刑事コロンボ 60話『初夜に消えた花嫁』破られた形式

新・刑事コロンボ 60話 初夜に消えた花嫁

【VS.????】精神異常者、変態性欲者等の起こす事件。いわゆる、サイコ・サスペンスになっています。『刑事コロンボ完全捜査ブック』によると、エド・マクベインの≪87分署≫シリーズの1作『命果てるまで』が原作で、それを映像化したエピソードになるようです。

コロンボや警察組織が躍動し、捜査線上に1人の人物が浮かび上がる。正体不明(顔は映ってる)だった犯人に徐々に近づいていく。コロンボといえば、犯人視点で進む倒叙形式が魅力です。この作品に関しては、コロンボ警部が別の作品にゲスト出演したかのような感覚になりました。

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データ

データ:詳しく見る
脚本:ロバート・ヴァン・スコイク

原作:エド・マクベイン

監督&共同制作指揮:アラン・J・レヴィ

制作:クリストファー・セイター

制作総指揮:ピーター・フォーク

音楽:パトリック・ウィリアムズ

本編時間:91分

公開日:アメリカ/1992年3月15日 日本/1997年4月4日

あらすじ

モデルであるメリッサ・アレキサンドラ・ヘイズは、コロンボの甥で警察官アンディ・パーマと結婚をした。大々的な結婚式。華やかな音楽に、幸せな夫婦。誰もが2人の幸せを喜んでいた。式も終わり、初夜を迎える2人。アンディーがシャワーから戻ると、部屋にはメリッサの姿はなかった。

アンディが部屋を見渡すと、片方だけ脱げた靴。麻酔薬が染み込んだ綿を見つけた。メリッサは何者かに誘拐されたと判断し、叔父のコロンボへ連絡した。コロンボは現場の状況を整理していき、部屋の近くにある非常階段を調べると、もう1足の靴を見つけたのだった。

非常階段の先には、ホテルの裏口に出る通路があり、不審な車両が出入りしていたことを掴むと、誘拐事件として捜査が開始される。動機は身代金か? 夫婦に恨みをもつ犯人の犯行か? 同時刻、とある場所に監禁されていたメリッサに男の影が忍び寄っていた。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

主犯

ネタバレ注意!
今回の犯人:ルディ・ストラッサ(ダニエル・マクドナルド)

吹き替え声優:谷口節(たにぐち たかし)

職業:救急隊員

犯行:誘拐

動機:一目惚れした女性を誘拐し共に自殺を図るため。

概要:30代になる救急隊員の男性。父親と母親は、彼が8歳の時に死亡している。医者であった父は、日常的に母に対してDVを行っていた。ある晩、父はメスを使用して妻のノドを切り殺害した。そして、自身のノドも切り裂き自殺をする現場を目撃するというショッキングな過去をもつ。

その後は勉学に励み、ラムゼイ大学を卒業。医学部へ進んだ。卒業アルバムに寄せられた、同級生のコメントを見ると「解剖しそうな奴」と評価されている。卒業記念の指輪は、現在も左手の指に装着している。

メリッサの監禁場所は、自宅の一室である。窓は2重ガラスで、遮音性の高い防音タイプを使用。また、黒い塗料で外を見えなくしていた。モデルである彼女を気遣い、ダイエットフードを手作りするなど、料理が得意な面も見られる。彼女の声と、乱れた髪が好きなようだ。

自身は紅茶を好むようで、クッキーと共に飲んでいた。また、ルディ・ストラッサという名前だが、正式には「ルドルフ・アーノルド・ストラッサ」である。


被害者今回の被害者:メリッサ・アレキサンドラ・ヘイズジョアンナ・ゴーイング

吹き替え声優:佐々木優子(ささき ゆうこ)

職業:モデル

概要:詳しく見る
概要:コロンボの甥である、アンディ・パーマと結婚したモデル歴1年半の女性。モデルになった経緯は去年の夏である。写真家アレックス・ヴァレックが、マリブでファッション用の撮影をしていた。メリッサが友人たち海に来ているのを偶然見かけ、プロのモデルよりも輝いており思わず息を飲んだとのこと。撮った写真を事務所に見せたら1発で決まり、たちまちトップモデルになった。

アンディとの付き合いの経緯は不明であるが、結婚式の企画に関しては全て彼女自身のアイディアである。盛大なパーティを開いたようで、シアトルにショッピングモールを建てられるくらいの総額になった様子。資産家の父シェルドン・ヘイズが全額支払った。

シェルドンに関しては、ショッピングモールを8つ。シアトルには不動産を多数もつ大富豪だ。彼は医者にしたかったようだが、途中からモデルに転身した彼女を咎めようとはしなかった。パーティ資金こそ父が支払ったものの、メリッサは父に頼らず貯金をはたいて家を購入している。

母はルイ―ズで病弱らしい。お説教が多かったようで「お酢はサビを溶かす。お酢にはあれにもこれにも効く」という言葉が役に立ち、監禁場所となったサビ付いた扉を開けるに至った。

メリッサの名付け親はシェルドンの友人である、会計士ネイザン・スマイス、その妻レベッカである。モデルとしての仕事は、表紙のモデルになったり、CMにも出演しているようだ。

小ネタ・補足

〇犯人を演じた『ダニエル・マクドナルド』氏は、2007年2月15日脳癌により46歳で逝去された。

〇原作は、エド・マクベイン『命果てるまで』である。本編とは違う箇所が多く、例えば犯人の過去。ラストの結末。コロンボが担当していた捜査パートは別々に刑事の出番があるなど。

まとめ

≪倒叙=コロンボ≫というシリーズのルールを破ったエピソードなんですね。別ブログなどを閲覧させていただくと、コロンボファンの方はショックを受けた人もいるようで、『NOT COLUMBO(コロンボじゃない)』なんて酷評されている人もいました。

旧シリーズに比べ、新シリーズは新しい要素を取り入れた挑戦的な作品が多いです。犯人VS刑事という丁々発止のやりとりが楽しみな人はちょっとガッカリな作品かもしれません。そんな今作品はまさにサスペンス! スピード感やアクション要素が多く、目新しい演出を垣間見ることができます

徐々に正体不明である犯人に迫る捜査、警察組織が躍動する過程が見られるのは良かったです。コロンボ警部の甥っ子(アンディ)がメインで登場したのには驚きました。コロンボ警部が87分署シリーズに異世界転生したような従来とは違った不思議な感覚で進むお話でしたね。

犯人のボロを暴いてくんじゃなくて、刑事らしく聞き込みや執念で犯人を追う様がカッコいいのです。甥っ子の婚約者の命が掛かっている以上、最初から全力で捜査してラストまで駆け抜ける疾走感があります。ただ犯人側の描写が間延びしている印象があり、ここが評価を相対的に落としているとも感じました。

以上、「初夜に消えた花嫁」でした。