相棒17『ボディ』アイディアは刑事コロンボと酷似?エピソード解説

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相棒17の初回エピソードは犯人の犯行から開始する2話編成の倒叙となりました。死体なき殺人がテーマであり、ふと思い出したのは「パイルD-3の壁」という、刑事コロンボのエピソードです。Twitter上でも「そっくり」との意見がたくさん投稿されておりました。

ただ後半からは一転し、「犯人当て」と「動機当て」に移行していきます。倒叙サスペンスからのミステリーへと変化していくのです。1話から2話の前半にかけては、コロンボのプロットに影響を受けておりますが、2話の後半からは違う作品として見ることができます

今回は1・2話と解析していき、コロンボとの類似点は最後のまとめに記載します。
※構成上【ネタバレ注意です

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データ

脚本:輿水 泰弘
監督:橋本一
制作:テレビ朝日
監修:桑田 潔
音楽:池頼広

本編時間:1話/70分 2話/56分
公開日:1話/2018年10月17日 2話/2018年10月24日

あらすじ

【1話】
国家公安委員を務める大学教授の三上冨貴江に、夫の鬼束鋼太郎から「親父(鐵太郎)を殺した」と電話を受け取った。鐵太郎は冨貴江の不倫写真を入手しており、彼女を自宅から追い出す準備を進めていたため、阻止するために殺害したのだと話す。もしこの事件が公になってしまえば、冨貴江は殺人犯の妻として現在の地位を失ってしまうため、共犯となって鐵太郎を失踪に見せかけ遺体を隠したのだった。


【2話】
「いったん調べの入ったここ以上に安全なところはない」と杉下右京の読み通り。捜索が行われた離れ屋の基礎には鐵太郎の遺体が埋まっていた。共犯者の三上冨貴江・鬼塚鋼太郎・鬼塚倖の3人が逮捕されることになるのだが、3人の供述はそれぞれ矛盾していた。三上冨貴江は、鋼太郎を縄文土器で撲殺したと主張するのだが、鬼塚鋼太郎と倖は冨貴江がソファークッションで窒息死させたというのである。たしかに冨貴江が事件現場を見た際には、縄文土器が散らばり、血が頭部から流れた鐵太郎の遺体でった。しかし、司法解剖の結果は頭部に外傷はなく、死因は窒息死であった。殺人の関与を否定する冨貴江に対し、特命係の2人は事件の真相探るべく捜査に乗り出す。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:三上冨貴江
役者:とよた真帆
職業:国家公安委員 兼 成林大学教授

概要:現在の地位を保持するために、事件隠ぺいに加担することになる。国家公安委員の給料は年間報酬が2300万円以上貰えるようで、罪の意識よりも、金銭面と現在の地位保持が勝ってしまった様子。

趣味は縄文土器の収集。夫の鋼太郎によると、「縄文人に崇拝の念を抱いていてね」とのこと。ただし、大学の講義では”契約曲線”という数理心理学の分野を教えており、本人のゼミ内の本棚にも縄文時代に関する資料など確認できず、本人の学科とはまったく関係はない

知性と教養に満ちていると他者評価が多いものの、大事な公安委員の会議中には携帯の電源を切らずにマナーモードにする。公安委員の上司的立場にいる甲斐峯秋との会話中にも電話の電源を切っておらず、礼節度はやや低い。さらにそのことが元で特命係以外にも怪しまれることになっている。

事件解決編時には、倖と鋼太郎が不倫関係にあることを知り、「あきれた」と一蹴するが、忘れてはいけない。本人もまた、大学のゼミ生徒である中迫教之と不倫関係にあり、まさに、「あきれた」ブーメラン発言である。


今回の共犯:鬼束鋼太郎
役者:利重剛
職業:鬼束学園副理事 兼 成林大学学長

概要:鬼束学園副理事と成林大学学長を務めるが、相当やることがなく暇であると本人は言う。そのため、広々とした自宅庭でドローンを飛ばしていたり、バイナリ―オプションで株取引をして60秒で100万円を損失している。なお負け越している方が多い様子。

新事業の企画・立案を図っているようだが、父である鐵太郎には猛反対されて副理事も学長も解任されそうになっている。作中においてはどのような新事業を考えていたのかは不明。

終始事件を楽しむかのような軽い言動が目立つがアドリブに弱いらしく、杉下右京の予想もしていなかった答えに対して、「答えを迫られてパニックになった」と本人は語る。倖によると「しどろもどろで、まったく要領を得なかったというか、理解不能というか……」と評価される。

