【VS.中古車ディーラー】推理小説や探偵の舞台と言えば、「逃げ場のない孤島」「雪山のロッジ」「古い風習の残る村」、そして「豪華客船」ではないでしょうか!? 客船で探偵ものといえば、ファミコンソフト「ミシシッピー殺人事件」を思い出します。
今回のエピソードは実在する船『サン・プリンセス号』のメキシコクルーズに、スタッフや役者が乗り込んで撮影おこなったエピソードです。コロンボ警部のカミさんも乗船しているようですが……、どうやらコロンボ警部とはぐれてしまったようです。
データ
あらすじ+人物相関図
中古車ディーラーのヘイドン・ダンシガーは、ショーガールのロザンナ・ウェルズでかつて愛人関係にあった。口止め料として金銭を要求し、もし断れば妻シルヴィアに告発するという。資産家のシルヴィアの方が夫婦間での上下関係は上であり、このことがバレたらヘイドンはお終いである。
ヘイドンは汽船をよく利用しているため構造を熟知している。マスターキーを道具を使って複製すると、薬を吸い込み擬似的な心臓発作を起こした。医務室へ運ばれると、30分おきに血圧が測定されることになる。ディナーショーの時間になると、ヘイドンは医務室から抜け出してマスターキーで乗務員専用通路を使ってロザンナの部屋で待ち伏せをする。
衣裳替えに来た彼女を射殺すると、ロザンナに惚れているバンドマンのロイドに、殺人の疑いが向くように偽装したのだった。急いで血圧測定の時間までに戻ると、犯行時刻は医務室で休んでいたというアリバイを完成させたのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ヘイドン・ダンシガー(ロバート・ヴォーン)
吹き替え声優:西沢利明(にしざわ としあき)
職業:中古車販売会社社長
殺害方法:銃殺(38口径)
動機:口封じの
今回の被害者:ロザンナ・ウェルズ(フーレー・ボッカー)
吹き替え声優:中村晃子(なかむら あきこ)
職業:ショーガール
犯行計画/トリック
【被害者に好意を寄せる人物の犯行に偽装】
①ヘイドン・ダンシガーは、パーサーのワトキンスに、部屋の合鍵がないと予備の鍵を借りにいく。その際、マスターキーの製造会社と複製番号を記憶する。部屋で『カーチス・クリッパー』を使用して、マスターキーを複製。海に製造方法の記載された本と、カーチス・クリッパーを捨てた。
②バンドマンのロイドの部屋に侵入して、明細書箱に銃の購入書を入れる。ロザンナの部屋に銃を隠しておく。プールデッキで、鼻から亜硝酸アミルを吸引すると擬似的な心臓発作をわざと引き起こす。医務室へ運ばれ、30分おきに脈拍と血圧を測定されることになる。
③看護師の隙を見てゴム手袋を盗む。ディナーショーの時刻、医務室から抜け出すと、マスターキーを使い乗務員専用通路を移動。途中スタッフの衣裳に着替え変装した。ディナーショーの休憩時間、ロザンナは衣裳替えのために部屋へ戻る。待ち伏せていたヘイドンは、彼女を枕越しに射殺した。
④口紅を使い鏡に「L」と記入する。バンドマン「ロイド」は、ロザンナに好意を抱いており、振られたことによる復讐に見せかけるため。ヘイドンは30分おきの血圧測定までに急いで戻る。途中、シーツ回収BOXの中に拳銃を隠した。医務室のベッドに戻ると看護師から血圧測定を受け、犯行時間はベッドで休んでいたというアリバイが完成した。
推理と捜査(第2幕まで)
三幕構成
小ネタ・補足
〇舞台となった『サン・プリンセス号』は、香港のクルーズ船「オーシャン・ドリーム」として現在も航海しているようだ。(海外Wikipedia)
〇被害者「ロザンナ・ウェルズ」がディナーショーで歌っていた曲は、『ボラーレ(青く塗られた青の中で)』である。
〇ロザンナに惚れていたバンドマン「ロイド・バリントン」は、12話『アリバイのダイヤル』で被害者エリック・ワグナーを演じている。
〇パーサーの「ワトキンス」を演じた「バーナード・フォックス」氏は、14話『ロンドンの傘』のダーク刑事部長を演じていた。
〇コロンボ警部が鼻歌を歌い、「ダンジガーさ~ん♪」というシーンは、吹替だけの演出である。
〇コロンボ警部が、メキシコ行の船旅中に巻き込まれた事件である。到着地は35話『闘牛士の栄光』が舞台となっている。
まとめ
特殊な舞台設定が見どころのエピソードなんですね。ミステリーの定番『豪華客船』でございます。海の上の船ですので、鑑識や他の刑事たちもいません。そんな条件下においてコロンボ警部は単独で事件解決に乗り出すのです。
丁寧に描かれた作品であり、冒頭でゴルフ用の手袋を妻ジュリアが忘れてしまいました。ダンジガーさんは言い返そうとしますが、「アカプルコで買えばすむことよ」と突き返されてしまいます。これから殺人に使用する大事な手袋だったというのに……。
この点から妻との上下関係が明らかになっているんですね。また、コロンボ警部が鉄砲が苦手だからとダンジガーさんにベッドマットに銃を撃たせるシーンでは、彼の銃の腕前を試していましたね。
古い鑑識方法、「鉛筆の削りカスを使って指紋を検出」。犯人との会話の中から疑問を見つけ、次々と実験して解消していき徐々に犯人に詰め寄る。
コロンボ警部が犯人をロックオンしたのは、病室の床に落ちていた「羽毛」がきっかけという演出が最初から提示されますが、どうしてそれで犯人と確信したのかが見事というか、勉強になったエピソードでありました。
以上29話、「歌声の消えた海」でした。
「ダンジガーさ~ん♪」という吹き替え独自のセリフ。
これ、台本には書かないと思うんですよ。
おそらく台本には
コロンボ (歌を口ずさむ)
としか書いてないはず。
つまり小池朝雄さんのアドリブだったのではないか?と
私はそう考えてます。
≫「ダンジガーさ~ん♪」という吹き替え独自のセリフ
三谷幸喜さんもお気に入りのポイントだそうです♪