刑事コロンボ 9話『パイルD-3の壁』監督はコロンボ。シーズン1最終作

刑事コロンボ 9話 パイルD‐3の壁
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【VS.建築家】コロンボ役のピーター・フォークさんが監督した作品になります。”死体なき殺人”が焦点となるシーズン1の最終作品であり、その魅力を監督として十分に引き出しました。

テレビ局側が「もう1本コロンボの作品を作ってくれたらフォークに監督させてもいい」という交換条件で監督をしております。とばっちりを受けたのが脚本陣営で、余計に1本追加されたエピソード、第8話「死の方程式」を短い期間で制作するハメになりました。

そのあてつけで、工事現場が舞台であるこの脚本をフォークに担当してもらったようです。ただでさえうるさい工事現場。イライラして悩みながら撮影方法を探っていくだろうという目論みをもって……。

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データ

脚本・ストーリー監修:スティーヴン・ボチコ
原案:ウィリアム・ケリー
監督:ピーター・フォーク
制作::リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
音楽:ギル・メレ

本編時間:76分
公開日:アメリカ/1972年2月29日 日本/1973年8月11日

あらすじ

建築家エリオット・マーカムは、近未来の住宅都市『ウィリアムソン・シティ』の建設プロジェクトを進めていたが、帰国した実業家のボー・ウィリアムソンは出資を拒否する。彼の妻ジェニファーが、マーカムの才能に惚れ込んで勝手に出資をしていたからだ。

建設を続けたいマーカムは、ボーを彼の牧場で待ち伏せし銃を突きつけ道具小屋に追いやった。工事の着工記念式典の日、「ウィリアムソン夫人から電話が入った」と、コロンボが工事現場に訪れる。だが、妻であるジェニファーは連絡はしていないという。その報告者とは、前妻ゴールディからの通報であり、夫が行方不明になったという内容であった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:エリオット・マーカム
役者:パトリック・オニール

吹き替え声優:川辺久造

概要:建築家の男性。ボー・ウィリアムソンの妻ジェニファーに出資を依頼し、近未来都市『ウィリアムソン・シティ』の建設プロジェクトに着手していた。だが、ボーに出資を断られ計画中止することになってしまう。彼の遺産は信託扱いで、死亡が判明すると妻は自由に金銭を動かせなくなる。そのため、殺害後に遺体を隠し行方不明扱いにすることで、建設プロジェクトの資金をジェニファーから受け続けられるように画策した。

『マーカム設計事務所』を経営しており、ボーの妻ジェニファーとの接点は、3年前に別荘の設計をしたことがきっかけである。それ以後、彼女は才能に惚れ込んでおり、この度の建設プロジェクト出資に喜んで多額の費用を投じた。

『ウィリアムソン・シティ』のビルとは、高さ32階、全体がオフィスではなく住居と密着しているのが特徴のようだ。生活と仕事を快適に関連付けることができ、交通や通勤ラッシュから解放される多忙を極めるビジネスマン向けの住居が立ち並びようである。

協会や学校も備え付けられており、公害や事故がないこともセールスポイントの1つになっている。コロンボ警部からは、「機能美、無駄がない」とビルを評価している。ジェニファーも、「完成したら全世界の建築家があっと驚くわ!」と語っていた。

入居費としては、3万~3万5000ドルだそうだ。
(1972年2月1ドル=305円:915万~1067万5000円)

建築家として多忙を極めているが、後進に知識を与える必要性を感じており、大学では建築学の講義を行っている。範囲はピラミッドから現代建築に至っており、エピソード内では『ピラミッド』の解説を行っている。次回は、『バロック様式』の講義を予定していた。

ボー・ウィリアムソンの前妻ゴールディが図った罠では、一時取り乱していたようであったが、ボーの遺言書を読み直すことで、彼女の偽証であり狙いを見抜くなど頭の切れる人物でもある。この点をコロンボからは、有能で刑事になれると高く評価をされた。

