刑事コロンボ 23話『愛情の計算』近未来を思わせるSF的舞台! 殺害方法はアナログです

刑事コロンボ 23話 愛情の計算
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【VS.シンクタンク所長】コロンボのエピソードでもひときわ異彩を放っている作品なんですね。なんとロボットが登場して、犯人はそれを殺人に利用をするのです! この放送年代あたりだと、他作品でも何かとロボットが登場することがあるようで、コロンボにもその波が丁度到来したのかも知れません。

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データ

脚本:スティーヴン・ボチコ&ディーン・ハーグローヴ&ローランド・キビ―
原案:ロバート・スペクト
監督:アルフ・チェリン
制作:ディーン・ハーグローグ
制作総指揮:ディーン・ハーグローヴ&ローランド・キビ―
音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:74分
公開日:アメリカ/1974年2月10日 日本/1974年8月31日

あらすじ

シンクタンク所長のマーシャル・ケイヒルに、同僚のハワード・ニコルソン教授から手紙が入った。今年1番の科学者に選ばれたケイヒルの息子ニールの論文は盗用で、受賞の辞退に応じなければ、不正を暴露するという内容だった。

不正発覚を恐れたマーシャルは、シュミレーション戦中、高性能ロボットMM7にプログラミング作業を任せ指令室から抜け出すと、助手の車を運転しハワードの自宅に向かった。車のクラクションでハワードを外に呼び出すと、そのまま車で跳ね飛ばし殺害する。

遺体を自宅のリビングに運び出し、研究用のヘロインなどを盗みに入った強盗殺人に偽装後、再び指令室に戻り、MM7からプログラミング操作を引き継ぐと、犯行時刻には指令室に留まり、プログラミングで指示を出してていたという鉄壁のアリバイを作り上げたのだった。

人物紹介(キャスト/吹き替え声優)

今回の犯人:マーシャル・ケイヒル
概要:ホセ・フェラー

吹き替え声優:鈴木端穂

概要:シンクタンクの所長。息子ニール・ケイヒルが発表した論文『分子構造論』に関する研究が認められて今年一番の科学者に選ばれたが、研究は盗用であったことを同僚ハワード・ニコルソンに見咎められてしまう。シュミレーション戦の指示を、高性能ロボットMM7に任せてアリバイを作り上げると、指令室から抜け出してハワードを轢殺。それを強盗の犯行に偽装した。

軍事産業からのバックアップで人工頭脳の研究を行っている。指令室でプログラミング操作を行い、第3次世界大戦の防衛シュミレーションを実戦しているようだ。また、模擬戦闘のデータ結果から、次に有効な手立てをアドバイスしたりもしている。シュミレーションは様々あり、このエピソードでは「R17防衛計画」「R15防災計画」「R18計画」などを行っていた。

葉巻の愛好家であり、愛用の葉巻は本場キューバ産の物らしく、知人が運んでくれるようだ。息子ニール・ケイヒルを溺愛しており、その期待が息子を苦しめていることには気づいていない。この殺人も息子のためにと思い彼が答えを導き出した。まさに愛情の計算と言えるだろう。


今回の被害者:ハワード・ニコルソン
役者:リュー・エアーズ

吹き替え声優:真木恭介

概要:シンクタンクで働く教授の男性。ニール・ケイヒルの『分子構造論』に関する研究は盗用であると見抜き、真実を公表して受賞を辞退するように求めた。

日ごろからマーシャルの親バカっぷりには、ニールに陰ながらも同情を抱いていた。今回の盗用も、マーシャルの期待に添えそうとしていた結果であることを何となく感じ取っていたのだろう。

元々『分子構造論』の論文を作製していたのは、イギリスの科学者「カール・フィンチ」だった。その助手を務めていたのがニールである。カールはだいぶ前に死去しており、その時代に分子構造論の化学式が辻褄が合うものなのかを計算ができなかった。

化学が進歩して、コンピューターで分子構造論の化学式が解けるようになると、ニールはこれを分析して、正しいことが証明されたので公表したのである。ハワードも、カールから預かっていた分子構造論の論文を持っており、盗用の事実が判明していたのだった。

歳の離れた若い妻マーガレットがおり、夫婦仲は良好である。心理学者をしているようで、ハワードが殺害された後は、彼の意思を引き継ぐ形で、ニールが盗用したという事実を自らの口から告白するように優しく説得していた。

几帳面な性格であり、研究室は整理整頓されている。パイプの愛好家であり、1日おきに計7個のパイプを使い分けている。妻は、「掃除に対してはやかましい人」と語っていた。パイプに詰めるタバコの葉はイギリス産を愛用している。着火は専用のライターを使用していた。

小ネタ・補足

〇シンクタンクとは、頭脳集団などと訳す。各分野の専門家を広く集めた高度な研究組織。企業や政府機関などの依頼により、現状分析、未来予測、技術開発などを行い、経営戦略や政策決定に必要な知識や情報を提供する。特定の組織に従属しない独立の組織であること、多くの専門分野にわたる知識の総合化、システム化を行うこと、長期的視野に立つ未来指向型であることなどが特徴らしい。

〇『スティーヴン・スペルバーグ』少年を演じたのは、「リー・H・モンゴメリー」氏で、吹き替え声優は「手塚学」氏が担当した。

〇高性能ロボ『MM7』は、映画『トワイライトゾーン』『禁断の惑星』『アダムスファミリー』にも登場しているロボットである。本エピソードに登場したロボットは後期デザインらしい。映画好きなスペルバーグ少年が作製したのだから、過去に観た映画から着想を得たのであろう。

〇唯一ノベライズ版が発売されなかったエピソードであったが、コロンボ研究の第一人者『町田暁雄』氏が手掛けた同人誌『COLUMBO!COLUMBO!(4~6)』において、小説家「大倉崇裕」氏がノベライズ版を寄稿した。

まとめ

未来を思わせるような舞台なんですね。研究所の中は白の配色。科学者は白衣を身にまとい研究する。コロンボ警部も、いつもは鉛筆やペンでメモを書きこんでいたりしていますが、ボイスレコーダーを使って会話を録音していました。

舞台設定を『SF(サイエンス・フィクション)』にしたことで、思い切って『ロボット』を登場させ、それに自身のアリバイを作らせるのはユニークなアイディアだと感じます。殺害方法が車で轢殺というのは、未来設定の舞台にしてはアナログだと思いましたが……。

コロンボ警部が発見した疑問点の数々が、あまり活かされずに事件が解決してしまうのはなんだかもったいないですね。疑問点はあるが決め手に欠ける

そのため、コロンボ警部も反則に近いような手段で犯人を落とすしかなかったんですね。父親の子に対する心情を利用した、あくどい落とし方にも思えます。何気にコロンボ警部を追い詰めた手強い犯人の1人なのです。

以上、23話「愛情の計算」でした。

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