第3回スペシャル『古畑任三郎 vs SMAP』(1999年)は、1988年から2016年にかけて活動した日本の男性アイドルグループ「SMAP(スマップ)」を犯人役に迎えたエピソードです。
冒頭やエンディングのテロップでは『架空のSMAP』と強調されているものの、実在するグループ名やメンバーの本名をそのまま起用した演出は、非常に斬新な試みでした。
古畑は「人気アイドルグループを逮捕した」ことを名誉に思っているらしく、後のエピソードでも「SMAPの事件解決したの私なんですよ」と周囲に自慢する場面が度々登場します。
しかし、現在『古畑任三郎 vs SMAP』は事実上の欠番扱いとなっており、動画配信サービスなどでも配信されていません。
また、他のエピソード内でSMAPメンバーのパネル写真が登場するシーンには、モザイク処理が施されるといった対応がとられています。
本記事では、『古畑任三郎』全43作品に登場するSMAP関連のセリフをピックアップし、それらが作品の世界観にどのような影響を与えているかを考察します。
さらに、モザイク処理や欠番扱いに至った背景を探るとともに、過去に同作が再放送された時期を振り返り、今後再び放送される可能性があるのかを予測していきます。
全43作品で登場したSMAPに関連する「セリフ」まとめ
以下、本編に登場した「SMAP」に関連するセリフやワードまとめです。
| シーズン | タイトル | 内容 | 該当時間 |
|---|---|---|---|
| 第2シーズン 5話 | 偽善の報酬 | 古畑「キムタクだって当てたんです。彼は絶対に伸びると思ってまし…」 | 32分32秒 |
| 第3シーズン 1話 | 若旦那の犯罪 | 古畑「確かSMAPのコンサートで」 | 21分58秒 |
| 第3シーズン 2話 | 忙しすぎる殺人者 (この男、多忙につき) | 犯人「主演は十朱幸代と香取慎吾でいきたいと思います」 | 10分26秒 |
| 第3シーズン 4話 | アリバイの死角 (古畑、歯医者へ行く) | 古畑「SMAP…SMAP逮捕したの私なんですよ」 犯人「そうですか。私ファンだったんですよね」 | 06分26秒 |
| 第3シーズン 5話 | 再会 (古い友人に会う) | 古畑「SMAPの事件解決したの私なんですよ」 | 06分23秒 |
| 第3シーズン 10話 | 最も危険なゲーム・前編 | 古畑「SMAPの事件解決したの私なんですよ」 | 31分53秒 |
| 犯人「確かSMAPの事件解決されたのあなたじゃないですか?」 | 37分25秒 | ||
| 第5回スペシャル | すべて閣下の仕業 | 古畑「あとSMAPの事件担当したの私なんですよ」 夫人「SMAPって?」 古畑「えっSMAPご存じない?」 | 84分48秒 |
ご覧のように、古畑はSMAPの事件を解決したことを自慢しまくっています。
さすがに南米が舞台の『すべて閣下の仕業』では、その名声は届いてないようですが、国内ではトップクラスに人気のあるアイドルグループであることがわかります。
ところで、古畑がSMAP事件を捜査する際、今泉からSMAPを知らないのかと問いかけられ、「SMAP?聞いたことあるね」と、詳しくないアピールをしています。
しかし、古畑任三郎がSMAPメンバーと会話した際、出演したドラマや番組名を把握しているなど、めちゃくちゃ詳しいのです。
『古畑任三郎vsSMAP』(1999年)より前に放送された、第2シーズン5話『偽善の報酬』(1996年)時点で、犯人に古畑が「キムタク(木村拓哉)が役者としても成功することが分かっていた」と熱弁しているため、以前よりSMAPを知っていることは明らかです。
そのため、今泉に対する「SMAP?聞いたことあるね」という返答は、SMAPに会えたという内心喜んでいる感情を悟られないようにする嘘であり、実際はめちゃくちゃ興奮していたのです。
【余談】古畑任三郎はアイドル好き?
古畑任三郎が好きなアイドルグループをご存知でしょうか?
そうですね『ゴールデン・ハーフ』です。
(1970年代前半に活躍した全員ハーフの4人組アイドルユニット)
第1シーズン11話『さよなら、DJ』で、今泉が「ゴールデン・ハーフ」の追っかけをしており、古畑任三郎はメンバーのなかで「ルナ」が好きだと今泉に打ち明けて楽しく語り合っていました。
また、第3シーズン10話『最後の事件・前編』において、古畑任三郎の携帯電話の着信音がゴールデン・ハーフ『黄色いサクランボ』であり、筋金入りのファンであることが描写されています。
以前のような古畑なら、SMAPが好きな今泉の話を乗ってあげそうですが、『古畑任三郎vsSMAP』では今泉の問いに「SMAP?聞いたことあるね」と、すっとぼけるような返答をしています。
憧れのアイドル(SMAP)に会えるため舞い上がっている今泉くん。そんな彼を見た古畑は『同類だと思われたくない』という、心境の変化があったのかも知れません。
厳格な規制体制|デアゴスティーニでの欠番扱い

