古畑任三郎 40話『今、甦る死』シリーズ屈指の知能犯

古畑任三郎 40話 今、蘇る死

横溝正史作品で『金田一耕助』を演じていた石坂浩二氏をゲストに迎えている。村に伝わる唄になぞらえて名家が不審な死を遂げる。推理小説のようなトリックなど、金田一耕助を意識した設定は物語の期待感が高まる始まり方であった。

finalシーズン第1弾に相応しいシリーズ屈指の知能犯による犯行を堪能できる。

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データ

データ:詳しく見る

脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:河野圭太

音楽:本間勇輔

本編時間:105分37秒

公開日:2006年1月3日

あらすじ

鬼切村の名家・堀部家の当主で『堀部パン』社長・伍平が熊に襲われて死亡しため、跡を継いだのが大吉である。パン工場の経営復活を図るため裏山の売却を進めていたが、副社長の弟・音弥はそれに反対であった。

そんな折、恩師で現在は郷土資料館館長・天馬恭介から音弥は資料整理を頼まれると、かつて自由研究で書いた「完全犯罪」の本を発見する。それを基に、大吉を村に伝わるわらべ唄になぞらえ事故死に偽装、雪が降りしきる地面に一歩も足跡を付けずにアリバイを完成させたのだった。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:堀部音弥

役者:藤原竜也

職業:パン工場副社長

堀部パンの名目上副社長の男性。パン工場の経営悪化に伴い、兄で社長・大吉が裏山を売却する計画を進めたために衝突をする。そんな折、恩師で現在は郷土資料館館長・天馬恭介から資料整理を頼まれると、かつて自由研究で書いた『完全犯罪』の本を発見。村に伝わるわらべ唄になぞらえ事故死に偽装した。


今回の被害者:堀部大吉

役者:千葉哲也

職業:パン工場社長

堀部パンの社長である男性。前社長・伍平が熊に襲われ死亡したことにより、副社長から社長になった。工場の経営状況は悪く、以前より話を持ち掛けられていた、『レジャーランド建設』に関して、裏山を売却する計画を進めた。

小ネタ・補足・元ネタ

〇ロケ地は山梨県にある「 愛川町」、「富士の国やまなし フィルム・コミッション」、「尾県郷土資料館」である。

〇冒頭で村人がリヤカー走るシーンは『悪魔の手毬唄』。レジャーランド建設阻止は『悪霊島』。雪に残らない足跡は『本陣殺人事件』。横溝作品をイメージしていることを強調するため、25分10秒で西園寺くんは、「金田一耕助がでてきてもおかしくないですね」というセリフがある。

〇堀部音弥を演じる『藤原竜也』氏の出世作は、舞台劇『ハムレット』である。今回のエピソードとポジションが似た位置な主人公であり、これを意識したのではないだろうか。

刑事コロンボからのオマージュ

ネタバレ注意

〇構成としては、刑事コロンボ5話『ホリスター将軍のコレクション』14話『偶像のレクイエム』を参考にしていると思われる。

まとめ

『古畑任三郎ファイナル』3部作の第1作目にあたる本作品は、もうこれがラストで良かったのではないかと完成度の高いエピソードである。これまでの形式の基本を守りつつの変化を味わえる、これまで視聴してきたファンだからこそ感じる面白さもあると思う。

古畑任三郎シリーズを初めて見る方にはあまりおススメができず、何作か観た後に真の魅力に気が付ける部分があるだろう。

推理小説のような舞台設定とトリックが見事であった。田舎の村で古い童唄になぞらえた殺人、ゲスト俳優に『石坂浩二』氏を抜擢するなど、金田一耕助シリーズを彷彿とさせるキャスティングはそれだけでも華があるのだ。

以上、『今、蘇る死』でした。

引用・参考文献

●市川崑『悪魔の手毬唄』東宝映画、1977年

●横溝正史『本陣殺人事件』角川書店、1973年

●横溝正史『悪霊島』角川書店、1981年

  1. この話は覚えてます。初放送の時に本当に驚いた記憶がありますね。
    秀逸なのはお約束破りなのに倒叙形式でなければ、古畑シリーズでなければここまで面白くない点ですね。
    普通のミステリー形式なら意外な展開だけど衝撃は薄くなるし、
    ここまで人気シリーズじゃ無ければ視聴者も疑われる可能性がある。

  2. トロント様
    ≫初放送の時に本当に驚いた記憶がありますね
    ≫秀逸なのはお約束破りなのに
    ≫普通のミステリー形式なら意外な展開だけど衝撃は薄くなる
     ファイナルシリーズだからこそ、これまで視聴してきた古畑ファンほどこのストーリー展開には驚かされますよね!