刑事コロンボ 67話『復讐を抱いて眠れ』究極の死体なき殺人

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新刑事コロンボ 復讐を抱いて眠れ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「復讐を抱いて眠れ」より引用】

【VS.葬儀屋】派手な演出、ドロドロとした人間関係。そんな展開が多い、新刑事コロンボシリーズですが、ここにきて再び、あの『パトリック・マクグーハン』が犯人として再登場です。さらに、彼は監督も務め、旧コロンボシリーズのような『刑事VS犯人』というスタンダードな倒叙形式に仕上げてくれました。

また、犯人の職業と犯行計画がお見事です。死の引受人である葬儀屋エリック・プリンスは、死体毎火葬にしてしまうのです。すべては灰にしてしまえば、証拠なんざ残りません。ブラックなエピソードで、ユーモアもあるラストは素晴らしいです。

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ココが見どころ‼

〇パトリック・マクグーハンの最後の犯人役。

〇『死体なき殺人』+『葬儀屋』という組み合わせの見事さ。火葬して証拠を隠滅!

〇「あなたのような人物を25年追いかけてきました」というコロンボのセリフ。25年前のエピソード、34話『仮面の男』の伏線回収。

データ

データ:詳しく見る
脚本:ジェフリー・ハッチャー

監督・共同製作総指揮:パトリック・マクグーハン

制作:クリストファー・セイター

制作総指揮:ピーター・フォーク

音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:90分

公開日:アメリカ/1998年10月8日 日本/1999年9月23日

あらすじ+人物相関図

刑事コロンボ 人物相関図

葬儀社社長エリック・プリンスは、過去の葬儀で女優ドロテア・ページの遺体から、ダイヤのネックレスを盗み出していた。そして、それを資金に事業拡大をしていったのだった。そのことを、かつての愛人で芸能レポーターでもあるヴェリティ・チャンドラーに突き止められてしまう。

彼女はこのことを、自身がメインパーソナリティーを務める番組で暴露すると話す。事件発覚を恐れたエリックは、葬儀社にある遺体の処置室で彼女を殺害した。この日は、俳優チャック・ヒューストンの葬儀であり、式の終了後、棺の遺体をヴェリティに入れ替えて火葬したのだった。その遺灰が入った骨壺をチャックの妻に渡し、灰は空から撒かれた。

その晩には、ヴェリティの自宅に侵入し、パソコンの時刻をずらして操作する。自身に関する記事を消去すると、新たに麻薬に関する記事を打ち込んだ。そして玄関を荒らす。これで、麻薬絡みの記事を書き誘拐されたように見せかけた。

翌日にはチャック氏の遺体を、ガス爆発で亡くなった遺体と共に火葬をする。死体もなければ、証拠もない。すべて焼却してしまったのだから……。

人物紹介

エリック・プリンス 新刑事コロンボ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「復讐を抱いて眠れ」より引用】

今回の犯人:エリック・プリンスパトリック・マクグーハン

吹き替え声優:有川博(ありかわ ひろし)

銀河万丈版:山野史人(やまの ふびと)

職業:葬儀社社長

動機:口封じのため

殺害方法:撲殺(トロカール)

概要:詳しく見る
概要:サンセットブルーバードにある『ハバランド・プリンス葬儀社』の社長。元々はイギリスから来た売れない役者であり、アメリカでも役者としては実らなかった。その後、葬儀社に転職をする。そこで、社長ハバランドから気に入れられて共同経営者になった。すでにハバランド氏は亡くなっているようだ。

社長であるが、経営だけではなく業務にも関わっている。葬儀会場の装飾指示や段取り作り、神父の弔辞に関しては数秒単位での調整を促していた。しかし裏では、芸能リポーターのヴェリティ・チャンドラーに、遺体を情報源に裏取引も行っていた。遺体を調べれば、同性愛や薬物依存は痕跡で分かるようだ。ただ、新しい女性ができヴェリティを捨てることになる。

1975年9月に女優ドロテア・ページの遺体からダイヤの首飾りを盗み出す。それを資金に事業を拡大していた。盗み出した方法とは、喉の奥にダイヤの首飾りを押し込み隠す。その後、火葬してダイヤを回収するという酷いやり方である。遺体を情報源にしていたこと、ダイヤの首飾りの件を暴露すると言われ、殺害に至った。

今エピソードの冒頭では、24件目の葬儀社も無事に買収していたことがわかる。また、自社でヘリコプターも持っており、パイロットも勤務させている。火葬した遺灰を骨壺に入れ遺族に渡し、海へと撒く、いわゆる『海葬(海洋散骨)』をしているようだ。葬儀の値段に関しては、従業員がコロンボに説明をするシーンがあり、そのコースの1つに4万3000ドルと紹介されていた。

さらに、今年最高の葬儀ディレクターにも選ばれており、その際のスピーチでは「葬儀ディレクターより、葬儀請負人と呼ばれたい」と話している。ディレクターとして彩るのではなく、請け負うという需要的な表現とし、死を尊重し敬いという表向きの発言である。

