刑事コロンボ 18話『毒のある花』奇跡のシワ取りクリーム! ご利用と殺人も計画的に

刑事コロンボ 18話 毒のある花
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【VS.化粧品会社社長】シーズン3の開幕エピソードです。女性と男性のどろどろとした愛憎劇になっているんですね。犯人ビベカ・スコットは若い男性に手を出しまくっており、被害者は過去に捨てられた男性です。

刑事と犯人の直接対決感というよりは、ドラマ性が高い作品になります。女性犯人だとそういったエピソードが多いですね。犯人が「上沼恵美子」さんになんだか似ているなぁ……。 と勝手に思った次第でございます。

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データ

脚本:ストーリー監修:ジャクスン・ギリス
原案:ミルナ・ベルコヴィッチ
監督:ヤノット・シュワルツ
制作:ダクラス・ベントン
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:74分
公開日:アメリカ/1973年9月23日 日本/1974年9月14日

あらすじ

化粧品会社社長ビベカ・スコットの会社業績は右肩下がりである。起死回生を図るため新商品の開発に力を注ぎ、副作用もなしにシワが取れるクリーム『ミラクル』の開発に成功したが、最終テストの結果それは検証ミスであることが判明する。

その後、産業スパイとしてライバル会社に送り込んだ秘書シャーリー・ブレインから、スミスという男がクリームの分子式を売り込みにきた報告を受ける。その分子式で作られたというクリームを老婆に塗って見ると瞬く間にシワが消え去ったのだ。ビベカは心当たりのある人物を思い出す。それは自分が振った元恋人のカール・レッシングだ。

ビベカは彼の自宅に赴き、クリームの分子式を買い戻す交渉を行う。カールはそれを拒絶し、女性としての魅力は既に感じていないと嘲笑った。これは別れを告げられた復讐だったのだ。ビベカは逆上し、近くにあった顕微鏡を掴むと彼を撲殺。クリームのサンプルを持ち出し犯行現場を後にした。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:ビベカ・スコット
役者:ヴェラ・マイルズ

吹き替え声優:伊藤幸子

概要:化粧品会社「ビューティー・マーク」の社長である女性。業績は右肩下がりで、起死回生のため新製品開発に力を入れていた。そんな折、開発主任カールソンが副作用無しでシワが取れるクリーム『ミラクル』の開発に成功する。検証ミスだと分かったが、後に偽造されたクリームだったことが判明する。同日、ライバル社に送り込んだ秘書シャーリー・ブレインから1本の報告を受ける。クリームの分子式を売りに来た男で、自分が振った元恋人カール・レッシングだと分かると、彼の自宅に赴いて盗まれた分子式を買い戻そうとするも拒否される。女性として魅力を感じていないと嘲笑ったことから撲殺し、サンプルのクリームを持ち出した。

新製品が当たったのは2年前が最後である。コロンボ警部のカミさんは、この会社の化粧品を愛用しているため、コロンボも常にこの会社の製品を見ていた。台詞によると、製品には印刷された彼女の顔と名前が記載されているらしい。

化粧品会社を経営する他に、1日200ドル(1973年9月:1ドル=265円 53000円)で健康管理のフィットネスクラブを別地で開いている。人気があるようで、多数の生徒がプログラムに参加しているようだった。

若い男が好きであり、会社内の男性社員に手を出しまくっていた。今回の被害者カール・レッシングもその1人である。すぐに自分から振ってしまうようで、『恋をする女性は美しい』恋をすることが1番の美容』とはよく聞くものである。

カールから取り戻したシワ取りクリームのサンプルは、満足そうに自分で使用していた。美容保持のためにも、『ミラクル』と名付けたクリームの完成を望んでいたのは、だれよりも自分自身だったのかも知れない。ホクロは黒い眉墨のハイブローペンで書いている。好みの酒はテキーラ・カクテルらしい。


今回の被害者:カール・レッシング
役者:マーティン・シーン

吹き替え声優:伊武雅刀

概要:化粧品会社「ビューティー・マーク」の開発員である男性。安月給であり、本業のかたわら分子式を解析する仕事もしていた。ビベカ・スコットとは以前恋人関係にあり、捨てられたことに対する恨みを抱き、顔写真をダーツの的にするほどであった。

同僚の開発員によると、「人付き合いが良いほうじゃない。今に見てろっていう感じで、女の子と浮かれ歩くよりもでかい目的があったんじゃないか?」と語っている。

まさにその通りであり、ビベカに振られた日から着々と復讐の準備を進め、開発主任マーチソン博士の助手を務める。マーチソン博士の最終テストの結果を偽装して、奇跡のシワ取りクリーム『ミラクル』を、失敗作に見せかけて、その分子式とサンプルをまんまと盗み出した

