古畑任三郎 第2回スペシャル『しばしのお別れ』あらすじと解説

古畑任三郎 24話 しばしの別れ
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トリック当てがメインのスペシャル回です。非常に演出が丁寧に描かれた過ぎており、視聴者が肝心の『トリック』に勘づきやすいかも知れません。

今泉慎太郎とのやりとりで、事件解決のヒントを掴むシーンがあるのですが、古畑の観察眼ならば序盤に気付くことも可能だったのではと感じてしまいました。「山口智子」氏が演じる、サバサバとした女性犯人はとっても素敵です。

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データ

脚本:三谷幸喜
監督:関口静夫
制作:フジテレビ
演出:河野圭太
音楽:本間勇輔

本編時間:69分49秒
公開日:1996年3月27日

あらすじ+人物相関図

古畑任三郎|しばしのお別れ|人物相関図

華道家・二葉鳳翆(山口智子)は、二葉流から独立して新しい流派を開いたため、家元・二葉鳳水(長内美那子)は圧力を掛けて彼女を潰そうとしている。しかし、2人は内密に連絡を取り合い、発表会の日には楽屋で密会する約束をしていた。当日、楽屋に来た鳳水に睡眠薬入りのお茶を飲ませると、照明ブースから抜け出し、客席で眠っている鳳水に毒物を注射して心臓発作に見せかけて殺害したのだった。鳳翆が塾長を務めるフラワーアレンジメント教室の生徒・今泉慎太郎の舞台を観にきた古畑任三郎は、遺体の状況から殺人を疑うが、犯人が暗がりの中でどのように被害者のいる場所を特定したのかが謎であった。

人物紹介(キャスト)

今回の犯人:二葉鳳翆(ふたば ほうよう)
役者:山口智子

概要:元看護士で二葉流から独立した女性。流派の花に対するやり方の思いの違い、師匠・二葉鳳水から特別な関係を求められたため、複数の生徒を引き連れて独立した。その結果、鳳水から圧力を受けることになり、発表会を利用して殺害を企てた。


今回の被害者:二葉鳳水(ふたば ほうすい)
役者:長内美那子

概要:華道の二葉流・家元の女性。弟子の二葉鳳翆に特別な関係性を迫っていた。彼女が独立して新しい流派を開くと、生徒を大量に辞めさせ、イベントで妨害工作をおこなう圧力を掛けていた。いずれ鳳翆の流派は立ち行かなくなり、自身の元に戻ってくるとの考えがあったようだ。

小ネタ・補足・元ネタ

〇犯人・二葉鳳翆が「以上」と言って会話を締めるシーンがある。第2シーズン6話『VSクイズ王』の犯人・千堂謙吉も「以上」と会話を締めるシーンがあった。両犯人を演じたの『山口智子』氏と『唐沢寿明』氏であり、1995年12月に結婚をしている。今作品は1996年3月27日放送であり、ちょっとした遊び心で入れた台詞ではないだろうか?と思ったけど次作『黒岩博士の恐怖』の犯人・黒岩健吾も「以上」と、台詞を締めくくるシーンがあるため、多分関係ない。

〇二葉鳳翆は生花とダンスを組み合わせた流派を開き、作中ではフラメンコを踊っていた。演じた『山口智子』氏の特技はフラメンコで、三谷幸喜氏による当て書きである。

〇36:41 古畑任三郎が「眠狂四郎。円月殺法」と、箒で今泉慎太郎を斬りつけるシーンがある。『眠狂四郎』は、古畑を演じる田村正和氏が主演の連続テレビ時代劇であり、メタ的な演出である。

まとめ

鳳翆と鳳水の特殊な関係とは何であったのか。鳳翆は「師弟関係以上の物を求めていた」と語っていたわけだが、解説を見なければ初見でもその後も分かるはずがない。この演出意図を明確に読み取ったブログ記事があるので引用させていただく。

鳳翆と鳳水の「特殊な関係」を「描かずに描く」手際は見事である(鳳水のバックに百合の花!)『古畑任三郎事件ファイル EPISODE24/しばしのお別れ』より引用

百合』とは女性の同性愛者を指す言葉としても用いられており、つまり鳳水はそういった関係性を求めていたことになるのです……。こんなの分かるか!

犯人・二葉鳳翆は、花に対する思いの違いから門下生を引き連れて独立したと語っていましたが、鳳水が同性愛者だったことのほうが、辞めた理由は大きかったのではないでしょうか。恩師から特別な関係を迫られたら、そりゃあドン引きして(年増と三十路の百合とか誰得だよ!)流派から脱退の考えを辞さないでしょう。そのうえで、まだ自分の所に戻ってくるように付きまとわれた暁には同情の念を抱いてしまいます。

最後に、このエピソードで忘れられないのが、なんといっても今泉慎太郎が放ったギャグでした。「今夜はとってもヒヤシンス」「明日は雪がフリージア」。本作を視聴された人は今泉の酷いダンスをご覧になったでしょう。

何故、大事な発表会にわざわざ今泉を起用したんだと疑問には思いませんか? 逆に大事な発表会だからこそ、他の弟子たちと違い観る価値がない今泉を起用しその時間を殺人に使ったのですね。

以上、『しばしのお別れでした』

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