古畑任三郎 26話『古畑任三郎 vs SMAP』友情、努力、敗北

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【VS.アイドルグループ】「新年明けましておめでとうございます。早速ですが、『三本の矢』の話をご存じでしょうか。戦国武将毛利元就はこんな事を言いました。『矢は一本一本は非常に折れ易い。しかし、それが三本集まれば決して折れる事は無い』と。

やってみましょう。(簡単に折ってみせる)
4本ではどうでしょうか。(簡単に折ってみせる)
では、5本ではどうでしょうか。(なかなか折れない)

ちょっとお待ちください、今泉くん、足。(膝立ちになる今泉の足を使い折った)
問題はですね、矢の数では無いんです。要は、誰が折るかという事で」

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データ

データ:詳しく見る

脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:鈴木雅之

音楽:本間勇輔

本編時間:136分40秒

公開日:1999年1月3日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 vs SMAP 人物相関図アイドルグループ『SMAP』のメンバー・草薙剛は、ゆすり屋・富樫明男から叔父に関する秘密を握られていた。秘密を黙認する見返りに、多額の金銭を要求してきたのだった。他のメンバーの中井正弘、木村拓哉、稲垣吾郎、香取慎吾は草薙と共に、富樫を抹殺する計画を企てる。

SMAPは、富樫が個室に1人になる状況を作り上げ、お互いに証人となりアリバイを完成させた。搬入用エレベーターの上部に乗り込んだSMAPは、注文した弁当を店主が運ぶタイミングで、富樫のいる4Fのスタッフルームに上がる。彼をロープで絞殺すると、密室での首つり自殺に偽装したのだった。

人物紹介(キャスト)

中居正広 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「古畑任三郎 vs SMAP」より引用』】

今回の犯人:中居正広 

役者:中居正広

職業:アイドル

殺害方法:絞殺(ロープ)

動機:草薙剛をゆすり屋から救うため

概要:詳しく見る
アイドル・グループ『SMAP』のリーダーである男性。草薙剛が富樫明男から脅迫を受けていることを知り、木村拓哉が考えた殺害計画に加担した。搬入用エレベーターを使うように弁当を150人前注文する段取りを組む。弁当屋が3Fにあるリハーサル室に弁当を運ぶ間、エレベーターの上に乗るメンバーを4Fスタッフルームへ導いた。

殺害は最後の手段と捉えており、計画実行前にはもう1度、富樫と話し合う機会を作った。しかし、彼から提案は却下されることになる。ここで腹をくくったらしく、「SMAPは終わらせない」「悪いけどあんた、地獄におちるよ」と計画を実行する決意を固めた。

リーダーとして先陣を切り進路を取るタイプではなく、縁の下の力持ちのようにメンバーを支え、グループを活かそうとしている。誰よりもSMAPというグループを愛し、メンバーを思いやる信念を胸に秘める。自分を犠牲にし、時には反感を買ってまで守りたい存在がそこにはあったようだ。

『どっちが本物』というテレビ番組の司会をしている。出演者が本物と偽物を当てる内容であり、エピソード内では、金の延べ棒を豆腐で作った偽物を当てるものであった。


木村拓哉 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「古畑任三郎 vs SMAP」より引用』】

今回の犯人:木村拓哉

役者:木村拓哉

職業:アイドル

概要:詳しく見る
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。富樫明男の殺害計画の立案者であり、冒頭では香取慎吾と一緒にエレベーター天井のネジを外し、ツアースタッフに紙の雪を降らしたいと持ち掛け富樫が1人になる機会を作った。殺害実行時には先陣を切って富樫の首にロープを巻き付けていた。

「やるからには完全犯罪」と、富樫をツアースタッフに雇い入れることからスタートした壮大な殺人計画を描いた。その確かな計画性と緻密さでメンバーからの同意と協力を得た一方で、性格としては喧嘩早く不良じみた言動を兼ね備えている。

「知恵の輪ってあるでしょ。あれと一緒ですよ。考えれば考えるほど泥沼にはまっていく。答えは案外簡単なんじゃないですかね?」

「友情ってのは俺の場合、ちょっと違うかもしんないすね。しいて言えば挑戦かな?
あ、坂本龍馬っているじゃないですか。彼って別に日本の将来のことを考えて頑張ったんじゃないと思うんですよね。ただ自分で新しいことがやりたかっただけなんじゃ」

例え話が好きなようで、古畑に対し上記の会話をして聞かせた。99分08秒からの坂本竜馬の下りは、あまりにも唐突に出て話をしたため、古畑も思わず「は?」と真顔で返事をするシ-ンは作中でも屈指の迷場面であり、思わず笑っちゃった管理人のおすすめポイントである。


