刑事コロンボ 34話『仮面の男』その男、変幻自在につき

【VS.CIAエージェント】表の顔は経営コンサルタント。裏の顔はCIA西部支部長で2重スパイ!まさに変幻自在の仮面をかぶった犯人が2回目の登場、「パトリック・マクグーハン」です。さらには、今回のエピソードの監督も兼任しているのだから、多芸なお方です。

祝砲の挽歌では厳格な軍人役の犯人でしたが、今回はどこかユーモラスな人物です。初見で見た時には、パトリック・マクグーハンが役者だとは分かりませんでした。わたしだけ?

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データ

概要:詳しく見る
脚本:ウィリアム・ドリスキル

監督:パトリック・マクグーハン

制作:エヴァレット・チェンバース

ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル

音楽:バーナード・セイガル

本編時間:98分

公開日:アメリカ/1975年11月2日 日本/1977年9月24日

あらすじ+人物相関図

仮面の男 人物相関図 CIA西部地区責任者ネルソン・ブレナーは、死んだと思っていたエージェント「ジェロニモ」が現れて驚く。ネルソンはCIAという立場を利用し、かつて2重スパイで大金を荒稼ぎしていた。その時、手助けをしたのがジェロニモである。その時の手前金の回収に来たのだ。

ネルソンは了承し、それとは別に大金が入る仕事をしてみないかと誘った。その仕事とは、スタインメッツという男から、海軍の暗号が入ったマイクロフィルムを回収するであった。ジェロニモは待ち合わせ場所の海岸に向かい、スタインメッツから依頼を受けたメルヴィルと会った。

後日、金を持ってくる約束をして別れると、ネルソンが待ち伏せしていた。彼はジェロニモを撲殺すると金品を奪う。海岸は「追いはぎ天国」と呼ばれ、強盗の聖地と呼ばれていた。強盗の犯行に見せかけると、次の日にはテープレコーダーを駆使した完璧なアリバイを作り上げたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

ネルソン・ブレナー

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「仮面の男」より引用】

今回の犯人:ネルソン・ブレナーパトリック・マクグーハン

吹き替え声優:佐野浅夫(さの あさお)

職業:CIAエージェント/経営コンサルタント

殺害方法:撲殺(バール)

動機:口封じの為

概要:詳しく見る
表の顔は経営コンサルタントで、裏ではCIAエージェントをしている男性。3年前に南米某国で2重スパイを行い、300万ドルを荒稼ぎしている。その時の相棒が、「ジェロニモ」である。彼は死んだと聞いていたが生きていたため、さぞかし驚いただろう。ジェロニモから、2重スパイをしていたネタをちらつかされ金銭を要求される。このことがCIAにばれたら一貫の終わりであるために、強盗に殺されたように見せかけて殺害した。(1975年11月1ドル=302円 300万ドル=9億6百万円)

広告業界社長からは敏腕と評価されている。スピーチの原稿執筆や、各方面にも顔が広い。裏の顔は、CIA西部支局長をしているかと思えば2重スパイだったりと、まさに仮面を被った男である。

ジェロニモと仕事の依頼を確認した場所は、名探偵コナンよろしく遊園地である。「秘密の会話に秘密の場所を選ぶな。俺は遊園地という場所に不思議と心惹かれるんだ」と語る。

仕事の内容は、スタインメッツから依頼を受けた取引相手(メルヴィル)から、海軍の暗号が入っているマイクロフィルムを受け取ることであった。なお、この仕事内容はネルソンが仕組んだものだと考えられる。ただ、スタインメッツ氏は存在するようなそぶりをCIA部長の言葉から推測できる。

自宅はヘリポートとプールを完備。4チャンネルスピーカーを搭載した最新の音楽機器もある。ロックやクラシック、ポップスなど幅広いジャンルを網羅している。車で聞いていた音楽はジャズである。自宅にある絵はすべて本物であり、応接間にある絵は、1761年にオーストラリアで書かれた、『アメリカ大陸の発見』だ。ギャンブル好きなようで、バッグギャモンにポーカー、麻雀まである。