古畑にとって『SMAP事件』は思い出深いエピソードで、わたしたち視聴者にとっても、他のエピソードと関連するセリフがあることに気が付ける遊び心のある演出です。
そんな『SMAP事件』ですが、残念ながら配信はされておらず欠番扱いとなっています。
デアゴスティーニジャパン『古畑任三郎DVDコレクション』(2022年1月11日~同年12月13日)においても、『古畑任三郎vsSMAP』の回だけは「都合により収録」がされなかったのです。

いったいどのような都合が原因により、欠番扱いとなってしまったのでしょうか。
そのほかのエピソードで見られた対応と比較検討しながら、背景要因を探りたいと思います。
配信や再放送を困難にする要因部分とは?

配信や再放送を困難とする要因を考えていきます。
昔の映画を見ていると、『現代では不適切と思われる表現がありますが、オリジナルを尊重して当時のまま放送します』なんてテロップが流れているのを見たことはないでしょうか?
時代とともに価値観は変化するものです。当時の基準で問題なかった場面が、現代の価値観では不適切な表現(コンプライアンス違反)とみなされてしまうことがあります。
私が知っている欠番回としては以下があります。
- ウルトラセブン:12話『遊星より愛を込めて』
- 名探偵モンク:シーズン5第10話「Mr. Monk and the Leper」
- ガリレオ(東野圭吾作):第1シーズン第4話「壊死る」(ゲスト:香取慎吾)
ウルトラセブンは「怪獣の設定が被爆者をイメージさせる」ことから、名探偵モンクは「ハンセン病患者への差別的な台詞や演出」があることから欠番回となっています。そしてガリレオは「権利上の都合」により、再放送がされていません。
このような社会的背景の変化、人権配慮、権利関係(著作権・肖像権・音楽)などの様々な要因があることで、再放送を困難としており欠番回となっているのです。
第2シリーズ4話『赤か、青か』木村拓哉回の扱いについて
SMAPメンバー・木村拓哉(キムタク)が出演した第2シーズン4話『赤か、青か』は、FODやCSなどにおいて再放送がされない回となっています。
理由として放送サイトのHPを閲覧すると、『権利上の都合』が挙げられています。

先に挙げた、ガリレオ『壊死る』も、SMAPメンバー・香取慎吾が犯人回でしたが、同じく『権利上の都合』によるものから欠番回となっています。
第3シーズン10話『最後の事件・前編』でのモザイク処理
古畑任三郎の第3シーズン10話は欠番回ではありませんが、再放送や配信時に特徴的な処理をしています。
冒頭でこれまでの犯人たちの顔写真がパネルで紹介されるのですが、『SMAPメンバー』の部分だけはモザイク⁽1⁾をしているのです。
古畑任三郎「赤か、青か」(ゲスト:木村拓哉)と、ガリレオ「壊死る」(ゲスト:香取慎吾)も同じSMAPメンバーが犯人のエピソードでともに欠番回です。
そして、SMAPメンバーの顔写真が登場する回ではモザイク処理がかけられています。
ここまでを整理して道筋を立てるとすると、『権利上の都合』のなかにある、「肖像権」が配信を困難としている要因であると考えられます。
ドラマ本編とSMAPの権利関係はどこにあるのか?

