【VS.料理評論家】世界各国の料理が登場する、「美食」がメインのエピソード。イタリア、中華、フランス、そして日本料理と登場します。コロンボ警部も箸を使ったり、「さよなぁら」と原語版だと話してくれます。
良薬は口に苦かったり、美しい物には棘があったり、美味しい物には毒がある、例えば「フグ」とか……。私はフグを食べたことないんですけどね。
データ
脚本:ロバート・ヴァン・スコイク
監督:ジョナサン・デミ
制作:リチャード・アラン・シモンズ
音楽:ジョナサン・タニック
本編時間:74分
公開日:アメリカ/1978年1月30日 日本/1978年5月27日
あらすじ
料理評論家ポール・ジェラードは、その地位を利用して裏では多額の報奨金を受け取っていた。料理店を高く評価することもできれば、逆に店を酷評して潰せるほどの影響力をもっているからだ。
これに不満を感じるイタリア料理店経営者ヴィットリオ・ロッシは、この事実を大々的に告発すると彼に伝えた。これが明るみになればポールは現在の地位を失いかねず、彼の殺害を計画する。ポールはフグの毒『テトロトドキシン』を抽出すると、ヴィットリオの店で食事をしながら、もう一度話し合いたいと料理の準備をさせた。
そして食事の合間にワインを要求すると、ヴィットリオはウェイターのマリオにワイン庫から未開封のボトルを持ってこさせた。ワインが到着すると、ポールはすぐに店を後にする。ヴィットリオがワインを開封してグラスに注ぎそれを飲み乾すと中毒死したのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ポール・ジェラード
役者:ルイ・ジュールダン
吹き替え声優:金内吉男
概要:料理評論家の男性。肩書を利用して、ヴィットリオ・ロッシ、マックス・デュバル、メアリー・チョーイから金銭を受け取る見返りに、店を評価する不正を働いていた。反対に店を潰すこともできる。そのことを快く思わないヴィットリオは、全てを大々的に打ち明けると話したため、ワインボトルの中に毒を仕込ませて毒殺した。
テレビやラジオ番組でも活躍しているレストラン評論家協会の会員で、授賞式ではスピーチを任せられていた。話しが達者なようで、『世界味自慢』という番組を担当している。世界のレストランや家庭の味を紹介する番組のようである。
今回のエピソードでは、日本料理の紹介をして、生エビの踊り食いを紹介していた。なお箸の使い方はあまり上手くなく、エビを落としていた。「評論家というよりも道化だわ」と、中華料理店経営のメアリー・チョーイは評価している。
ラジオ番組では料理レシピを教えており、コロンボ警部もカーラジオで傾聴していたようだ。前回ははソース・スービーズ(オニオンソース)の作り方を教えていた。雑誌にはコラムを掲載している。
『レストラン振興協会』というのを立ち上げ、店を高く評価する見返りに金銭を搾取していた。反対に店を潰す評価もできる。宣伝方法はテレビ、雑誌、週刊誌、新聞と多岐にわたる。支払方法は小切手で、10万ドルを稼いでいた様子。金銭は秘書イヴ・プラマーに銀行から引き出させており、アイリーン・デ・マイロという偽名を使うように指示していた。(1978年1月1ドル=241円 10万ドル=2410万円)
殺害方法はフグの毒である『テトロドトキシン』をワインの中に混入させるというもので、どうやって未開封のワイン瓶の中に毒を混入させることができたのかが、この事件の決め手となる。なお、どう見ても「ハリセンボン」である。
魚市場に注文して、特別に漁師から釣り上げてもらったようだ。魚を包んでいた新聞紙をよく見てみると、どうやら日本の新聞紙を使用している。また、日本人の友人ケンジ・オズがおり、自分で調理したというフグ料理を振る舞った。
トリックを見抜かれた際には、コロンボの毒殺を試みた。コロンボを殺害しようとした犯人は、7話「もう一つの鍵」べス・チャドウィック以来である。「才能は認めるが、人としてはダメ」とコロンボから評価を下された。
今回の被害者:ヴィットリオ・ロッシ
役者:マイケル・V・ガッツォ
吹き替え声優:藤岡重慶
概要:イタリア料理店を経営するオーナーの男性。従業員として、英語を練習中の甥マリオ。シェフのアルバートが在籍していた。多くの同業者に慕われており、コロンボ警部が各々に聞き込みに行く際には、必ず犯人を逮捕してほしいと料理を振る舞ってもらっていた。フランス料理店経営のマックス・デュバルとは、スイスの料理学校で一緒に勉強した古くからの友人であったようだ。
