古畑任三郎 39話『すべて閣下のしわざ』あらすじと感想

古畑任三郎 39話 すべて閣下の仕業

【VS.日本特命全権大使】「お久しぶりです。早速ですが新春スペイン語講座を。Grasiasgは“ありがとう”、Adiosは“さようなら”、Un Conac,Por favorは“コニャックを一杯ください”。そして、Estas arrestado…“あなたを逮捕します”」

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データ

データ:詳しく見る

脚本:三谷幸喜

監督:関口静夫

制作:フジテレビ

演出:河野圭太

音楽:本間勇輔

本編時間:121分20秒

公開日:2004年1月3日

あらすじ+人物相関図

すべて閣下のしわざ 人物相関図南米にある国の日本特命全権大使・黛竹千代は、地元の企業から不正な献金を受け取り、大使館で豪勢な暮らしをしていた。参事官・川北健は、その金は貧困に喘ぐ地元住民から吸い上げた金であると良心の呵責に耐えきれなくなり、この事実をマスコミに公表する決意を固める。

その晩、口論の末に川北を撲殺すると遺体を隠し、過激派による誘拐殺人事件に見せかけた。しかし、パスポートを紛失したため大使館に来ていた古畑任三郎から追及されると、今度は大使館で働く使用人・ガルぺスの犯行に仕立て上げたのだった。

人物紹介(キャスト)

黛竹千代 すべて閣下のしわざ 犯人 古畑任三郎

今回の犯人:黛竹千代(まゆずみ たけちよ)

役者:松本幸四郎(現:2代目松本 白鸚)

職業:日本特命全権大使

殺害方法:撲殺

動機:口論の末に

概要:詳しく見る
南米某国の日本特命全権大使である男性。地元の有力企業から不正な献金を受け取り、大使館で贅の限りを尽くしていた。参事官・川北健が、日本のマスコミとの懇談会で不正を告発すると言ったため、口論の末に撲殺。遺体を隠すと、過激派による誘拐殺人事件に見せかける。古畑任三郎から追及されると、使用人・ガルぺスに罪を擦り付けた。

若松医師とは30年の付き合いらしく、彼によると大学もろくに出ていないそうだ。旅行社の社員として勤務し、嘱託職員として外務省に雇われる。『ヘルシンキ』の総領事館で荷物運びなどをして、現婦人と結婚する。義理の父が元駐米大使だったこともあり、推薦で外交官になることができて、徐々にキャリアも向上させたようである。

妻によると、結婚した当初は無一文でズボン1着しか持っていなかったそうだ。そのうえ資産家で外交官のキャリアを積むことができたのも彼女のおかげ。そのため、妻には頭が上がらないようである。蝶ネクタイを結んでもらうように頼んだが、断られると渋々自分で蝶ネクタイを結んでいた。

以前は、『ビバノン王国』と『ドレスカデン』という国に赴任していた。多額の寄付金を送りそれぞれの国で勲章を渡されている。今回のエピソードでも、地震の被災地に寄付金を送り、「サンチェス知事」から楯と感謝状を贈られている。

昔の日本国大使館は、マンションの一室を借りただけの質素なものであったが、黛竹千代が赴任するとガラリと雰囲気が変わる。家具は最高級品で、飾られている『クリムトの絵』は本物であるとのこと。

このように煌びやかな大使館や、多額の寄付が出来るのも、妻が資産家であることも挙げられるが、不正な献金を受け取っていた事実もある。飢えた地元から吸い上げた金を利用した豪華な暮らしぶりに対しては、「贅沢は罪か?」と参事官・川北に言ってのけた。

しかし、古畑任三郎から罪を見咎められると、何故に大使館での生活を豪華にしていたのかは確固たる信念に基づいていたことを語って聞かせた。母国を背負うものとして、その考えを全うしていたのか? 単に言い逃れるための出まかせか、贅沢をしたかっただけであるのかはもはや不明である。

気分屋でワンマンな所もあるが、威厳とした言動や立ち振る舞いに対し、大使館職員は『閣下』の名称で呼んでいる。一連の活動が高く評価され、今度はニューヨークの国連大使を担うことが決まっていた。上の階級の人たちだけには評判がいいと、被害者の妻・川北早苗は語る。


川北健 すべて閣下のしわざ 被害者 古畑任三郎

今回の被害者:川北健(かわきた けん)

役者:及川光博

職業:参事官

概要:詳しく見る
南米某国の大使館で参事官をしている男性。既婚者であり妻は早苗。大使、公使につぐNo.3の役職であり、黛竹千代の優秀な補佐兼通訳を担当、大使館職員の主任を担っていた。竹千代が地元企業から違法な献金を受け取り、度を越えた生活の恩恵を受けていることに自問自答する。

大使館から1歩外にでれば飢えた子供たちが次々と死んでいる現状。そんな住民たちから搾り上げた企業による汚い金で生活をしているのだと思うと、良心の呵責に耐えられなくなり、外務大臣が来訪する日に合わせ、日本のマスコミの懇談会で不正を告発する準備を進めていた。

