刑事コロンボ 10話『黒のエチュード』指揮者による殺人

刑事コロンボ 10話 黒のエチュード
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【VS.指揮者】第2シーズンの開幕エピソードであり、96分と通常よりも20分多く設定されています。コロンボの愛犬”ドッグ”の初登場回でもあります。犯人アレックス・ベネディクトは、コロンボと対峙中も常に笑みを絶やさない男であり、難き殺人犯として登場します。

完全犯罪を目指して念入りな計画を立ててきたようですが、”とんでもないミス”を犯しています。犯行現場に胸へつけていた花を落としてしまうんですね。後に犯人がその花を見つけた時に、合成で編集された映像がサングラスへ映り込む演出はユニークです。「指輪の爪あと」のブリマーの証拠隠滅シーンを思い出しました。

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データ

脚本:スティーヴン・ボチコ
原案:リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督:ニコラス・コラサント
制作::ディーン・ハーグローグ
ストーリー監修:ジャクスン・ギリス
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:96分
公開日:アメリカ/1972年9月17日 日本/1974年4月6日

あらすじ

南カリフォルニア交響楽団の指揮者アレックス・ベネディクトには妻のジャニスがいたが、楽団のピアニストであるジェニファー・ウエルズと愛人関係にあった。彼女はこの関係を暴露するか離婚を迫る。ジャニスの母親リジー・フェイルディングは楽団理事長であり、これがバレれば楽団からの追放を意味していた。

ロスでのコンサートの当日、本番前に楽屋から抜け出したアレックスは、自動車修理工場に忍び込み、預けていた愛車でジェニファーの自宅まで移動する。ジェニファーを灰皿で殴り気絶させると、用意していた遺書をタイプライターにセットして、ガスで自殺したように偽装をしたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:アレックス・ベネディクト
役者:ジョン・カサヴェテス

吹き替え声優:長谷川哲夫

追加吹き替え:坂脩

概要:南カリフォルニア交響楽団の指揮者である男性。楽団ピアニストのジェニファー・ウルズとは愛人関係にあり、彼女から関係の暴露or妻との離婚を迫られる。妻ジェニスの母親は楽団理事をしており、発覚すれば楽団から追放されてしまう。そのため、自殺に見せかけた殺人を行った。

指揮者としてコンサートや、映画音楽に使用する楽曲の指揮も行っている。コンサートでは、いつも妻が摘んだカーネーションをタキシードにつけステージに上がっていた。指揮者の傍ら、ジュリアード音楽隊の講師もやっていたようで、トランぺッターのポールとはそこで出会った様子。

俳優仲間も多いようで、ロサンゼルスのコンサートでは画面に華を添えるために、俳優たちに招待状を送っていたようだ。自宅は72万ドルの豪邸であり、愛車は『ジャガー Eタイプ シリーズ2 2+2クーペ』である。(1973年9月1ドル=301円:2億1千6百72万円)


今回の被害者:ジェニファー・ウエルズ
役者:アンジャネット・カマー

吹き替え声優:芝田清子

概要:ピアニストの女性。パンフレットによると、ロンドンの天才ピアニストであり美人でスタイルも良い。ペットとしてインコの『ショパン』を飼っている。なお、インコも部屋に充満したガスにより死亡しており、最初で最後の動物の死者となった

近所に住む幼女オードリーとは仲が良く、旅行中はインコの世話をお願いしていたようだ。見返りとして、オードリーは男の扱い方を教わっていた様子。男の扱い方をレクチャーしていたものの、愛人関係にあったアレックスを上手く扱うことはできなかったようである。

かつて、楽団のトランぺッターであるポール・レフキンと交際をしていたようだが、彼女から交際を辞め、良い友達関係としては続いていたそうだ。理事長のリジー曰く、「(ピアノ演奏)ショパンの腕はたしか。コンサートになるといまいち」と、合奏が苦手な様子。

小ネタ・補足

〇犯人の妻ジャニス・ベネディクトの役者は『ブライス・ダナー』氏である。吹き替え声優は『赤沢亜沙子』氏が担当した。

コロンボ警部の年収は、『1万1千ドル』らしい。
(1973年9月1ドル=301円:331万1000円)

