刑事コロンボ 36話『魔術師の幻想』ウィルソン刑事、最後の事件!

刑事コロンボ 36話 魔術師の幻想
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【VS.マジシャン】11話「悪の温室」に登場したフレデリック・ウィルソン刑事が挑む、最後の事件です。コロンボ警部とのやり取りは犯人であるサンティーニにも、「ホームズとワトソン」と茶化された名コンビでした。もう少し2人のエピソードを見たかった!

また、犯人役のジャック・キャシディにとっても最後の犯人役です。キザで自信満々な表情が見れるのもこれでお終いです。魔術師の幻想が収録された1976年に、自宅での寝タバコが原因で事故死しました。最後の遺作となります。

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データ

脚本:マイケル・スローン
監督:ハーヴェイ・ハート
制作:エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽:バーナード・セイガル

本編時間:89分
公開日:アメリカ/1976年2月29日 日本/1977年12月31日

あらすじ

魔術王の異名をもつサンティー二は、少年時代にナチス親衛隊軍曹として強制収容所で指揮をとっていた過去があった。それを、ナイトクラブオーナーのジェシー・ジェロームに掴まれており、秘密を保持する見返りにクラブでの公演料金を搾取され続けていた。過去の経歴を公表されれば、サンティー二は戦犯として逮捕されてしまうからだ。

サンティー二は、舞台でのマジックショーを抜け出すと、手品を駆使したトリックでアリバイを完成させる。ジェロームの部屋の鍵を開けると、異変に気づき出てきた彼を射殺したのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:サンティーニ
概要:ジャック・キャシディ

吹き替え声優:田口計

概要:マジシャンの男性。少年時代はナチス親衛隊員として暗躍した過去があり、その秘密をナイトクラブオーナーのジェシー・ジェロームに掴まれ、口止めする見返りに不当な利益で働かされていた。己の過去を知るただ1人の人間を葬り去るため、マジックを駆使してアリバイを作り殺害を行った。

少年時代は、ナチス親衛隊員として従軍した軍曹で、強制収容所の指示を出していた。ナチス親衛隊員時代の名前は「ステファン・ミューラー」である。この秘密をジェロームに握られ金銭を搾取され続けている。大々的に告発されてしまえば、戦犯として逮捕されてしまうのだ。

結婚歴があるが妻とはすでに別れている。サンティーニによると妻は、「情熱的で浮気がある」とのこと。デラという娘がおり、マジックショーではアシスタントを務めている。デラは、前座として舞台に出演する、歌手ダニー・グリーンと恋人関係にあるが、サンティーニは軽くあしらっている。

魔術王の異名があり、ニューヨーク公演のテレビ中継もしたことがある高名なマジシャンである。代名詞とも言える手品が『水槽の幻想』で、完成まで半生を費やしたとのこと。1.5㎥の箱の中に入り、錠前を掛ける。その箱をクレーンで吊るして水槽の中心に浮かべるというものだ。これにより9分20秒間しか息ができないことになる。

10分後に箱を開けると、中に入っていたサンティーニは助手のデラに入れ替わっており、覆面を被っていた人物がサンティーニになっているというクライマックスになっている。箱の底が抜け道になっており、クレーンで吊るされる前に地下室へ脱出することが手品のタネである。

他の手品は、①シルクハットから炎を出す /  ②客のナフキンからコインを出す
③客の背後から赤いスカーフを出し、そのスカーフから花の入った花瓶を出す
④客を2人舞台の上に呼んで協力してもらい箱の中からウサギを出した
⑤スカーフをステッキに変える / ⑥マントから鳩を出す
⑦客の背後からスカーフを出し、そこから燃えている皿を出す
⑧ゾンビボール  /  ⑨指サックを使ったサックの入れ替え
⑩コロンボの服からトランプを取り出す、であった。

毎回決まった時間にショーをするようで、予定通りのスケジュールで動いている。決まって『水槽の幻想』で地下に降りると、サッカリーというウェイターからブランデーを持ってきてもらうようだ。酒を飲むことで緊張をほぐし、手の震えを鎮めているとのこと。毎回、サッカリーと賭け事をすることも日課となっている。

