがあるトイレに待ち伏せ。歯の麻酔が切れ、鎮痛剤を服薬しにきたところを射殺した。

山村とは、高校の時に同じクラスだった。その後、道でばったりと再会して8年間交際をしていた。山村の年齢が41歳であることから、彼女の年齢もそのぐらいであろう。助手との結婚を決めた山村から別れを告げられていたが、結婚式に招待するように促し、『てんとう虫のサンバ』を歌うと言ってのけた。

上記のようなやりとりもあり、自身のことは『物事に動じないタイプ』と評価している。しかしこの点から、元交際相手が殺害されたのに悲しそうな素振りを見せないなど今泉慎太郎からでさえ怪しまれてしまう。そのうえ、アリバイ作りに利用した古畑までもデートに誘いだす豪胆さもある。

使用した凶器は『0.25口径の拳銃』で、1発で心臓を撃ち抜いていた(本当に歯科医師か⁉)。アメリカでは、よく女性が携帯するタイプの拳銃であるそうだ。

歯科医師という職業柄、何か少しでも食べたり飲んだりした後は、歯を磨かないと落ち着かないらしく、携帯用の歯磨きセットを常備している。助手・瀬川のセリフから、鼻からの風邪に弱いらしく、同じ風邪薬を買いに向かわせているようだ。


被害者

今回の被害者:山村淳一(やまむら じゅんいち)

役者:陰山泰(かげやま たい)

職業:営業職

概要:詳しく見る
41歳、「オゾノ物産株式会社」営業職の男性。金森晴子とは高校の同級生であり、その後道でばったりと再会。8年間交際をしていたが、彼女よりも若く、そのうえ金森のクリニックで働く・瀬川エリと結婚をするために別れを告げてしまった。

オゾノ物産の会議の内容を聞くと、「エクアドル産のカカオ豆」「日本ではガーナ産に押され……」「国内大手のユニコーン製菓」など内容があり、お菓子関係をメインにする貿易会社だと思われる。

オゾノ物産株式会社:案内図
5F 受付
6F 営業本部
7F 会議室
8F 管理事業本部

犯行計画/トリック

『古畑をアリバイ証人する』

①金森晴子は、山村淳一の歯の治療を行う。麻酔の効き目がなくなった時に飲む鎮痛剤を処方した。助手・瀬川エリに、「鼻水が止まらない」と風邪薬を買いに向かわせると、治療室の目印、『クマ』と『ウサギ』のぬいぐるみを入れ替え、古畑任三郎をウサギの部屋に入るように誘導した。

②治療中は古畑の顔にガーゼを被せる。瀬川がクリニックに戻ると、「佐竹という飛び込みの客が入った」と偽り、ウサギの部屋にいる古畑の治療をさせた。その間、金森はクリニックを抜け出すと、近くのコーヒーショップで男装。山村のいるオフィスのトイレに身を潜めた。

③麻酔が切れ、鎮痛剤を服用するためにトイレに駆け込んできた山村を射殺。鎮痛剤の袋、財布を回収すると、物取りの犯行に見せかけた。再びコーヒーショップで着替え直しクリニックに戻ると、瀬川から治療を引き継いだ。犯行時刻は、古畑が金森から治療を受けていたと証言してくれる。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!表示する

〇金森晴子と被害者は恋人関係にあったが、助手・瀬川エリと結婚するつもりで別れられていた。

〇診察の間、患者の顔をガーゼで覆うため、先生が別の人間と代わっても絶対に気が付かない。逆に、先生は治療中に大きなマスクをするので、別の人間とすり替わっても絶対にバレない。

〇男子トイレで犯人を目撃した人の証言によると、センサーで水が流れるのを不思議そうに何度も確認していた。まるで男子トイレに初めて入ったようで物珍しそうにしていた。これは、男装した女性である。

視聴者への挑戦状

ネタバレ注意‼

「えーこんなケースは初めてです。まさか私自身がアリバイ作りに利用されるとは思ってもいませんでした。えー山村さんを殺したのは間違いなく金森先生です。今日はこれから、ちょっとした実験をやってみようと思います。

ただ敵はかなり頭のいい方です。うまく引っ掛かってくれるかどうか。今日のポイントは、私はなぜ彼女が怪しいと思ったか。古畑任三郎でした」

小ネタ・補足・元ネタ

〇トリックとしては、犯人が被害者が部屋から出る時間を知ることができたのかという、刑事コロンボ21話『意識の下の映像』をモチーフにしていると思われる。事件解決方法としては、刑事コロンボ27話『逆転の構図』が元ネタである。

〇3分39秒~「安斎の紹介で来た」とクリニックに来た経緯を古畑任三郎が語る。次話『古畑、古い友人に会う』の犯人・安斎亨のことである。

〇助手・瀬川エリを演じたのは、『伊藤裕子』氏である。

〇コーヒーショップの店長・花田を演じたのは、『八嶋智人』氏である。

〇オゾノ物産の会議の内容を聞くと、「エクアドル産のカカオ豆」「日本ではガーナ産に押され……」「国内大手のユニコーン製菓」など内容があり、チョコレート関係をメインに輸入している貿易会社だと思われる。

29話『忙しすぎる殺人者』の犯人・由良一夫が企業に招かれ講師をしていた内容を振り返ると、「男性がチョコレートを食べる年齢」などを議題としており、会議室も似ている。おそらくオゾノ物産で講話を行っていたのだと思われる。

まとめ

トリックと推理パートが惜しいエピソードなんですね。アリバイ作りのため、古畑任三郎の治療を助手に入れ替わらせる。さすがに、「痛かったら手を挙げてくださーい」「終わったので水でうがいを」ぐらいの会話があるはずなので成功する保障は薄そうです。

推理と捜査パートに関しても、『今泉と西園寺くん』がメインとなっており、肝心の古畑VS犯人の構図が薄くなってしまっているんですね。それに加え、花田の登場。『黒岩博士の恐怖』で登場したファミレスの店員で登場し、今後も様々な職業で登場するんですね。

花田のセリフは、「犯人は○○で動機は○○だな。殺害方法は○○」など、まるで冒頭からストーリーを見てきたようなメタ発言です。視聴者もストーリーを見てきたわけですので、このメタを楽しめなければ2重で説明を受けることになり、煩わしくも感じるんですね。

この花田の登場は1回限りではなく、今後も多く、古畑警部補の活躍が少なくなることにも繋がってしまいました。今泉、西園寺、向島(東国原)、花田……。捜査側の登場人物が多くなるにつれ、処理しきれなくなってきた印象も受けます。

(出典不明ですが、捜査陣の人物が増やしたのは田村正和氏のセリフ量を減らすためとの噂も)

視聴者への挑戦状でもある、『なぜ彼女が怪しいと思ったか』のポイントについては。視覚で得られる情報ではなく、テレビでは伝わらない情報であるのも難しい演出でした。

以上、『アリバイの死角』でした。