刑事コロンボ 17話『二つの顔』どっちが犯人?

刑事コロンボ 17話 二つの顔
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【VS.双子の兄弟】犯人が最初から分かっている状態で進むのが「倒叙形式」です。しかし、このエピソードは途中で倒叙からミステリーに変貌を遂げます。双子の兄弟のどちらが殺人を犯したのかに焦点が当たるんですね。シーズン2の最終作品、倒叙で犯人当てという遊び心の詰まった作品です。

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データ

脚本:スティーヴン・ボチコ&ピーター・アラン・フィールズ
原案:ジャクスン・ギリス、リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督:ロバート・バトラー
制作::ディーン・ハーグローグ
ストーリー監修:ジャクスン・ギリス
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:74分
公開日:アメリカ/1973年3月25日 日本/1974年7月20日

あらすじ

老いた資産家クリフォード・パリスは、若い娘リサ・チェンバースとの婚約が決まっており、料理研究家の甥デクスター・パリスは、結婚祝うため屋敷に立ち寄り後にした。トレーニングを終えたパリスは風呂に入り汗を流していると、帰宅したはずのデクスターが現れて驚く。

彼は電動ミキサーを取り出しプラグを差し込むと、それを浴槽に投げ込みパリスを感電死させたのだった。しばらくしてリサが、トレーニングルームでエアバイクを漕ぎパリスが死んでいることを発見する。当初はトレーニング中の心臓麻痺と思われたが、コロンボの捜査により殺人の可能性が見られ、遺産を相続するデクスターに捜査の目を向けようとするのだが、屋敷に現れたのは一覧双生児で、まったく同じ外見をした銀行員の兄ノーマン・パリスだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人?:デクスター・パリス
役者:マーティン・ランドー

吹き替え声優:滝田祐介

概要:料理研究家の男性。叔父クリフォード・パリスの遺産を狙い、心臓麻痺に見せかけ感電死させたようにコロンボ警部から思われた。だが、一卵性双生児で外見がそっくりな兄いることから、捜査が降り出しに戻った。

陽気な性格であり、それを活かしてテレビの料理番組を務めている。言いたいことは率直に話し、コロンボの回りくどい会話に対しては、「あんたの話を聞いてると取り留めなくてイライラするなぁ」と語っている。足は偏平足である。弁護士のハサヴェイ曰く、「役立たず」


今回の犯人?:ノーマン・パリス
役者:マーティン・ランドー

吹き替え声優:滝田祐介

概要:銀行員の男性。一卵性双生児でデクスター・パリスの兄で、論理的な真面目な人物に思えるが、毎週水曜日になると「サンフランシスコに出張」と称しラスベガスにギャンブルに行っている。カジノの受付嬢の台詞から察するに、3年前以上は通っているようで決まってネクタイ姿とのこと。

カジノは負け越しており借金は37500ドル=990万円。リサ・チェンバースに遺産の全てが渡ることを知ると、弁護士ハサヴェイと取引をする。彼を顧問弁護士および会社のビジネスマネージャーにする見返りに、リサの遺産相続権を無かったことにするという契約を結んだ。

足は偏平足である。弁護士のハサヴェイ曰く、「横柄な性格」とのこと。(無礼、無遠慮。感じが悪い、冷たい)


今回の被害者:クリフォード・パリス
役者:ポール・スチュワート

吹き替え声優:杉田俊也

概要:資産家の男性。娘のように若いリサ・チェンバースと翌日に結婚をする予定であった。彼の死後、遺産の全てがリサに渡ることになってしまうため、婚約前にトレーニング中の心臓麻痺に見せかけられ感電死させられた。

老いているが体を鍛えることに余念がない。「タンパク質と絶え間ない練習」がモットーであり、自宅にはトレーニングルームを完備している。フェンシングが趣味の1つであり、弁護士ハサヴェイが手合わせを行うが圧勝している。

様々な事業を手掛けている資産家で、石油の協定を結ぼうとしていたり、不動産をしていたようだ。家政婦ペック婦人とは14年以上の付き合いがあり、自宅の管理を全て一任している。

弁護士のハサヴェイ曰く、リサ・チェンバースを気に入った点として「金には関心がない。情熱の赴くままに、そして彼女の純粋さを信じた。という証拠に結婚するしないに関わりなく全財産を譲ることにした」と語っている。

小ネタ・補足

〇コロンボ警部とデクスター・パリスが料理番組を行う場面(34分~40分15秒)は、『刑事コロンボの秘密』P.150によると、台本なしの即興アドリブだったようである。非常にユーモラスなやり取りになっており、本エピソードの欠かすことができない見どころのひとつである。

〇56分12秒で、兄ノーマン・パリスの衣装が、次のカットには変わっている。エピソードを最後まで観ると伝わる伏線である。

〇リサ・チェンバース演じる『ジュリー・ニューマー』氏が、レオタードにパンストで運動をする場面がある。本人はアメリカで、「たるんだヒップの形を整えるバンド付のパンティーストッキング」を特許取得しているらしく、それにちなんで身に着けたのだろうか?

まとめ

犯人が分かる状態で進む『倒叙形式』で進むのですが、なんと途中で同じ顔をもつ双子の兄が登場してしまうのです! 双子の兄弟のどちらが犯行に及んだのか、一気にミステリー形式に様変わりするユニークなエピソードなんですね。マーティン・ランドー演じる双子の兄弟が、うまく2人映らないカメラワークも見どころです。

2週目を見てみると兄弟の言葉などから、どちらが計画を立てて殺人を実行したのか、一目瞭然なのも面白いですね。前情報なしで犯人がわかったら、あなたも名探偵! ただ、後半に進むにつれ消去法的に犯人が絞られてしまいます。登場人物の割に殺し過ぎたのだ……。

最後のペック夫人の言葉、「二人ともいい子ですよ」は胸にきます。その後のコロンボ警部の言葉は、ペック夫人に被せるように言うため悲しさが引き立ちました。タイトルの『二つの顔』は双子であることを示してもいますが、同時に二面性をもっているということでも言い表せられる悲しい締め方でした。

以上、17話「二つの顔」でした。

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