アイドルグループ『SMAP』の事件である。役名もそのまま犯人として起用しており、最後に『この事件は創作です。古畑任三郎は架空の刑事であり、SMAPは架空のSMAPです』と配慮した注意書きが表示される。また、フィクションを強調するためか孤児院出身という設定である。OP映像も特別になっており、SMAPメンバーの陰影が映る演出になっているのも見逃せない。
データ
あらすじ+人物相関図
アイドルグループ『SMAP』のメンバー・草薙剛は、ゆすり屋・富樫明男から叔父に関する秘密を握られ、それを黙認する見返りに多額の金銭を要求されていた。SMAPは、富樫が個室に1人になる状況を作り上げると、お互いが証人になりアリバイを完成させる。富樫をロープで絞殺すると、密室で首つり自殺したかのように偽装した。
人物紹介(キャスト)
今回の犯人:中居正広
役者:中居正広
アイドル・グループ『SMAP』のリーダーである男性。草薙剛が富樫明男から脅迫を受けていることを知り、木村拓哉が考えた殺害計画に加担した。殺害は最後の手段と捉えていたが、富樫から提案を断られ決意を固めた。
今回の犯人:木村拓哉
役者:木村拓哉
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。計画の立案者であり、富樫をツアースタッフに雇い入れることからスタートした長期におよぶ殺人計画を描いた。
例え話が好きなようで、99分08秒~の坂本竜馬の下りは、あまりにも唐突に出て話をしたため、古畑も思わず「は?」と真顔で返事をするシ-ンは作中屈指の迷場面であり、管理人のおススメポイントである。
今回の犯人:草彅剛
役者:草彅剛
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。富樫明男から叔父に関するある秘密を握られており、多額の金銭を要求されていた。
今回の犯人:香取慎吾
役者:香取慎吾
アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。他のメンバーより年が若く、幼さを感じさせるようなムードメーカー的な存在である。前向きな性格で非常に仲間思いな人物として描かれている。洞察力に優れ、細かい点を注意深く記憶していた。
今回の犯人:稲垣吾郎
役者:稲垣吾郎
[アイドル・グループ『SMAP』のメンバーである男性。冷静沈着でどこか客観的。マイペースで個人主義な一面があり、発言や言葉数も少ない。今回の被害者:富樫明男(とがし あきお)
役者:宇梶剛士
草薙を脅し多額の金銭を搾取していた男性。草薙から仕事を斡旋してもらい、ツアースタッフとして働いているがやる気もなく戦力外である。普通ならクビだが、草薙がスタッフにお願いして留めてもらっている。
小ネタ・補足・元ネタ
〇SMAPのマネージャー役『前田恵子』氏は、三谷幸喜氏の作品に出演する常連である。『アンパンマン』の声優を担当していることでも有名でもある。
〇犯人の富樫明男を演じた『宇梶剛士』氏は、11話『さよなら、DJ』のディレクター役でも登場している。名前は不明であり、富樫と同一人物なのかは不明である。もし本人であるのならば、迂用曲折あったものだ。
〇稲垣吾郎がわざと紐を切ったカスタネットは、20話『動機の鑑定』の冒頭で、古畑任三郎が”宝物”の1つとして紹介していた。なお、古畑は壊れたカスタネットを目にする機会はない。
刑事コロンボからのオマージュ
まとめ
古畑任三郎が登場するまで56分19秒かかるエピソードである。SMAPのメンバーをそのまま犯人にキャスティングしており『青いイナズマ』のコンサート風景が流れたり、各々の活躍の場を設けたりとファンには嬉しいサービスが満載である。
人気アイドルグループを犯人にするにあたり、被害者は「ひどい奴!」と言いたくなる小憎たらしい人物として描かれている。視聴者も人間である以上、何か酷い目に遭っている人には情をもってしまうものである。「殺されても致し方あるまい!」と、因果応報な殺人を正当化できる理由になるためだ。
殺人実行時には『動機』というBGMが流れるのも珍しい。犯人が自白する時に掛かるBGMで、作中でもたびたび流れてもの悲しさが印象に残る。こういった犯人側に共感しやすくなるシナリオと演出になっており、憎き被害者を演じた宇梶剛士さんが良い味を出している。
SMAPは2016年に解散してしまった。リーダー・中居正広氏も2020年に脱退。改めて三谷幸喜氏の『当て書き』が冴えていると感じる。役者の個性に合わせて登場人物を描く手法である。このエピソードを見終わった後、その後のSMAPメンバーの動向を見てみると、各々の性格や個性をうまく掴んでいると感心するばかりだ。
このエピソードであるが、今後はもう再放送はしないだろう。2022年からデアゴスティーニで隔週刊 古畑任三郎が販売されたのだが、『古畑任三郎 vs SMAP』のみ都合により収録されないのである。過去に販売されたDVDやBlu-rayboxを購入するほかない。
以上、『古畑任三郎 vs SMAP』でした。
SMAPの皆さんが実名で登場するだけでなく、戸田恵子さん演じる前田さんが明らかに実際のSMAPのマネージャーの飯島三智さんをモデルにしていたり、当時SMAPの振り付けを担当していたKABAちゃんさんのパロディキャラが登場したりと虚実織り交ぜた「内幕お遊び」が魅力の本作ですが、本作と「若旦那の犯罪」に登場する「舞台監督の松坂さん」の名前も、おそらく実在の人物で93年の『ダア!ダア!ダア!』以降の三谷さんの演劇作品のほとんどで舞台監督を担当されている「松坂哲生」さんがモチーフなのでしょうね。
白樺香澄様
コメントありがとうございます!
>>SMAPのマネージャーの飯島三智さんをモデル
>>KABAちゃんさんのパロディキャラが登場したり
そうなのですね! 振付師はKABAちゃんモチーフだったのか。
>>本作と「若旦那の犯罪」に登場する「舞台監督の松坂さん」
『絶対音感殺人事件』の白黒回想シーンにも少しだけ登場してましたね。
>>93年の『ダア!ダア!ダア!』以降の三谷さんの演劇作品のほとんどで舞台監督を担当されている「松坂哲生」さんがモチーフ
これも知りませんでした! 名前にしても三谷先生はかなりこだわってますよね。デアゴスティーニで発売されていたらこの辺りが紹介されていたのかもですね。ありがとうございます‼