15年前の朝鮮戦争では、T-33シルバースターに乗り3つの勲章を獲得。英雄と呼ばれ、その後バイエルン大学を卒業。ニューヨーク州立大学とコロンビア大学では理事を兼任しマルチに大活躍している。1朝鮮戦争中は髪がフサフサであったが、今ではだいぶ頭皮が後退しているようで、かつらを被っているとのこと。これを利用して、年老いた老人『スタインメッツ』に変装した。

原稿執筆はタイプライターなどは使用せずに、レコーダーに声で録音する方法を使用している。遊園地では射的ゲームに興じて、ジェロニモと共に全発命中させている。景品のクマのぬいぐるみは、「アーチボート」と名付けて、少女にプレゼントした。


ジェロニモ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「仮面の男」より引用】

今回の被害者:ジェロニモレスリー・ニールセン

吹き替え声優:家弓家正(かゆみ いえまさ)

職業:CIAエージェント

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CIAエージェントの男性。コードネームは『ジェロニモ』であり、現在は広告会社社員A・J・ヘンダーソンの名前を借りている。死んだと思われていたが、追手2名を返り討ちにしており、部長の指示で死亡していたように見せかけていた。3年前、南米某国でネルソンとともに2重スパイを働いた。この時の分け前を回収するため、ネルソンと再び接触したのだった。

いつも上着の下にショルダーホルスターを装着し銃を持ち歩いている。射撃の腕はさすがは本職。遊園地の射的ゲームの的を全てヒット(ネルソンもすべてヒット)させた。射的ゲーム屋の店主によると、全発命中は半年に1回出ればいいとのこと。

ネルソンは景品としてクマのぬいぐるみを持って帰ったが、彼は断っている。クマのぬいぐるみは1個20ドルであり1日2個も取られてしまうと赤字だったようで、「気前の良い男だったよ」と店主は語る。(1975年11月1ドル=302円 20ドル=6040円)

ネルソンとは1967年にもコンビを組んでいたようで、その時はガチャガチャに隠されたフィルムを回収するなど楽しそうなことをやっている。

スタインメッツから待ち合わせ場所近くにあるダンスバーを指定されると、タバコの自販機が壊れたと嘘をいい、60セントをかすめるなどせこい面もある。「金になる仕事」と、ネルソンから受けたスタインメッツに関する依頼も快諾しており。金に困っていたのかもしれない

本物のヘンダーソン氏は、世界中にある支社が効果的に機能しているかを調べる仕事をしている。コネチカットに住み、毎日ニューヨークに通っているようだ。

犯行計画/トリック

【強盗に殺されたように偽装】

①ネルソンはジェロニモと遊園地で会う約束をした。ネルソンは原稿執筆の仕事があるため、今晩、その内容をレコーダーに吹き込むので、秘書に明日9時に会社に原稿を取りに来るよう指示した。その後、遊園地でネルソンは、ジェロニモにスタインメッツからの仕事を受けさせる。

②ジェロニモはスタインメッツの依頼人(メルヴィル)と海岸で会う。そこで、金銭の確認をして後日会う約束をして2人は別れた。ジェロニモが帰ろうとするとネルソンが待ち伏せており、油断しているジェロニモをバールで撲殺すると持ち物を全て回収する。海岸は「追はぎ天国」と呼ばれる場所で、強盗に襲われたように見せかけた。

③次の日、ネルソンは7時頃に会社に到着する。時計の針を10時55分に合わせ、原稿をレコーダーに吹き込んでいると、11時を知らせるチャイムが鳴った。これで犯行時刻の昨日23時には、オフィスで原稿を執筆しているというアリバイが完成した。

【メルヴィルに罪を擦り付ける】

①ネルソンはコロンボの捜査が迫ると、スタインメッツのフリをしてメルヴィルに電話をする。一目のつかない場所で会う約束をした。ネルソンはスタインメッツに変装している。乗ってきた車には爆弾を仕掛けておりメルヴィルごと爆発させた。

