刑事コロンボ 51話『だまされたコロンボ』完全犯罪成功!?

新・刑事コロンボ 51話 だまされたコロンボ
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【VS.カメラマン】新シリーズの中でも人気の高い作品です。「死体なき殺人」が焦点となっていますが、トリッキーに変化するこの作風は、ガチガチに固まった倒叙形式を絶妙に崩しました。もう水戸黄門型の決まりきったシナリオ展開とは言わせない!

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データ

脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド
監督:ダリル・デューク
制作:ペニー・アダムス
制作総指揮:ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー:ウィリアム・リンク
ストーリー監修:ジャクスン・ギリス&ウィリアム・R・W
クリエイティブ・コンサルタント:ビル・ドリスキル
音楽:デニス・ドレイス

本編時間:95分
公開日:アメリカ/1990年1月20日 日本/1994年6月17日

あらすじ

男性向け雑誌のカメラマンであるショーン・ブラントリーには、共同経営者ダイアン・ハンターがいた。2人は恋愛関係にあったが、ショーンの不誠実な生活や仕事ぶりに愛想を尽かし、イギリスの財界人サー・ハリー・マシューズに会社の株を売却する算段を立てていた。

現在の生活を失うことを恐れたショーンは、ダイアンがロサンゼルス空港へ車で移動するとき、「2分で片付けろ」とどこかへ電話を掛ける。レストランに専属運転手コズナーが注文した弁当をとりに向かうと銃声が聞こえた。

すぐに車内に戻るも何事もなくダイアンがそこにはいた。無事に空港まで送り届けたのだが、取引相手のハリーのもとにダイアンは来ていないという。果たして、彼女はどこへ消えてしまったのだろうか?

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:ショーン・ブラントリー
役者:イアン・ブキャナン

吹き替え声優:中尾隆聖

概要:男性向け雑誌のカメラマンである男性。モデルの女性たちと散財したり遊んだりと不誠実な生活や仕事ぶりである。呆れた共同経営者ダイアン・ハンターは、ロンドンの財界人サー・ハリー・マシューズに会社の株を売却し身売りする計画を立てていた。現在の生活を失うことを恐れ、彼女を消そうと画策する。

男性向け雑誌『バチュラーズ・ワールド』ヌードやグラビアを専門としている、豪華なプール付きのスタジオを「シャトー(城)」と称して、モデルの美女たちと悠々自適に暮らし、「買いまくり」とリムジンで高級ショップに乗り込み好きな物を買わせている。

共同経営者のダイアン・ハンターとも長年愛人関係にあるが、その不誠実な暮らしは監視カメラによって見られている。彼もそのことは承知であり、そんなことは気にせずに多数のモデルたちとの関係を続けていた。

モデルとの豪勢な暮らしはニュースでも取り上げられ、「最も華麗な独身男性「ミスターバチュラー(独身)」と紹介される。そんな彼が、モデルの1人であるティーナと結婚すると報道されると、テレビでインタビュー動画が撮影されるなど盛り上がりを見せた。次回発売の雑誌で結婚の真相を語るとのことで売上アップを狙ったようだ。

25口径バレッタをはじめ、クロスボウガンなど遠距離武器の収集家でもある。銃は一度も撃ったことはないようで、大人の遊び道具として持って構えるだけのようである。鍵を掛けた引き戸の裏にあるガラスケースの壁に飾られており、見て楽しむいうことはしないようだ。銃の弾はグレイザータイプ。通常の弾丸とは違い、貫通せず中で破裂する弾を装填している。

シャトーには動物も多数飼っているようで、「ラマ」を放牧していた。コーヒーはクリームを入れて飲むようだ。


今回の被害者:ダイアン・ハンター
役者:ディードル・ホール

吹き替え声優:翠準子

概要:男性向け雑誌出版社の共同経営者の女性。ショーン・ブラントリーも共同経営者ではあるものの、実質的には彼女が経営をしている。ショーンによると、12年間は働き詰めのようだ。会社はダイアンが1万ドルの資金で立ち上げており、株の51%は彼女が保有している

(1991年1月:1ドル=144円 1万ドル=144万円)

ショーンとは長年の恋人関係にあったが、不誠実さに愛想を尽かし、ロンドンの財界人サー・ハリー・マシューズに保有する株を200万ポンドでの売却を検討していた。(1991年1月:1ポンド=257円 200万ポンド=5億1千400万円)

