刑事コロンボ 30話『ビデオテープの証言』ハイテク屋敷での殺人

刑事コロンボ 30話 ビデオテープの証言
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【VS.電子機器メーカー社長】監視カメラが配置され、手を叩くだけで開く扉。ハイテクな屋敷が舞台の作品です。74分間とコンパクトにまとまったエピソードであり、犯人の冷淡さはコロンボ史上でも上位に位置する軽蔑すべき犯人です。

監視カメラという機器が初登場した回でもあり、その映像を駆使したトリックや詰め手は今後のコロンボのエピソードにも何作か登場してきます。今回のエピソードはその元祖なのです。

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データ

脚本:デヴィッド・P・ルイス&ブッカー・T・ブラッドジョー
監督:バーナード・コワルスキー
制作:エヴァレット・チェンバース
制作総指揮:ローランド・キビ―&ディーン・ハーグローヴ
ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー
音楽:バーナード・セイガル

本編時間:74分
公開日:アメリカ/1975年3月2日 日本/1976年12月11日

あらすじ

ミダス電子機器メーカー社長のハロルド・ヴァン・ウィックは、会長マーガレット・ミダスの娘エリザベスと結婚したためその地位につくことができていた。しかし、ハロルドは会社の金を道楽のような電子機器の開発にあて私物化していた。

そんなハロルドにマーガレットは我慢ならなかったが、足が悪く車椅子生活のエリザベスが彼を愛していたため社長の座にいることを許していた。表向きには優しい夫を演じていたハロルドであったが、影では何人もの浮気相手がおり、エリザベスには愛情などなかったのだ。

マーガレットは私立探偵を雇い、浮気の決定的瞬間を掴んだ。そしてハロルドを会社からクビのする決意を固めた。このままでは現在の地位が失われてしまう。ハロルドは自宅に設置した監視カメラの映像を駆使して鉄壁のアリバイを作り上げると、強盗に殺されたという筋書きでマーガレットを葬り去ったのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:ハロルド・ヴァン=ウィック
役者:オスカー・ウェルナー

吹き替え声優:山田吾一

概要:ミダス電子機器メーカー社長の男性。エリザベスと結婚して社長の座についたが、道楽のような趣味に多額の金を使い、影には何人もの浮気相手がいる。妻の母マーガレット・ミダスが、不倫の決定的な証拠を掴み、会社からクビにする段取りを進めていたため、監視カメラの映像を利用した強盗殺人に仕立て上げた。

私立探偵の調査によると、マリブとビバリーヒルズに愛人がいる様子。会社の金は道楽のような電子機器の開発に使い込んで会社の業績を悪化させていた。一応商品開発はしており、デジタル式の腕時計を最近発売している。

腕時計は自身がデザインを手掛けており、CMでも放送しているようだ。コロンボ警部や、『グランテ画廊』受付嬢も、カッコいい腕時計をしていると評価をした。アリバイ作りに向かったグランテ画廊とは1年以上の付き合いがあり、専用の封書が贈られるほどのお得意様である。

車椅子生活の妻の為に、手を叩くと自動的に開く扉、車椅子用の階段昇降機を配備した自宅に改装している。監視カメラもいくつか配置されてあり、警察署内にもないような立派な専用のビデオルームも存在する。

監視カメラの映像は、門の前にあるガードマンの監視室へ送られており、監視カメラは光と音と、人間の体温に反応して録画される仕組みになっているとのこと。手を叩く音に反応する扉は時々故障するようで、先月フリーマン夫妻が来た際には、裏口の戸が開いたり閉まったりしたようだ。

近視であるのか? 書類を読み込む際にはメガネを装着している。


今回の被害者:マーガレット・ミダス
役者:マーサ・スコット

吹き替え声優:佐々木すみ江

概要:ミダス電子工業会長の女性。娘であるエリザベスがハロルドと結婚したため社長の座を譲渡したが、会社の金を趣味に使い込み、不倫があることを勘づいている。だが、娘が彼を愛しており離婚をしないことから、私立探偵に調査を依頼して不倫の決定的な証拠を掴ませた。

決算で業績が上がらなければクビにする約束をしていた。結果として下半期の経営は急速に落ち込んでおり、社長の後任に息子アーサーを推薦する準備を進めていた。そのうえで、不倫の決定的な証拠をエリザベスに提示することで離婚させ、会社からの追放するつもりであった。

クラシック音楽が好きで、特にショパンが好みな様子。ブランデーが入ると気難しくなるという酒癖があるらしい。エピソード内でも台詞はないが、ややテンションが高まっている姿が確認できている。