草薙剛 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「古畑任三郎 vs SMAP」より引用』】

今回の犯人:草彅剛

役者:草彅剛

職業:アイドル

概要:詳しく見る
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。叔父が違法な仕事に手を出していたというネタで富樫明男から脅迫を受けてしまう。多額の金銭を要求されたことから、他のメンバーと共に富樫の殺害実行した。

叔父については、過去に車同士の接触事故を起こしてしまう。相手は富樫明男というゆすり屋で、多額の損害賠償を請求される。叔父は誠意をもって対応していたが弁済能力がなくなると、富樫は薬の運び屋に就かせた。やがて叔父は離婚、自宅を失い自殺をした。ふくよかな体格なようで、「丸いおじさん」とメンバーからは呼ばれていた。

元々は殺害実行に加わる予定はなく、スタッフと衣装合わせをすることで完璧なアリバイを作っておく手はずであった。直前になり、「1人で待っているなんてできない」と、当初4人での殺害計画であったが、急遽 草薙が加わり5人となる。

結果として、富樫のいる部屋に上るための搬入用エレベーターが重量オーバーになってしまったり、富樫に肩を掴まれ負傷したことで「青いイナズマ」の振付を変更。香取が偽をアリバイを証言して、他のメンバーのアリバイも崩れることになったりと古畑任三郎から大いに怪しまれることに繋がってしまった。

冒頭から終始、「皆ごめん、俺のせいだ」「みんなに悪いよ」と、富樫を殺害することになってしまったことについて自責の念に駆られていた。実際、彼が計画に加わらなければ完全犯罪は成功していたのだろうか?


香取慎吾 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「古畑任三郎 vs SMAP」より引用』】

今回の犯人:香取慎吾

役者:香取慎吾

職業:アイドル

概要:詳しく見る
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。エレベーター天井のネジを外しておき、富樫明男に手品に使うためだとロープを購入させる。その後、4Fにある使われていないスタッフルームを教えたり、木村拓哉と偽りの喧嘩を演じ、怒りに乗して草薙剛のステージ衣装を破るなど計画の中心を担った。

他のメンバーより年が若く、幼さを感じさせるようなムードメーカー的な存在である。前向きな性格で非常に仲間思いでもあり、予定にはない草薙剛の殺害計画への参加をメンバーに促した。メンバー内で提案される計画に反対することはなく、まずはやってみようという精神である。

一方で洞察力に優れる。中井正弘が身に着けていた『ビーズの腕輪』の数珠の数を性格に記憶していたり、中井が架空のガードマンの制服を用意し、犯人をでっちあげようとした際には、『東京衣装』のタグから足がつくことを指摘した。

トレーニングルームでは筋トレをしており、体格がとても良い。他のメンバーに比べ、体重は20㎏以上重い。


稲垣吾郎 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「古畑任三郎 vs SMAP」より引用』】

今回の犯人:稲垣吾郎

役者:稲垣吾郎

職業:アイドル

概要:詳しく見る
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。富樫明男の殺害には直接加担はせず、エレベーターを3Fに留めておくために、弁当の入った段ボールを元の位置に戻すタイムキーパーとしての役割を担った。

冷静沈着でどこか客観的。悪く言えばマイペースで個人主義な一面があり、発言や言葉数も少ない。そのため、誰かが仕組んだとしか思えない証拠品を仕掛けた裏切り者として木村拓哉から疑いをかけられた。

踊りを覚えるのが苦手らしく、人目を忍んで密かに練習に励んでいる。劇に出演するようで、ハロルド・ピンターの『背信』という舞台の稽古をしていた。


富樫明男 古畑任三郎

【©フジテレビビジョン『警部補 古畑任三郎「古畑任三郎 vs SMAP」より引用』】

今回の被害者:富樫明男(とがし あきお)

役者:宇梶剛士

職業:ツアースタッフ(ゆすり屋)

概要:詳しく見る
41歳男性。3年前、草薙剛の叔父が運転事故を起こし自身の車にぶつかった。大したケガではなかったが、叔父に多額の損害賠償を請求する。相手に弁済能力がなくなると、不法な仕事に就かせて自殺に追いやった。今度は草薙剛に対して、『叔父は金に困り薬の運び屋をしていた』ことをネタに脅迫をする。

草薙から仕事を斡旋してもらい、ツアースタッフとして働いているが戦力外である。もちろんやる気もなく、もっぱらタバコを吸いながら新聞を読んでいた。他のスタッフから頼まれて『紙の雪』を作製したが、途中から面倒になり”△”に切るように指示されていたところを”□”に切っている。