彼女の失踪届けが出てコロンボが捜査にやってくる。その際ショーンは、彼女は吹っ切れて1人気ままな旅にでることがあると説明をする。嘘か真か、モハビ砂漠、上海、チベットの僧院などに旅に出たことがあるそうである。

ポケベルはショーンとお揃いであり、特注して作ったブレスレットタイプだ。ショーンとダイアンは互いの着信の場合は、すぐにわかるように音を変えている。

飛行機の機内食は嫌いなようで、レストランにサンドウィッチを注文している。スモークサーモンはスコットランド産で国産はダメ。極薄が良いというこだわりがある。また、コーヒーは必ずブラックらしい。

小ネタ・補足

〇冒頭で流れた曲は、『She Drives Me Crazy』である。

〇13話『ロンドンの傘』でコロンボ警部と事件捜査を行った、スコットランドヤード警察のダーク刑事局長の名前だけ登場している。ノベライズ版『消える女(だまされたコロンボ)』P.52~では、コロンボ警部と15年ぶりに再会を果たす。ロンドンの傘の犯人である舞台俳優の夫婦が、その後どうなったのかを話してくれる。二人は出所し、妻のリリアンは小さな劇団を立ち上げ舞台俳優を続けているそうだ。

まとめ

9話「パイルD-3の壁」の変化球とも言える作品なんですね。遺体なき殺人がテーマであり、一体彼女はどこに消えてしまったのかを主軸に置いたストーリー展開になっています。事件の全貌が全ては明らかになっていない、半倒叙形式になっており、犯人の目的とは何かが伏せられているんですね。

ただ、邦題の『だまされたコロンボ』はいただけませんよね。ネタバレ感があって、「ああ、コロンボ警部が騙されちゃうのか……」なんて、思ったりもしました。ちなみに原題は「Columbo Cries Wolf(狼少年コロンボ)」です。

舞台としては豪華な撮影用スタジオで水着美女たちとかエキストラの数が多い! なんかよく分かりませんがなぜか『ラマ』が放し飼いにされていたり、リムジンに乗って美女たちと買いまくりツアーに向かったりとゴージャスな雰囲気が満載になっています。

犯人の吹き替えは、「ばいきんまん」や「フリーザ」でお馴染みの『中尾隆聖』さんが実に素晴らしい! 緩急の差といいましょうか、前半の豪華絢爛で華やかな展開とは打って変わり、後半の暗い舞台裏。ゾクっとするラストカットの恐ろしさは屈指です。

以上、「だまされたコロンボ」でした。

  1. 犯人紹介欄
    >吹き替え声優:中尾隆聖(なかお こうせい)
    と記されていますが
    声優の名前は中尾隆聖(なかお りゅうせい)ですね

  2. 申し訳ございません。修正させていただきました。
    旧シリーズは2020年1月~書き直したのですが、新シリーズは2019年に書いたまま見直し不足でした。

    合わせて、新シリーズ記事全体の修正。徐々に感想の追加や無駄な文章表現を削っていきます。
    ご連絡ありがとうございました。

  3. イアン・ブキャナンは元はモデル。
    つまり役者としては今までのゲストスターと違ってキャリアはやや短いはずなんですが、ずば抜けた印象を残してますね。
    全体的に不気味さが付きまとい、終盤の『へし折り』シーンは思わず身震いしました。
    それだけに迂闊すぎるミスで終わりってのは残念…

    しかし、アニメで人間じゃないキャラを数多く演じているイメージが強い中尾隆聖さんの吹き替えがドンピシャでハマる人間って少ないと思います。
    このショーン・ブラントリー役はハマってました。

  4. フリーザ様世代さま
    ≫イアン・ブキャナンは元はモデル。キャリアはやや短いはずなんですが、ずば抜けた印象を残してますね。
    ≫全体的に不気味さが付きまとい、終盤の『へし折り』シーン
     表向きにはヘラヘラしているけど、裏では冷酷な性格と、ギャップの強弱が印象深さを残します。やはり『へし折り』のシーンの音が怖いですよね。ラストシーンもかなりサスペンスな幕切れで、華やかなオープニングとの対比が凄いです。

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