刑事コロンボ 22話『第三の終章』複雑に入り組んだ殺人計画を演出でカバー

刑事コロンボ 22話 第三の終章
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【VS.出版社社長】メインとしている人物を共犯者が殺害。その間に自身の鉄壁のアリバイを作り上げる。そのうえで邪魔になった共犯者を葬り罪を擦り付ける。おおよそ抜かりのない殺人計画になっています。

後のコロンボを支える「ピーター・S・フィッシャー」初脚本です。かなり複雑な構成であり、画面は3分割してそれぞれの行動が映ったりもします。よく74分間にまとめ上げたと、編集担当にスゴイと言葉を掛けてあげましょう。

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データ

脚本:ピーター・S・フィッシャー
監督:ロバート・バトラー
制作総指揮::ローランド・キビ―&ディーン・ハーグローグ
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

本編時間:74分
公開日:アメリカ/1974年1月18日 日本/1974年12月14日

あらすじ

出版社社長のライリー・グリーンリーフは、小説家アラン・マロリーに売ることだけを目的とした官能小説ばかりを書かせていた。それに嫌気がさした彼は、自分の思うような作品を書くため、契約が切れるのを機会に他出版社への移籍を決めていた。

グリーンリーフは、マロリーの保険金と新作を手に入れる為に、ベトナム帰還兵で爆弾マニアのエディー・ケーンに、本を出版させる見返りに代理殺人を依頼すると、犯行時刻には泥酔してわざと車同士の接触事故を起こすことで警察の拘置所にいたというアリバイをつくり出した。マロリー殺害の翌日には、実行犯のエディーに祝杯と称し睡眠薬入りの酒を飲ませ、眠りに落ちたのを確認すると、爆弾製造中に起きた事故に見せかけて爆殺したのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:ライリー・グリーンリーフ
役者:ジャック・キャシディ

吹き替え声優:田口計

概要:グリーンリーフ出版の社長。契約していた小説家アロン・マロリーが、他出版に移籍をすることになる。保険金と執筆中の新作を手に入れる為、ベトナム帰還兵の爆弾マニアであるエディ・ケーンに、本の出版をする見返りに代理殺人を依頼。犯行後には、エディを爆弾製造中に起きた事故に見せかけて爆殺した。

当時、地方紙の記者として働いていたアロン・マロリーの才能を一早く見出して出版契約を結んだ。その後、彼はベストセラー作家として地位を築いており、人材発掘と育成に敏腕な手腕を見せる。一方で、本を売ることを目的とする官能小説ばかりを書かせていた。

性行為は現代文学と酔っ払いながら豪語しており、グリーンリーフ出版は人類学を中心した本を出版をしているようだ。社内には、「MY HOME WAZ A HOUSE」「modern aziec courtship practices」といったポスターが貼られていたが、ブログ主は英語が苦手なので誰か意味を教えてほしいな。

マロリーには執筆中の原稿『サイゴンへ60マイル』があり、それを入手するのと、100万ドルの保険金を入手することが目的であった。エピソード中は自宅インテリアの改装中であり、大金が入る予定があったから改装をしていたのだろうか?(1974年1月=298円 100万ドル=2億9800万円)


今回の被害者で共犯:エディー・ケーン
役者:ジョン・チャンドラー

吹き替え声優:橋爪功

概要:ベトナム帰還兵の男性。戦地では何人もの兵士を殺害してきており、銃器の使い方もプロフェッショナルである。相手は電話中で無防備だったこともあるが、グリーンリーフの指示である拳銃の握りに残る指紋を消さないように、心臓に1発で殺害するという難しい条件での殺人もやってのけた。

戦争の狂気か? 爆弾に憑りつかれたマニアであり、爆弾作りのノウハウが詰まった本を出版したいと考え、3年がかりで全ての爆弾製造方法が載った本を作成していた。内容については軍の機密などは含まず、全て業者のパンフレットに載っている基本的なことのみ。全てアメリカ製品で作れるなど徹底している。

挿絵も自身で手掛けるようで、『ハウジング・ペティ(対人用地雷)』のイラストをグリーンリーフに見せようとしていた。本のタイトルは、『HOW TO BLOW UP ANYTHING IN TEN EASY LESSONS(簡単な練習で何かを爆発させる方法)』であった。

