『ギルティ・コンサイエンス』感想とあらすじ

スポンサーリンク

【VS.刑事専門弁護士】特殊な法廷もの倒叙ミステリーです。冒頭のスピーチで主人公が語るのですが、『いかなる殺人も3つの部分で成り立つ。犯人、被害者、そして弁護士』。この物語のメインの登場人物は、この3つです。さらに、ほとんど室内での会話劇になっています。

法廷ものとはいいましたが、主人公のギルティ・コンサイエンス(罪悪感)が生み出した、もう一人の自分自身と裁判を繰り広げるのです。その議題とは「いかにして殺人を実行して無罪を勝ち取れるのか?」です。

安全かつ、自分自身のアリバイが確保された殺人計画を考えるために、主人公が奮闘する。そこに、思わぬ障害も出てきて……というお話し。では、裁判開始!

スポンサーリンク

ココが見どころ‼

〇「羊たちの沈黙」レクター博士で有名な、アンソニー・ホプキンスさんが主演

〇二転三転と転がるストーリー展開。

〇言語情報のみでの推理と会話劇!少し退屈にも感じる?

データ

データ:詳しく見る
脚本・製作:リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク

監督:デビッド・グリーン

音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

編集:パール・ケイシー

美術監督:ピーター・ウォーリー

撮影監督:スティーブン・ラーナー

本編時間:94分

公開日:アメリカ/1985年 日本/2011年2月25日

あらすじ+人物相関図

刑事専門弁護士アーサー・ジェイムソンは、愛人と一緒になるために邪魔な妻ルイーズの殺害を計画していた。しかし、有能である故か、自らのギルティ・コンサイエンス(罪悪感)が、実体として表れる。もう一人のアーサーと裁判と称し、殺害計画についての議論を行う。

自らの計画の穴を突かれては、新しい殺害計画を画策するのだった。アーサーが求めているのは、確実に殺害が可能で、安全に無罪を勝ち取れる方法である。何度も頭の中でイメージを繰り返す……。妻を殺害をするが、どうしても犯人だと疑われてしまう。

テキサスでの仕事を終えたアーサーは自宅に戻り、妻ルイーズとの会話を終える。再び殺害計画を模索していると、玄関のチャイムが鳴った。出てきたのは鍵を無くしてしまったという女性であった。しかし、その女性は実はアーサーの愛人で共に殺害を共謀する共犯者だったのだ。

何とか妻にばれないように、今は間が悪いと愛人を追い出す。そして、アーサーも家から出ていこうとしたとき、妻から呼び止められた。振り返ると、彼女は銃を持っていたのだった。アーサーが自分を殺害することに勘づいており、彼女もまた殺害を計画していたのだった。

人物紹介

©2011 WHD JAPAN.AII Rights Reserved.「ギルティ・コンサイエンス」より引用

今回の犯人:アーサー・ジェイムソンアンソニー・ホプキンス

職業:刑事専門弁護士

殺害方法:銃殺/転落死/事故死など画策中

動機:邪魔になった妻を消すため

概要:詳しく見る
概要:腕利きの刑事専門弁護士の男性。邪魔になった妻を殺害するべく、あの手この手の完全犯罪を模索している。しかし、有能な故か?己の生み出した罪悪感と心の中で裁判を行う。自身の計画に荒を見つけては、今一つ行動には移せないでいる。かなりの慎重派ともいえる人物。

しかし、浮気に関しては行動的だ。愛人「ジャッキー・ウィリス」と、美術商でカナダ人「ゲイル」がいる。今はゲイルに熱を上げており、事件日には20時に「ジャパニーズ・ガーデン」という店で寿司を食べる約束をしていた。妻によると、自己中心的で、かなり浮気癖がすごいようだ。

また、あくどい男でもある。顧客の信託金を横領、情報を陪審員に流し裁判を有利に進める不正を働いていたと妻は語る。さらに妻とは戦略結婚である。彼女の父が裁判官だと知り結婚をしたのだが、実際には「交通裁判官」であった。刑事事件のコネがないと分かると無関心になり、自身も「計算違いだった」と話している。

©2011 WHD JAPAN.AII Rights Reserved.「ギルティ・コンサイエンス」より引用

自宅のリビングには、自身の肖像画が飾られており、裁判官の服装をしていた。自身のギルティ・コンサイエンス(罪悪感)との議論においては、ことあるごとに肖像画へ「裁判官」と声を掛けていた。ゆくゆくは裁判官になりたいという野望もあったのかもしれない。

