【VS.美術館館長】美術館に人生を注いできた女性が、その美術館を売却されそうになってしまいます。犯人であるルース・リットンはそれを阻止するために殺害を決意します。動機としては、「別れのワイン」の犯人エイドリアン・カッシーニと同じものになります。
どちらも悲しいエピソードではありますが、このエピソードは女性犯人ということもあり、過去の男性との関係なども重要になります。美術館という独特な舞台設定が、物語にスパイスを加えられて良いアクセントにもなっています。
データ
あらすじ+人物相関図
名門リットン家が運営する「リットン美術館」は赤字経営であった。そのため、美術館理事であるエドワード・リットンは美術館を売却する為の目録整理を始めていた。美術館館長であるルース・リットンにとっては、人生を捧げてきた大切な美術館であり、売却は断固阻止したかった。そのため、警備員ミルトン・シャイファーを利用して、エドワードと共に葬り去る殺害計画を実行する。
ルースは金を出し、ミルトンに美術館の展示品を盗むように指示をする。展示品には多額の保険金が掛けられており、保険金を手に入れるためだと説明し、兄に電話を掛けるように言いつける。その晩、ミルトンは兄に留守番電話を掛けて発砲音を聞かせる。これで、電話を掛けた時刻に死亡したように見せかけることができる。
その後、美術館内に侵入して展示品を鞄に詰めているとルースが現れる。ミルトンの名前を呼び振り向かせたところで射殺した。その後、目録整理をしていたエドワードが物音に気が付きやってきたところ、彼も射殺する。
2人の拳銃を持ち変えさせることで、お互いに相討ちになったように偽装したのだった。翌日、ミルトンの兄の通報で彼が事件に巻き込まれたことが発覚する。ルースは姪のジェニーと共に美術館に出勤する。ジェニーに2人の遺体を発見させたのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ルース・リットン(ジョイス・ヴァン・パタン)
吹き替え声優:加藤道子(かとう みちこ)
職業:美術館館長
殺害方法:射殺
動機:美術館を守るため
今回の被害者:エドワード・リットン(ティム・オコーナー)
吹き替え声優:加藤和夫(かとう かずお)
職業:美術館理事
今回の被害者:ミルトン・シェイファー(ピーター・S・フェーブルマン)
吹き替え声優:樋浦勉(ひうら べん)
職業:警備員
犯行計画/トリック
【泥棒と相討ちになったように見せ殺害】
①警備員ミルトンに、報酬を見返りに美術館の展示品盗むように指示する。展示品には多額の保険金がかかっておりそれが狙いであると説明。
②21:00過ぎ、ミルトンは兄に電話を掛ける。留守電に襲われているような嘘のやりとりをして、銃の発砲音を聞かせた。これで21時が死亡時刻に仕立て上げた。ミルトンは美術館に侵入して展示品を鞄の中に詰めていく。そこへルースがやって来て、名前を呼び振り向かせたところを射殺した。
③美術館内で目録整理をしていたエドワードが、物音に気が付きやってきたところを射殺する。ミルトンとエドワードの銃を持ち変えさせることで、お互いが発砲して相討ちになったように見せた。
④その後、ミルトンが乗ってきた車をパンクさせ、トランクから旅行鞄を取り出し始末した。※ミルトンが車に戻ろうとしたが、タイヤがパンクしており恐怖心にかられた。美術館内に戻り、兄に電話を掛けている最中に、エドワードと相討ちになった筋書きを完成させた。
⑤翌日、ミルトンの兄が警察に連絡をする。ルースとジェニファーが館内で2人の遺体を発見した。
推理と捜査(第2幕まで)
三幕構成
小ネタ・補足
〇犯人演じる「ジェイス・ヴァン・パタン」は、27話「逆転の構図」の救済施設に登場したシスター役を演じていた。
〇コロンボ警部が美容院で散髪している。計25ドル=7375円である。
◯警備員の被害者「ミルトン・シェイファー」を演じたのは、今作品の脚本家「ピーター・S・フェーブルマン」氏である。
まとめ
舞台設定が好きなエピソードです。美術館という暗いムードが犯人の過去を引き立ててくれます。『小説家になろう』でコロンボナビと銘打ってエピソードの感想を書かれている方がおられるのですが、非常に勉強になりました。
明かりを消してしまったのはうっかりとはいえ、電話によるアリバイ作りといい、「黄金のバックル」を使って姪を犯人に仕立てる方法といい、むしろ捕まりたがっているとしか思えない。いや、捕まりたがっていると考えるのが最も妥当なのだ。つまりこうだ。過去の経緯をコロンボに漏らしたうえで、姪に罪を被せるひと芝居を打ち、最後のやり取りを演出したのだ。コロンボナビ『黄金のバックル』より引用
長年守ってきた美術館を守るための犯行だと思っておりましたが、コロンボナビでは美術館という牢獄から抜け出したかったのだと綴られております。コロンボ警部にエスコートされて犯人が退場する場面は印象に残っていますが、そうなるとラストの場面もまた違った印象に見えますね。
以上、39話「黄金のバックル」でした。