綱渡りの名人マイク・ラリーとは昔からの付き合いがある。マイクによると、初めてあったのがヨーロッパ公演時で、その時のサンティーニの名前は「アーリントン」とか「ゲンジントン」という名前であった。次にあったのがブナペストで、ハンガリーとかドイツ訛り。オセロで会ったときにはイギリス風の訛り、そして今はアメリカ訛り。声色も変えれるようだ。

サンティーニとの会話はまるで雲を掴むように掴みどころがなく、「説明がつかないことの説明を探しているよう」とコロンボも混乱していた。マジックには、大きな手と滑らかな動きが大切と語っている。


今回の被害者:ジェシー・ジェローム
概要:ネヘミア・パーソフ

吹き替え声優:立川雄三

職業:ナイトクラブオーナー

概要:ナイトクラブオーナーの男性。従業員「魔術でジェロームさん消してください」、マジックショップ店員「敵の多い男でしたね」、サンティーニ「銭の亡者」と酷評されている。彼のモットーは「商売人は銭のことを考えていればいい」である。

サンティーニの正体に気が付いたのは去年である。彼の過去を知る老人を金で口止めしたのがジェロームで、その老人が死んでからは、ナチス親衛隊員という秘密を握るのは彼だけになった。これをネタに公演料の取り分、50%を支払うようにサンティーニを脅迫した。月に10万ドルは稼ぎだしている様子。(1976年2月:1ドル=301円 10万ドル=3100万円)

オフィスにはピカソやルーベンスの絵画が飾られている。グルメなようで、ユカタン海岸から飛行機で直送したエビを食べていた。汗っかきであり、ハンカチで額の汗を拭うことが多い。オフィスの給仕係はハリー・ブランドフォードという男であり、毎回コーヒーを頼んでいる様子。

オフィスの扉の鍵は先週付け替えたばかりで、ハンドメイドの特性防止装置が2箇所設置されている。告発文書を作製するために使ったタイプライターも最新式であり、1分に220文字は打てる。プラスチック製のタイプリボンを使っていた。

小ネタ・補足

〇綱渡りの名人として『マイケル・ラリー』という人物が登場する。役者は「マイケル・ラリー」氏で、1話「殺人処方箋」から43話「秒読みの殺人」まで登場している。

〇犯人役の『ジャック・キャシディ』氏は、魔術師の幻想が収録された1976年に、自宅での寝タバコが原因で事故死している。今エピソードが最後の遺作である。

〇歌手『ダニー・グリーン』が前座として歌っている曲は『Charade』である。エピソード中、この曲しか歌っていない。オードリー・ヘップバーン主演映画のメインテーマである。

まとめ

フレデリック・ウィルソン刑事の最後の事件となりました。軽妙なフットワークと、40点ほどの推理。コロンボ警部を慕うその雄姿は忘れられません。

犯人も言っていましたね。「ホームズとワトソン」と。最新のハイテク捜査が得意なウィルソン刑事の働きもあり、タイプライターにもコロンボ警部は気づくことができました。

最後にウィルソン刑事がタイプに打った言葉で締めくくりましょう。

「今こそ志ある者は来たり力を貸せよかし」

以上、36話「魔術師の幻想」でした。

  1.  今回はマジックショーが舞台ということで、なかなか面白かったと思います。
    犯人が、ワイヤレス拡声器を利用したアリバイ工作に、逆に犯人が引っかかってしまうなど、
    「自縛の紐」で、電話の相手に故人の声の録音テープを聴かせた手口を、同様にコロンボ刑事が犯人に電話を掛けて録音テープを聴かせたのとちょっと似ていますね。
     他にも、タイプライターのインクリボンの印字跡が手掛かりになりましたが、このインクリボンは、20年ほど前まではワープロに使用されていましたが、当時としてはこれが最新鋭だったのでしょうか。
     ダニー・グリーンが歌う「シャレード」のテーマは、「刑事コロンボ」のテーマ(ミステリームービーズテーマ)と同じ、ヘンリー・マンシーニ作品でした。
     最後に、コロンボ刑事の「完全犯罪なんてないもんですよ」というセリフ。これは刑事コロンボを毎回見ていて、そのように感じます。
     いかに巧妙にアリバイ工作をしたと見えても、どこかに意外な落とし穴が必ずあるためです。
     その落とし穴を見逃さない、コロンボ刑事の捜査は見事なものです。