はじめに、『古畑任三郎vsSMAP』の映像著作権を『フジテレビ』が管理しています。
フジテレビ⇒権利関係先(役者の肖像権、音楽の使用)から許諾⇒再放送できる
古畑任三郎の再放送や配信をしたい場合、簡単にすると上記のような流れになるのです。
それでは、各権利関係先を確認していきましょう。
現在のSMAPの権利関係先
SMAPメンバーについては、所属は『ジャニーズ事務所』でしたが、2023年にはジャニー北川氏の一連の騒動に対する保証事業のため『株式会社SMILE-UP』に社名を変更しています。
タレントのマネジメント部門に関しては、『STARTO ENTERTAINMENT』が新設されており、所属しているタレントのスケジュール管理や育成を担っています。
一方で、SMAPの出演映像作品の企画・制作・権利管理については、2005年に設立された『株式会社ジェイ・ドリーム (J dream Inc.)』が所有していましたが、2016年にグループの脱退や取締役でSMAPマネージャーでもあった飯島三智の辞任により実質的な休眠状態となっています。
音楽関連について、本編使用されたSMAPの楽曲は『ビクターエンタテインメント』が管理を行っています。
次に、各個人がもつ肖像権について確認していきます。
現在のSMAPメンバーの状況(肖像権)
SMAPは2016年12月31日に解散しました。
各メンバーについて、その後の所属について取り上げます。
- 中居正広:個人事務所『のんびりなかい』
- 木村拓哉:『STARTO ENTERTAINMENT』
- 稲垣吾郎:『CULEN(カレン)』
- 香取慎吾:『CULEN(カレン)』
- 草彅 剛:『CULEN(カレン)』
現在、SMAPメンバーで旧ジャニーズの後継事務所である『STARTO ENTERTAINMENT』に所属しているのは木村拓哉だけになります。
稲垣、香取、草薙の3名はジャニーズを脱退後、同じ事務所『CULEN(カレン)』に所属して活動を続活けております。この事務所はSMAPの元マネージャー・飯島三智が社長を務めています。
中居正広は、個人事務所『のんびりなかい』を設立して活動を続けていましたが、2025年に週刊誌による報道を受け芸能界を引退しました。
【状況整理】結局どこから権利を得る必要があるのか?

2016年までSMAPのマネージャーが取締役をしていた『株式会社ジェイ・ドリーム (J dream Inc.)』が権利窓口として、出演者であるSMAP5名の肖像権などの承諾を一括して行っていました。
しかし、SMAPメンバーのグループ脱退や飯島氏の辞任により、ジェイ・ドリームは機能不全となり、休眠状態となっています。
そのため、現在SMAPメンバーが所属している事務所を通して許可を得る必要があるのです。
| 再放送したい | 誰に権利を得るか | 許諾料 | 再放送の有無 |
|---|---|---|---|
| フジテレビ | 中居正広 (のんびりなかい) | 使用料を支払う | 配信できる |
| 木村拓哉 (STARTO ENTERTAINMENT) | |||
| 稲垣吾郎(CULEN) | |||
| 香取慎吾(CULEN) | |||
| 草彅剛(CULEN) | |||
| 音楽(ビクターエンタテインメント) |
上記のような権利元から許可を受け、提示された金額を支払うことで、はじめて配信が行えるようになるのです。
大きな問題としては、グループが各事務所に散ったことにより、権利関係の窓口が煩雑化してしまいました。
また、配信したいとフジテレビが思っていても、権利先から提示された許諾料を支払っていては採算が合わず赤字になってしまうケースがあります。
手間やコストを比較し、配信によって得られる収益を考慮した結果、利益にならないため放送を見送ったり、物語に影響がない部分でモザイク処理をしているのです。
(もちろん、肖像権者である本人が「使用してほしくない」と意思表示している場合もあります)
過去に再放送がされた時期と理由について