②死なないように爆弾を調整しており、警察はメルヴィルから聴取を行い、スタインメッツの似顔絵を作成した。ヘンダーソン(ジェロニモ)のクレジットカードを持っていたことから、メルヴィルが殺人を犯してしまい、真実の発覚を恐れたスタインメッツが殺害しようとした筋書きを作り上げた。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!
○被害者は正面から顔を殴られ後頭部にも傷があった。遺体はうつぶせに倒れていたことから、まず正面から殴られたようだ。そうすると、顔馴染みで相手を知っていた可能性がある。また、被害者の上着が脱いであった。強盗ならば、なぜ上着を脱がせるような面倒なことをしたのか。

○遊園地で、ネルソンと被害者が一緒に映った写真が見つかった。被害者の会社の人が、有名な経営コンサルタントとしてのネルソンのことを知っている。捜査を続けていると、ネルソンはCIA西部支局長であった。

○スタインメッツに殺されかけた容疑者メルヴィルの車には、少量のプラスチック爆弾がドアにとりつけられていた。メルヴィルは、ボスのスタインメッツに殺されそうになったように見えたが、本当に殺すつもりなら、もっと多量の爆弾をエンジンにとりつけたはず。スタインメッツは彼を殺すつもりはなかった可能性がある。

○ネルソンはカツラをつけている。彼の顔写真から髪の毛をとりはらって、カツラと口ひげと眼鏡を描いたらスタインメッツに似ている。ネルソンが変装したのではないか?

○犯行時刻の23時にオフィスで原稿を口述録音したとされるテープには、ブラインドを閉める音が入っていた。ネルソンのオフィスにある窓は東向きである。太陽の日が入り込むため閉めたのではないか?そうすると、原稿執筆は朝の可能性がある。

三幕構成

仮面の男 三幕構成

小ネタ・補足

〇犯人が変装した『スタインメッツ』は、23年後のエピソード、67話『復讐を抱いて眠れ』の犯人に似せている。どちらの監督も、犯人を演じた『パトリック・マクグーハン』が担当しており、ファンへのサービスである。

ラストのオチに関して笑いどころが難しい。『※通りすがり』様より、コメントにオリジナル版(英語)のオチに関しての投稿をいただきました。犯人[In the games.Mah-jong]コロンボ[Mah-jong.]の意味が分かりやすいです!

オリジナル版(英語)
コロンボ[Would you like to hear something funny?] 犯人[I’d love to] コロンボ[Today,the Chinese… they changed their minds.] 犯人[Did they,again?] コロンボ[They’re back in the games.] 犯人[In the games.Mah-jong] コロンボ[(笑)Mah-jong.]

まとめ

犯人が犯行を認めるときに、コロンボがこんな小話をしようとします。笑いどころはどこか?と迷う方が多いのではないでしょうか?

吹き替え版
コロンボ「面白い話があるんです」
犯人「ほう?」
コロンボ「ポーカーと麻雀が賭けをした。はじめはポーカーが優勢。ところが後半…」
犯人「逆転」
コロンボ「そのとおり」

日本語字幕版
コロンボ「笑い話を」
犯人「聞きたいね」
コロンボ「中国人が心変わりを」
犯人「またか」
コロンボ「参加表明を」
犯人「どうかね……(少し間の考える)麻雀でも」
コロンボ「(笑)なるほど」

ネタバレ注意!:事件解決の決め手
事件解決の決め手は「中国」に関すること事柄です。犯人は卓上ゲームが好きな人物で、自宅には麻雀とポーカーがあり、コロンボ警部は麻雀の名前を教えてもらいました。麻雀といえば中国になります。

それになぞらえて「コロンボ=麻雀」「犯人=ポーカー」と見立てます。事件は終始、犯人が優勢でしたが、最後の最後で「中国に関する事柄」でコロンボが勝つ。そのオチを犯人から先に言われてしまったので、オチないオチとなってしまいましたね


ノベライズ版
コロンボ「ブレナーさん。笑い話があるんですよ」
犯人「ほう?ぜひ聞きたいね」
コロンボ「今日、中国人が気を変えたそうで、ゲームに参加するそうですよ」
犯人「ゲームに?麻雀のだろ?」
コロンボ「わかっちゃいましたか」

