【VS.カメラマン】新シリーズの中でも人気の高い作品です。「死体なき殺人」が焦点となっていますが、トリッキーに変化するこの作風は、ガチガチに固まった倒叙形式を絶妙に崩しました。もう水戸黄門型の決まりきったシナリオ展開とは、あんまり言わせない!
ココが見どころ‼
〇「死体なき殺人」が焦点となるトリッキーに変化する作品。
〇コロンボが敗北…⁉
〇旧シリーズでお馴染みの「クレイマー刑事」がさらりと登場。13話「ロンドンの傘」ダーク刑事局長も名前だけ登場。
データ
概要:詳しく見る
脚本:ウィリアム・リード・ウッドフィールド
監督:ダリル・デューク
制作:ペニー・アダムス
制作総指揮:ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー:ウィリアム・リンク
ストーリー監修:ジャクスン・ギリス&ウィリアム・R・W
クリエイティブ・コンサルタント:ビル・ドリスキル
音楽:デニス・ドレイス
本編時間:95分
公開日:アメリカ/1990年1月20日 日本/1994年6月17日
あらすじ+人物相関図

男性向け雑誌のカメラマンであるショーン・ブラントリーには、共同経営者ダイアン・ハンターがいた。2人は長年恋愛関係にあったが、ショーンの不誠実な生活や仕事に愛想を尽かし、イギリスの財界人サー・ハリー・マシューズに、会社の株を売却する算段を立てていた。
現在の生活を失うことを恐れたショーンは、ダイアンがロサンゼルス空港へ車で移動するとき、「2分で片付けろ」とどこかへ電話を掛ける。レストランに専属運転手コズナーが、注文してた弁当をとりに向かうと銃声が聞こえた。
すぐに車内に戻るも何事もなくダイアンがそこにはいた。無事に空港まで送り届けたのだが、取引相手のハリーのもとにダイアンは来ていないという。果たして、彼女はどこへ消えてしまったのだろうか?
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ショーン・ブラントリー(イアン・ブキャナン)
吹き替え声優:中尾隆聖(なかお りゅうせい)
職業:カメラマン
動機:ダイアンが会社の株を売却することで現在の生活に終止符をうたれるから
概要:詳しく見る
ヌードやグラビアを売りにしている男性向け雑誌「
バチューラズ・ワールド」のカメラマン。会社の共同経営者でもある男性。豪華なプール付きのスタジオは
「シャトー(城)」と称して、モデルたちと悠々自適に暮らしている。
共同経営者のダイアン・ハンターとも長年愛人関係にあり、その不誠実な暮らしは監視カメラによって見られている。彼もそのことは承知であり、そんなことは気にせずに多数のモデルたちとの関係は続いている。
パーティやモデルたちとの買い物に散財するなど、その豪勢な暮らしぶりはニュースでも取り上げられ「最も華麗な独身男性」「ミスターバチュラー(独身)」と、良い意味で呼ばれている。そんな彼が、モデルの1人であるティーナと結婚すると報道。テレビでは日曜日にインタビュー動画を放送するなど盛り上がりを見せた。
次回発売の雑誌で、結婚の真相について語るとのことで、売上アップを狙ったようだ。また、シャトーには動物も多数飼っているようで、「ラマ」を放牧していた。コーヒーはクリームを入れて飲むようだ。
25口径バレッタをはじめ、クロスボウガンなど遠距離武器の収集家でもある。銃は一度も撃ったことはないようで、大人の遊び道具として、持って構えるだけのようである。鍵を掛けた引き戸の裏の、ガラスケースの壁に飾られており、見て楽しむいうことはしないようだ。銃の弾はグレイザータイプ。通常の弾丸とは違い、貫通せず中で破裂する弾を装填している。
今回の被害者:ダイアン・ハンター(ディードル・ホール)
吹き替え声優:翠準子(みどり じゅんこ)
職業:男性向け雑誌出版共同経営者
概要:詳しく見る
概要:男性向け雑誌出版社の共同経営者の女性。ショーン・ブラントリーも共同経営者ではあるものの、実質的には彼女が経営をしている。ショーンによると、12年間は働き詰めのようだ。会社はダイアンが1万ドルの資金で立ち上げており、
株の51%は彼女が保有している。
ショーンとは長年の恋人関係にあったが、不誠実さに愛想を尽かして、ロンドンの財界人サー・ハリー・マシューズに保有する株を売却する計画を立てていた。最終的に、200万ポンドでの売却を検討した。彼女の失踪届けが出て、コロンボが捜査にやってくる。その際ショーンは、彼女は吹っ切れて1人気ままな旅にでることがあると話した。嘘か真か、モハビ砂漠、上海、チベットの僧院などなどに行ったようだ。
ポケベルは、ショーンとお揃いであり、特注して作ったブレスレットタイプだ。ショーンとダイアンは互いの着信の場合は、すぐにわかるように音を変えている。
飛行機の機内食は嫌いなようで、レストランにサンドウィッチを注文している。スモークサーモンはスコットランド産で国産はダメ。極薄が良いというこだわりがある。また、コーヒーは必ずブラックらしい。
犯行計画
目的:ネタバレ注意
『失踪に偽装することでニュース番組で大々的に取り上げられる。その結果雑誌の宣伝となり売り上げアップに繋がる』
①ダイアン・ハンターは、専属運転手コズナーが運転するリムジンに乗り、機内食の代わりに注文していた弁当を取りに向かう。ショーン・ブラントリーはどこかへ電話を掛けた。「2分で片付けろ」
②レストランの裏路地へリムジンを駐車する。コズナーが厨房に弁当に取りに入ると、銃声が聞こえた。すぐに戻ると、何も異常はなかった。弁当を持ち帰り車内に入るも、ダイアンはそこにはいた。その後、コズナーはロサンゼルス空港でダイアンを見送った。
③ロンドンの取引相手サー・ハリー・マシューズのもとにダイアンが現れない。ハリーは失踪届を出して事件発生となった。
コロンボの疑問点
ネタバレ注意!