しかし、今事件を複雑化したのは彼の考えた偽装工作によるもの。目の前で惚れた女性である倖が引き起こした殺人。さらに被害者は仮にも父親である。彼の言う”答えを迫られるパニックになる”状況において、万が一に備えて三上冨貴江を殺人犯として仕立てあげることができる事件現場に偽装して見せたのだ。

真意は不明であるが、愛する女性と共になるためには邪魔になった妻・三上冨貴江を排除しなければならない。あえて事件を発覚させ妻を逮捕させる。杉下右京に対する答えが彼の計画のうちだったとしたのならば相当の切れ者である。


今回の犯人:鬼束倖
役者:谷村美月
職業:鬼束鐵太郎の妻

概要:元々は鬼束鐵太郎の通院する病院の看護士であったが、鐵太郎に誘われて在宅看護士として自宅に出向くようになる。その後、鬼塚家に住み込むようが便利ではないか?との鐵太郎からの提案により共同生活を送るようになる。

結婚までの過程はプライベートとの事で一切語らず。ただ、結婚の目的は”金銭目当て”である。しかし、結婚生活中は自由には金を使えず、好きでもない年老いた男性との生活を耐え切れなくなり殺害に至ってしまった。鐵太郎の失踪事件後には、曇った表情が晴々とし、高級衣類店などで30万円を使い込んだ姿が週刊フォトスに激写されていた。


今回の被害者:鬼束鐵太郎
役者:中田博久
職業:鬼束学園理事

概要:週刊フォトスの記事によると、身長:174cm 体系:やや太り気味 年齢72歳 人当りの良いやさしい老人との印象が強いがお金や規則には厳しいとのこと。

結婚歴は倖を含めて3度目。自宅にある多くの絵画は2番目の妻がコピー品ではあるが趣味で収集していた様子。3番目の妻である倖には自由に金を使わせなかったことから、2番目の妻との離婚原因は金遣いの荒さだったのではないだろうか?

ちなみに鬼束倖の年齢は31歳であり、特命係に配属された青木年男は「ジジイが若い子もらって長生きするはずがない」と根拠はないものの、一番最初に殺人を見抜いてみせる。

小ネタ・補足

〇共犯となった公安委員「三上冨貴江」は、相棒16最終回スペシャルに登場している。

〇甲斐享(成宮寛貴)が回想シーンで登場しており、ファンを喜ばせた。
1話33分40秒~、2話54分40秒~

○アライグマをペットとして飼う描写がある。日本においてアライグマは害獣指定されており、本作品においてはフィクションでありアライグマをペットとして飼うことを禁止しているというテロップが最後に映されている。

コロンボとの類似点

今回の相棒のエピソードと、コロンボ「パイルD-3の壁」の焦点となるのが、「死体なき殺人」ということになります。遺体をどこに隠したのか? コロンボの場合は、遺体は『ビル建築の基礎』に埋めました。相棒の場合は、『離れの小屋の基礎』になります。どちらも、「遺体は建物の基礎」に埋めようとしたことが類似点の1つになります。

また、基礎に埋まっていた遺体を発見した時の台詞も似ています。どちらのエピソードも、刑事に1度基礎を掘り返させました。もちろん、まだ遺体は基礎に埋めていなかったので何も出てきません。掘り返した後に遺体を埋めるという行為も同じです。

杉下右京「いったん調べの入ったここ以上に安全なところはない」

コロンボ「あんたが欲しいのは間違っても見つからない場所だった。それなら1度捜査を受けたところは打ってつけだ。それも手続きが面倒な場所ならなおさらだ」

相棒17「ボディ」の犯人である、国家公安委員の三上冨貴江は、大学で講義をしています。刑事コロンボ「パイルD-3の壁」の犯人である、建築家エリオット・マーカムも大学で講義をしています。ここも狙った?

まとめ

1話~2話前半にかけては、物語は「遺体なき殺人」がベースで進みますが、2話後半からは動機解明と犯人当てがメインとなり、まったく別の展開として新しく捜査が開始されることになります。

そのため、トリック(遺体の隠し場所+見つからないようにするアイディア)は、刑事コロンボ『パイルD-3の壁』から着想を得ているでしょう。しかし、それ以外の部分ではオリジナリティ溢れるプロットになっていると思います。

以上、まとまりのない文章を羅列して、相棒17「ボディ~二重の罠」でした。

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