グリーンリーフは、彼を自宅ごと爆発させる前に先の本を読んで爆弾を製造していた。だとすれば、何の知識もなかったグリーンリーフが簡単に爆弾を製造できたことになる。実用的な書物になる反面、危険因子が極めて多い、まさに地雷的な本である。


今回の被害者:アロン・マロリー
役者:ミッキー・スピレイン

吹き替え声優:柴田秀勝

概要:小説家の男性。元々は地方紙の記者として働いていたが、ライリー・グリーンリーフに才能を見出だされ契約を結ぶ。後にベストセラー作家となったが、4年間も官能小説ばかりを書かされており、自分の書きたいジャンルの小説のために、『ニール出版』に移籍をしようとしていた。まもなく契約が切れるため、5年契約で『グリーンリーフ出版』と手を結んでいたのだろう。

書きたい小説は、ベトナムを舞台にした作品であった。人気があるのは第2次世界大戦のジャンルだが、マロリーレベルの作家になると、あまり人気のないベトナム戦争のジャンルでも成功する見込みがあるのだと関係者は語る。

最新作は『サイゴンへ60マイル』である。ハリウッドの会社が、10万ドルを使い映画化することが決定していた。彼の案としては、「主人公は戦地捕虜で一時、戦友も裏切る。しかし、勇気を取り戻し仲間を収容所から助け出し死ぬ」というプロットであった。(1974年1月1ドル=298円 10万ドル=2980万円)

作者としては主人公に悲劇の影を負わせたい。主人公の死で締めくくるのがしっくりくると考えていたが、映画会社は主人公に大物スターを起用したいようで、大金を掛けているのに最後に死なせてしまうのはもったいないと変更を希望されていた。

変更後の脚本は、親交のあった小説家アイリーン・マクレーンのアイディアであり、「(主人公)脱走の後、最後に帰ってきて受主人公に勇気をあたえてくれた恋人に別れを告げ、俗世にも別れを告げて修道院に入る」という流れに変更になった。

仕事部屋は、1年半前にグリーンリーフが借りてくれた部屋を使用している。だい古くなってきたようで、扉のロックは新しくしたり、空調が壊れてしまっていた。

小ネタ・補足

〇被害者『アロン・マロリー』を演じた「ミッキー・スピレイン」は、実際にベストセラー作家である。ハードボイルド探偵小説「マイク・ハマー」シリーズで人気を博した。

〇コロンボ警部がライリー・グリーンリーフと拘置所で会話をする場面がある。その際、コロンボ警部が持ってきた水筒は、24話『白鳥の歌』で犯人が計画に利用するボトルとは若干デザインが違う。水筒のメーカーはイギリスの『Aladdin(アラジン)』で、ブラックダイヤモンドというタイプである。現在は販売されていない。

〇『ニール出版』の小説家アイリーン・マクレーンの役者は「マリエット・ハートレイ」氏である。別の人物として41話『死者のメッセージ』の秘書役で登場する。

まとめ

どこぞの推理小説家コンビの事件を思い出しました。第3話『構想の死角』ですね。ジャック・キャシディさん2回目の登場ですが、長年の相棒である作家が、別のジャンルの小説を書きたくなったから保険金を掛け殺害したり、第2の殺人でシャンパンを持っていくのは似ている部分もありますね。

印象に残る演出が多くあります。冒頭シーンで「エディ・ケーン」が爆弾を破裂させると画面が止まって現れるスタッフクレジット。3人の行動を1画面で表す、3画面分割の映像は入り組んだ殺人計画を見事にカバーした構成だと感じました。

かなり完璧な殺人計画でおおよそ抜かりがないと思っていましたが、そこはコロンボ。今までの聞き込みの結果から犯人の嘘が露呈してしまいました。複雑になっていますが、よーく話を聞いていると1本の答えに到達するエピソードです。

残念ながら、やはり事件が複雑で込み入っております。それに演出で茶々を入れると、部屋ごと爆死させられた「エディ・ケーン」の室内が意外と綺麗に残っていたり(小規模な爆発だったのかも?)

以上、22話「第三の終幕」でした。

  1. 2度目の登場ジャック・キャシディ。
    しかし存在感という点ではジョン・チャンドラーに軍配が上がります。

    その吹き替えが橋爪功さんという点でも貴重ですね。

  2. ≫存在感という点ではジョン・チャンドラー
     魅力的な爆弾マニアを好演されてますよね。代理殺人という展開も印象に残ります。

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