刑事コロンボ 59話『大当たりの死』幸運な被害者?

新・刑事コロンボ 59話 大当たりの死
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【VS.宝石商】コロンボ史上、もっとも可哀そうな被害者とはだれか?理不尽な動機によって殺される被害者、脅しをかけて逆にやられる。地位を蹴落としたり、犯罪を暴露すると言われ殺害される。地獄の沙汰も金次第。今回は、宝くじを当ててしまったことにより殺されてしまいます

さらに、離婚しようとしている妻は、実は自分の叔父と不倫関係にあったりと、踏んだり蹴ったりです。そんな、可愛そうな被害者が登場するエピソードです。

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データ

脚本:ジェフリー・ブルーム
監督:ヴィンセント・マケヴィティ
制作:クリストファー・セイター
制作総指揮:ピーター・フォーク
音楽:スティーヴ・ドーフ

本編時間:96分
公開日:アメリカ/1991年12月15日 日本/1995年12月1日

あらすじ

離婚協議中である貧乏カメラマンのフレディ・ブラウアーは、宝くじで3000万ドルの大当たりをした。だが離婚する前に名乗りでると、賞金の半分を妻に持っていかれてしまう。叔父で宝石商レオン・ラマ―に相談すると、自分が当選者として賞金を受け取り、その後受け渡すことを提案する。

しかし、レオンは株で多額の損失を出したばかりだった。大金を当てたレオンは時の人となり、ハロウィーンの日に合わせ自宅で大規模な仮装パーティを行った。

レオンは会場を抜け出して、フレディのいるアパートに向かう。彼をシャンパンボトルで殴って気絶させ、入浴中に頭を打って溺死したように偽装してみせた。その時、部屋に入ってきた女性がいた。フレディと離婚協議中の妻マーシーである。レオンと彼女は不倫関係にあり、共謀してアリバイを作り上げたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:レオン・ラマー
役者:リップ・トーン

吹き替え声優:坂脩

概要:宝石商を営む男性。大人数の従業員を抱え、会社内では宝石加工も行っていた。被害者となった甥フレディ・ブラウアーの友人によると金持ちであったらしいが、株の投資に失敗し破産状態となる。そんな時に来たのが、宝くじを当てた甥フレディだった。当選金を我が物にするべく甥を殺害する。

当選金の3000万ドルに目がくらんだが、フレディはお気に入りの甥であった。(フレディ・ブラウアーの概要を参照)葬儀の別れの言葉では、一緒に野球観戦をしたこと、ジョークに笑い転げてくれたこと話した。また、35歳の誕生日には「RS2600(ルシュール:実在しない?)」という、3000ドルする腕時計をプレゼントしていた。(1991年12月:1ドル=128円 3000ドル=38万4000千円)

宝石商としては、1674年のロシア皇帝が16歳の皇女へ贈られた宝石で、エメラルドは18カラット。プラチナ製の台は極めて精巧につくられた、神の手の持つ職人の作品があったり、シルバーアクセサリー、高級腕時計などが並べられていた。

宝くじ当選者(本当はフレディだが)として、テレビ紹介番組に出演すると、一躍時の人となり、店の前には募金を募る集団が押し寄せた。また、電話では「ペット保護協会の名誉職」「ピース(平和)を守る会」などの団体から寄付を迫られる。

さらに娘からは、スポーツカーを買いたいと電話があり「赤色なら買ってもよい」と、秘書に返事を返させた。また、ハロウィーンの日に大富豪の衣装限定の仮装パーティーを開催した。

3000万ドルという大金を入手したものの、オークション会場のシーンでは、予算は80万ドルと設定をしていた。落札額を合計すると、予算は15万ドル超過しているものの、全てを落札しようとする気はなく金銭管理はしっかりとしているようだ。

①今世紀初頭のルビー(1万ドルでパス)
②某名家の遺産:極上ダイヤ40カラットのネックレス(30万ドルで落札)
③珍しいイヤリング(65万ドルで落札:コロンボから追及され興奮。65万まで一気に上げた)
④~不明(聞き取れず:レオンもコロンボの話しに付き合うため会場を後にした)
①128万円で辞退 ②384万円で落札 ③832万円で落札

