イップス(ドラマ)3話『フラワーと完璧だった密室』ネタバレなし感想|評価:普通

都議会議員・尾花健一郎(塚本高史)は、父の亡き後に地盤を引き継いだ二世議員である。中身の無い発言を繰り返しており、世間では”フラワー健一郎”と呼ばれているのだが、その性格を利用して今の議員イメージを作り上げたのが、第一秘書・田所万作(平田満)であった。彼は選挙に勝つため、健一郎の行動に口を出しては束縛していたのだ。

ある日、健一郎は密かに進めていた政経セミナー開催を田所に見つかり、中止するように迫られ言い合いになると、居間にあったナイフを手に取り刺殺してしまう。健一郎は自殺に見せかけるために、完璧な密室を作り上げると、遺体の第一発見者として警察に通報したのだった。

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データ

脚本:森ハヤシ
トリック監修:能塚祐喜
音楽:野崎美波
演出:並木道子
プロデュース:宮崎暖
制作プロデューサー:熊谷理恵
製作:フジテレビ

放送日:2024年4月26日
放送時間:58分

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:尾花健一郎(おばな けんいちろう)
役者:塚本高史

都議会議員の男性。第一秘書・田所万作から行動を束縛されており、自分の思うような議員活動が出来ないことから、口論の末にナイフで刺殺すると、完璧な密室を作り上げ犯行を逃れようとした。

4年前に他界した父・総一郎の地盤を引き継いで当選した二世議員であり、妻と息子がいるが作中では実家に帰省中であった。元々の性格もあるが中身の無いコメントを繰り返していたため、「頭がお花畑」に由来して世間では”フラワー総一郎”との愛称が定着していた。


今回の被害者:田所万作(たどころ まんさく)
役者:平田満

第一秘書の男性。尾花健一郎の元々の性格や発言を利用し、”フラワー健一郎”の愛称を定着させて知名度アップを図った。そのためスピーチ台本の執筆や、インタビュアーとの内容のすり合わせ、ネクタイの色の指定といった様々な部分で健一郎の行動を束縛していた。

先代議員・尾花総一郎のことを心酔しており、肖像画には一礼をするほどの徹底ぶりである。遺言で健一郎の秘書となったが、彼のことは「ルックス、可愛げ、二世議員だけが取り柄」とキツく評価している。

小ネタ・補足

○肖像画や回想シーンに登場した先代議員・尾花総一郎を演じたのは、声優『白山修』である。

○第二秘書・村井浩平(むらい こうへい)を演じたのは、俳優『渡辺祐太郎』である。

○モデルとなった議員については、『小泉新○郎』だと思われる。「小泉構文」(今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけないと思っている)等、中身のない発言が多く、国連でのセクシー発言から、ネットでは”セクシー新○郎”と呼ばれることもある。

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まとめ(評価:普通)

ミステリ作家・黒羽ミコ(篠原涼子)は、刑事・森野徹(バカリズム)の密着取材をすることになったため、1話『電撃ウィッチの魔法』や2話『悪童の生配信、生殺人』のような、2人が偶然出会う過程を説明する必要が無くなり事件展開はスムーズになりました。

しかし、黒羽は堂々と現場を見学できるようになり、図々しい行動が見ていて不快に感じてしまいます。事件現場で「ヤッホー」と挨拶をする、騒ぐなと言われても騒ぐ、密室だと聞いて喜んだかと思えば自殺と聞いて残念がるなど、森野が「不謹慎」だとツッコミを入れていますがその通りです。

森野の本来のバディ・樋口一之(矢本悠馬)が一緒に現場で捜査するのですが、非常に安定感がありました。無理にWキャストで篠原涼子さんが演じる黒羽を登場させず、バカリズムさん一人で事件に臨むドラマを見たかったと感じたのです。

さて、事件としては、被害者が冒頭から殺してくれと言わんばかりの行動・台詞の応酬であり、後半の展開に繋げるために、「下げて上げる」、「上げて下げる」など常套手段ですが、そこまで露骨にせずともと思います。

一方で犯人・尾花健一郎の造形は良く、天然キャラで徐々に追いつめられていく人物というサスペンス感が見事にマッチしておりました。

どのように密室を作り上げたのかというミステリ部分ですが、密室トリックに馴染深くない方にも分かりやすい流れだったのではないでしょうか。トリックそのものよりも、それに至る登場人物たちの背景で魅せる作品であり、それを踏まえての展開は良かったです。

そして、犯人の些細な行動から決定的証拠に繋がる流れも見事でありました。さらに言えば、その部分がしっかりと画面内に映っていればフェアかつ最高だと感じました。

最後になりますが、後半の回想パートでの刺殺シーンは見ていてキツイ。痛そうな場面は苦手なのでマイナスポイントとして締めくくります。

以上、イップス第3話『フラワーと完璧だった密室』でした。

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