刑事コロンボ 21話『意識の下の映像』サブリミナル効果を駆使した斬新なトリック

刑事コロンボ 21話 意識の下の映像

【VS.心理学者】なぜ犯人は狙って被害者を部屋から出すことができたのかこのトリックが斬新です。犯人は心理学の権威でもあり、人間の意識調査を研究するプロフェッショナルだけあります。

犯人役としては、3回目のロバート・カルプさんの登場です。高圧的であり自信満々。スタイリッシュな役柄にピッタリです。残念ながら犯人役としてはこれにて終了となります。

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データ

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脚本:スティーヴン・J・キャネル

監督:リチャード・クワイン

制作総指揮:ローランド・キビ―&ディーン・ハーグローヴ

音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:74分

公開日:アメリカ/1973年12月16日 日本/1974年8月10日

あらすじ

心理学の権威で意識調査の専門家バート・ケプルは、販売を促進するためのCMがどのような効果をもたらすのか、人の動きや意識を調査して宣伝材料を作る会社の経営者である。一方でキャンペーンガールのタニア・ベーカーに男性顧客の弱みを握らせ、脅迫を行い事業拡大の資金を集めていた。

会社の営業マンの意欲向上をさせる動画制作を依頼してきた産業会社社長ビック・ノリスも、ハニートラップに掛かってしまった。だがビックは脅しに屈せず、脅迫の事実を暴露すると話しため殺害を計画する。それは、試写会中にビックの潜在意識に働きかけることだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

主犯今回の犯人:バート・ケプルロバート・カルプ

吹き替え声優:梅野泰靖(うめの やすきよ)

追加吹き替え:小島敏彦(こじま としひこ)

職業:意識調査研究所所長

殺害方法:①射殺(22口径変換装置を装着した拳銃)②射殺

動機:①②口封じのため

概要:詳しく見る
意識調査研究所所長の男性。事業拡大の野心があり、多くの資金を集めるため会社のキャンペーンガール「タニア・ベーカー」に、既婚している男性顧客と不倫させ、それをネタに脅迫を行っていた。依頼人の産業会社社長ビック・ノリスは脅しには屈せず、この事実をマスコミにリークすると話したため、潜在意識に働きかける『サブリミナル効果』を利用した殺人で永遠に口を封じた。

心理学の権威でもあり多数の著書を出版する。著書のタイトルは、『宣伝と動機づけされた販売』『刺激による意識調査と宣伝における価値』「『人間の価値VS人間の動機』『心の糸のとその引き方』などである。最初に出版したのが、「人間の価値VS人間の動機」らしい。

人の行動や意識を研究しており宣伝業界に利用している。モチベーションを挙げるためのプロモーションビデオの製作など、映像事業も取り扱っているようだ。エピソード中タニア・ベーカーは出てこない。試写会時に映像として流れた、「なだらかな曲線美」として映ったのが彼女なのだろうか。

武器収集家でもあり、自室の壁一面には銃器が飾られている。どれも手入れは怠っていないようで、すぐに発砲できる状態である。銃器だけではなく、『ククリ』という刃物も飾られている。これはナイフや鉈、刀のように使えるネパールの武器である。

単なる収集家ではなく、射撃の腕はプロ級である。被害者となるビック・ノリス、ロジャー・ホワイトを一発で心臓を撃ち抜き射殺する。また、ビック殺しの際には、相手が倒れる前に颯爽と横をすり抜けるなど、視聴者にスタイリッシュな足運びを魅せてくれるのは必見である。

ゴルフのプレー最中にコロンボがやって来て犯人だと言われる。しかし物的証拠がないコロンボに掛けた言葉は、「勝つには最後までゲームを捨てないことだ」である。なお、コロンボの登場に動揺していたのか、ゴルフのショットはボロボロであった。


被害者今回の被害者①:ビック・ノリスロバート・ミドルトン

吹き替え声優:小瀬格(おせ いたる)

職業:ノリス産業社長

概要:詳しく見る
産業会社社長の男性。会社の営業マンたちの意欲向上のため、プロモーションビデオの製作をケプルに依頼していた。だが、タニア・ベーカーに色仕掛けされてしまい、それをネタに脅迫を受ける。だが脅迫には屈せず、試写会後の会議ではバート・ケプルのクビを切ることを議題としていた。

大好物はキャビアであり、ケプルが用意したものはイラン王室から送られてきた1缶80ドルの高級なものであった。(1973年12月:1ドル=280円 80ドル=22400円)