配信が難しい理由を考察しましたが、過去に再放送されたこともありました。その年月日と理由について確認していきましょう。
| タイトル | 放送日時 | 放送理由 | 放送主体 |
|---|---|---|---|
| 赤か、青か | 2009年10月20日(火)15時00分~15時57分 | なし | チャンネルα |
| 2015年10月24日(土)14時05分~17時30分 | 映画「ギャラクシー街道」告知 | フジテレビ | |
| 2021年7月21日(水) 14時45分~15時45分 | 傑作選 | ||
| 2024年6月6日(水) 14時48分~15時45分 | 30周年記念一挙放送 | ||
| 古畑任三郎 VS SMAP | 2013年9月28日(土) 15時05分~17時30分 | 映画「清須会議」告知 | フジテレビ |
| 2015年10月17日(土) 14時05分~17時30分 | 映画「ギャラクシー街道」告知 | ||
| 2016年12月17日(土) 14時10分~17時00分 | SMAP解散 |
・2024年4月30日以降は公式HPやSNS等を閲覧して追記
上記のように、決して再放送がNGというわけではありません。
しかしながら『古畑任三郎 VS SMAP』に関しては、「デアゴスティーニでの欠番扱い」、「30周年一挙放送でも放送なし」。
そして「中居正広さんの芸能界引退」を考えると、今後も配信や再放送は困難であると思われます。
現時点では配信や再放送の期待はできないため、視聴したい場合にはBlu-rayボックスやDVDを購入が必要となります。
まとめ|埋もれる名エピソード
本作はフィクションであることを強調しつつも、「SMAP」という実名を用い、メンバー本人たちを犯人役としてそのままキャスティングした、『古畑任三郎』とSMAPの豪華なコラボ作品です。
古畑「SMAPの事件解決したの私なんですよ」
作中で古畑任三郎が口にするSMAP関連のセリフをまとめてみましたが、彼にとっても思い入れの強いエピソードなのでしょう。
行く先々で会話のネタとして自慢している様子からは、人気アイドルを逮捕したことが彼なりのステータスになっていることが窺えます。
ところで「古畑任三郎」の作中には、『ブリタニカ号爆破事件』や『スマトラ鉄道殺人事件』、『冒険家の誘拐事件』など、名前だけしか登場しない事件がいくつもあります。
『古畑任三郎 vs SMAP』が配信や再放送で欠番扱いになっている現状を考えると、未視聴の人からは他の架空事件と同様「また古畑が適当な嘘を言っているのでは?」と思われてしまっても無理はありません。
2013年9月30日には、フジテレビ開局55周年特別番組『SMAP GO!GO!』内の生ドラマ企画として、三谷幸喜が脚本・演出を手掛けた正式な『古畑任三郎vsSMAP』の続編が放送されたこともありました。
それほどまでに『古畑任三郎』や『SMAP』という存在は、フジテレビにとっての目玉コンテンツなのです。
それだけに、配信や再放送ができないエピソードになってしまっているのは大きな損失と言わざるを得ません。
デアゴスティーニの『DVDコレクション』でも残念ながら欠番扱いとなってしまったSMAP回。
いつかカットされてしまった解説パートも含めて、再び観られる日が来ることを願ってやみません。
以上、『「古畑任三郎vsSMAP」なぜ欠番?再放送できない理由とセリフまとめ』でした。
引用・参考文献
- デアゴスティーニジャパンHP『古畑任三郎DVDコレクション』(該当ページは削除に伴いURLなし)
- ピンズバNEWS編集部『『古畑任三郎』再放送で大物議の「黒塗りSMAP」の闇 複雑な権利関係と高額使用料話を追った 旧ジャニーズ&フジからの回答』(https://pinzuba.news/articles/-/7243?page=2)、2026年8月9日閲覧
- 古畑任三郎事件ファイル『Live Short Dorama/『古畑任三郎 vs SMAP』その後…』(https://furuhata.fan.coocan.jp/contents/episode/vs_smap_sonogo.html)、2026年8月13日閲覧
- ひなげし『FODのSMAPモザイク処理について』(https://x.com/tsuyo079pon/status/1396755847468908544)、2026年7月10日閲覧 ↩︎


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