葉巻の愛煙家であり、イニシャル入りの葉巻の箱を持っている。葉巻を吸う際には、シガーカッターを使用してから、ライターでの着火を行っていた。自宅リビングには、録音機が設置されている。しかし、現在はマイクの故障中であるとのこと。

隣の家には、「スタークス」さんという家族が住んでいるようだ。なお、付き合いはない様子。

殺害計画はエピソード中に5つ考えている。しかし、形になったアイディアは3つである。これらの殺害計画は、物語中に映像として描写。今は脳内、現実?まるで胡蝶の夢のように錯覚を覚える演出も今作品の魅力の1つである。イメージの中の自分の行動が描かれているため、本来の自分とは正しくない箇所もあるのかもしれない。

強盗殺人に偽装(犯行計画参照):法律学校の卒業式でスピーチをしている。ユーモアのあるトークで会場の爆笑をかっさらっていた。進行役からは、「責任感ある素晴らしい弁護士」だと紹介を受けていた。ちなみに次にスピーチする人物は、「サイモン・ディートリック」という人物であった。

講演に参加してほしいという相談は、ビルという学生が連絡をしていた。快諾の条件の1つに、アーサーの自宅から近い場所にあるホテルということならば参加すると連絡をしていた。このことから、アーサーは卒業生のなかでも地位の高い人物のようだ。

階段からの転落死(犯行計画参照):結婚当初に購入した別荘がある様子。しかし、ほとんど使用していない。地下室があり、そこには昔の資料を保管しているようだ。


©2011 WHD JAPAN.AII Rights Reserved.「ギルティ・コンサイエンス」より引用

今回の目標人物:ルイーズブライス・ダナー

職業:アーサーの妻

概要:詳しく見る
概要:交通裁判官の娘。アーサーは刑事事件の裁判官だと思い込んでしまい結婚をする。コネが得られないことから、結婚生活は冷え切ってしまっている。昔は従順であったが、現在は彼への対抗意識が高まっており強い女性だ。

婚前契約書には、末永く円満な家庭を築けると思っていたのか?離婚時に一銭も貰わないと契約を交わしている。しかし、離婚したいという思いが募ると、顧客の信託金を横領/陪審員に情報を流していたことを知り弱みを握る。周囲の友人にも離婚をしたいと話をして、示談金は5万ドル、自宅も貰うつもりらしい。1985年1ドル:251円 5万ドル=1千255万円

左頬に傷がある。これは、以前アーサーと離婚について揉めた際に彼から殴られてできた傷である。上記の信託金横領/陪審員に情報を流したことは、「推測でしかない。裁判になると負けるぞ」と話すアーサーに、「それはどうかしら、あなたに味方はいるかしら?」と言った所で殴られたようだ。

この殴られたことを書類にまとめ、もし自身が死亡したら貸金庫を開けるようにと州検察官宛にメモを送る。これで、自分が死亡すればアーサーが疑われることになるという保険を掛けたのだ。

毎晩22:30に睡眠薬を飲んで入眠する。眠くなるまでの間は、本を読んで過ごすようだ。近視なのか?眼鏡を装着していた。酒はシェリーを好んでいる。健康とスタイル維持のためか、エアロビクスに通っている様子。


©2011 WHD JAPAN.AII Rights Reserved.「ギルティ・コンサイエンス」より引用

今回の登場人物:ジャッキー・ウィリススージー・カーツ

職業:派遣社員

概要:詳しく見る
概要:8ヶ月前からアーサーと愛人関係にある女性。また、ルイーズ殺害計画の共犯者でもある。しかし、その実態とはルイーズとも協力関係にあったのだった。つまり、アーサーの共犯者であったジャッキーだったが、彼がゲイルという新しい愛人と関係を持ったことが不服であった。

そのため、ルイーズに殺害計画を打ち明け、彼女の共犯者となったのだ。ただ、共犯者への道のりは長く、信頼を得る為に少々ばかり時間を巻き戻して解説を行う。ルイーズとジャッキーが出会ったのは、ルイーズがストレスを癒すためにショッピングに出かけたことがきっかけである。