ネタバレ注意!:事件解決の決め手
こっちのほうが分かりやすいですね。逮捕の決め手が『オリンピックの参加表明』に関することです。

コロンボ「中国が参加しないっていってたんですけど、やっぱり参加するみたいですよ」
犯人「えっ!?そうなんだ!!」
コロンボ「麻雀のですよ(笑)」
犯人「そっちかよ(笑)」

みたいなリアクションを期待して、犯人を騙そうとコロンボが悪だくみますが、犯人にあっさりと見抜かれてしまうというオチになります。

以上、34話「仮面の男」でした。

  1.  すみません、通りすがりの者ですがラストについてどうしても書きたくなってしまいました。
     日本語吹き替え版のラストがそういう「ジョーク」だったとは忘れていましたが、ノベライズ版の方がオリジナルに忠実です。
     麻雀は欧米人の間でもわずかながらやる人がいますが、ルールは簡略化されてたりします。基本的にはトランプのセブンブリッジやジン・ラミーと似てますよね。それで、ジン・ラミーで上がりの時に「ジン」と言うので、そこからの発想で、上がった時に「マージャン」という掛け声をかけるんです。ですからラストはこう訳せば不可解ではなくなるとおもいます。オチというほど面白くないしめくくりですが。
    コロンボ「ブレナーさん、この話には面白い続きがあるんですが、お聞きになりますか」
    ブレナー「ほう、ぜひ聞きたいね」
    コロンボ「中国人の気が変わって、やっぱりオリンピックに出るそうです」
    ブレナー「おいおいまたかい・・・これでロンてわけか」
    コロンボ「たしかに・・・これで上がりです」

  2.  ラストのことで昨日書き込ませていただいたものです。たびたびすみません。
     録画してあったものを見返したら、劇中、終わり近くでコロンボがブレナーの書斎で麻雀セットを初めて目にして、ブレナーに名前を聞く場面がありますね。でもコロンボが知ったのは名前だけで、ルールについては何も知らないわけです。
     これはオリジナルの演出ミスですね。他の作品だとコロンボが独自に調べて雑学に詳しくなる場面が描かれることがよくありますが、ゲームの名前を聞いただけでラストの伏線にするのは無理があります。きのうのコメントに書いたラストのやりとりもちょっと変だったので訂正します。
    コロンボ「さっきの話、面白い後日談があるんですが」
    ブレナー「ほう、聞きたいね」
    コロンボ「中国人の気が変わって、やっぱりオリンピックに出るんだそうです」
    ブレナー「おやおや、またどんでん返しかい・・・これでゲーム終了、かな」
    コロンボ「(笑って)ゲーム終了です」

     これがチェスの話だったら「チェックメイト」が使えてバッチリ決まるんですが、「ロン」じゃわかりにくいですね。

  3.  最後っ屁のような別バージョン

    コロンボ「ところで例の話には面白い続きがあるんですが、お聞きになりますか」
    ブレナー「聞きたいね」
    コロンボ「きょうのことですが、中国人の気が変わったそうなんです」
    ブレナー「おやおや、またかい」
    コロンボ「で、やっぱりオリンピックには出るつもりだと」
    ブレナー「つもりの・・・ロンかな」
    コロンボ「(笑って)ロンですか」

     まあ、どういじっても面白いオチにはならないようで、額田やえ子さんも苦心されたことでしょう。

  4. 遅くなりまして申し訳ございません!
    ≫麻雀は欧米人の間でもわずかながらやる人がいますが、ルールは簡略化されてたりします。基本的にはトランプのセブンブリッジやジン・ラミーと似てますよね。
    ※簡略化されているんですね。勉強になりました!

    ≫他の作品だとコロンボが独自に調べて雑学に詳しくなる場面が描かれる
    ※犯人の職業や、トリックに関する事柄だと、とっても詳しくなりますよね。

     
    ≫上がった時に「マージャン」という掛け声をかけるんです。
    ※コロンボ警部の締めの「マージャン」の台詞。投稿してくださったオチでしっくりときました!作品を見直しまして、英語Ver.と字幕Ver.の台詞も追加しました。