刑事コロンボ 7話『もう一つの鍵』犯人の成長と転落のエピソード

刑事コロンボ 7話 もう一つの鍵
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犯人である「べス・チャドウィック」は犯行を暴かれ、コロンボを殺害しようとした最初の犯人です。名家の令嬢である彼女は、自分を押さえつける兄を殺害し、自由と権力を手に入れます。そこからの彼女の豹変ぶりは見もので、後半の彼女の変わりようといったら、「誰だお前」状態です。コロンボ警部の言葉をお借りすると、「女ってわからんもんですなぁ」―死者の身代金より―

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データ

脚本・ストーリー監修:スティーヴン・ボチコ
原案:バーニー・スレイタ―
監督:ノーマン・ロイド
制作:エヴァレット・チェンバース
制作総指揮:リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

本編時間:76分
公開日:アメリカ/1971年12月15日 日本/1973年8月13日

あらすじ

大手広告代理店の社長であるブライス・チャドウィックは、妹べスの行動を抑制していた。しっかり者のブライスとは違い、べスは身勝手で考えず行動してしまう節があるからだ。そのことがべスには不満であり、兄の殺害計画を進めていた。

ある日ブライスは妹に対し、会社の法律顧問ピーターと別れるように告げる。ピーターがべスと交際するのは、財産と権力の為と決めつけていたのだ。結婚を考えていたべスにとっては不服であり、その晩に兄の殺害を実行する。彼女の考えた殺人計画とは、正当防衛で法的に無罪を勝ち取ることであった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:べス・チャドウィック
役者:スーザン・クラーク

吹き替え声優:鈴木光枝

概要:チャドウィック家の令嬢である女性。兄ブライス・チャドウィックからの強い束縛を受けており、母も兄に全幅の信頼を寄せているため、自身で自由に行動を選択することができないでいた。そんな折、会社の法律顧問ピーター・ハミルトンとの交際関係を兄から引き裂かれそうになったため、正当防衛を主軸に置いた殺人を実行した。

一族経営の広告代理店の名目上重役となっているが、現在に至るまでまったく会社経営には触れておらず、兄からの行動束縛も強かったため箱入り娘である。過去に何人かの男性と交際をしてきたようであるが、見る目がないのか?はたまた家族の意見が厳しいのか、「よくへんな男を連れてくる」と母親からは評価されている。

今回の正当防衛を主張した殺人では、「いつか間違いを犯すんじゃないかと心配していたけど……女のくせに乱暴だし、考えが足りないんだから」とも母親からは言われている。

いざ、束縛してきた兄がこの世から抹消されると、派手な服装や豪胆でワンマンな主張。自分勝手に会社の経営方針を変え、従わなければクビにすると脅す。交際関係にあるピーターからも、嫌っていたはずの兄の性格に似てきたことを指摘される。

今まで束縛されてきた分、その反動はとてつもなく大きなものであったのだろう。それに加え、兄の性格が加わったのだから手が付けられてない。自由から解放された結果がこれである。兄弟の血も争えないものである。


被害者:ブライス・チャドウィック
役者:リチャード・アンダーソン

吹き替え声優:小林恭治

職業:広告代理店社長

概要:広告代理店社長の男性。一族経営の広告代理店であり、父の死後に後釜を担った。ただ単に後を継いだだけでななく、一流の広告会社に仕上げたと母親は語っており、経営手腕の優秀さが伺える。会社の経営を伸ばすことに精進しており、結婚はしていなかったようだ。

反面、シスコン気味というべきか疑い深く心配性な人物。会社の法律顧問ピーター・ハミルトンが、妹ベスと交際関係にあると分かるとその仲を引き裂こうとし、交際を辞めねば会社をクビにする旨の手紙までも送りつけていた。

ピーターについては、有能で頭が切れるし、仕事は速いし、法律に詳しい。性格も宣伝業界にピッタリとその優秀さを認めてはいる。だが、野心家だと思っている節があるようだ。そうでなけらば、何の取り得もないベスと付き合うはずがないと考えたのだろう。

小ネタ・補足

〇法律顧問ピーター・ハミルトンの役者は『レスリー・ニールセン』である。34話『仮面の男』では、CIAエージェントの被害者「ジェロニモ」役を演じている。

まとめ

べスは認められたかったのでしょうね。母は兄を溺愛し、彼女には不当な評価をしていました。(実際には母の思った通りの人物でしたけどね)兄は兄でシスコンが暴走して行動を抑制するは、他者に対して不信感をあらわにし、ピーターとの婚約を破棄させようとします。

唯一の救いは婚約者ピーターのまっとうさだけではないでしょうか? しかしそんなべスも、犯行後は打って変わってキャラ変更してしまう。毛嫌いしていた兄の性格に似てきてしまうのです。そして信頼していたピーターを自ら切り離し、結果的に誰からも認められなくなってしまいます。

ベスは、兄からの強い束縛を受けていた為、自分を押し殺して生きてきたのだと思います。とうとう堪忍袋の緒が切れてしまい、殺人を実行したことで自由を手に入れました。だけども、自分の思い描いた理想と現実の違いは大きいもので、『不自由を味わっていた者が自由を味わう』となると加減が難しいんですね。幸せに慣れた人は不幸には慣れないし、不幸に慣れた人は幸せには慣れないのです。

以上、7話「もうひとつの鍵」でした。

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