ジャッキーが尾行していることに気が付いたルイーズは彼女を問いただす。「尾行していれば話せる機会があると思った」この言葉通り、彼女の服装とは黄色いコートという非常に目立つ格好をしており、おおよそ尾行には適さない服装であった。見つけてほしかったのである。

そして、彼女はルイーズに、アーサーが殺害計画を練っていることを打ち明けたのだった。最初は信じて貰えなかったものの、金庫のカギは宝石箱の中に入れていることや、署名のサインはルイーズの筆跡を真似ることができる(2週間の練習期間あり、一応真面目にアーサーの言いつけを守ったようだ)と話すと、徐々に彼女の話しに耳を傾きはじめる。そして、2人はアーサーへの復讐計画を画策していった。

派遣社員ということで、多種多様な場所で勤務経験がある。アーサーの事務所の受付、健康クラブの受付、探偵事務所(2週間で辞めた)、銀行での勤務経験があるようだ。

犯行計画

【1.強盗殺人に偽装し殺害】
①22:00 法律大学の卒業式でスピーチをする。スピーチ終了後、気が付かれないように、会場を後にする。路上駐車禁止の張り紙を外し、駐車していた自分の車に乗り込む。そして、家の近所まで車で移動した。

②車のトランクからタイヤレンチを取り出すと、自宅玄関の鍵穴を傷つける。そして、窓ガラスを割り鍵を開けた。書斎に向かうと辞書を持ち出す。通路で辞書/電気スタンドを落とすことで、妻ルイーズが物音に気が付く。

③22:40 ルイーズは911へ通報をする。アーサーは、内線電話からそのことを確認した。ルイーズが寝室の引き出しから銃を持ち出すと、下の階へと様子確認に伺う。侵入者はアーサーであることを知り安堵する。

④アーサーは、リビングにある壁掛けを外すと床に広げた。そして、貴金属類をその上に載せると、妻を射殺したのだった。12分後には通報を受けた警察が駆けつけるが、自分は再び車で会場へと戻る事で、パーティに参加していたというアリバイが完成する。

【2.寝タバコによる火災】

①誰かを雇う?しかし、人が増えると不利になる。そうなると、火事を起こす。ロウソクから何かに引火させる。タバコを吸って引火……。「彼女はタバコを吸わない」却下。

【3.階段からの転落死に偽装】

①週末にわざと妻と口論を起こす。彼女は別荘に、自分は自宅に残る。そして、パーティに行くか、仕事をする。そして、彼女の死を聞きつける。死因は転落死だ。

②別荘にある地下室への階段の1段目のネジを外す。また、電球のスイッチを切る。妻は22:30に睡眠薬を服用して就寝することが日課であり、その時刻に電話を掛ける。「地下室に保管している書類が必要なんだ」

③妻は夢心地のなか地下室へ赴く、電気が付かないため、電球のスイッチを上げようと階段に足を乗せると転落死する。そして、彼女が恋しくなった自分は別荘に行くと、地下室の扉が開いていることに気が付き、そこで遺体を発見して通報する。→もし、彼女が階段のズレに気が付いたら?安全ではないため却下。

【4.自動車事故に偽装】

①買い物を終えた妻が、車のトランクに荷物を入れる。その時、どういうわけかギアが緩んでおり、車が勝手に後進して彼女にぶつかってしまう。そうすることで、以前彼女を殴った時に出来た顔の傷も隠れる。→タイヤでついた傷と、殴り傷の違いは明確。さらに出来る確信がなく却下。

【5.自殺に偽装】

①アーサーが出張先から戻ると、妻が自殺をしていた……ように見せかるべく模索中。

ネタバレ注意!
【アーサーを自殺に見せかけ殺害したい】

①ルイーズとジャッキーは共犯となり、アリバイ工作を行う。ジャッキ―はアーサーの自宅にタクシーで向かった。そして、「新しい愛人の存在を知ったので仕返しに行く」と話した。これで、家に来たという証言をしてくれる。

②自宅では、ルイーズがジャッキーと対面してショックを受ける。その後、口論になりジャッキーはタクシーで引き返す。ルイーズも家から出ていき、ジャッキーの家を見つける。そこで、2人は話し合う。

③ルイーズはジャッキーの自宅から、アーサーに電話を掛ける。そこで、別れを告げる。また、不正行為について州検察に行くことも話す。アーサーは妻と地位を失うと落胆し自殺をする。そしてその時間、ルイーズとジャッキーは2人一緒にいたというアリバイがある。

推理と捜査

【1.強盗殺人に関して】
○アーサーは20:00~法律学校の卒業式に参加した。そして、22:00にスピーチを行った。その夕食会は23:15頃に終了した。被害者が通報した時刻は20:40である。アーサーが帰宅したのは00:06(12時06分)だと話す。⇒12時06分だと細かすぎる、普通なら12時頃と言わないか?