酒は好まないのか?パーティー会場では、葬儀会社の人々が酒を飲んでいたのに対し、オーダーしたのは『オレンジジュース氷なし』である。またオフィスでは、紅茶ダージリンをコロンボに振る舞った。

凶器『トロカール』とは?…遺体のガス抜きのための道具である。全体が金属製であり、先端が針のような形状になっている。遺体に突き刺すことで体内に溜まるガスを排出させ、身体が膨らんだり破裂しないようにするようだ。今回は持ち手の部分で殴りつけ殺害した。


ヴェリティ・チャンドラー 新刑事コロンボ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「復讐を抱いて眠れ」より引用】

今回の被害者:ヴェリティ・チャンドラー(ルー・マクラナハン)

吹き替え声優:此島愛子(このしま あいこ)

銀河万丈版:小宮和枝(こみや かずえ)

職業:芸能レポーター

概要:詳しく見る
概要:芸能リポーターであり、週末にゴシップを言う番組のメインパーソナリティーでもある女性。かつてエリック・プリンスとは愛人関係にあり、彼に新しい女性ができたことに対し、不満があった。そこで、葬儀中にダイヤの首飾りが無くなった事件を捜査し、エリックが犯人である証拠を掴む。復讐のため生放送での暴露を目論んでいた。

生放送のタイトルは『暴かれた葬儀屋の欲望と悪事』である。このことは、わざわざエリックと対面し発言している。「悔しがる顔を見れて良かったわ」と上機嫌だったが、その代償に殺害されるとは夢にも思わなかったであろう。日曜日の放送終了後には、盛大なパーティーも予定していたようだ。

車は修理中とのことで、ドロシア邸のガードマンの話によれば、3日前にタクシーに乗った女性が来たと言っている。このことから、少なくとも3日前には車は故障していたようだ。エリックによると『赤いベンツ』に乗っていたとの台詞がある。なお、ガードマンによれば、その際の服装は、黒い大きな帽子/真っ赤な服だったとのこと。赤い色が好きだったのであろう

番組にはメールを送ることができ『vicious_rumors_hollywood_hearteat.com』である。一旦メールはオフィスにあるパソコンに送られる。そして、秘書ドジャー・ギャンブルスが操作を行い、彼女の携帯電話にメールを転送するようである。

愛犬にフレンチブルドッグの『ルウェラ』がいる。生後12週の子犬であり、3日前に飼い始めていた。12枚撮りのフィルムには、11枚も犬の写真が残っており可愛がっていた様子。室内飼いであり、夜はチキンのドッグフードを食べさせていたようだ。

犯行計画

【ヴェリティ・チャンドラーを殺害。死体と証拠品を火葬し証拠を末梢する】

①俳優チャック・ヒューストンの葬儀中、芸能レポーターのヴェリティ・チャンドラーが処置室に入ってくる。エリック・プリンスがかつて、女優ドロテア・ページの葬儀でダイヤの首飾りを盗んだことを、自身のニュースで暴露すると話す。エリックは『トロカール』で彼女を撲殺した。

②チャック氏の葬儀が終わり、棺を処置室へ移動させる。彼の遺体を棺から保冷庫に入れる。空になった棺には、ヴェリティの死体と、ドロテア・ページの自宅前を写した写真を入れ火葬した。遺灰は骨壺に入れ、チャックの妻リズがヘリコプターから遺灰を撒いた。

③その晩、ヴェリティの家に侵入する。作業机の上に、イヤリングを置き、足元にヒールを置く。パソコンの時刻を『PM7:38』⇒『PM8:38』と、1時間ずらす。自身に関する記事を消去し、新たに麻薬に関する記事を打ち込む。そして、時刻を元に戻す。玄関を荒らすと、チャック夫人の家で過ごした。

④翌日、生前予約をしていたラービィ氏がガス爆発で亡くなり、夫人から火葬を依頼される。ラービィ氏の遺体と、保冷庫に入れていたチャック氏の遺体を棺に入れ火葬した。その遺灰を骨壺に入れて、夫人に渡した。後はヘリコプターから海に遺灰を撒けば証拠は残らない。

コロンボの疑問点

推理と捜査
○被害者の自宅にあるパソコンの最終記録はPM08:40で、麻薬に関する記事を書いていた。その後、呼び鈴が鳴り玄関先まで行くと誘拐された。しかし、被害者は、生後12週の子犬を3日前に飼い始めていた。帰ってきて餌やりを忘れるなんて考えられない。

○被害者の机の上には、子犬の写真11枚があった。ネガは12枚撮れるタイプがある。ネガを現像すると12枚目の写真があった。それは、どこかの屋敷の門を写した写真だった。

〇エリック・プリンスは、有名人が亡くなると宣伝のために、被害者に電話をすると言った。しかし、昨日から今日にかけて、伝言は被害者の秘書の3件だけだった。

○被害者の鞄に入っていた口紅は『アフタヌーン・ディライト』という色だった。彼女は葬儀場でチャック氏の遺体にキスをしており、式場の係員はその口紅をぬぐった。その時の口紅と、ハンカチに付着した色は一致する。しかし、作業机にあったグラスに付着した口紅は、違う種類の色だった。20:00に帰宅した被害者はこれから1人で仕事するのに、なぜ昼間の口紅を落として濃い口紅に塗り替えたのか?

