芳賀「素晴らしい方だったですね。推理力・洞察力に優れていたのはもちろんですが、それ以前に、人間として大きな人でした」
桑原「まあ、控え目に言って天才です。会話の中のほんの小さな矛盾から極めて論理的に犯人を追いつめていく。とても僕らには真似ができないです」
向島「立派な方でした…どうして…(泣く)ごめんなさい」
蟹丸「確かに、優秀な刑事でした。彼みたいな男はもう二度と現れないんじゃないですかね」
今泉「思い出?たくさんありますよ。ある意味では最高のパートナーでした。それがこんな事になるなんて」
向島「(涙で声にならない)」
二本松「ハハハ、古畑任三郎?もちろん覚えてますよ。僕を逮捕した男だ。奴のおかげで僕の人生はむちゃくちゃだ。アーバックル賞まで取った男がこのザマですよ。一生忘れないね」
中浦「任三郎でしょ?覚えてるわよ。私を捕まえた刑事さん。なんかこう髪の毛すごいふさふさなんだよね?どこのパーマ屋行ってんのかな?ねえ、ちょっとそれ聞いといて」
小清水「古畑?知っとるわ、あいつの事は。言いたい事は山ほどあるわ。ひどいやっちゃ」
のり子「感じのいい人だったわね。私は嫌いじゃなかったわ」
南大門「古畑…記憶に無いな」
千堂「古畑さん。覚えてますよ。そう彼については面白い話があってね。教えて欲しい?じゃあこの問題に答えられたら教えてあげるよ。『1926年、アムンゼンが北極横断に成功した時に乗っていた飛行船の名前は?』」
データ
あらすじ
警部補・古畑任三郎は、ある日を境に忽然と姿を消してしまった。テレビ局はこの事態に対し、関係者にインタビューを行っていく。古畑を良く知る同僚の刑事たちや、事件を解決されてしまった犯人にまで及んだ。どこに古畑任三郎は消えてしまったのか……?
親しい間柄である部下・今泉慎太郎は、古畑の早期解決や殺人事件に巻き込まれる回数が多すぎることから、犯罪組織と裏で繋がっており、事件に巻き込まれたと推理した。しかし、古畑が最後に言い残した謎の言葉『ボーズへッド』に辿り着いた。この言葉の真相とはいったいなんであろうか?
登場人物紹介/キャスト
今回の被害者:古畑任三郎
役者:田村正和
職業:警察官
犯行計画/トリック
【古畑任三郎が行方不明になった】
※インタビュー形式で関係者から話を聞いていき、なぜ失踪していたかが徐々に明らかになるストーリー展開です。そのため、犯行計画やトリックはありません。
三幕構成
小ネタ・補足・元ネタ
〇クイズ王・千堂謙吉がエピソード内で出した問題の答え
Q.「1926年、アムンゼンが北極横断に成功した時に乗っていた飛行船の名前は?」
A.「ノルゲ号」
Q.「ジャングル王ターザンとジェーンの間に生まれた子供の名前は?」
A.「ジャック・クレイトン」
〇今泉慎太郎が古畑任三郎を殺そうと思った件に関しては、『古畑任三郎』放映日の深夜に放送された10分間のミニドラマ『今泉慎太郎』、「Episode05.慎太郎危機一髪」での一幕である。
〇24話までの犯人が登場するが、12話「最後のあいさつ」の犯人役を演じた菅原文太氏のみ音声のみの出演である。
まとめ
各エピソードの名場面(かなりのネタバレを含む)と共に振り返る構成になっており、次回作が1999年1月3日に放送された『古畑任三郎 VS SMAP』で、実に3年間の休載に入ってしまいます。これまでの記念碑的なエピソードになるんですね。
いわゆる総集編になります。過去の映像を垂れ流しにすることはなく、古畑任三郎が消えてしまった事件について、関係者にインタビューしていき進むのが魅力的です。逮捕された計24名の犯人たちが、後日談的な話をしてくれるのもファンには嬉しいですね。
事件を調査していく流れで、古畑の性格、捜査方法についての分析もされていきます。特にお気に入りなのが、17分29秒から『同情できない犯人への対応』のくだりで、第8話「殺人特急」の犯人・中川淳一が食い気味に語るやりとりは絶品でした。また、芳賀刑事の毒舌ぶりが堪能できます!
いわゆるメタ演出としては、古畑が犯人に目星をつけるのが早すぎる、殺人事件に巻き込まれ過ぎている、と今泉慎太郎が『古畑は裏で犯罪組織と関与しているのではないか』という視聴者の気持ちを代弁するかの如く話しっぷりです。
以上、『消えた古畑任三郎』でした。