古畑任三郎 29話『忙しすぎる殺人者』その男、多忙につき

古畑任三郎 29話 忙しすぎる殺人者 その男、多忙につき

【VS.メディアプランナー】「テレビを見ながら食事をする人、いらっしゃいますよね。お風呂の中で雑誌を読む方、いらっしゃいますよね。ただ、私からのお願いです。人を殺す時くらいはどうか、殺人に集中してください」

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データ

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脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:鈴木雅之

音楽:本間勇輔

本編時間:46分05秒

公開日:1999年4月20日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 29話 忙しすぎる殺人者 その男、多忙につきメディアプランナー・由良一夫は、都議会議員・岩田大介からの出資を受けフレンチレストランを開業しようとしていた。しかし、儲け度外視という考え方であり、岩田は事業への融資から手を引くと告げたため、殺人を計画する。

その晩、由良はホテルの自室で秘書・品田と固定電話でやりとりを行う。わざと通話を切ると、今度は携帯電話からやりとりを続けた。岩田とも話をする約束をしており、彼の部屋に訪れるとサイレンサー銃で射殺した。

犯行時刻は自室で秘書と電話でやりとりをしていたというアリバイがあり、岩田は不倫騒動の末に自殺したという筋書きを完成させたのだった。

人物紹介(キャスト)

主犯

今回の犯人:由良一夫(ゆらかずお)

役者:真田広之

職業:メディアプランナー

殺害方法:射殺(9㎜口径のピストル)

動機:融資を継続して受けるため

概要:詳しく見る
メディアプランナーの男性。クライアントの岩田大介から、新事業のための融資を受けていたが、儲け度外視という考え方に理解が及ばず融資から手を引くと告げられる。継続して融資を受けるために、岩田を自殺に見せかける殺害を計画した。

社名は『株式会社ユナイテッド・プランナーズ』で、住所は「東京都港区南青山8‐1‐12 プレジュール青山3F」にある。秘書は品田という女性である。多忙を極めており、常に携帯電話で仕事のやりとりを行い、車で移動している際にも企画について話し合いをしていた。

仕事内容は多岐に渡り、「何でも屋」と自らを呼んでいる。都議会議員・岩田大介のブレーンとしては選挙のスピーチや、イメージアップも考えていた。ドラマの企画も手掛け、『奥様は48歳』という番組を考えていた。主演は「十朱幸代」と「香取慎吾」にするつもりだったらしい。

企業についても営業戦略の研修講師として呼ばれていた。『男性がチョコレートを食べる年齢』は、バスタブ曲線によって視覚化でき、企画を立てる上で重要なのはリサーチであると語った。

自身もデータとリサーチを重要視しており、会話の中で度々統計結果を元に話をする。

「暗記して話すのとメモを見ながら話すのとでは、聞き手が理解する情報量が3倍は違う」
「朝食を食べない人間は食べる人間に比べて寿命が短いというデータがある」

だが、新事業『フレンチレストランの開業』だけは、「人のためだけに働くのが虚しくなってね」と、マーケティングは一切せず、人が何を求めるのかではなく、自分が何をやりたいかを店のコンセプトに掲げてのことだった。

かなりせっかちな性格であり、朝食のコーンフレークはカチャカチャと何度もスプーンでコーンを浸していたり、エレベーターが到着するまで何度もボタンを押しているなどせわしない。


被害者今回の被害者:岩田大介(いわた だいすけ)

役者:佐渡稔(さわたり みのる)

職業:都議会議員

概要:詳しく見る

都議会議員の男性。メディアプランナー・由良一夫をブレーンとし、政治活動を行っていた。『クリーンなイメージ』を全面的に押し出していたが、週刊誌に愛人がいたことを掴まれてしまう。それを打破するべく、記者会見の原稿を由良に頼んだ。

その内容は、愛人の存在を全面的に認め、ジョークを交えるというものだった。「隠せば隠すほど大衆は妄想を膨らませるもの。むしろ思い切って大衆の前に出ていくべきである」という由良の考えを鵜呑みにして、世論から大きく反感を買ってしまう。

都議会議員の他に、『コスモ商会』という会社のオーナーの一面もある。由良の新事業にも融資をしていたが、採算が取れないだろうという考えのもと融資から手を引こうとしていた。スペイン語が堪能である。

犯行計画/トリック

『犯行時刻には自室で電話をしていたというアリバイを主張』

①由良一夫は岩田大介から、愛人騒動に対するスピーチ原稿の作製を頼まれる。そこで由良は、わざと失墜させるようなスピーチ内容を書き上げる。岩田は記者会見でその原稿内容を話し、世論の反感をかってしまう。