○コロンボは被害者が最後に利用したタクシー会社に話を聞きにいった。そこで、タクシードライバーの1人が、道路の混雑状況を黒板に記入した。”H.B”=ハリウッド・ブルバード(大通り)と記載しており、被害者が手帳に記入していた”S.B”の意味が分かった。名前のイニシャルではなく、サンセット大通りという意味である。

○サンセット大通りを調べていくと、写真と同じような門構えの屋敷があった。そこは、女優ドロテア・ページがかつて住んでいた屋敷だった。3日前、被害者と同じような恰好をした女性が、タクシーに乗ってきて写真を撮り、帰って行ったようだ。

○タクシー運転手エディ・フィネーリは、毎週決まった時間に、同じ客を迎えに行く。そして、前科は盗品を売買した罪で6年の禁固刑であった。話を伺っていくと、エリック・プリンスから、ドロテアのダイヤの首飾りを買い取ったようだった。

○被害者はゴシップを話す番組をもっていた。そして、次回の放送では葬儀会社の秘密を暴露するつもりであった。エリックは、過去にドロテアの葬儀を行っていた。

○被害者の秘書から話を聞くと、番組視聴者からのメールは、全て携帯電話に転送されるようになっている。しかし、”転送中に中断”と申告され、12:32以降受信不能の状態にある。チャック・ヒューストン氏の葬儀の後、被害者は携帯電話ごと火葬されたのではないか?

いかにして決着をつけたか?
〇エリック・プリンスは、葬儀社のオフィスでコロンボに紅茶を振る舞った。「コイツはいい。かみさんはスプーンでやってます」角砂糖を掴む、トングを気に入ったコロンボは、エリックからそれを貰った。しばらくして、コロンボはこう話す。

コロンボ「あなたのような人物を25年追いかけてきました。全員捕まえた。あなた以外は。あたしは負けるのが嫌いでね」

エリック「私もね」

そして、コロンボは女優ドロテア・ページのダイヤの首飾りを盗み出した方法を当てて見せた。しかし、分かったところで立件できるわけもなく、余裕のあるエリック。だが、外の方でヘリコプターの音が聞こえてくるのが気がかりであった。コロンボに聞くと、ヘリを引き返させたのだという。

外にでると、ヒューストン夫人がいた。チャック・ヒューストンを火葬したのは12:20である。彼は戦争で何度も負傷し、X線写真には足に砲弾の破片が残り、亡くなるまで足が不自由であった。そこへ、警察車両も来る。中からはラービィ夫人が降りてきて、遺灰の入った骨壺を手渡す。

ラービィは虚弱体質であり、当然戦争にも行ったことはないと夫人は話す。コロンボは骨壺を振ると、中から音が聞こえる。「コイツが役に立つと思いました」先程、エリックから貰ったトングを使い、骨壺の中から取り出して見せたのは、ステンレス製の砲弾の破片だった。独特の形状をしているため、X線写真と比較しても、形と大きさが一致する。

チャック・ヒューストンを火葬したのは木曜日。ラービィは金曜日。なぜ、ラービィの骨壺の中に、砲弾の破片が入っていたのか?それは、チャックの火葬の時にはヴェリティ・チャンドラーを火葬したからである。

エリック「やられたな……。見事にやられました。それでは失礼しますよ」

コロンボ「どちらへ?プリンスさん」

エリック「そこのパトカーに乗るんですが、私1人で警察に行きますか。それとも、ご一緒ねがえますかな?」

コロンボ「どちらでも。これは、あなたの葬式です」

最後の最後で、コロンボは皮肉を込めて言ったのだった。

三幕構成

刑事コロンボ 三幕構成

まとめ

職業と犯行計画の一体感が素晴らしいストーリーだと感じています。不謹慎ですが、『死体なき殺人』+『葬儀屋』という組み合わせ。死体は火葬してしまえば、証拠が残らない。このアイディア勝利ともいうべき脚本‼タイトル名も、1番好きな名前です。

脚本家は『ジェフリー・ハッチャー』という方なのですが、刑事コロンボ完全捜査ブックによると、なんと『ジェフリー・ハッチャー』=『パトリック・マクグーハン』ではないかという説が載っています。捜査ブックには、それを裏付ける文章など、詳しく記載されていますので気になる方は、ぜひ見てみてください。

以上、『復讐を抱いて眠れ』でした。