普通ならクビにしたいところだが、草薙はスタッフにお願いして留めてもらっているようだ。スタッフによると「剛は俺には頭が上がらない」と話していたとのこと。草薙には1000万円を要求しており、払ったとしても彼の性格なら、同じようにまた金を要求してきたであろう。

香取慎吾から、内緒でロープを購入してきて欲しいと1万円を渡される。最初は面倒だからと断ったが、お釣りは貰っておいてと言われ乗り気になった。ロープを購入してきたものの、領収書を書いており、後から払った分を貰おうとするなどセコイ面も見られる。

領収書を見てみると、『中島大工センター』という店から購入し、代金は2064円であった。遺体発見時、所持品の中には『キシリトールガム』があった。郵便の不在届や、洗濯物の引換券が溜まっていることから、西園寺守刑事は独り身であると推理している。

犯行計画/トリック

【密室での首つり自殺に偽装】

①富樫明男を、ツアースタッフとして雇い入れる。その後、昔からよく利用していた会場でコンサートを開催する手はずを組んでもらった。会場の構造は熟知しており、スムーズに行動できる。

②木村拓哉と香取慎吾は、搬入用エレベーター天井の蓋を留めるボルトを外しておく。
16時20分~木村はスタッフリーダー(松坂)に、『紙の雪』を降らせてほしいと頼む。香取は『手品で使うロープ』を買ってきてほしいと、富樫に頼んでロープを購入させた。

③ツアースタッフ(丸山)は、富樫明男に『紙の雪』を作るように促す。香取は、富樫から買ってきてもらったロープを受け取る。香取は、紙の雪を作っている富樫に対し「もっと静かな所ですればいいのに」と、4階にあるスタッフルームへ案内した。

④17時20分~スタッフの前で、木村と香取がわざと喧嘩をする。怒り心頭の香取は、草彅剛のステージ衣装を引き裂き、中井正弘が仲裁に入る。スタッフは香取を落ち着かせようと機材室に閉じ込め、中井はスタッフから機材室のカギを預かった。

⑤中居は、怒っている木村は自分が説得したいと、映写室で2人きりで会話をする。映写室の中では、ラジカセで2人(中井と木村)が言い争う音声を流しておく。草薙は、破れたステージ衣装を修復するために、衣装スタッフと修繕を行っている。

⑥稲垣吾郎は、コンサートの余興で使用するカスタネットの紐をわざと切る。スタッフには、代わりにタップダンスをすると話し、練習のためにレッスンホールを借りた。中井と木村は見つからないように移動して、機材室にいる香取を連れてレッスンホールに集まった。

⑦中井、木村、香取、稲垣の4名で殺人を行う予定であったが、そこに草薙もやって来る。急遽、5人で実行することになった。SMAPは搬入用エレベーターの天井裏に上る。中井は150人前の弁当を注文しており、弁当屋は搬入用エレベーターで3Fまで上がる。

⑧3Fにエレベーターが止まっている間、『中居、木村、草薙、香取』の4人は、富樫のいる4Fのスタッフルームに侵入する。殺害が完了するまで稲垣は、弁当の入った箱をエレベーター内に戻して時間を稼いでおく。富樫の首をロープで締め上げて、首つり自殺したように偽装した。

⑨急遽、草薙が計画に加わった。本来ならば、ステージ衣装を修繕するため、衣装スタッフと一緒にいるというアリバイがあった。そのため、香取が閉じ込められていた機材室の窓から、草薙が柔軟体操をしていたというアリバイをでっちあげた。

⑩中井と木村は映写室で会話。香取は機材室に閉じ込められ、窓の外では草薙が柔軟体操をしているのを目撃した。稲垣はレッスンホールでタップダンスの練習をしているという、それぞれのアリバイが完成し、借金取りに追われている富樫は首つり自殺したという筋書きが出来上がった。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!表示する

〇被害者のポケットには、首つり用のロープを購入した時の領収書が入っていた。日付は今日になっており、これから自殺する人間が領収書を貰うだろうか?

