古畑任三郎 第5回スペシャル(#39)『すべて閣下の仕業』あらすじと感想

古畑任三郎 39話 すべて閣下の仕業
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前作からおおよそ5年ぶりとなった本作品は、2時間枠のスペシャル回に相応しいストーリーになっています。犯人の職業も『日本特命全権大使』と、シリーズ中で最も地位のある役職であり、海外を舞台とした日本大使館で起こる殺人事件に繋げることができました。

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データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:河野圭太
音楽:本間勇輔

本編時間:121分20秒
公開日:2004年1月3日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎 全て閣下の仕業 人物相関図南米にある国の日本特命全権大使・黛竹千代(松本白鸚)は、地元の企業から不正な献金を受け取り、大使館で豪勢な暮らしを送っていた。参事官・川北健(及川光彦)は、その金は貧困に喘ぐ地元住民から吸い上げた金であることから良心の呵責に耐えきれなくなり、この事実をマスコミに公表する決意を固める。その晩、黛は口論の末に川北を撲殺すると、遺体を隠して過激派による誘拐殺人事件に見せかけたのだ。そこに、パスポートを紛失したため大使館に来ていた古畑任三郎が現れる。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:黛竹千代(まゆずみ たけちよ)
役者:松本幸四郎(現:2代目松本白鸚)

概要:南米某国の日本特命全権大使である男性。地元の有力企業から不正な献金を受け取り大使館で贅の限りを尽くしていた。参事官・川北健が、日本のマスコミとの懇談会で告発すると言ったため口論の末に撲殺。過激派による誘拐殺人事件に見せかけた。


今回の被害者:川北健(かわきた けん)
役者:及川光博

概要:南米某国の大使館で参事官をしている男性。既婚者であり妻は早苗。大使、公使につぐNo.3の役職であり、黛竹千代の優秀な補佐兼通訳を担当、大使館職員の主任を担っていた。竹千代が地元企業から違法な献金を受け取り、度を越えた生活の恩恵を受けていることに自問自答の日々であった。

小ネタ・補足・元ネタ

〇46分41秒~『花田』が古畑から脅迫文を受け取ろうとした際、勢いよくデスクライトに手をぶつけている。その後、もう一度 デスクライトに手をぶつける。

◯DVD/Blu-rayの特典映像として、三谷幸喜氏の特別インタビューが収録されており、オチがなかなか明かされない『赤い洗面器の男』について語られる。

元ネタはイスラエルにあるジョークらしく、『すべて閣下のしわざ』の本編では、スペイン語でオチを喋る場面があるのだが、字幕などには表示されず、管理人もスペイン語は分からないので不明である。

刑事コロンボからのオマージュ

◯大使館内で起きる殺人事件という舞台設定は、刑事コロンボ33話『ハッサン・サラーの反逆』から着想を得ていると思われる。

○犯人・黛竹千代はゼリービーンズをつまみ食いしたが、刑事コロンボ52話『完全犯罪の誤算』の犯人も同様にゼリービーンズをつまみ食いをシーンがある。

まとめ

南米での休暇中『猿からパスポートを盗まれてしまった古畑任三郎』が、日本国大使館にパスポートを再発行しに来たという展開から事件に首を突っ込むことになります。設定上、部下である「今泉慎太郎」や「西園寺くん」は登場しません。

その代わりにいるのが、第3シーズンでも度々顔を見せていた「花田」が大使館職員として現れます。『勘だけで事件の全貌を暴く』というお約束の展開はなく、あくまでもスペイン語を話せない古畑の補佐的な役割を担当しているんですね。

スペシャル回だけあり、ストーリー構成にひねりが加えられています。『偽装誘拐事件』を主軸において進むのですが、犯行の一部始終を全て見せるのではなく『遺体なき殺人』が組み合わされており、『遺体の隠し場所』や『最後の詰め手』に繋がる伏線も丁寧に描かれております。

なんといってもラストは衝撃を受けました。古畑シリーズの中でも特殊な終わりであり、若松医師役「津川雅彦」氏を登場させたのも、津川氏が犯人を演じたエピソードと対比する展開になっていることを感じさせる演出なのです。

