刑事コロンボ 62話『恋におちたコロンボ』脚本ピーター・フォーク

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

【VS.資産家】今作の脚本は、コロンボ役のピーター・フォーク氏が担当したエピソードです。これが、長年主演をし、思い描いたコロンボ像なのでしょうか?

共犯の犯人ではありますが、後半まで共犯者の名前が伏せられています。それにより、主犯であるローレン・ステイトンと共犯の関係性が分かりません。また、後半になるにつれて徐々に明らかになる殺人の動機など、視聴者への隠し事もあります。

さらに、犯人は捜査をかく乱すべく、コロンボに誘惑しデートに誘ったり……。一方で、もちろんコロンボ警部もそのことに気づき、どうしたものかと頭を抱えたりするエピソードです。

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ココが見どころ‼

〇脚本ピーター・フォーク氏。やっぱり思い出深いようで、自伝で振り返っている。

〇コロンボ警部のストーカーっぷり。冷酷さと温かさのある心情。

〇電気毛布で遺体を温めて死亡推定時刻を錯覚させる。顔に被せてないから、そこだけ冷たくならない?また、遺体がガッツリと瞬きをしている。(17:19秒)

データ

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脚本・製作総指揮:ピーター・フォーク

監督:ヴィンセント・マケヴィティ

制作:クリストファー・セイター

音楽:ディック・デ・ベネディクティス

本編時間:95分

公開日:アメリカ/1993年10月31日 日本/1995年5月7日

あらすじ+人物相関図

恋に落ちたコロンボ 人物相関図資産家ローレン・ステイトンの屋敷で、盛大にパーティーが開催されていた。彼女は若い恋人にプロポーズをされたと、招待客たちは大いにそれを称える。しばらくして、その恋人であるニック・フランコがやってきた。彼女に対して、結婚をしたいという旨を伝えるも、ポーカーの勝負があると屋敷を後にした。

ローレンは彼を見送ると、ある人物に「ニックがそっちに行くはず」と連絡をする。パーティー会場を抜け出したニックは、バーで若い女性(リサ)と会っていた。彼が席を離れると、女性は電話boxから連絡をする。その相手はローレンであった。2人は殺人計画の最終確認をし合ったのだ。

やがてニックは、リサを連れて自宅アパートに戻る。ローレンはそこに待ち構えており、ニックを射殺した。彼女は頭が痛いからと自室に戻り、密かに屋敷を抜け出していたのだった。ローレンはリサに指示をして、パーティー会場に戻った。

パーティーが終わり、ローレンは再びニックの家に向かう。管理人に合鍵を忘れたと告げ、一緒にニックの部屋に向かう。その途中、部屋に残っていたリサが銃を発砲する。そして、遺体の死亡推定時刻を錯覚させるために使用した電気毛布を回収して、窓口から逃走した。ローレンと管理人は、急いで鍵を開けると、部屋にはニックの遺体があった。これで、ローレンのアリバイは成立した。共犯のリサの素性も誰にも知られていない。

人物紹介

ローレン・ステイトン コロンボ犯人

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

今回の犯人:ローレン・ステイトンフェイ・ダナウェイ

吹き替え声優:高畑淳子(たかはた あつこ)

職業:資産家

殺害方法:射殺

動機:復讐

概要:詳しく見る
概要:ロサンゼルスに住む資産家の女性。3ヶ月前にニック・フランコと出会い交際が始まる。婚約の約束までしていた。しかし、ローマにいる娘リサ・フィオーレもニックと出会っており、彼から暴力を受けていた。このことをリサから打ち明けられ、親子揃って身も心も踏みにじられたことに対する復讐を計画する。

頭痛がすると嘘をつき、別室から抜け出すことで犯行現場に向かう。その際、服用したと言ったのが『アスピリン』である。アメリカ合衆国はアセチルサリチル酸(アスピリン)の大量消費国であり年間に16.000トン、200億錠が消費されているらしい。かなりメジャーな薬のようだ。

血の循環が悪いようで、冷え症らしい。その道の名医に診察を受けたが、これという手はなかった様子。この結果は犯行現場で待機中、外気温は12℃。無意識の内に暖房を22℃で設定して起動させてしまうなど、日頃からの習慣が出てしまったと反省している。

過去は振り返らない性格ということで、事件の次の日には、靴を店で見て回る。その翌日には、美容室でシャンプー+ブロー=75ドル。コロンボ警部の前でも表情よく振る舞っている。警部には、捜査を和らげてもらえるように狙いをもってもって近づき、赤いネクタイや、愛犬ドッグのカゴソファーを購入したりした。※1993年10月:1ドル=106円 75ドル=7950円