釣り好きなようだが、大金を手に入れてからはゴルフの練習もしているようだ。


今回の共犯:ナンシー・エレン・ブラウアー
役者:ジェイミー・ローズ

吹き替え声優:勝生真沙子

概要:フレディ・ブラウアーと離婚協議中の女性。少なくとも、3年間は夫婦として暮らしていたが、お互いに乗り気ではなかった。離婚を言い出したのは彼女の方であるが、フレディが結婚6週間前に作った借金についての折り合いがつかず、離婚が難航中であった。

ナンシーは、フレディの叔父であるレオンと愛人関係にあった。離婚協議中のさなか、フレディが宝くじを大当たりしたことを聞き、喜んで共犯となったのであろう。そのため、離婚の最大の問題であった、債務をフレディが全額支払うという離婚書類になったのにもかかわらず、署名はせずに夫婦関係を保ったままだった。

もし、夫婦のまま当選金をフレディが受け取れば、離婚後に3000万ドルの半額を引き渡させばならないからである。おじさん好きなようで、コロンボのこともキュートな男性と語っていた。

共犯の内容としては、フレディの自宅からレオンの自宅に電話を掛けることである。電話に最初に出たのは使用人である。女性である彼女が、男性の声を出せたのかが疑問だ。パーティー会場はごった返しており、聞き取りにくかったのかもしれない。


今回の被害者:フレディ・ブラウアー
役者:ゲイリー・クロ―ガー

吹き替え声優:池田秀一(いけだ しゅういち)

概要:貧乏カメラマンの男性。結婚6週間前に、借金をして借りたアパートの一室をスタジオを始める。その写真ビジネスで、3年間夫婦生活を送ることができていた。しかし、マーシーからの言い出しで離婚することになる。

借金をしてスタジオを借りたからこそ夫婦で生活できた」。残りの借金を半々で債務するのが筋である。マーシーは「結婚前に作った借金は自身には関係はない」。お互いの考えのもと、離婚は難航中であった。

そんな時に、ロト6で大当たりをする。当選番号は『04/05/06/08/11/16』である。この数値は、叔父レオンから貰ったカメラのレンズ調節のピントを合わせる数値である。当たった人物は1人だけだったようで、3043万5885ドル全額当選した。(1991年12月:1ドル=128円 38億9579万3280円)

ただ、現在夫婦の状態で名乗り出ると、離婚した際に半額を引き渡さなければならない。そのため、頼れる(破産中の)叔父レオンに相談をする。レオンが当選者として名乗り出て、後から当選金を渡すというアイディアに乗っかってしまった。一応、念書書きはしていた。

レオンには非常にお世話になっており、先ほどの計画が成功すれば、10%の300万ドルを渡す約束をしていた。フレディはレオンの姉の息子であり、13歳の頃に両親を飛行機事故で亡くしていた。色々ふさぎ込んでいた、彼に援助して立ち直らせたのは、レオン叔父さんだったのだ

そんな、叔父さんに殺されるとは夢にも思わなかったであろう。レオン自身、破産の状況を包み隠さず話せば、きっとフレディは金銭援助をしてくれたに違いない。一緒に野球観戦や、叔父のジョークに大爆笑したり、高級腕時計をプレゼントしてもらったのだ……。

宝くじを当選してからは、限定スポーツカー17万5000ドルを予約購入し、ヨーロッパで引き渡すつもりだったり、シャンパン1ダース520ドルを購入している。ただ、レオンは当選金を渡さずにいたため、金銭面が危うく、叔父から貰った「RS2600」という高級腕時計を売り、レオンを悲しませないようにと、外見そっくりな偽物を身に付けていた。17万5000ドル=2千240万円

アパートでは、友人に恵まれる。詩人トリッシュ、チンパンジーを飼っているマイヤー、イタリア系の男性が好きな妻をもつ夫、ギター弾きの男性、若い女性など、フレディが亡くなった日には、彼の部屋でお別れ会を行った。彼らによるとビール好きで、1日で半ダース飲むらしい。

またレオンによると、ロールスロイスを借りて高級住宅街を見て回る。マドンナの付き添いカメラマンになったと話すなど、夢見がちな性格だったと話す。しかしコロンボに、どこの住宅を見て回ったのか?と聞かれると、即答できなかったあたり、レオンの嘘であろう

小ネタ・補足

〇今作からピーター・フォークが制作総指揮として正式に着任している。

〇ロト6がこのエピソードで大当たり!番号は【04/05/06/08/11/16】あなたも買ってみよう!!