小ネタ・補足

〇犯人役オスカー・ウェルナーの最初で最後のドラマオファー作品である。

〇犯人が、私立探偵により浮気相手を調べられていたという情報を知ったのは、窓から強盗が入ったように偽装する後からであった。元々そんな情報が提示される前から殺害を計画をしていたようだ。

〇犯人の妻・エリザベスを演じた女性は、『ジーナ・ローランズ』である。10話『黒のエチュード』で犯人を演じた『ジョン・カサヴェテス』の妻でもある。今エピソードはそれを意識してか、黒のエチュードを彷彿させる演出と設定が多い。

まとめ

犯人が逮捕される時にコロンボは部下の警官に、「連れて行ってくれ」と頼みます。しかし彼は、「いい。1人で行けるさ」と断って歩いていきます。この台詞の後に、妻が泣いて終わるというコロンボ屈指の後味の悪いエピソードです。(泣くのは吹き替え版のみ)

「1人で行ける」は、ハロルドが妻の車椅子を押してあげようか? と聞くたびに、妻は「子供扱いはしないでよ。わたしは1人で行けるわ」と返していることが多いのです。

最後にハロルドが妻に嘘の証言をするようにいいますが、妻はそれを拒絶します。最後にハロルドがこの台詞を言ったことは、妻に対しての皮肉でしょうか。それともたまたま口から出た言葉だったのでしょうか?

以上、30話「ビデオテープの証言」でした。

  1.  ハイテク電子機器や仕掛けを駆使した豪邸が舞台と言う今回は、なかなか面白かったと思いました。
     犯人のハロルドは、ビデオテープを利用したアリバイ工作は万全。絶対に犯行は発覚しないと自信たっぷりな表情で、だからこそコロンボ刑事の捜査にも協力的で、テープの提出にも素直に応じたのでしょう。
     もっとも、いたずらに提出を拒否したりすれば、かえって疑いを掛けられますが。
    ただ、そのアリバイ工作も万全では無かった。意外な所からそれは崩れました。
     画廊への招待状が、ビデオに映っていたとは、ハロルドも気付かなかったのでしょうか。
    もしハロルドの証言通り、画廊に出掛けている間の犯行とすれば、当然招待状は持ちだしているはずです。
     それを見落とさなかったコロンボ刑事の推理も立派ですが、ハロルドにしては、ポカミスという感じですね。
     一つ疑問な点があるとすれば、モニタールームで豪邸内の監視を続けていたバクスターが、リアルタイムの映像と、録画映像との違いに気付かなかったのかと言う点です。
     録画映像なら、画質は低下し、またリアルタイムではあり得無いようなノイズやチラツキも出たのではないでしょうか。
     バクスターが「いつもと違い画質が悪かった、ノイズやチラツキも出ていた」と証言していれば、また違った展開になっていたでしょう。
     最後に、バクスターの妻エリザベス役のジーナ・ローランズは、実際のご主人は「黒のエチュード」に出演していたそうですが、日本語吹き替えの二階堂有希子さんも、ご主人の柳生博さんが、「歌声の消えた海」で、船長の声の吹き替えで出演されていました。
     役者も、声優も、ご夫婦そろってコロンボに出演されていたということです。

  2.  大変申し訳ありません。
    先ほどの投稿を、うっかり記名をせずに投稿してしまいました。
    私も、ハロルドのことは言えません。
    記名を忘れると言う、ポカミスをしてしまったのですから。
     先の投稿は没にしていただき、新たに書き直そうと思っていましたが、もう反映されていました。
     本当に申し訳ありませんでした。

  3. アホです様
    ≫記名を忘れる
     コメントありがとうございます。大丈夫でございます! こちらから記名の方を修正することができます‼

    ≫絶対に犯行は発覚しないと自信たっぷりな表情
    ≫コロンボ刑事の捜査にも協力的
     逆に協力的すぎるんですよね。義母が撃ち殺される瞬間のビデオを得意げにヘラヘラ見せてきており、本人はその異常さに気付いていないのが何とも言えません。

    ≫リアルタイムの映像と、録画映像との違いに気付かなかったのか
     作中では鮮明な映像でしたが、実際にはザラザラの画質だったんでしょうかね? でも、多少は繋ぎ目に違和感ができると思います。
    『手を叩く音に反応する扉』は時々故障すると犯人が語っていたので、それに合わせて、「監視カメラの調子が悪かったんじゃないか?」とはぐらかされそうな気もしました。

    ≫日本語吹き替えの二階堂有希子さん
    ≫ご主人の柳生博さんが、「歌声の消えた海」で、船長の声
    ≫役者も、声優も、ご夫婦そろってコロンボに出演
     そうだったんですね! これは知りませんでした!!

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