【VS.推理小説家】撮影時81歳という最高齢の犯人アビゲイル・ミッチェル。モチーフは「アガサ・クリスティー」とされているそうです。推理小説家である彼女が考えた殺人計画とは、金庫室に入れて窒息死させるという方法です。39分06秒~40分38秒のコロンボ警部の名演説は印象に残ります。
データ
脚本:ジーン・トンプソン&ポール・タッカホー
原案:ジーン・トンプソン
監督:ジェームズ・フローリー
制作:リチャード・アラン・シモンズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ
本編時間:73分
公開日:アメリカ/1977年11月21日 日本/1978年4月8日
あらすじ
推理小説家アビゲイル・ミッチェルには、可愛がっていた姪フィリスがいた。姪はエドモンド・ガルウィンと結婚したが、4か月前にヨットでの水難事故で死亡し遺体の発見には至らなかった。アビゲイルは、この事故はエドモンドの殺人であると考え、復讐のために殺害を決意する。
遺産相続の権利を与えたいとエドモンドに話して自宅へおびき出す。弁護士立ち合いの元、遺言状のサインを行った。その後、エドモンドに金庫室の番号も教えたいと話し、一度引き返したように見せかかて裏口から戻ってきてほしいと頼んだ。
アビゲイルは、電気スイッチに細工をしてマーティン・ハモンドに修理を依頼する。その時間を利用して、裏口からエドモンドを金庫室まで呼び出した。金庫の開け方をメモに取らせると、そのまま中に閉じ込めたのだった。
その後、アビゲイルは予定されていたニューヨーク公演まで飛行機で向かう。翌朝、秘書ヴェロニカ・ブライスから、エドモンドが金庫室で死亡していたと電話が入る。アビゲイルの自宅に誰もいなかったことを知っていたエドモンドが金庫室に侵入し、誤って金庫室の中に閉じ込められて窒息死したという筋書きを完成させたのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:アビゲイル・ミッチェル
役者:ルース・ゴードン
吹き替え声優:南美江
概要:推理小説家の女性。姪のフィリスを5歳の頃から母親代わりに育ててきた。フィリスは、エドモンド・ガルウィンと婚約をしたが、4ヶ月前にヨットの事故で死亡している。だがこれは、エドモンドによる殺人と確信しており、金庫室に盗みに入り誤って扉が閉まり閉じ込められて死亡した事故死に見せかけて殺害した。
20歳で小説家としてデビューを果たし、殺人事件を書かせたら最高とされる称されている。貧しい家系だったようで、それまで車を所有したことがなかった。小説家として稼いだ金で父に車をプレゼントしたらしい。
代表作は『殺人ベスト1』で、様々な地域で19年間も舞台化されている。今回はニューヨーク公演で、次回はワルシャワで公演が予定されていた。舞台挨拶にも積極的に参加しており各地で講演会も行っている。講話を聞きにきた人はみな女性であり、女性ファンの人気の方があるようだ。
執筆方法は、犯人の気持ちになるより警官の考えになって本を書いているとのこと。自宅には豪華なインテリアや、400年以上前のアンティークの椅子を所有している。銀製のティーセットには紅茶を入れ、コロンボ警部にも振る舞った。
ニューヨークから戻る途中に、秘書からエドモンドの死を電話で受け取ると、スコッチを頼む。同席していたであろう弁護士マーティン・ハモンドに気づかれぬよう、復讐成功とばかりにグラスの音を鳴らして1人祝杯をあげた。
秘書であるヴェロニカとは4年の付き合いである。彼女から殺人に関与していることを見咎められると、車のキーをネタに交渉を持ちかけられる。「力に屈服しないという人は信用できない。力以外の何に屈服できるというの?」という己の考えを話し、交渉に応じた。
明確な国は出ていないが、船旅では極東に旅行に向かう予定であった。そこで新作を書くとコロンボ警部には伝えていたが、その後のヴェロニカとの会話では、2年先の本まで書いているといっており、コロンボには嘘をついたのだろうか? それとは別に新作を書くつもりであったのだろうか?
今回の被害者:エドモンド・ガルヴィン
役者:チャールズ・フランク
吹き替え声優:松橋登
概要:アビゲイル・ミッチェルの姪フィリスと婚約した男性。好青年のように振る舞っているが、4ヶ月前フィリスの身に起きたヨットでの溺死は彼の手によるものだった……。かも、知れないのである。確証などはなく全てアビゲイルの決めつけなのだ。
彼が死亡し、自宅にコロンボが捜査に入った際には、夫婦の写真が1枚も存在しなかったという点から、夫婦仲が悪かったとコロンボは推理している。それもまた、あくまでも推理のひとつであり、本当に彼が殺人を犯していたのかは不明である。
スキー、テニス、ヨットの舵輪とスポーツ用品が多数あり、「このことから推理できる職業は…?」とアビゲイルがコロンボに聞いており、一応働いていた様子。スポーツインストラクター? 選手? こちらも不明である。
金庫内では6本のマッチを使用していた。このことで大きく金庫内の酸素を減らすことに繋がってしまったのだろう。マッチを持っていたということは喫煙者だったのだろうか? それともアビゲイルが金庫内にマッチを用意していたのだろうか? こちらもまた不明である。
犯行日に履いていたのは、おろしたてのイギリス製の革靴である。コロンボが欲しかった型のようで、捜査そっちのけで熱く革靴について語った。
小ネタ・補足
〇犯人を演じた『ルース・ゴードン』氏は、1896年10月30日生まれである。今エピソードは1977年の作品であり、シリーズ最高齢の81歳の犯人である。
〇古畑任三郎1話『死者からの伝言』では、金庫室に閉じ込めて殺害するというプロットをそのまま引用している。コロンボファンの三谷幸喜氏が、これからコロンボのようなドラマをするという決意のあらわれであったのだろう。
まとめ
本当にエドモンド・ガルウィンは殺人を犯していたのか? これが考えどころのエピソードなんですね。アビゲイルのオフィスにあった婚約者の写真を手に取り、鼻で笑うような仕草もありますが事件は闇の中であります。
ミステリー小説家の犯人を演じた『ルース・ゴードン』さんの茶目っ気がある演技が良いですね。意気揚々とコロンボ警部と会話したり、スキップしてみたりと個性派な犯人を好演しました。
それと、最初から弁護士マーティン・ハモンドは、アビゲイルの犯行だと勘づいていたんでしょうね。目の前でアビゲイルが、エドモンドの車のキーを回収していましたし、「また金庫から死体が発見されたときにはどうぞ」と、皮肉を込めて言ったのでしょう。
以上、41話「死者のメッセージ」でした。