【VS.出版社社長】メインとしている人物を共犯者が殺害。その間に自身の鉄壁のアリバイを作り上げる。そのうえで邪魔になった共犯者を葬り罪を擦り付ける。おおよそ抜かりのない殺人計画になっています。
後のコロンボを支える「ピーター・S・フィッシャー」初脚本です。かなり複雑な構成であり、画面は3分割してそれぞれの行動が映ったりもします。よく74分間にまとめ上げたと、編集担当にねぎらいの言葉を掛けてあげましょう。
データ
あらすじ+人物相関図
出版社社長ライリー・グリーンリーフは、小説家アラン・マロリーに売ることだけを目的とした官能小説ばかりを書かせていた。それに嫌気がさした彼は、自分の作品が書きたいと思うようになる。出版契約が切れるのを機会に他出版社への移籍を決めていた。
グリーンリーフは、彼の保険金と新作を手に入れる為に、ベトナム帰還兵の爆弾マニアであるエディー・ケーンに、爆弾作りの本を出版する見返りにマロリー殺害を依頼した。その間、自分は泥酔してわざと車同士の接触事故を起こす。犯行時刻には、警察の拘置所にいたというアリバイができた。
マロリー殺害の翌日には、実行犯のエディーに祝杯と称して睡眠薬入りの酒を飲ませた。眠りに落ちたのを確認すると、爆弾製造中に起きた事故に見せかけて爆殺したのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ライリー・グリーンリーフ(ジャック・キャシディ)
吹き替え声優:田口計(たぐち けい)
職業:出版社社長
殺害方法:②爆殺(時限爆弾:エディ・ケーン)
動機:①保険金/新作の原稿を狙い(アロン・マロリー) ②罪を擦り付けるため(エディ・ケーン)
今回の被害者で共犯:エディー・ケーン(ジョン・チャンドラー)
吹き替え声優:橋爪功(はしづめ いさお)
職業:ベトナム帰還兵
殺害方法:①銃殺(スミス&ウェッソン38口径:アロン・マロリー)
動機:殺人の見返りに本の出版を約束される
今回の被害者:アロン・マロリー(ミッキー・スピレイン)
吹き替え声優:柴田秀勝(しばた ひでかつ)
職業:小説家
犯行計画/トリック
【代理殺人を行わせる。そのうえで実行犯を殺害し罪を擦り付ける】
①ライリー・グリーンリーフはエディー・ケーンに、アロン・マロリーの代理殺人を依頼する。
1.凶器の銃の握り手に残っているグリーンリーフの指紋を消さないで撃つ。
2.マロリーの部屋に合いカギを残していく。
3.22時30分に殺害するように伝える。
4.銃はアパートのゴミ箱に捨てる。
②グリーンリーフは自身の車の鍵穴に傷をつける。マロリーが帰宅すると、エディーは部屋に侵入して22時30分に射殺した。指示通りカギは部屋に置き、銃はアパートのゴミ捨て場に捨てた。その時刻グリーンリーフは泥酔して、わざと車同士の接触事故を起こし相手に保険会社の名刺を渡した。
③警察が捜査が開始する。凶器の拳銃にはグリーンリーフの指紋が残り、マロリーの部屋は、元々グリーンリーフが1年前に借りたため部屋のカギも持っている。だが、グリーンリーフの車のカギ穴には傷がつけられた跡が残っており、誰かが拳銃とカギを盗み出したのではないか?
④犯行時刻は22時30分。その時間、グリーンリーフ車同士の接触事故を起こして警察の拘留場にいたという鉄壁のアリバイがある。こ誰かが彼に罪を擦りつけようとしているのではないかという筋書きを完成させた。
⑤その晩、エディーに睡眠薬入りのシャンパンを振る舞う。眠らせた後、マロリーの新作原稿をタイプライターで書く。爆弾作りの本を見ながら作った時限爆弾で爆殺した。爆弾マニアのエディが、爆弾製造中に事故死したように見せかけることができる。
⑥エディーはグリーンリーフに小説のネタを提供してきた。だが彼にはそれを書けないと思い、マロリーに小説を書かせたとでっち上げる。それを聞いて逆上したエディーは、復讐のためにマロリーを殺害したという動機で罪を擦り付けたのだった。
推理と捜査(第2幕まで)
三幕構成
小ネタ・補足
〇被害者『アロン・マロリー』を演じた「ミッキー・スピレイン」は、実際にベストセラー作家である。ハードボイルド探偵小説「マイク・ハマー」シリーズで人気を博した。
〇コロンボ警部がライリー・グリーンリーフと拘置所で会話をする場面がある。その際、コロンボ警部が持ってきた水筒は、24話『白鳥の歌』の犯人が計画に利用するボトルと同一種類である。
〇『ニール出版』の小説家アイリーン・マクレーンの役者は「マリエット・ハートレイ」氏である。41話『死者のメッセージ』で、事件の真相に気が付き、犯人を揺する秘書として登場する。
まとめ
どこぞの推理小説家コンビの事件を思い出しました。第3話『構想の死角』ですね。ジャック・キャシディさん2回目の登場ですが、長年の相棒である作家が、別のジャンルの小説を書きたくなったから保険金を掛け殺害したり、第2の殺人でシャンパンを持っていくのは似ている部分もありますね。
印象に残る演出が多くあります。冒頭シーンで「エディ・ケーン」が爆弾を破裂させると画面が止まって現れるスタッフクレジット。3人の行動を1画面で表す、3画面分割の映像は入り組んだ殺人計画を見事にカバーした構成だと感じました。
かなり完璧な殺人計画でおおよそ抜かりがないと思っていましたが、そこはコロンボ。今までの聞き込みの結果から犯人の嘘が露呈してしまいました。複雑になっていますが、よーく話を聞いていると1本の答えに到達するエピソードです。
残念ながら、やはり事件が複雑で込み入っております。それに演出で茶々を入れると、部屋ごと爆死させられた「エディ・ケーン」の室内が意外と綺麗に残っていたり(小規模な爆発だったのかも?)
以上、22話「第三の終幕」でした。
2度目の登場ジャック・キャシディ。
しかし存在感という点ではジョン・チャンドラーに軍配が上がります。
その吹き替えが橋爪功さんという点でも貴重ですね。
≫存在感という点ではジョン・チャンドラー
魅力的な爆弾マニアを好演されてますよね。代理殺人という展開も印象に残ります。