〇本作は96分だが、75分バージョンが存在する。視聴方法は、Blu-rayの特典映像/ディアゴスティーニの定期購読で付属した特別DVDのみである。個人的な意見としては、印象に残ったシーンががっつりとカットされているので悲しい。(例:サングラスに映り込む花、自殺について語るコロンボ警部等々)

〇コロンボ警部の愛犬『ドック』が初登場するエピソードで、犬種は「バセット・ハウンド」だ。

〇刑事コロンボの日本語吹き替え訳を担当した翻訳家「額田やえ子」氏は、コロンボの愛犬『ドッグ』が一番好きなキャラであると、著書『アテレコあれこれ』の「わがヒーローたち」の章節で、綴っている。

まとめ

5分~コンサート会場のカメラ位置を調整するようシーンがあるのですが、犯人がピアノ側が映るカメラをずらすように指示しています。殺害を実行するので、ピアニストがもう来ることはないこと意味しているんですね。2週目で観たりするのも面白いエピソードです。

なんといっても、ジャニス・ベネディクトを演じた「ブライス・ダナー」氏がお美しい。青い瞳が印象的で、献身的に夫を支える良妻賢母なのですが、優し過ぎたのでしょうか? 愛人関係をもった被害者ジェニスより魅力的な人物に見えましたが、音楽家同士でどこか通ずるものがあったのでしょう。

このエピソードでは、個人的に大好きな台詞が登場します。日本でも平均寿命が延びておりますが、大事なのは健康寿命です。『ピンピンコロリ(健康で、病気や寝たきりにならずに老衰)』が理想です。日ごろの生活を見直すのも大切ですよね。

コロンボ
「自殺は嫌だねぇ…殺しと違って自殺は悲しい。人間はさぁ、寿命まで生きるべきだよ」

以上、10話「黒のエチュード」でした。

  1. 手堅い作りですがそれまでの話を見てるとどこか物足りなさを感じます。
    犯人が現場に戻る理由も疑われる切っ掛けも決め手も全て花に集約されます。
    それをハッキリと映しちゃってるもんだから良くも悪くも分かりやすいです。

    そう思うのは最初期の「殺人処方箋」から「構想の死角」までのプロット作品は、
    「犯人のミスだと思わせて…」という視聴者への挑戦的な演出がしていたのに対して、
    今作はそのまま決定的な決め手になってしまうからですね。

  2. トロント様
    ≫手堅い作りですがそれまでの話を見てるとどこか物足り
    ≫ハッキリと映しちゃってるもんだから良くも悪くも分かりやすい
     手掛かりがサングラスに映り込む演出は面白いですよね。コロンボ警部の手掛かりが少ない事件であり、「自殺を疑うきっかけ」「自動車の距離」だけで第2幕まで終わっているんですよね。
     犯人を目撃した幼女でしたり、被害者に好意を寄せている楽団員に時間配分を多めにとっていますね。トロント様もおっしゃられているように、「花に集約」したワンアイディアもの。その花も奥様が用意した物であり、終始健気さに心が揺るがされる部分も多く、彼女が主役だとも感じます。

     脚本家はスティーブン・ボチコ氏で、3話「構想の死角」7話「もう一つ鍵」10話「パイルD-3の壁」17話(共同)「二つの顔」23話(共同)「愛情の計算」54話「華麗なる罠」と、犯人の物語性とそれを取り巻く人物とのやりとりを組み合わせたストーリーが多いですね。

  3. 今回は犯行後、遺体をガスレンジの近くまで運び、ガス自殺をしたかのように偽装しました。
    アメリカのガス事情はわかりませんが、日本では、都市ガスとして供給されているガスの大半は、毒性の少ない天然ガスが原料で、「天然ガスでは自殺出来ません」が、ガス会社のキャッチコピーになっていました。
     もしコロンボ刑事が「ガス会社に問い合わせたところ、被害者の自宅に供給されていたガスは、毒性のほとんどないガスだった」という証言をしていれば、また違った展開になっていたかも知れません。
     

  4. アホです様
    ≫ガス自殺をしたかのように偽装
    ≫日本では、毒性の少ない天然ガスが原料、「天然ガスでは自殺出来ません」がキャッチコピー
    そのようなキャッチコピーがあったんですね! ジョン・カサヴェテス氏の迫真の偽装工作シーンが大好きです♪

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