そのうえでライバル会社のデビット・ラング社長の秘密の直通電話番号も調べ上げると、『ハリー・スミス』という偽名を使用して、売り込みにいったものの、ビベカにより送り込まれた産業スパイのシャーリー・ブレインに阻まれてしまっている。

そこまで努力を重ねた彼のビベカ・スコットへの復讐は、彼女が「昔のような関係をより戻しましょう…」と言ったことに対して、一度は了承したように見せかけて、「だが断る」ことであった。上げて落とす。これがやりたかったようでである。

殺害されなければ、ライバル会社に20万ドル=5120万円で、『ミラクル』の分子式が売れていたようだ。その後は、パリのジョージセヨ/リベエラの一流ホテルで1週間滞在し、航空機はジャンボのファーストクラスで祝杯を挙げる予定だった。

小ネタ・補足

〇犯人が被害者の自宅(犯行現場)にある雑誌を素手で触ってる。指紋は検出されなかったのだろうか?

まとめ

計画的な殺人ではないため、犯人であるビベカ・スコットの犯行に繋がる手掛かりが多いです。コロンボの「ホクロ」に関しての質問に対して、自分から犯人ですと言っているような返しで、あっという間に犯人だと確定されてしまいました。

刑事VS犯人の対決に重心があるのではなく、犯人側のストーリー展開が多いんですね。ただ、事件が複雑に入り組んでおり、そこまで犯人に対しての魅力を引き出せていないようにも思います。結局この事件は、ビベカの若い男好きな性格が引き起こした因果応報のシナリオなんですね。

共感部分というのが低くなりがちになってしまいますが、殺人を犯してまで手に入れた化粧品のサンプルを海に投げてしまうシーン。犯人の努力の結晶である、赤いガラスの容器に入ったサンプルを自ら投げて粉々に割ってしまう。このシーンは実に悲壮感がある展開なんですね。次作19話『別れのワイン』にも通じる場面がありました。

49:00~マーチソン博士と女性マッサージ師の会話のやりとりが良いですね。
「助けてくれーそこの人! 女が世界征服を目指したらー」
「今さら何言うの! もう征服済みよ」

以上、18話「毒のある花」でした。

  1. はじめまして! 

    素敵な解説ありがとうございますBSプレミアムで再放送してるのを録画しといて、さっき観ました。マーチン・シーンのフアンなので「お!出てたのか」と喜んでたのも束の間、始まって18分くらいで

    吹き替えが伊武さんだったんですね。若くハンサムな研究者の役を演じた彼も、昨日8月3日のお誕生日で遂に80歳に。お元気に活躍して欲しい俳優の1人です。

    他のページも楽しく拝見させて頂きますね。先ずはお礼まで。

  2. ありす様 
    コメントありがとうございます!
    >>若くハンサムな研究者の役
     被害者役の中でもマーティン・シーンさんはとってもハンサムですよね!化粧瓶のサンプルを持つ姿など、短いながらも印象に残ります。

  3. 人気が低いエピソードで、私にとって高評価も低評価もない回ですが、
    ラング氏を演じたヴィンセント・プライスがマイケル・ジャクソンの『スリラー』終盤のセリフと高笑いの声の主だと知ってから原音で見直し、感動したという点では印象的な回です。
    1950年代の怪奇ホラー映画全盛の頃に活躍した大スターだそうですね。

    レンタルDVDには、『マーティン・シーンはヴィンセント・プライスと共演できると知って大喜びだった』という宣伝文がありました。

  4. ≫人気が低いエピソードで、私にとって高評価も低評価もない回
     私も平均的な印象です。俳優陣の豪華さと、ヘビースモーカーな秘書が印象に残ります。前にツイッターで刑事コロンボの人気投票をしていたのですが、推理小説家・山口雅也先生がベスト3に選んでいましたね。
    45作品中26位でした。(「アリバイのダイヤル」「指輪の爪あと」「ハッサン・サラーの反逆」「美食の報酬」と同率)
    ≫レンタルDVDには、『マーティン・シーンはヴィンセント・プライスと共演できると知って大喜びだった』という宣伝文
     そんな宣伝文があったんですね! 『刑事コロンボの秘密』の毒のある花のインタビュー記事にも、会いたかったとは綴られていました。

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