原題『mr. MONK Gets Fired』(モンク氏が解雇される)というタイトルです。類まれなる洞察力からいくつもの事件を解決に導いてきたモンクですが、なんと因縁をつけていきた警察本部長から探偵をする権利をはく奪されてしまいます。そのため、新しい仕事を探したり、警察という職業に対する信念を打ち明けるお話です。
あらすじ
登山家ポール・ハーレーは自宅で、元妻の家政婦ラリーサ・ゼルイェバにサプライズでプレゼントを渡したいとガレージに誘導すると、彼女を撲殺したうえでバラバラにして遺棄した。後日、ストットルマイヤー警部の妻カレンは、ドキュメンタリーを作るために警察署での捜査の様子を撮影していると、警察本部長から一刻も早くバラバラ殺人事件を解決するように迫られる。警部はモンクに捜査を依頼するのだが、かつて本部長の友人はモンクの証言で有罪になったことから根にもっており、とある失敗にかこつけて探偵業をする権利をはく奪されてしまうのであった。
登場人物・キャスト
今回の犯人:ポール・ハーレー
役者:ブレナン・エリオット
概要:登山家の男性。エレンという妻がいたが、彼女の家政婦ラリーサ・ゼルイェバと不倫関係にあった。ラリーザが妻に預金口座のことを話したことで離婚となり犯行に及んだ。
今回の被害者:ラリーサ・ゼルイェバ
役者:アンドレア・ラドゥトイウ
概要:家政婦の女性(29歳)。ポール・ハーレーとは不倫関係にあり、彼の妻に預金口座のことを話したため険悪な関係となったことで離婚するきっかけをつくったと思われる。
まとめ
冒頭で犯人が分かった状態で進む倒叙形式のエピソードであり、犯人は遺体をバラバラにすることで自身に繋がる証拠をまったく残しておりません。一体どのようにして証拠を探し出すのかだけではなく、➀「ストットルマイヤー警部の奥さんが殺人課のドキュメンタリー番組を撮影する」 ➁「モンクが本部長から因縁をつけられて探偵業を廃業させられる」といったドラマ面でのストーリーも交錯していく構成になっています。
さて、犯人以上に目立つ悪役として存在感があるのが警察本部長のブルックス(役:サヴェリオ・ゲラ)でしょう。ストットルマイヤー警部には事件の早期解決をするように嫌味と叱責を飛ばし、モンクには彼が過去にした証言で友人の警察が有罪をなったことを根に持っており、ふとした失敗にかこつけて探偵業をできなくさせてしまうです。
思えばシーズン1-1話『第一発見者は超能力者』の犯人は元本部長であり、一体サンフランシスコ市警の本部長はどうなってるんだ! このような明確に横柄な人物として設定されているため最後の展開はすっきりとしました。また、シャローナの本業である看護師として働く姿や、お調子者のディッシャー警部補がダサカッコ良い締めの台詞で終わるドキュメンタリー撮影のラストカットは素敵です。
そしてこのエピソードで魅力を感じた部分は、やはり警察コンサルタントを廃業させられたモンクが語る警察官という仕事に対する信条でしょう。転職のために雑誌の校正者としての仕事に応募するのですが、他人が気にもとめない些細な違いをすべて見抜いて指摘することができました。これができるのも能力の高さからくるものでありますが、彼は刑事こそ最高の仕事と自負しており、シャローナに「全世界は良くできなくても一部だけは良くできる。ほんの一部分を少しずつ順に良くしていく。戻すんだ元通りに」と語りました。警察という職業に関わり続けることで、世界の不正を正していきたいという価値観を垣間見ることができました。
以上、名探偵モンク シーズン3-4話『探偵免許はく奪』でした。