刑事コロンボ 35話『闘牛士の栄光』旅行先でも事件

刑事コロンボ 35話 闘牛士の栄光

【VS.闘牛士】動機当てがメインとなる事件です。共犯者が闘牛という、動物を使った殺人となっており、事故を殺人として立証する方法を探っていくのです。今回の事件は29話「歌声の消えた海」でコロンボが乗った豪華客船の到着地:メキシコとなっております。

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データ

データ:詳しく見る
脚本:ブラッド・ラドニッツ

原案:ラリー・コーエン&ブラッド・ラドニッツ

監督:テッド・ポスト

制作:エヴァレット・チェンバース

ストーリー監修:ピーター・S・フィッシャー

音楽:バーナード・セイガル

本編時間:74分

公開日:アメリカ/1976年2月1日 日本/1977年10月1日

あらすじ+人物相関図

闘牛士の栄光 人物相関図 メキシコ国民なら誰もが知る伝説的英雄の闘牛士ルイス・モントーヤは、現役を退き闘牛を育てる牧場を経営していた。彼の牧場で輸送中の闘牛マリネロが暴れ、クーロ・ランヘルが大けがをする事故が起きた。クーロを助けに闘牛を鎮めたのが、ルイスとクーロの父エクトールである。

翌日、ルイスは使用人たちに休暇を与えると、エクトールと2人きりになった。エクトールは荷造りをして牧場を去る準備をしていた。ルイスは、クーロが病院から退院すると再びマリネロに挑むだろうと、敵討ちをするために、マリネロとの決闘の介添えをエクトールに頼んだ。

闘技場に出ると、ルイスはエクトールに麻酔銃を打ち込んだ。意識朦朧となったところで、マリネロを放ってエクトールを殺害する。ルイスは公演のためにサンディエゴに出かけていたというアリバイを作ると、エクトールは息子の敵討ちで闘牛と決闘して死亡したように見せかけたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

主犯今回の犯人:ルイス・モントーヤリカルド・モンタルバン

吹き替え声優:庄司永建(しょうじ えいけん)

職業:闘牛士

殺害方法:麻酔銃で意識混濁させ、闘牛に殺害させた。

動機:????

概要:詳しく見る
元闘牛士の男性。経営する牧場の牧童頭エクトール・ランヘルから、とある秘密を知られてしまう。彼が荷物をまとめて故郷に帰る前に闘牛を使い殺人を決行。永遠に自身の秘密を葬り去った。

メキシコ国民ならば誰しもが知る英雄的マタドールである。彼が英雄と称されるきっかけは、メキシコにある闘牛場『プラザ・デトロスデ・メヒコ』での1件である。

ルイスによると、若い闘牛士が自分の力量以上の闘牛に無謀にも戦いを挑み返り討ちにあった。そこを助けに入り左足を負傷してしまう。救急搬送を断り、血を大量に流しながらもその闘牛を1突きで倒すと、名誉として牛の耳と尻尾を貰ったそうである。

闘牛においては、仕留めると片耳。良い試合だと両耳。観客の拍手喝さいが鳴りやまないと尻尾が貰えるようであり、闘牛士にとっては最高の名誉である。だが、無理をして試合を続行したために足を負傷してしまう。これを機に現役を退いたと語っている。

現役を退いた後は、「モントーヤ牧場」を経営し闘牛用の牛を育てている。広大な敷地を面積を誇り、メインの牧場から南に5キロ先にはさらに牧場がある。修理や保全などはカウボーイのミゲールに頼んでいる。彼を酔わせるために渡した酒は「メスカル」である。

事件に利用した麻酔銃は、クロラルハイドレードと呼ばれる薬で、本来は病気になった家畜を治療するときに使用する。娘がおりアリゾナに住んでおり、事件を聞いて駆け付けた。娘はニーナ・モントーヤで、被害者の息子クーロ・ランヘルと恋人関係である。

メキシコ警察のサンチェス警部によると、彼は誇り高く勇敢で、名誉を重んじる。伝説的英雄として国中に名が知れ渡り、本人もその名声を楽しんでいると語る。彼の権限をもってすれば、サンチェス警部をクビにできるようである。

普段外出するときは、31年型のオープン・クラシックカーを乗りルイスが運転していた。ハンドルは固く運転するのは大変な様子。奥にあるハードトップ車は、ルイスが1人で外出するときに使用するそうである。


被害者今回の被害者:エクトール・ランヘル(ロバート・カリカート)

吹き替え声優:高塔正翁(たかとう まさおき)

職業:牧童頭

概要:詳しく見る
牧童頭の男性。ルイス・モントーヤに長年従え、ルイスの闘牛士時代は介添えとして働き、その後は経営する牧場を手伝った。牧童頭として全体に指示を出し、牧場の会計掲載の記入を行うなど副社長的な仕事をしているようだ。だが、闘技場で暴れたマリネロを鎮めるなど闘牛士としての腕は錆びついていない。

ルイスの秘密を知ってからは、荷物をまとめて故郷に帰る準備を進めていた。彼の秘密を知ったうえで、マリネロとの決戦に介添えとして参加したのは、彼の恩情だったのかも知れない。死因は大腿部の動脈切断による出血死、闘牛士が一番恐れる傷の箇所である。かなり悲惨な遺体状況で引き裂かれていたようだ。