〇被害者の吹き替え声優は『池田秀一』である。47話『狂ったシナリオ』では犯人。53話『かみさんよ、安らかに』ではコロンボの部下の刑事と、捜査する側される側とコンプリートした。

〇犯人レオンが仮装パーティーで着た衣装は、ジョージ3世の衣装である。

〇被害者の追悼式でアパートの仲間たちが歌った曲は、ピート・シーガー『花はどこへ行った?』である。

まとめ

冒頭でレオンおじさんが、うきうきして株がどうなったのか書面を見る。紙を破り捨て「破産だ……破産だ……」。一方で、高額当選を当てて、うきうきとしているフレディが部屋に入ってくる。『鴨が葱を背負って来る』とはまさにこのことでしょう。可愛がってきた甥フレディに対して、高額な当選金を奪うことが勝って殺人を犯してしまう。なんともブラックな展開なんですね。

フレディ君に頼めば、破産した金額ともうちょいぐらいは支援してくれそうな気がするのに手にかけちゃうなんて、なんて外道であろうか。それに比べアパートの友人たちは素敵ですよね。フレディ君は貧乏でしたが友人たちに恵まれていました。

ほとんど場当たり的な犯行だけに、かなり犯人はミスをしていました。腕時計の裏にあるはずの№、買い込んだシャンパン、高級車を買う予定、仮装パーティーの衣装が見当たらない等、レオンの嘘、フレディが当選したのだろうという疑いを掛ける流れというのが実にスムーズなエピソードです。

ラストの証拠に関しても、旧シリーズの美術評論家の事件を思い出す鮮やかなオチでしたね。その後の犯人たちの痴話げんかは醜いものですが、コロンボ警部とストローラー刑事のやりとりで中和されました。

以上、「大当たりの死」でした。

  1. これって奥さんが共犯者になるメリットがスッパリわからないんですよね。
    (少なくとも金銭的には)
    コロンボ作品でも相続人が被相続者殺害に加担してると相続権を失うと散々出てるし、失敗したらパー。
    そして、成功したら全額が叔父さんのものになってしまう。
    成功したら分前もらう?でも半分よりよほど多くもらわないと割に合わない。
    そんなにくれるかなあ。
    いずれにしろ安全な半分のがいいと思うんですけどね。

  2. ガガンボ様
    コメントありがとうございます。

    >>これって奥さんが共犯者になるメリット
    >>成功したら全額が叔父さんのものになってしまう
    >>成功したら分前もらう?

     主犯レオンと共犯ナンシーの関係性ですが、被害者フレディーが宝くじに当選する以前より不倫関係にありました。前々からの不倫関係を示唆する場面として、ドラマにおいては抱擁からのキス、小説においてフレディーが高額当選の相談に訪れた際「(それとも……あれがバレたのか……)」という心理描写で表現されています。
     
     この点から、まずは金銭上での協力関係ではなく、2人は愛し合っており、困っている人を助け合う相互扶助の関係で成り立ったのだと考えます。

     フレディーとしては離婚協議中であり、悪妻に当選金額を渡したくありませんでしたから、叔父のレオンに代理受け取りを頼みました。レオンとナンシーは上記のように不倫関係にありましたので、彼女にとっては邪魔な夫を消せる上に金銭も受け取れる打算があり(彼女のことですので宝石商として成功しているレオンに対し口止め料を後にせしめるかも?)共犯に至ったのだと思います。

  3. せぷてい様、ご意見ありがとうございます。
    コロンボさんは色々よくできてるところもある反面、隙も結構多いのを考えるのが楽しいのであちこちにちょこちょこ投稿させて頂いております。

    さて、愛情からという答えしかないのは分かります。
    ただ、やはり得られるものが少ない。
    計画を止めて告発すれば危険なしに十数億円得られるであろうものを、それを放棄して殺害の手伝いして得られるものは不倫の継続だけでは弱すぎるかなあと。
    (相互利益にならず一方的搾取になってるような)
    旦那もただ邪魔なだけでそんなに憎んでる風でもない。
    だったら、半分貰っといて破産して(多分家庭崩壊した)おじさんに 「私が養ってアゲる」するのがよくねぇと思ってしまうんです。

    また、元々の脚本が、後で脅迫して被害者第二号まっしぐらなよくあるものから改変されでもしたため中途半端になってしまったのかなとか想像しております。

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