【VS.心理学者】動物を用いた殺人です。35話「闘牛士の栄光」では、闘牛による殺人でしたが、今回は「ドーベルマン」2匹が利用されてしまいます。
古来より犬はペットとして人間たちに飼われることが多く、驚くほど人間界に溶け込んでいます。愛らしい外見の犬種も多く、人間たちに寄り添ってくれますが、1度牙を抜くと人類などお終いです。
データ
脚本:トム・ラザルス
原案:アンソニー・ローレンス
監督:ジェームズ・フローリー
制作:リチャード・アラン・シモンズ
音楽:パトリック・ウィリアムズ
本編時間:73分
公開日:アメリカ/1978年4月15日 日本/1979年1月4日
あらすじ
心理学者エリック・メイスンは、愛犬である2匹のドーベルマンを特定の言葉を聞くと襲い掛かかるように調教し、亡き妻ロレーンと愛人関係にあった助手チャールズ・ハンターの殺害を計画していた。
健康診断の日、エリックはチャールズとテニスをする約束をすると、先に自宅で待ってくれるように頼んだ。検診の5分間の休憩で、医者が部屋から離れた隙を見て、エリックは自宅に電話を掛けた。あらかじめ台所の電話がだけが鳴るように細工しており、チャールズは電話に応答する。
検診が長引きそうだと謝ると、攻撃命令となる『バラのつぼみ』という言葉を、チャールズが言うように誘導する。チャールズがその言葉を発した瞬間、犬たちが襲いかかった。受話機の先でチャールズの断末魔を聞くと、エリックは思わずガッツポーズをするほど殺人の完了を喜んだのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:エリック・メイスン
役者:ニコール・ウィリアムソン
吹き替え声優:平田昭彦
概要:心理学者の男性。妻ロレーンがいたが、車が崖から飛び出す運転事故で死亡している。だが、妻は不倫をしていた事実を掴んでおり、その不倫相手は助手チャールズ・ハンターであった。不倫をしていたということを許せず、ペットの犬を使って殺人を行った。
『人生支配研究所』という怪しげな所長をしている。日本で言う、「言霊」に関する研究で、言葉がもつ力によって人生を支配できるそうである。人生に迷った時には、心を落ち着かせるために、自分だけの秘密の言葉をもつことで楽になるとも語る。
受講生は大ホール一杯に埋まる人数であり、研修コースも様々あるらしい。コロンボのカミさんは、48時間の研修コースに参加してみたいと語っていたという。
熱烈な映画ファンであり、「セダ・バラ」が前に住んでいた自宅を住まいとしている。ドーベルマンに攻撃をさせる合言葉が『薔薇のつぼみ』であり、映画「市民ケーン」の有名な台詞である。喜劇王「W・C・フィールズ」の写真が飾られていたりもしている。
W・C・フィールズ:1879年~1946年。チャップリンとともに「喜劇王」と呼ばれた。ジョークの巧さで有名。幼いころは大道芸士として活躍し。1915年のトーキー映画の登場で、映画俳優として高い評価を得た。
自宅内には映画で使用された小道具やセット、棚には特殊メイクのヘッドが並べられていた。週末になると、愛犬『ローレル』と『ハーディー』を連れて映画村跡地に行っては、攻撃命令の訓練を行わせていた。人目につかないことも理由に挙げられるが、映画のセットをくすめてくるのも楽しみの1つだったようだ。
映画だけではなく、テニスも好きな様子。W・C・フィールズが使用していたという、ビリヤード台とキューを所有しており、ビリヤードそのものよりも、おそらくフィールズが使用していたということで好きになったのではないだろうか。
自宅のゲストハウスには、受講生のジョアンナ・ニコルズが住んでいる。エリックに恋心を寄せているが、彼は恋愛感情はもっていない。どうでもいいが、人生支配研究所の職員はみんなブレザーを着ることになっているようだ。
今回の被害者:チャールズ・ハンター
役者:ジョエル・ファビアニ
吹き替え声優:寺島幹夫
概要:『人生支配研究所』の所員の男性。エリック・メイスンの助手をしており、タイムスケジュールを伝えていたりした。仕事だけの付き合いではなく、よくテニスを共に楽しんでいたようだ。
エリックによると、既婚者であったが、2~3年前に離婚しているとのこと。婦人によくモテるようで、エリックの妻ロレーンとも愛人関係にあった。その時、夜を共にしたであろう不倫写真は、タイマー式のカメラで自分で撮ったようだ。写真は無造作に机の引き出しに入っていた。
小ネタ・補足
〇原題『How to Dial a Murder』は、ヒッチコック監督作『ダイアルMを廻せ!(DIAL M FOR MURDER)』をもじったものである。
〇殺害に利用した『ローレル&ハーディ』という犬の名前は、アメリカのコメディアンから。
〇秘密の合言葉になった『薔薇のつぼみ』は、映画『市民ケーン』で登場した言葉である。大富豪ケーンが最後に呟いたその言葉の謎を、新聞記者トンプソンは関係者に聞いていき、ケーンという人間を知っていくストーリーになっている。コロンボ警部もまた、犯人が仕込んだ言葉を探っていく展開であった。
〇受講生ジョアンナ・ニコルズを演じたのは『キム・キャトラル』氏である。
〇調教師ミセス・コクランを演じたのは『トリシア・オニール』氏である
まとめ
全体的に映画愛があふれる作品のエピソードです。このエピソードを観たのち、『市民ケーン』を鑑賞しました。1941年公開の映画だったのですが、古さを感じないカメラワーク、演出は素晴らしかったです。また、何度も見返すことで、そのストーリーの良さ、伏線の張り方。衝撃のラストは物悲しくもなりました。
以上、44話「攻撃命令」でした。
今回は「攻撃命令」という邦題からのイメージと、作品内容との乖離が大きいエピソードでした。
一点気になったのは、ジョアンナがプールで泳ぐシーンは、「自縛の紐」を思わせるところがありました、さすがに今回は、ビキニで事情聴取を受けデレデレだったコロンボ刑事というシーンは無く、上からビーチコートのようなものを羽織っていましたが、オープニングから暖炉で火が燃やされ、また木枯らしが吹き枯葉が舞い散るシーンも有り、季節設定は明らかに真冬のはずなのに、なぜプールのシーンがあったのか。
あと、ロレーンとチャーリーが愛人関係にあったことをジョアンナから告白されたエリックが、ジョアンナを絞殺しようとしていたところにコロンボ刑事が現れ、ジョアンナは運良く命拾いしたシーン。
もしこのシーンでコロンボが現れなければ、ジョアンナも殺害されていたのか、気になるところです。
アホです様
コメントありがとうございます!
≫オープニングから暖炉で火が燃やされ、また木枯らしが吹き枯葉が舞い散るシーンも有り、季節設定は明らかに真冬のはずなのに、なぜプールのシーンがあったのか。
映画『市民ケーン』を意識した作品ですので、暖炉の演出を入れたのかも知れません。観光ガイドによると、ロサンゼルスは年間平均は25.6℃、平均最低気温は15.6℃ほど。冬でも20℃ぐらいになるそうです。
≫コロンボが現れなければ、ジョアンナも殺害されていたのか、気になるところです。
妻の不倫なども根に持ち、大事な愛犬にチョコを挙げ殺害しようと目論んだり、コロンボ警部をも抹殺しようとしたり。恋心を寄せていたジョアンナを敷地内のゲストハウスに住まわせていたのも、事件の目撃者として利用するためだったのでしょうね。ジョアンナも殺すつもりだったんではないかと感じます。