○妻の悲報を受けたとき、アーサーはひどくショックを受けていたようだ。しかし、被害者は友人たちに離婚したいと話していた。また示談金を貰うつもりだという。しかし、婚前契約書によれば、彼女は一銭も貰えないことになっていた。何か弱みを握られていたのではないか?また、アーサーは裁判での不正を疑われ、法律協会から報告書を求められていた。

○被害者は亡くなる前m、左頬辺りを切る怪我をしていたようだ。アーサーは右利きであり、もし相手を平手打ちするなら、右利きならば左頬を殴る。また、アーサーは結婚指輪を付けていなかった。日焼けの跡が付いており、最近外したようだ。

○アーサーはスピーチが終わったあと、席に戻らなかったという証言がある。トイレに行き、そして次の人の講演が終わるまで外で待っていたと話す。ホテルから家まで車で15分→自宅で10分で用事を済ませ→15分でホテルへ戻る。計45分で殺害する時間は十分にある。

○アーサーの講演快諾条件は、家から近い事だと学生が証言した。また、侵入者を恐れて通報した被害者はなぜ、部屋で警察を待たなかったのか?勇敢に泥棒に立ち向かったのは、侵入者を知っていたからである。アーサーは自身のギルティ・コンサイエンスに負けを認めた。

ネタバレ注意!
【アーサー殺害計画について】
アーサー本人によるダメだし。

○妻は浮気を知ってショックだったと話す。しかし、彼女は夫の浮気癖は知っていた。それなのになぜ今回ばかりは反応したのか?

○アーサーは自己中心的な人物で、自分のことにしか興味がない。ではなぜ、遺書を残さない?自殺する前に、自己中心的な人物なら必ず書く。

○ルイーズがアーサーに電話を掛けたとき、ジャッキーと一緒にいると話した。しかし、アーサーは電話を掛け直さずに、悲観にくれて自殺した。なんだか展開が早すぎる。

○そもそも、ルイーズはどうやってジャッキーの家を知る事ができたのか?2人は初対面という設定である。運転免許証に記載されている住所を確認したと話すが、ジャッキ―は免許を持っていない。仮に健康保険証から住所を確認できたとする。

ジャッキーはバッグを持たずにタクシーに乗ったことになる。健康保険証は忘れたというバッグの中にあり、財布も持たずにどうやってタクシーのお金を払えたのか?さらにいえば、部屋のカギもバッグの中に入っている。ジャッキーは自宅にどう入った?

○アーサーが自殺しようとした時間、自分が家にいるはずがない。なぜならば、ゲイルという女性と20時に「ジャパニーズ・ガーデン」で食事をする約束をしているからだ。

○睡眠薬入りのコーヒーを飲ませるアイディアも悪い。薬物検査は妻の許可なしでも行われる。遺体解剖されることで、なぜ拳銃自殺するのに睡眠薬を飲む必要があったのかを疑われる。

三幕構成

まとめ

倒叙作品の魅力の1つに、「犯行計画」があります。犯人の犯行から進む形式ですので、最初から全てのトリックが分かっている状態で進む作品が多いです。頭の良い犯人が考え出した計画だったり、限られた時間の中で生み出した計画。そのトリックが解明されるのが醍醐味です。

しかし、「ギルティ・コンサイエンス」は、犯行計画を実行するのではなく「考える」お話になります。今回の主人公であるアーサーも、何度も計画を見直しては、自身の計画に穴は無いかと悩んでいました。自分が納得のいく殺害計画……、自信をもった作品で刑事に挑む準備をしていたんだと、そう感じるメタ的な映画だと思いました。

脚本家は刑事コロンボの原作者:リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク氏です。数々のミステリー、倒叙を作り上げた2人の脚本の見事さというのでしょうか?言語情報だけでの推理、冒頭の犯行とクライマックスが重なって終わる幕切れの良さは圧巻でした。

以上、「ギルティ・コンサイエンス」でした。