外交官としての将来を棒にふるかも知れない思いや、己の良心を取るかと思いつめており食事も通らないでいた。酒や女、夜遊びもせずに真面目な性格であると大使館内の誰もが語る。

犯行計画/トリック

『現地の過激派による誘拐事件に偽装』+『遺体なき殺人』

①黛竹千代は、川北健と口論の末にはずみで撲殺してしまい遺体を隠す。翌日、大使館の職員たちの間で川北が戻ってきていないと話が上がる。レストランで会食の打ち合わせを部下に行わせている間、外の車で待機する。用意していた脅迫状を、覆面の男に無理矢理渡されたとでっちあげる。

我々は日本の資本主義に鉄槌を加えるために集まった者たちである。人質を返して欲しければアメリカ紙幣で10万ドル支払うこと。くれぐれも警察には知らせるな。金はボストンバッグに入れ、今日の午後4時に目が見の噴水の前に持って来い。目印に黒いコートを着てくること(※スペイン語で記載)

②受け渡しには大使館職員・長谷部宏樹を指名する。その間、黛は外務大臣訪問の対応をしている。予告された時刻に犯人たちは現れず、長谷部は大使館に戻ってきた。金が受け渡されなかったことで、人質の命の保証ができない状況に仕立て上げることができた。

③その晩、黛は被害者の遺体を大使館の外に遺棄する。遺体は巡回する警備員が発見すると、過激派が身代金を受け渡さなかった報復として殺害したように見せかけた。しかし、古畑から追及される。

④使用人・ガルぺスに部屋の模様替えと称して、ワープロやセットする紙を触らせた。チップを払いたいと車にある財布を取りに行ってもらう間、ワープロに脅迫文書を打ち込み、彼の部屋に置いておく。

⑤大使館内の職員の部屋を確認させると、脅迫文書を作成する際に使用したワープロと同様の機種の物がガルぺスの部屋から発見される。彼が事件の犯人であるかのように演出した。

視聴者への挑戦状

ネタバレ注意‼表示する
「えー時々思うことがあります。旅をすると行く先々で殺人事件に遭遇する。どうやら私は、そういう星の下に生まれているようです。閣下は、追い詰められた焦りから大変なミスを犯しました。

脅迫状を書いたのはガルぺス君ではありません。彼には絶対あの手紙は書くことはできませんでした。それはなぜか。ヒントはガルぺスと閣下の共通点とは? 古畑任三郎でした」

小ネタ・補足・元ネタ

〇46分41秒~『花田』が古畑から脅迫文を受け取ろうとした際、勢いよくデスクライトに手をぶつけている。

◯大使館内で起きる殺人事件という舞台設定は、刑事コロンボ33話『ハッサン・サラーの反逆』から着想を得ていると思われる。また、犯人・黛竹千代はゼリービーンズをつまみ食いしている。刑事コロンボ52話『完全犯罪の誤算』の犯人も同様にゼリービーンズをつまみ食いをする。

◯DVD/Blu-rayの特典映像として、三谷幸喜氏の特別インタビューが収録されている。オチがなかなか明かされない『赤い洗面器の男(「さよなら、DJ」の小ネタ・補足を参照)』について語られる。

元ネタはイスラエルにあるジョークらしく、『すべて閣下のしわざ』の本編では、スペイン語でオチを喋る場面があるのだが、字幕などには表示されず、管理人もスペイン語は分からないので不明である。(頭に乗せた赤い洗面器が落ちない、おちない、オチない……。 という話ではとはよく聞く)

インタビューの最後で、三谷氏の口からオチを言おうとするが、機材トラブルにより映像が途切れてしまう演出になっている。急に途切れるので、管理人はホラー映画なみにビックリしたので注意‼

まとめ

前作からおおよそ5年ぶりとなった本作品は、2時間枠のスペシャル回に相応しいストーリーとなりました。犯人の職業も『日本特命全権大使』と、シリーズ中で最も地位のある役職であり、海外の日本大使館で起こる殺人事件に繋げることができました。

南米での休暇中に、『猿からパスポートを盗まれてしまった古畑任三郎』が、日本国大使館にパスポートを再発行しに貰いに来たという展開になっており、部下である「今泉慎太郎」や「西園寺くん」は登場しません。

第3シーズンで度々登場する「花田」は大使館職員として登場しますが、『勘だけで事件の全貌を暴く』というお約束の展開はありませんが、古畑の補佐的な役割を担当することになります。

スペシャル回だけあり、ストーリー構成にひねりが加えられております。『偽装誘拐事件』を主軸におき進むのですが、犯人側の犯行の一部始終をすべて見せるわけではなく、『遺体なき殺人』が組み合わされます。一体どこに遺体を隠しているのかという謎が加えられるんですね。全体的に伏線もうまく張り巡らされており、『遺体の場所』や『最後の詰め手』にも繋げることができております。

なんといってもラストはびっくりですね。古畑シリーズの中でも特殊な終わり方といいましょうか、若松医師役「津川雅彦」氏を登場させたのも、津川さんが犯人回の『再会』と相対する展開となっていることを感じさせるエピソードでした。

以上、『すべて閣下のしわざ』でした。