〇コンサート本番になり、SMAPは『青いイナズマ』の振り付けをガラリと変えていた。スタッフの話しによると、このようなことは初めてである。

〇事件日に限り、木村と香取が喧嘩をして、稲垣のカスタネットが壊れて、柔軟体操をしている草薙を香取が見ている。木村は紙の雪をスタッフに作らせ、中井は150人分もの弁当を注文し、草薙の衣装が破れ、振り付けが変わった。たまたまが重なりすぎている。

〇スタッフによると被害者は「剛は俺には頭が上がらない」と言っていたという。しかし、被害者が持っていたSMAPのサインは偽物だった。一方では仕事の世話をしてやるほど仲がいいのに、一方ではサインを断るほど仲が悪い関係である。

〇草薙と会話した際、飛んできた野球ボールを子供に投げ返さなかった。通院した病院の先生によると、右上腕部の打撲である。誰かに非常に強く掴まれたら、そのような痣ができるという。

〇トイレでガードマンの衣装が発見された。犯人が着ていたとしたら、どうして置いていったのか?犯人は裸で帰ったことになる。もし、衣装の下に何かを着込んでいたら、着膨れして不自然だ。何か着替えを持ってきたならば、鞄に入れてきたはず。なぜ、それに詰めて帰らなかったのか。

視聴者への挑戦状

「えー、SMAPの5人は血からを合わせて、憎むべきゆすり屋をこの世から葬りました。確かに同情すべき点は多い。しかし、犯罪は犯罪です。えー、残念ながら今回は決定的な証拠はありません。

そういう場合は、犯人に自供してもらいましょう。5人全員は無理でも、1人を落とすことは簡単なことです。実はこれから、ちょっとした罠を仕掛けてみようかと思います。問題はですね。ターゲットを誰にするか。誰ならば、1番簡単に口を滑らせてくれそうか。

えー、責任感の強い彼か(中居正広)。悩める青年か(草薙剛)。個人主義の彼か(稲垣吾郎)。
一見お調子者のムードメーカーか(香取慎吾)。それとも挑戦的なこの男か(木村拓哉)。
えー、私……。はい、古畑任三郎でした」

三幕構成

古畑任三郎 VS SMAP 三幕構成

小ネタ・補足・元ネタ

三谷幸喜氏による冒頭の台詞:表示する
〇「とあるコンサート会場のスタッフルームで1人の男が殺されます。彼はこの部屋で首を吊った状態で発見されました。一見、自殺に思われましたが幸いなことに殺人事件でした。自殺では、2時間40分のドラマを僕は持たせることができなかったのです。

現場に残されていた証拠です。何かの玉。紙の雪、舞台で使うものです。そして、サイン入りの色紙。事件を解決するために1人の男が呼ばれます。魚肉ソーセージとゴールデンハーフの大ファンであり、犯行現場に自転車でやってくるあの男です」

〇SMAPのマネージャー役は『前田恵子』氏である。三谷幸喜氏の作品に出演する常連だ。声優として『アンパンマン』役で有名でもある。

〇OP映像が特別演出になっており、SMAPメンバーの画や陰影が映る。最後には、『この事件は創作です。古畑任三郎は架空の刑事であり、SMAPは架空のSMAPです』と注意書きが表示される。登場するSMAPは、『キンダーハイム』という孤児院出身の設定である。

〇犯人の富樫明男を演じた『宇梶剛士』氏は、11話『さよなら、DJ』のディレクター役でも登場している。名前は不明であり、富樫と同一人物なのかは不明である。

〇稲垣吾郎がわざと紐を切ったカスタネットは、20話『動機の鑑定』の冒頭で、古畑任三郎が”宝物”の1つとして紹介していた。なお、古畑は壊れたカスタネットを目にする機会はない。

まとめ

古畑任三郎が登場するまで56分19秒かかるエピソードなんですね。SMAPのメンバーをそのまま犯人にキャスティングしており、『青いイナズマ』のコンサート風景が流れたり、各々の活躍の場を設けたりとファンには嬉しいサービスが満載になっております。

人気アイドルグループを犯人にするにあたり、被害者は「ひどい奴!」と言いたくなる小憎たらしい人物として描かれてるんですね。視聴者も人間である以上、何か酷い目に遭っている人には情をもってしまうものです。「殺されても致し方あるまい!」と、因果応報な殺人を正当化できる理由になるんですね。

殺人実行時には『動機』というBGMが流れるのも珍しいです。犯人が自白する時に掛かるBGMで、作中でもたびたび流れてもの悲しさが印象に残ります。こういった犯人側に共感しやすくなるシナリオと演出になっており、憎き被害者を演じた宇梶剛士さんが良い味を出してます。

SMAPは2016年に解散。リーダー・中居正広氏も2020年に脱退しました。改めて、三谷幸喜さんの『当て書き』が冴えていますね。役者の個性に合わせて登場人物を描く手法です。このエピソードを見終わった後、その後のSMAPメンバーの動向を見てみますと、各々の性格や個性をうまく掴んでいたと感心するばかりです。

以上、『古畑任三郎  vs SMAP』でした。