刑事コロンボ 31話『5時30分の目撃者』結末が鳥肌もの

刑事コロンボ 31話 5時30分の目撃者

【VS.精神科医】ラストのコロンボ警部の決め台詞がカッコいい、鳥肌がたったエピソードです。2人目の共犯者を殺害する方法は正直なところ、「なんでもあり」のように思えます。催眠術で自殺させるのですから、こんなのありかよ!と感じました。

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データ

脚本:ピーター・S・フィッシャー
監督:ハーヴェイ・ハート
制作:エヴァレット・チェンバース
音楽:バーナード・セイガル

本編時間:74分
公開日:アメリカ/1975年4月7日 日本/1976年12月18日

あらすじ

精神科医マーク・コリアーは、患者で人妻のナディア・ドナーと深い仲であると同時に、催眠に関する本を執筆するために彼女は絶好の被験者でもあった。ある晩、2人は密会するために海辺の別荘で会う約束をしていたが、マークが別荘に訪れると、そこには彼女の夫カール・ドナーが密かに待ち伏せており、患者と不倫関係にあったことを所属する大学に暴露すると話す。

そして、カールが激高して2人に殴りかかると、マークは暖炉から火かき棒を掴んで反撃して彼を殴り殺してしまった。ナディアは精神的に弱いこともあり、マークは2人組の押し入り強盗に襲われたという作り話をでっちあげるように促す。マークは車で別荘から立ち去ろうとするが、門のところで散歩中の老人を轢きそうになる。彼が盲目であると知ると、マークは何も言わずその場を後にした。時刻は丁度、5時30分のことであった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:マーク・コリアー
役者:ジョージ・ハミルトン

吹き替え声優:小林勝彦

概要:精神科医の男性。人妻の患者ナディア・ドナーと不倫関係にあり、その夫カール・ドナーから不倫を見咎められ2人共々殴りつけられることになる。反撃の為に「火掻き棒」で殴り返すと殺してしまった。正当防衛が認められない恐れもあることから、ナディアと口裏を合わせて強盗の犯行に偽装する。その後、警察の捜査が迫ると、ナディアを催眠術で自殺させ全ての罪を擦り付けた。

大学病院に勤務しており、催眠術に関する本を出版していた。今度の新刊も催眠術に関する内容で執筆中であった。助手アニタ・ボーデン博士とは男女の仲で、患者ナディアとも不倫関係にある。

ナディアは催眠がかかりやすい性質であり、催眠の研究を試す絶好の被験者であった。さらに『アモバルビタール』という、催眠状態を深める効果のある薬を投薬していた。一応本人の許可を取っているようではあるが違法スレスレであり、アニタ博士から注意を受けている。

ナディアは人妻であり、夫カール・ドナーから不倫を見咎められると殴り飛ばされ、ナディアも殴りつけられていた。カールがナディアを殴りつけている最中に火掻き棒で殴り返しており、自分が殴られたことへの復讐か? 彼女を助けるためにとっさにとった行動かは不明である。

カールの死亡を確認するとひどく動揺する。元々は警察に報告するつもりであったが、「カールから殴りかかってきて反撃したら殺してしまった」なんてストーリーを警察が信じるわけがないと結論に至り、嘘の強盗殺人をでっちあげることになる。

ヘビースモーカーであり、エピソード中では確認できる範囲で計9本のタバコを吸っている。着火には『ビビより愛するマークへ』と刻まれたライターを使用しており、医学部を卒業した記念に姉から貰ったものを愛用していると語った。

愛車は『ベンツ:ブルークーペ』である。タイヤは「5万マイルXケール」という種類を装着しており、コロンボ警部の愛車もこの種類のタイヤを使用しているようである。


今回の共犯で被害者:ナディア・ドナー
概要:レスリー・アン・ウォーレン

吹き替え声優:渋沢詩子

概要:マーク・コリアーの患者で不倫をしている女性。既婚者であり、夫は資産家カール・ドナーである。マークによると催眠術がかかりやすい体質であること。元々精神的に弱く、半ば強引にマークから共犯にされた。

警察の捜査が迫ると自白をほのめかすようになり、マークから催眠術を掛けられる。過去の記憶を呼び覚まされ、『飛び込み台からプールへ飛び込む』のが得意だったことから、マンションの部屋から地面へ「飛び込んでしまい」死亡した。

マンションのテラスにある手すりの高さは、1m20㎝。テラスに設置されたテーブルから飛び降りたようだ。飛び降りる際には悲鳴を上げており、飛び込む直前に催眠術が解けていたようである。

催眠術で聞きだされた情報によると、妹もいるようである。妹は水泳が苦手だが、ナディアは泳ぎが得意だった。高い飛び込み台からプールに入ると父親が褒めてくれたそうだ。


今回の被害者:カール・ドナー
役者:スティーブン・エリオット

吹き替え声優:大平透

概要:資産家でナディアの夫である男性。妻は不倫しやすく、マーク・コリアーと関係があることも勘づいていた。今まで5人以上は妻の不倫相手を追い払ってきたようで、マークの分析によると、「浮気を見て潮時になると顔を出して、相手を罵倒して手をひかせる」と、一種の寝取られ好きである。

患者との不倫の事実を大学に告発すると言うも、マークとナディアは無視して部屋から出て行こうとした。今まで5人以上の不倫相手を追い払ってきた彼であるが、さすがにこれには頭にきてしまったようで、2人を殴りつけるという行動をとってしまった。

小ネタ・補足

〇第1話『殺人処方箋』に続き精神科医が犯人である。同じく、精神的に弱い患者が共犯者となっている。

〇ヘビースモーカーの犯人役を演じた『ジョージ・ハミルトン』は、57話『犯罪警報』で、逆にまったく煙草を吸わない犯人を演じた。そこで煙草を駆使した毒殺を計画する。

〇犯人が犯行現場から逃走する際、門の柱に激突している。車とか凹み、柱には何らかの傷が残りそうなものだが特に言及されていない。

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まとめ

わたくしごとになりますが、コロンボで初めて見たエピソードです。2016年の8月に45話までBSで再放送していまして、たまたま録画していたのがきっかけです。その当時は、古畑任三郎の元ネタという認識しかありませんでした。

コロンボ警部のキャラクター性は魅力的であり、犯人を逮捕する決め手は鳥肌が立ちました。そして、30話「ビデオテープの証言」を見て、コロンボの面白さを理解するに至ったのです。

催眠術で殺人なんてありかよ! なんて思いましたが、ラストの展開を見てみるとそんなことはどうでもよくなりました。完璧かと思われた犯行計画はどこでほころびが出来てしまったのか。いかにして犯人の犯行だと認めさせるのか。駆け引きが面白いですよね。

犯人視点から進む倒叙形式は、1話完結型でわりと決まりきった型というのが存在します。その型の中で、いかに新しい展開やオチを作り上げられるのかに面白さ感じました。一種のショートショート作品のような楽しさを彷彿とさせたんですね。

以上、31話「5時30分の目撃者」でした。

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