ローレン・ステイトン

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

自宅は豪華な屋敷のようである。パーティーの招待客は何百人とおり、音楽隊も多数いた。そんな、屋敷の玄関を入るとすぐに飾られているのが、全身白のスーツにトップハット、葉巻を指に挟み、アンティークの椅子に腰かける、おどけた表情の彼女である。葉巻は吸わないとのこと。

ローレン・ステイトン 

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

夫はローマに住んでおり、だいぶ会っていないらしい。単身ロスに来た理由は不明であり、職業も不明だ。冒頭で着ていた、背中が開いたセクシーな赤いドレスは3人がかりで着たらしい。


リサ・フィオーレ コロンボ犯人

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

今回の共犯:リサ・フィオーレクローディア・クリスチャン

吹き替え声優:佐々木優子(ささき ゆうこ)

職業:?

概要:詳しく見る
概要:ロサンゼルスに来て10日の女性。ローマに自宅があり、ずっとヨーロッパで暮らしていた。まだ、ロスでは知り合いがいない。そのため、ローレン・ステイトンの正体不明の共犯者となり、ニック・フランコを殺害後すぐにローマに帰国する予定であった。

ローレンとは、親子関係にある。親子揃ってニックにたぶらかされたのだ。自身の母親がニックに狙われていると分かったのは、母が彼のイニシャル入りの指輪を身に着けていたからだ。このことをニックに問い詰めると、殴られ、首を締めあげられ、カミソリで切られた。

リサ・フィオーレ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

右首筋には生々しい傷跡が残っている。また、ニックと関係があること、傷つけられたことをローレンに打ち明けると殺すと脅された。電話番号は市外局番818-555-7247である。住所はグロウ・ストリート2200だ。


ニック・フランコ 刑事コロンボ 被害者

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

今回の被害者:ニック・フランコ(アルマンド・プッチ)

吹き替え声優:大塚芳忠(おおつか ほうちゅう)

職業:ギャンブラー

概要:詳しく見る
概要:ギャンブラーというよりも詐欺師の男性。バーテンダーたちの話によると「その気になりゃあ、どんな人間でも丸め込む」と言われるほど口が上手い。窃盗犯10人グループのリーダーであり、客とカウンターで話をする。その隙に、財布から金を抜き取るなどをしている。

また、女性であれば、年増でも若い女にもすり寄る。年増は金目当て。若い女性は体目当てのようだ。リサ・フィオーレと出会ったのは、ローマである。その後、母親が資産家であることを知り、ロスにいるローレン・ステイトンにすり寄る。交際は3ヶ月前からで婚約者となろうと目論んだ。

イタリア女性が好きなようで、耳たぶを甘噛みしたいという性癖がある。身に着けているものとしては、贈り物なのだろうか?腕にはロレックスに腕時計を装着していた。また、ゴルフクラブの会員であったり、ワイン/チーズ専門店に通っていたようだ。ワイン/チーズに関しては、ローレンが「大好物を用意してくれたり」と言っていることから、彼女へのプレゼント目的だったのだろう。

ギャンブラーとしては、ヨーロッパや色々な場所で勝負をしている。曜日ごとに決まった賭け事をしていたようで、月曜日/金曜日がポーカー勝負。その他の曜日には、違うギャンブルをしていたようである。負け越しが多いようで返済は回っておらず3万ドルの借用証がある。

※1993年10月:1ドル=106円 3万ドル=318万円

また、アパートの管理人の話では潔癖症のようだ。午前中~13:00までの時間、メイドを雇い部屋の掃除をしてもらっている。だが、アパートはほとんど使用していないようで、13:00~外出して、夜間に寝に戻ってくるだけのようだ。外食がメインとのこと。

犯行計画

『ローレン・ステイトンは、ロスに来て間もなく、正体が知られていない共犯(リサ)と協力し、ニック・フランコを彼の自宅で殺害。現場に居合わせた空き巣に殺害されたように偽装する』

★…描写なし

①ローレン・ステイトンは自宅でパーティーを開催する。そこに、ニック・フランコが来る。彼は彼女に02:00にドライブをする約束をした。ローレンはリサ・フィオーレに電話。その時刻に殺害実行を伝える。予想通りニックはパーティ会場を途中で抜け出す。そしてリサの元へ向かったようだ。