以上、『すべて閣下の仕業』でした。

  1. せぷてぃ様
    ご無沙汰しております。いつも楽しく拝読しております!
    デアゴスティーニ古畑の18号の「冒険家の誘拐事件」に関する三谷さんのコメント、ご覧になってます?noteに軽くまとめたのですが、これはもうひとつの語られざる事件「スマトラ鉄道殺人事件」、さらにこの「すべて閣下の仕業」とのミッシングリンクをつなぐ重要証言なのでは!?と感じました。
    https://note.com/kasumishirakaba/n/n9dc03b8aa152
    興奮してコメントすみません……確実に古畑デアゴを読んでらっしゃる方と思い、おしかけてしまいました……

  2. 白樺香澄様
    考察記事の紹介ありがとうございます! 楽しく読ませていただきました。

    >>「冒険家の誘拐事件」に関する三谷さんのコメント
    >>「川口浩探検隊」的なスポンサードされたエンタメ路線の冒険家が、海外での冒険中

     再確認しました! 本のタイトルも気になりますね。白樺香澄様のおっしゃるように、考察を基にアレンジした展開の事件だとしたら➀も➁のどちらでも面白くなりそうです‼ 作り易そうだなーと思うと、➁のほうですかね?身体を張った『逆転の構図』のトリックも似合いそうだと感じました。

    >>「冒険家の誘拐事件」は『すべて閣下の仕業』のプロトタイプだった説
    >>古畑では没になったプロットがのちに形を変えて実現するケース
    >>通訳やコーディネーターを引き連れて海外を訪れたタレント冒険家の方がふさわしい
     当時に起きた事件の年代から物語のバッググラウンドを考察する、素晴らしいです! 確かに冒険家と現地の通訳・ガイドの組み合わせだとあの詰め手もよりスマートに感じます。

  3. せぷてぃ様
    お忙しいさなかに余計なコメントをしてしまい失礼いたしました……ありがとうございます!
    ②で、「逆転の構図」ばりに体を張って「俺も間一髪だったんだよ!」と言い張る犯人も古畑ではあまり見かけない造形で面白そうです……!(そういうバールストン系の無茶トリックを企んだ人は、作中だと音弥くんくらいでしょうか)
    昨日、「笑うカンガルー」を見返してて気づいたのですが、「冒険家の誘拐事件」が最終回用海外ロケ2時間スペシャルだった説のぼんやりした傍証として、同作がオリエント急行のオマージュだったんじゃないかというところから想像を飛躍させて、終わり方もオリエント急行を意識した「犯人や共犯者の罪を問わないでおくラスト」にするつもりだったとしたら、「笑うカンガルー」「ニューヨークでの出来事」とともに(のちの「すべて閣下の仕業」もそう言えばそうでした)「海外では古畑は殺人者を見逃す法則」にも合致するんですよね。

  4. 白樺香澄様
    >>「逆転の構図」ばりに体を張って
    >>作中だと音弥くんくらいでしょうか
     普段運動しない幡随院先生、若林編集長や臺さんも身体をはって頑張りましたね!(やっぱり音弥くんですね)

    >>「冒険家の誘拐事件」が最終回用海外ロケ2時間スペシャルだった説
    >>終わり方もオリエント急行を意識した「犯人や共犯者の罪を問わないでおくラスト」にするつもり
    >>「笑うカンガルー」「ニューヨークでの出来事」とともに(のちの「すべて閣下の仕業」もそう言えば
    >>「海外では古畑は殺人者を見逃す法則」にも合致する

    『リンドバーグ愛児誘拐事件』→『オリエント急行殺人事件』→『古畑の海外ロケ作品』という3重構造の着眼点は面白いですね! 古畑海外ロケ三部作を並べてみると法則性や物語の柱が見えてきますね。『オリエント急行殺人事件』(赤い着物を羽織った女性)=『ニューヨークでの出来事』(感じのいい着物のおばさん)も着物繋がりで寄せた?(こじつけ)

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