被害者今回の被害者②:ロジャー・ホワイト(チャック・マッキャン)

吹き替え声優:三宅康夫(みやけ やすお)

職業:映写技師

概要:詳しく見る
映写技師の男性。研究所の映写技師として働いているおり、いつもより早く現場入りしていたため、バート・ケプルの行動に不信を抱く。いち早くサブリミナル効果を利用したトリックを見破り、これを脅しのネタに金銭を要求したことで、口封じのために殺害されてしまった。

研究所の映写技師として働くかたわら、マグノリア劇場でもアルバイトをしている。不動産の資格をとる勉強をしており、値上がりしそうな土地はすでに見つけているがそれには資金が必要となるため、ケプルから金銭を貰おうと考えたのだ。

金額は『5万ドル』である。母が病気をしており、楽をさせてあげたいという思いもあったのだ。方法と手段は必ずしも一致しない。彼は判断を誤ってしまったのだ。(1973年12月:1ドル=280円 5万ドル=1400万円)

仕事柄、映画は見飽きているようで、フィルム交換の時間までは不動産の勉強本を読んでいる。フィルムの後ろの方にコインを仕込むことで交換の合図がわかるようにしていた。コインが床に落ちれば、次のフィルム交換のタイミングだと分かるのである。いつも仕事の時にはアイスティーと、おやつにレーズンを用意していた。

小ネタ・補足

〇『サブリミナル効果』とは、例えば『釣り』の動画を見ている人がいるとする。その釣りの動画の中に、人間が視認できないような速度で『コーラ』の1コマを入れるとする。すると、釣りの動画を見ているだけなのに、無性にコーラが飲みたくなってくるのである。目で視認できずとも、人間の脳はそれを一瞬だけとらえており、意識下には映像が流れているのだ。

サブリミナル効果は、今エピソードをアメリカで放映時にはすでに法律で禁止されていたようだ。また、日本でも1995年に禁止されている。実際のところ、効果自体が確かなものかは不明なようだ。

〇犯人『パート・ケプル』は銃の扱いが長けている。ノベライズ版によると、オリンピックの選手であった過去が語られており、近代五種競技(射撃・フェンシング・水泳・馬術・ランニング)で金メダルを獲得していたようだ。

また、犯人を演じた『ロバート・カルプ』氏は、かなりのガンマニアだったようで、多数のコレクションを所有していたそうだ。

〇余談ではあるが、世にも奇妙な物語で『サブリミナル』というエピソードがある。超高齢社会に陥った日本が、コマーシャル映像に65歳以上は自殺するように促すサブリミナルを仕組んでおり、その真相を突き止めようとする新聞記者の話である。

まとめ

名犯人役『ロバート・カルプ』氏の最後の犯人役です。犯人名も『バート・ケプル』博士とかなり寄せていますね。犯人としてはこれで最後となりますが、次の登場は、17年後の新刑事コロンボ56話『殺人講義』で、犯人の父親役で登場します。

このエピソードで印象に残るのは、スタイリッシュな殺害シーンでしょう。ロバート・カルプ氏はガンマニアでもあったそうで見事な銃撃を披露します。そして、被害者が崩れ落ちる横を颯爽と通り過ぎるシーンは必見であります。

『サブリミナル効果』を駆使した殺人というのも面白いシナリオですよね。犯人に対して、トリックをそのままお返して事件を解決する。やり返しがこのエピソードの魅力の1つだと感じますこれには犯人も強がって、「自分のおかげだ」と言っていますが、よーく見ると涙目なんですね。

『証拠』はコロンボ警部も発見できそうな場所に隠されていました。ただ、これはコロンボ警部が発見しちゃダメで、犯人自身に見つけさせることに意味があります。最後のシーンではわざわざカメラマンも引き連れており、あくまでも、犯人自身が見つけた瞬間の現場写真を抑える必要があったんですね。

以上、21話「意識下の映像」でした。

  1. 最初の殺人に気づかれ、脅迫してきた相手を更に殺す…
    のはミステリーのお約束になりますが、

    このドクター・ケプルは役者が違いますね。
    脅迫してくるってことは共犯になるってことだよね?じゃあ念書書いてくれる?
    なんて返し方をした犯人を他の作品で見たことがない!
    でもまぁあっさり殺しにかかるわけですが…

  2. ≫じゃあ念書書いてくれる?なんて返し方をした犯人を他の作品で見たことがない!
    心理学の権威ですので、高度なテクニックを駆使した何かしらの思惑があったのでしょうね。