②その晩、由良はホテルの自室で、秘書・品田と電話で仕事のやりとりを行う。わざと固定電話の通話を切ると、秘書から再度電話が掛かってくるのを待つ。今度は携帯電話で秘書とやりとりを続けた。

③岩田と話をする約束になっており、彼の部屋に入るとサイレンサー銃で射殺。もう1発でテレビを打ち抜いた。テレビの有料チューナーは故障し、時刻は21時08分。犯行時刻には由良は、自室で秘書と電話で仕事のやりとりをしていたというアリバイを主張できる。また、岩田は不倫騒動で自殺をしたという筋書きを作った。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!表示する

〇被害者は、ホテルのマッサージサービスに30分おきに5回電話を掛けていた。しかも、スタッフが出るとすぐに電話を切った。被害者はマッサージサービスを呼ぶつもりがなかったのではないか?」

マッサージを呼ぶ時は、内線の『200』を押す。部屋から部屋に電話を掛ける時には、ルームナンバーの頭に『5』を押す。被害者はそのことを知らずに電話を掛けていた可能性がある。200で始まる部屋番号の客は、『2009』号室の由良だけである。

〇犯行時刻、由良は秘書と電話で仕事の打ち合わせを行っていた。その際、秘書に電話を掛け直させていた。ホテルの電話履歴には、21時4分と21時17分は部屋の電話を使用している。その間の時間は携帯電話を使用していたのはなぜなのか?

→ホテルの電話は通話料のほかチャージ代が加算される。携帯電話は会社で無料通話の契約をしているため、出費削減のために使用した。

〇由良が企画で参加しているフレンチレストランを発注したのは、『コスモ商会』という会社である。そのオーナーは被害者だった。由良は被害者と面識がないと言っていたが、社員は2人が話をしている姿を見ている。

〇犯行現場には、犯人のものと思われる手袋の指紋が残っていた。それは右手だけだった。左手は何かをずっと握り閉めていたのではないか? 例えば携帯電話。犯人は携帯電話を掛けながら犯行に及んだ可能性がある。

視聴者への挑戦状

ネタバレ注意‼
「えー、由良さんを逮捕するためには、彼が犯行時刻あの部屋にいなかったことを証明しなければなりません。しかし、私の推理が正しければ、今度こそ由良さんの尻尾を掴んだようです。彼が犯したミスは一体何だったんでしょうか。解決編はこの後すぐ。古畑任三郎でした」

小ネタ・補足・元ネタ

〇由良一夫が次回のドラマのキャストとして、『SMAPの香取慎吾』を挙げていた。そのため、#26『古畑任三郎 vs SMAP』よりも前に起こった事件と考えられる。

〇演出を担当したのが、スペシャル回『古畑任三郎 vs SMAP』『黒岩博士の恐怖』を担当した、「鈴木雅之」氏である。これが唯一の通常回の演出を担った。

〇舞台となった『井沢ホテル』のロケ地は、『オークラ アクトシティホテル浜松』である。

まとめ

アリバイ崩しがテーマの作品なんですね。『ホテルの自室で電話をしており犯行現場には行っていない』という犯人の主張。自室にいたことの不在証明or犯行現場にいたことの存在証明をしていくことになりました。

『その男、多忙につき』は、クライマックスでのカタルシスがあまり感じられない作品となった。それは、鈴木演出が「由良の部屋の位置関係」を伏線として予め視聴者に提示しておくという作業を避けているからである。『古畑任三郎事件ファイル』より引用

古畑任三郎の素晴らしい考察サイトとしてありブログなのですがまさにコレです。

#3『笑える死体』でもありましたが、『1番目につきやすいものほど見つけにくいという心理学の鉄則』と視聴者への挑戦状で述べておりますが、残念ながらそれが画面内に一度も登場していないという演出になっていました。

本エピソードの『忙しすぎる殺人者』も、犯人が多忙のあまり忘れていた出来事が詰め手になります。会話の中で伏線としての言葉が出ておりますが、部屋の位置関係が提示されていなかったために、そこの部分は視聴者側は雰囲気に飲まれる形で納得をする結果となります。

それを補うために、最後に古畑任三郎がわざわざフリップを用意してまでの解決編。大胆な結末と、犯人を演じた「真田広之」氏の好演を楽しめるエピソードではあります。