【VS.中古車ディーラー】推理小説や探偵の舞台と言えば、「逃げ場のない孤島」「雪山のロッジ」「古い風習の残る村」、そして「豪華客船」ではないでしょうか!?
今回のエピソードは実在する船『サン・プリンセス号』のメキシコクルーズに、スタッフや役者が乗り込んで撮影おこなったエピソードです。コロンボ警部のカミさんも乗船しているようですが……、どうやらコロンボ警部とはぐれてしまったようです。
データ
脚本:ウィリアム・ドリスキル
原案:ジャクスン・ギリス&ウィリアム・ドリスキル
監督:ベン・ギャザラ
制作:エヴァレット・チェンバース
制作総指揮:ローランド・キビ―&ディーン・ハーグローヴ
音楽:ディック・デ・ベネディクティス
本編時間:98分
公開日:アメリカ/1975年2月9日 日本/1976年1月3日
あらすじ
中古車のディーラー会社を経営するヘイドン・ダンシガーは、ショーガールのロザンナ・ウェルズとかつて愛人関係にあった。口止め料として金銭を要求し、もし断れば妻シルヴィアに告発するという。資産家のシルヴィアの方が夫婦間での上下関係は上であり、このことがバレたらヘイドンはお終いである。
ヘイドンは汽船をよく利用しているため構造を熟知している。マスターキーを道具を使って複製すると、薬を吸い込み擬似的な心臓発作を起こした。医務室へ運ばれると、30分おきに血圧が測定されることになる。ディナーショーの時間になると、ヘイドンは医務室から抜け出してマスターキーで乗務員専用通路を使ってロザンナの部屋で待ち伏せをする。
衣裳替えに来た彼女を射殺すると、ロザンナに惚れているバンドマンのロイドに、殺人の疑いが向くように偽装したのだった。急いで血圧測定の時間までに戻ると、犯行時刻は医務室で休んでいたというアリバイを完成させたのだった。
人物紹介(キャスト/吹き替え声優)
今回の犯人:ヘイドン・ダンシガー
役者:ロバート・ヴォーン
吹き替え声優:西沢利明
概要:中古車販売会社ディーラーである社長の男性。ラスベガスのショーガールをしていたロザンナ・ウェルズとかつて不倫関係にあった。そのことを、妻シルヴィアに暴露しない見返りとして金銭を要求されてしまう。力関係は妻の方が上で、不倫の事実が知られてしまうと、20年かかって獲得した地位を失なってしまうため、船内の構造を熟知した豪華客船『シーパレス号』で殺人を行った。
ギャンブル好きで1人で良くラスベガスに行っていた。そこでショーガールをしていたロザンナと関係をもったようである。
犯行現場となった『シーパレス号』は、よく利用しており船内の構造を熟知している。今回は招待客104名を連れて乗船して、火曜日にメキシコでゴルフをする予定であった。なお、今回の船旅の合計客数は500名であり、だいぶ彼の招待客で埋まっていたようだ。
中古車ディーラーという職業のため、車にカギが付いていないこともある。そのためカギを作る道具『カーチスクリッパー』なる道具を持っていた。鍵の製造会社と複製番号があれば、カギの制作本を見ながら複製することができるようである。
射撃の腕前はプロそのものである。被害者を射殺した際には、枕越しという銃口が定まらない状態でありながらも、片手で腰から銃を発砲。重心は反動でずれることはなく、銃弾は心臓の真ん中から摘出された。本当に中古車ディーラーなのかと疑いたくなる。
今回の被害者:ロザンナ・ウェルズ
概要:フーレー・ボッカー
吹き替え声優:中村晃子
概要:ショーガールの女性。ラスベガスでも働いているようで、汽船ではジャズバンドのボーカルを担当していた。バンドマンのロイドが惚れているのだが、彼女にはその気はまるでなく、「つきまとわないで。もう終わりって言ってるのよ」と突き放している。
公演時間は毎日決まっており、前半後半と別れているようだ。間に休憩時間があるが、会場から控室までの距離が遠く、衣裳替えをすると休憩時間が終わってしまう様子。
小ネタ・補足
〇舞台となった『サン・プリンセス号』は、香港のクルーズ船「オーシャン・ドリーム」として現在も航海しているようだ。(海外Wikipedia)
〇被害者「ロザンナ・ウェルズ」がディナーショーで歌っていた曲は、『ボラーレ(青く塗られた青の中で)』である。
〇ロザンナに惚れていたバンドマン「ロイド・バリントン」は、12話『アリバイのダイヤル』で被害者エリック・ワグナーを演じている。
〇パーサーの「ワトキンス」を演じた「バーナード・フォックス」氏は、14話『ロンドンの傘』のダーク刑事部長を演じていた。
〇コロンボ警部が鼻歌を歌い、「ダンジガーさ~ん♪」というシーンは、吹替だけの演出である。
〇コロンボ警部が、メキシコ行の船旅中に巻き込まれた事件である。到着地は35話『闘牛士の栄光』が舞台となっている。
まとめ
特殊な舞台設定が見どころのエピソードなんですね。ミステリーの定番『豪華客船』でございます。海の上の船ですので、鑑識や他の刑事たちもいません。そんな条件下においてコロンボ警部は単独で事件解決に乗り出すのです。
丁寧に描かれた作品であり、冒頭でゴルフ用の手袋を妻ジュリアが忘れてしまいました。ダンジガーさんは言い返そうとしますが、「アカプルコで買えばすむことよ」と突き返されてしまいます。これから殺人に使用する大事な手袋だったというのに……。
この点から妻との上下関係が明らかになっているんですね。また、コロンボ警部が鉄砲が苦手だからとダンジガーさんにベッドマットに銃を撃たせるシーンでは、彼の銃の腕前を試していましたね。
古い鑑識方法、「鉛筆の削りカスを使って指紋を検出」。犯人との会話の中から疑問を見つけ、次々と実験して解消していき徐々に犯人に詰め寄る。
コロンボ警部が犯人をロックオンしたのは、病室の床に落ちていた「羽毛」がきっかけという演出が最初から提示されますが、どうしてそれで犯人と確信したのかが見事というか、勉強になったエピソードでありました。
以上29話、「歌声の消えた海」でした。
「ダンジガーさ~ん♪」という吹き替え独自のセリフ。
これ、台本には書かないと思うんですよ。
おそらく台本には
コロンボ (歌を口ずさむ)
としか書いてないはず。
つまり小池朝雄さんのアドリブだったのではないか?と
私はそう考えてます。
≫「ダンジガーさ~ん♪」という吹き替え独自のセリフ
三谷幸喜さんもお気に入りのポイントだそうです♪
最後の立証シーンで硝煙反応のある手袋を偽装した理由を追求された際に、
某黒岩博士の様に趣味と言い張ったら言い逃れたかとちょっと考えましたけど、
向こうは一応仕事なのに対してこっちは一般市民だから鼻で笑われて終わるというという結論になりました。
匿名様
>>最後の立証シーン
>>理由を追求された際
>>某黒岩博士の様に趣味と言い張ったら言い逃れたか
某検視官もかなり苦しいですが、あの言い訳をすると公文書偽装へと言い逃れられましたね! ゴム手袋で銃を発砲するのは特殊性癖すぎる‼
>>こっちは一般市民だから鼻で笑われて終わる
枕越しに心臓を一発、流石ナポレオンソロと言いたくなってしまいます。