レストラン振興協会は、会長メアリー・チョーイ。副会長マックス・デュバル、会計係ヴィットリオであった。ポールへの貢金は、パシフィック・コースタル銀行に預金していた。支店長から銀行に来るたび、好物のコーヒーケーキを振る舞ってもらっていた。
毎年開催されているレストラン評論家協会の授賞式は、過去3年間彼の店でとり行った。だが今年は、マックスの店での開催となる。本年度の受賞はヴィットリオの店だったからである。ポールも推薦したようだが、協会員は他にも大勢いたため彼の実力だったと考えられる。なお受賞は、ポール曰く数週間前から決まっていた様子。
小ネタ・補足
〇犯人はフグから抽出した『テトロドトキシン』の毒を使用して毒殺したのだが、縦から見ても横から見ても『ハリセンボン』である。フグ(ハリセンボン)が包まれていた新聞紙は日本語で書かれている。
〇ケンジ・オズ役の日本人俳優は『マコ岩松』氏である。吹き替えは「原田一夫」氏が担当した。
まとめ
コロンボ警部が能力が向上しているエピソードでもあります。イタリア語が堪能であったり、犯人から、「あんたは警察じゃなくて、料理人になるべきだった」と、犯人から高く評価を受けました。この時作った料理が、牛肉の炒めになります。作る順番と材料を言ってくれており、今度作ってみたいと画策しております。
さて、42作目にして意外に初めての『毒殺』だったんですね。フグの毒「テトロドトキシン」を使って毒殺するなんて、まさに料理評論家が犯人ならではの脚本だと思います。日本を感じられるエピソードであり、マコ岩本氏や、着物を着た芸者さん、刺身も登場しました。英語版ではコロンボ警部も「さよなぁら」と言ってますので、ぜひ聞いてみてください。
美食がテーマだけに、世界各国の美味しそうな料理に目がうつってしまうんですね。ああ、お腹いっぱい高級料理を食べてみたい。
以上、42話「美食の報酬」でした。
ジェラードが自分を抹殺すると読んで、ビットリオ殺害方法(物的証拠)を押さえるという結末だが、コロンボが殺された(行方不明や)日にゃ、真相を掴みかけているコロンボを自分が殺したと間違い無く疑われると思う筈で、あれだけ巧妙な殺人トリック•隠し資産を考える男が、そんな低能な自滅行為はしない。
もう一つ、コロンボの階級”警部補”は昔から知っているが、この作品でも”オズ”以外にもマリオが日本語•英語版両方で、”Tenente “(伊語テネンテ、英語で言うルーテナント)警部補と呼んでいる。
ミヒャエル様
コメントありがとうございます!
≫あれだけ巧妙な殺人トリック•隠し資産を考える男が、そんな低能な自滅行為はしない
ヴィットリオ殺害の際にはマリオも一緒に居ましたので、彼の証言のおかげで何とかなりました。ラストはジェラードとコロンボしかいませんので怪しまれちゃいますよね。よほど逃げ切る自信があったのでしょうか? とくにノベライズ版でもそこら辺の心理描写はなされていませんでした。
≫マリオが日本語•英語版両方で、”Tenente “(伊語テネンテ、英語で言うルーテナント)警部補と呼んでいる。
言っていましたね!
現在NHKで放送中の「アストリッドとラファエル」を見ていますが、今週の事件でテトロトドキシンが登場したので、ふとこのエピソードを思い出しました。
見比べてみると、アメリカとフランス、時代の違いはありますが、日本では有名なフグ毒って欧米では非常にマイナーな毒物なのは変わってないんですね。
それだけにフグ毒を使った殺人は制作当時のアメリカでは非常に巧妙で、シリーズ初の毒殺事件には相応しいものだったのかもしれません。
アウラー様
>>NHKで放送中の「アストリッドとラファエル」
>>テトロトドキシンが登場
ドラマを視聴していないのですが、どのようにフグ毒が使用されたのか見てみたくなりました。
>>日本では有名なフグ毒って欧米では非常にマイナーな毒物
>>フグ毒を使った殺人は制作当時のアメリカでは非常に巧妙
>>初の毒殺事件には相応しい
個人的にですが、日本で毒といえばキノコ系とフグ毒を思い浮かべます。海外だと毒物は何が主流なのか調べたくなってきました! 脚本家のロバート・ヴァン・スコイクさんは、このエピソードでエドガー・アラン・ポー賞を獲得しミステリー的にも高い評価を得ています。フグ毒から料理評論家の犯人を思い浮かんだのでしょうかね? ジョナサン・デミ監督の見事なカメラショットやカット、日本テイストなストーリーなのも印象に残ります。