クラシックの愛好家であり、事務所には音楽設備が整っている。建築家だけあり、オフィス周りはシンプルながらも洗練されたデザインになっている。


今回の被害者:ボー・ウィリアムソン
役者:フォレスト・タッカー

吹き替え声優:勝田久

概要:実業家の男性。『ウィリアムソン・シティ』という都市計画に妻ジェニファーが勝手に出資をしていると知り、建築家エリオット・マーカムの事務所に乗り込み都市模型をバラバラにする。その後、工事現場にまで乗り込むと、自身の名が街と共に永遠に残るよりも財布の中身が大事であると出資を拒否してうえでマーカムにビンタまでしてみせた。

仕事の内容は不明ではあるが世界中を飛び回っており、帰国するまでは3ヶ月ほどヨーロッパにいたようだ。現在の妻はジェニファーであるが、前妻ゴールディとの関係は続いている。ジェニファーに連絡はしないが、次の仕事先に向かう時はゴールディに必ず連絡を入れているとのこと。

かなりパワフルで活気の強い人物であるが、心臓にペースメーカーを装着している。1年に1回、モス博士のもとで電池交換を行っている。性格も性格なため、血圧の上がり下がりによる心臓への負担が心配である。血液型はBプラスとのこと。

ウェスタン音楽好きであり、以前クラシック音楽を妻から勧められたが功をなさなかった様子。競走馬のオーナーでもあり、ウェスタン音楽好きの延長線上か。テキサス出身らしく、カウボーイのメッカでもある。

小ネタ・補足

〇18分10秒~ゴールディの家政婦ミコの台詞を英語版で聞くと、カタコトの日本語で話している。「どうぞ よろしくコロンボさん。あなたは すてきです。あのね。わたくしは あなたがすきです。 あのね デンワ まった。さよなら」と話す。それに対し、コロンボ警部も「さよなら see」と返す。

〇犯人エリオット・マーカムを演じた「パトリック・オニール」氏は、43話『秒読みの殺人』で、テレビ局社長役も演じている。

〇2018年10月17日、10月24日に放送された、相棒17『ボディ~二重の罠~』は、犯人視点から進む倒叙形式であった。死体なき殺人が犯行計画であり、台詞などからも今エピソード『パイルD-3の壁』のアイディアに影響を受けていると思われる。

まとめ

遺体なき殺人がテーマのエピソードなんですね。殺害シーンがないため、本当に殺人があったのという状況で進みます。コロンボ警部を演じた「ピーター・フォーク」氏が監督を務めた今作品なんですが、被害者が登場する冒頭のシーンが好きですね。荒々しい車の運転で登場して傍若無人な態度はなんとも見事なもんです。

物語の途中コロンボは、モス博士に健康診断を受けさせられます。「葉巻はやめなさい」と注意勧告を受けてしまうのです。マーカムを逮捕したあと、コロンボは葉巻を取り出して一服しようとしますが、思いとどまり葉巻を地面に捨ててしまうのです。

コロンボのトレードマークである葉巻を捨てる。これはコロンボ演じるピーター・フォークによる、刑事コロンボという物語の終わりを意味しているのだと感じました。でも、シーズン2では禁煙は実らなかったようで、スパスパと葉巻を吸っています。

以上、『パイルD-3の壁』でした。

  1. 先日山形県鶴岡市鼠ヶ関の工事現場にてコンクリートを流し込んでいる時に死後数カ月経過した死体が浮かび上がり警察が事件及び事故の両面で調べているらしいですが、もしかして「犯人」は「パイルD3の壁」を参考にしていたんでしょうか?!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

  2. Vermilion Swan様
    コメントありがとうございます。
    ≫山形県鶴岡市鼠ヶ関の工事現場にてコンクリートを流し込んでいる時に死後数カ月経過した死体

    2020年5月26日にあったんですね!補修工事現場で陥没した穴の中に遺体が入っているとは、何とも「パイルD-3」のような話ですね。

    補修工事現場で陥没した穴の中

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