犯行計画/トリック

【闘牛に返り討ちにあったように見せかける】

①ルイス・モントーヤは、使用人たちに休暇を与える。残っているカウボーイのミゲルには、南の牧場の柵修理に向かわせた。これで屋敷には、ルイスとエクトールの2人しかいない。

②牧場を辞めて田舎に帰る荷造りしているエクトールに、マリネロを殺すために介添えを頼むと、闘技場に誘いだした。ルイスはエクトールに麻酔銃を撃ち込み意識混濁させると、マリネロを場内に放ち殺害させた。

③ルイスは公演のためにサンディエゴに行っていたというアリバイを作る。エクトールはその間、息子の敵討ちのためにマリネロに挑み、返り討ちにあったという筋書きを完成させた。

推理と捜査(第2幕まで)

ネタバレ注意!
〇被害者は、ルイスの財産である非常に高価な牛を許可なく殺そうとした。普通ならば断わりを入れるのではないだろうか。

〇闘技場で被害者は1人で決闘を行おうとした。自分で闘牛のゲートを開けたことになるが、遺体はゲートから離れた場所にあった。

〇ルイスは普段外出するときは、『31年型のオープン・クラシックカー』を乗り、被害者が運転していた。事件日に限り、ハードトップを自分で運転してサンディエゴに講演に向かった。

〇被害者は帳簿付けがあるから外出できないと言った。その時刻は16:30とされている。ルイスはその日の午前中に、ハードトップを洗車するように指示を出していた。事件日、被害者が運転をできなくなり、サンディエゴに行けないことをルイスは知っていたのではない?

〇被害者は、トランクに荷造りをしておりどこかへ行くつもりだったようだ。

〇ルイスがピックの破片と言った物は、実はランスの破片だった。ピックは闘牛を傷つけ頭をさげさせるためにつかうが、ランスは牧童が牛を追うときに使う。通常、闘技場内ではランスは使わないため、中に落ちているのはおかしい。

〇エクトールのランスがなくなっていた。クーロを助けた時に使用した可能性がある。

〇被害者の尻に針の跡があった。ルイスの自宅には、クロラルハイドレートという家畜の治療に使う麻酔薬があった。また、注射針を発射できる麻酔銃もある。

〇事件当日、被害者は帳簿の整理をすると言って牧場に残ったとされる。しかし、3日前に帳簿付けは終わっていた。

〇事件当日は、16:00~17:00まで強風だった。強風のときは、闘牛でつかうケープ(布)を水で濡らして重りにする。これで風で煽られないようにする。しかし被害者のケープに水のシミはなかったし、リングに水の器もなかった。被害者が闘技場内に入ったのは、強風になる16:00前だった可能性がある。

三幕構成

闘牛士の栄光 三幕構成

小ネタ・補足

〇29話『歌声の消えた海』の到着先で起きた事件である。

〇殺人に利用したのは、モントーヤ牧場で飼育されている闘牛『マリネロ』である。トラックへ積み込みを行う際、輸送用の箱が壊れて暴れてしまう。それを止めようと、クーロが闘技場に出たが返り討ちにした。

今度はエクトールとルイスがリングに上がりなんとか鎮めることに成功している。ルイスによると、マリネロほどの闘牛で8000ドル以上の値段がつく様子。(1976年2月=301円 8000ドル=240万8千円)

まとめ

動機が伏せられた状態で進むエピソードなんですね。ラストの詰め手で明らかになる事件の全貌。コロンボ警部と犯人が4分ほど無言のまま締めくくられるシーンは印象に残ります。

コロンボ警部が30分で、ルイス・モントーヤが犯人と確信していると、サンチェス警部に話しました。普段はあまり他の刑事には、犯人であることを明かさないので新鮮な感じがします。

ところで、コロンボ警部は愛車プジョーで事故を起こしますが、汽船に車を積んできたのでしょうか? コロンボのカミさんはバスで帰らせたと言ってますので、まさか車で帰るつもりなのか。メキシコ~ロサンゼルスまで1600キロです。帰りもきっと汽船で、船までの道をバスで戻ったのでしょうね。

以上、35話「闘牛士の栄光」でした。

  1. ルイスがエクトールに握られていた”とある秘密”とは・・・
    秘密抹消のため ルイスは殺人を決行したのでしょうか。
    己の闘牛士としての栄光をまもらんがためだったとしたら
    人間の命の尊厳さの前では何の価値もない栄光であったと
    気づかされたときはあとの祭り。
    何とも悲しい事件でした。

  2. 和田光代 様
    コメントありがとうございます!
    ≫ルイスがエクトールに握られていた”とある秘密”とは
     動機が伏せられた状態で進む、コロンボ警部の旅行先での殺人事件。29作『歌声の消えた海』との繋がりがあるのも嬉しい演出でした。

    ≫闘牛士としての栄光 人間の命の尊厳さの前では何の価値もない
    ≫何とも悲しい事件
     原題『A MATTER OF HONOR(名誉の問題)』とあるように、地位と名声を優先してしまいました。
    己のプライドを守るも、最後には大衆の前で再び暴かれるという皮肉な展開です。ラストで見せるコロンボ警部と犯人の4分以上の無言のやり取り、何も語らずにうなづいて犯行を認める。かつて英雄であった者の最大限の威厳がある退場だと思いました。