〇コズナーが弁当を取り車内に戻ると、ダイアンは帽子とスカーフ、サングラスに毛皮のコートの襟をたてていた。空港から出るときまでも、すっぽりと顔を覆いかぶしていた。
〇リムジンはレストランの裏口に駐車した。地面からは25口径オートマチックの空薬莢を見つけた。ショーンは25口径バレッタを所有しており、最近発砲したような火薬の匂いがした。
〇空港の監視カメラの映像を見てみると、ダイアンはコーヒーにクリームを入れていた。以前、ショーンから話を聞くとダイアンはコーヒーは必ずブラックで飲む。空港にいた女性はダイアンではないようだ。
〇リムジンの後部シートには、毛髪が落ちていた。犯人ははじめから後部シートに隠れており、ダイアンは外に逃げようとしてドアを開けた。その時に撃たれて薬莢は外に落ちた。遺体は後部シートに隠し、ダイアンに成り済ました。その後、空港からリムジンが戻ると共犯者が遺体を敷地内の庭に埋めた可能性がある。
〇また、毛髪はブロンドであった。ダイアンの他にブロンド髪の女性は4名。うちアリバイがないのは、ショーンの婚約者であるティーナだけであった。
〇ジョーンはダイアンを殺害する。遺体をリフォーム中の壁の中に隠した。ジョーンは、再びダイアンが失踪したとコロンボに連絡する。貴金属が宝石箱に入っていたことから、旅行ではない。また、スーツケースが1つなくなっている。これは腐敗臭を紛らわすために使用したのではないか?ダイアンのポケベルに電話を入れると、リフォーム中の壁から音が鳴り遺体があった。今度こそ殺人である。
三幕構成

まとめ
「死体なき殺人」としては、9話「パイルD-3の壁」があります。今回の作品はその、変化球とも言えるでしょう。ただ、邦題の「だまされたコロンボ」だと、ネタバレ感がありますよね。「ああ、コロンボが騙されちゃうのか……」なんて、思ったりもしました。
原題も「Columbo Cries Wolf(狼少年コロンボ)」ですので、なんか嘘ついたのかな?と想起してしまうタイトルのつけ方です。個人的には、この点が気になる作品でした。新シリーズの中でも、そのいつもと違った展開から、評価が分かれる作品なんですよね。
以上、「だまされたコロンボ」でした。
犯人紹介欄
>吹き替え声優:中尾隆聖(なかお こうせい)
と記されていますが
声優の名前は中尾隆聖(なかお りゅうせい)ですね
申し訳ございません。修正させていただきました。
旧シリーズは2020年1月~書き直したのですが、新シリーズは2019年に書いたまま見直し不足でした。
合わせて、新シリーズ記事全体の修正。徐々に感想の追加や無駄な文章表現を削っていきます。
ご連絡ありがとうございました。
イアン・ブキャナンは元はモデル。
つまり役者としては今までのゲストスターと違ってキャリアはやや短いはずなんですが、ずば抜けた印象を残してますね。
全体的に不気味さが付きまとい、終盤の『へし折り』シーンは思わず身震いしました。
それだけに迂闊すぎるミスで終わりってのは残念…
しかし、アニメで人間じゃないキャラを数多く演じているイメージが強い中尾隆聖さんの吹き替えがドンピシャでハマる人間って少ないと思います。
このショーン・ブラントリー役はハマってました。
フリーザ様世代さま
≫イアン・ブキャナンは元はモデル。キャリアはやや短いはずなんですが、ずば抜けた印象を残してますね。
≫全体的に不気味さが付きまとい、終盤の『へし折り』シーン
表向きにはヘラヘラしているけど、裏では冷酷な性格と、ギャップの強弱が印象深さを残します。やはり『へし折り』のシーンの音が怖いですよね。ラストシーンもかなりサスペンスな幕切れで、華やかなオープニングとの対比が凄いです。