②リサとニックは酒場で会う。ローレンは、パーティーの最中に頭痛がすると言い、別室で休む。ニックがトイレに向かっている隙に、リサは電話ボックスからローレンに電話を掛ける。間もなく、ニックの自宅アパートに向かうはずだ。ローレンは電話を受け取ると、鞄に電気毛布/銃/5000ドルを挟んだマネークリップを入れる。

③★22:00以降のいずれかの時刻に、ローレンは屋敷から抜け出してニックの自宅に先回りをする。合鍵を使用し居室に入ると、寝室にある宝石箱から貴金属類を盗んだ。また、リビングのブレーカーをOFFにし、照明スイッチが作動しないようにした。

④23:00~01:00?ニックとリサが自宅アパートに入る。照明スイッチを触るニックをローレンが射殺。遺体を電気毛布で包み死亡推定時刻を錯覚させる。リサを残し、ローレンは窓口から再び屋敷へと戻る。リサは窓口を閉め、やすりで傷をつける。空き巣がここから侵入したように偽装した。★また、空き缶の中にマネークリップのお金を詰めたり床にばらまく。ガレージからニックの車を移動させた。

⑤ローレンは屋敷に戻る。リサはリビングのブレーカーをONに戻す。パーティが閉会となり、ローレンはニックのアパートに向かう。アパート入り口にある呼び出しボタンを使い(★ニックの部屋の呼び出し音でリサに連絡を入れる。ここでガレージからニックの車を元に戻した?)、管理人ラディックに「ニックの部屋の鍵を忘れた」と連絡をする。

⑥ローレンと管理人は一緒にニックの部屋に向かう。途中でリサは銃を発砲し、電気毛布を鞄に詰め窓口から逃走した。銃声を聞いた2人は部屋に入り、ニックの遺体を発見した。

コロンボの疑問点:ネタバレ注意!

推理と捜査
〇ローレン・ステイントンと初めて会った晩、コロンボはコーヒーを差し出した。手の平で包み込み、手の暖をとっているようだった。次の日に自宅であった時、カミさんが寒いのが苦手という話をした。ローレンは循環が悪いのでは?と返した。彼女は医者に診断してもらうなど寒がりのようだ。

○ローレンとコロンボは、屋敷で会話をする。その際、コロンボは頭痛がするといい、頭痛薬(アスピリン)がないかを尋ねた。ローレンは、アスピリンがあるかどうかは調べてみないとわからないと話した。しかし、パーティーの招待客の話しでは、ローレンは頭痛の為に別室で休んでいた。その時に服用したと話したのが、アスピリンであった。

○被害者はポーカー勝負をするといい、パーティー会場を後にした。しかし、ポーカー仲間の話しでは、月曜日/金曜日が勝負の日でポーカー勝負はなかった。その他の賭け事にも、彼はゲームに参加しなかった。そのことに対し、ローレンは良く覚えていないと話す。彼は婚約者で、ぜひいてほしかったはずなのに、パーティーを抜け出した言い訳はよく覚えていないのは不自然だ。

○被害者は多数の請求書があった。クリーニング店/薬局/車の修理代/ゴルフクラブ/家賃/電気代/紳士服専門店/クレジットカード/チーズ専門店/ワイン店……。電話の請求書だけがなかった。調べてみると、10日前に解約していた。記録によると、住所はビバリーヒルズになっている。

なぜ、変更をしなければならなかったのか?10日以前の通話記録を見てみると、市外局番818の555-7247から、12回も電話が掛けられていた。電話番号から相手は、リサ・フィオーレという女性であることがわかった。

〇被害者は、午前中~13:00までメイドを雇い掃除をしてもらっている。真面目な性格のメイドだが、冷蔵庫の水受け皿には水が溜まっていた。なぜ、そこだけ掃除をしなかったのか?メイドが帰宅した後、電源が落ちた可能性がある。また、ローレンと管理人が部屋に入った時には部屋の電気はつけることができた。そうなると、13:00~02:00のどこかで電源がOFFになっていた時間がある。

○ローレンが被害者のアパートに入る際、鍵を忘れたからと管理人に連絡をした。普通ならば、被害者の部屋に連絡をするはずだ。⇒「ガレージのスペースには被害者の車がなかった。そのため、自分の車を入れたと話す」

そうなると、被害者は帰宅時に自分のスペースに駐車している彼女の車を見たはずである。来ていると知っていて、なぜ鍵を使って部屋に入ったのか?⇒「被害者は自分の部屋のブザーを押した。ちょうど自分は管理人の部屋にいて応答できなかった。そのため鍵を使用して入ったのかもしれない」⇒だが、ブザーを鳴らした時に空き巣は部屋にいたはずだ。なぜ逃げ出さなかったのか?