  2. アホです様
    ≫マジックショーが舞台
    魅力的な舞台設定だとわたしも感じます。マジシャンが手品を駆使した計画殺人を行うという、ジャック・キャシディ氏のエレガントな演技も相まって見事な犯人でした。

    ≫コロンボ刑事の「完全犯罪なんてないもんですよ」
    ラストのセリフもオシャレですよね。『魔術師の幻想』というタイトルでしたが、魔術師が魅せる幻想というニュアンスでもとれますが、終わってみるとまた別の意味にもなった良タイトルです。

  3. ジャック・キャシディ3部作の中では1番好きですね。
    マジックショーステージでの対決シーンは最高です。

    吹き替えにおいてはキャシディ吹き替えの田口計さんはもちろんですが、
    ウィルソン刑事吹き替えの野本礼三さんがたまりません!
    なんかヘッポコで、なんか生真面目で、やたらハリキってて、
    でも今回はお手柄な場面もあって…
    それらを縦横無尽に吹き替える名人芸、今それができる役者さんはいないんじゃないでしょうか?

  4. ≫ジャック・キャシディ3部作の中では1番好き
     キザで高貴に見える見た目にピッタリな役柄です。
    ≫吹き替えの田口計さん。野本礼三さん たまりません!
    ≫縦横無尽に吹き替える名人芸も
     個性的な声で抑揚のある吹き替えはお見事です!
    昔→俳優崩れのため役を意識した演技
    今→最初から声優を目指しているので声質や演出に沿った演技になる
    とはよく言われますね。ある程度、吹き替えにもテンプレが出来上がってしまったのでしょうか?

  5. 5シーズンは変化球のエピソードが多い中これは比較的スタンダードな話です。
    マジックの最中に犯行を行う魅力的なプロットを軸とした犯人との対決ものですね。
    しかし過去の印象的なキャラを再登場させるなどやはり新しい事をしてる回ですね。

    またこの話の推理の反論役は犯人のサンティーニでは無くウィルソン刑事な点も上手い。
    ラストの立証まで追及されても自分の犯行に自信を見せる挑戦的な犯人像となってます。
    それがラストのセリフに繋がる伏線となってるので脚本が見事。

  6. ≫マジックの最中に犯行を行う魅力的なプロットを軸とした犯人との対決もの
     人を喰ったようなジャック・キャシディの立ち振る舞い、高貴な風貌は魔術師という職業にピッタリです!

    ≫この話の推理の反論役は犯人のサンティーニでは無くウィルソン刑事な点も上手い
     「悪の温室」から実に4年ぶりの再登場。前作ではコロンボのことを甘く見ていましたが、今作では敬意を表しており、コロンボをリスペクトして手帳にメモを書き込んだりしていましたね。犯人の言う通り、見事なワトソン役を務めた聞き上手な相方役でした。

    ≫ラストのセリフに繋がる伏線となってる
     タイトルの意味がガラリと変わるのは見事です!
     

  7. このコロンボドラマは、犯人役にとても同情しました。

    娘役のシンシア・サイクスさん

    美人でグラマーで笑顔が素敵な女優さんでした。

  8. ≫犯人役にとても同情
    彼もまた時代の被害者であったのでしょうかね。

    ≫娘役のシンシア・サイクスさん美人でグラマーで笑顔が素敵な女優さんでした。
    登場される女性キャストがお美しい方々が多いですよね。レストランで登場するキャサランさんも印象に残っています!

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