○被害者は左側から撃たれた。寝室に通じる通路から撃たれたことになる。もし、空き巣が逃げようとしながら撃ったならば、ベランダに面したガラス戸の方から発砲したはずだ。辻褄があわない。

○空き巣は部屋に入った際、22℃で暖房を起動していた。一刻を争う時に暖房を使うだろうか?被害者がスイッチを切り忘れていたとしても、外出した14:00で30℃を超えている。22:00~寒くなり外気温は12℃である。アパートで待機していた人物がいたとすれば、寒がりの人物で鍵を持っている人物だ。

○バーテンダーの話しでは、被害者はゲス野郎であった。10人程のグループのリーダーであり、酒場で飲んでいる客の財布から金を抜き取ったり、女性であれば年齢関係なく近づく。年増は金、若い女は体目当てだった。

○最初に現場検証した時に、冷蔵庫の中に水滴が出来ていたのが気になった。メイドの話しでは、冷蔵庫のコンセントは、上の穴のソケットに差し込んでいた。リビングのブレーカーをOFFにしてみると、冷蔵庫の電源が落ちた。下の穴のソケットでは電源が落ちなかった。どこかの時間、リビングのブレーカーが落ちていたようだ。

○ローレンと被害者が交際をしたのが3ヶ月前だった。ゴルフクラブの退会/生命保険/3万ドルの借用書など、被害者が金銭が必要になったのも3ヶ月前だった。

いかにして決着をつけたのか?
○コロンボはリサが共犯であると確信し、警察署で取り調べを行わせる。容疑者を確保したとローレンを電話で呼び出し、リサが取り調べを受けている姿を見させた。リサは涙を浮かべながら、「何も知らない」と黙秘を続ける。

コロンボが、ローレンとリサが関わりがあると分かったのは、アンティークの椅子である。ローレンの屋敷に飾られている写真には、アンティークの椅子に座る彼女が写されていた。リサの自宅にあった写真にも、同じアンティークの椅子が写っていた。同じような品物はなく2人は知り合いである。

ローレンはコロンボに言う「(事件を)解決できれば名誉を傷つけることは避けてくれる?」「そうします」「あの子を釈放して」コロンボはリサを釈放し裏口で話しをする。

コロンボ「ずっとヨーロッパ暮らしだったんだ?」
リサ「ええ」
コロンボ「明日は大きな祭りがあるんだってね。あたしなら、絶対に見に行くなぁ」
リサ「そうね」
コロンボ「……ローレンさんが、こう望んだんだ」
リサ「わかった」
コロンボ「さよなら」リサは涙をこらえながらその場を後にした。

ローレンはコロンボに自白をしていく。ただ、共犯者がリサということは黙秘した。共犯者は身元不詳の男性である。ローレンがそこまでして守りたかったリサとは、彼女の娘だった。ニックは自分の娘を傷つけたばかりが、自分自身までも手にかけてきた。

それが許せなかったのである。彼女たちは復讐のために殺人に手を染めたのだった。コロンボは全ての自白を聞き出すと、リサの写真を破り捨てた。そして彼女の手に手錠をはめたのだった。

三幕構成

恋に落ちたコロンボ 三幕構成

まとめ

コロンボ警部が脚本を書いたのですが、最後に犯人の手首に手錠をかけるのです。ここがなんだが気になります。コロンボ警部には手錠は使わないでほしかった……、そんな願望があったからです。また他のエピソードでは、女性犯人に対して優しくエスコートをする姿が印象的に残っているからです

コロンボ警部 ネクタイ

【NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン:刑事コロンボ「恋に落ちたコロンボ」より引用】

あと警部が、最後は優しい感じなんですが、中盤は逮捕するために冷淡です。犯人からプレゼントされたネクタイを、毎回着けてきます。彼女と別れるとすぐに、ネクタイを外すのです。彼女の好意を罠だと知りつつも、表面上は笑顔で関わります。そして、自身も罠を貼る為に、瞬時に表情を変えつつ接触を図っていくのです。怖いと感じました……。

また、リサの家を突き止めると、部屋の鍵をどうやってか開ける。証拠品として、勝手にタンスの中にあった写真をくすめ取っていったのです。犯罪ですよ警部!

以上、「恋に落ちたコロンボ」でした。